2006年10月13日

新報紙面での立候補予定者討論

 13日付琉球新報朝刊1面から立候補予定者政策討論会が特集されている。両候補の討論は初ということだ。新報HPには全体の要約(続きを読むに掲載)が出ているだけで、細かいところは省略されている。全部あれば引用が楽なのだが、仕方がないので気になるところだけ、突っ込みを入れてみる。敬称は略した。
 2面で「V字案」反対は一致 解決手法で対立鮮明ということなのだが、違いは記事によると、
 
(1)基地問題への姿勢、普天間基地
 
 仲井真 政府と県、地元の3者による普天間飛行場移設協議会で解決を図る。
 
 糸数 基地返還アクションプログラム策定で県内移設反対を掲げる。
 
 というところだ。仲井案だと地元と政府でV字型賛成ということになれば、しぶしぶ反対を引っ込めることもあり得るということか。政府と名護市が賛成しているのだから、押し切られるのは目に見えているようだが。
 
 糸数案は海外移転を主張する。米軍再編の狙いは朝鮮半島問題が近く片付くと、韓国米軍を支援するための沖縄海兵隊はかえって邪魔になるということからグアムが強化されるのであるから、本来、普天間は無条件返還が当然である。だから、糸数の主張は分かりやすい。
 
 その上で嘉手納以南の返還を実現させ再開発をする、といえば糸数の主張は一貫性が出てくると思う。しかし、反対して再開発が計算通り進むのか、と突っ込まれるだろう。なぜ、新聞社はそれをいわないのか不思議だが。
 
 対して、仲井真はむしろV字型を受け入れることで、嘉手納以南の早期返還と巨大再開発の担保にする、という方が分かりやすいと思う。そのようにインタビューすべきではないのか。
 
(2)経済活性化・雇用

 両者が観光産業を核にすると述べている。それ以外の注目は、
 
 糸数 建設業からかなりの失業者が出て疲弊しており、護岸を白い砂浜に戻すような自然再生型の公共工事を取り入れ、新たな産業宇野創出を図り‥‥

 仲井真 雇用は「純粋沖縄」だけでは少し足りない。県外・国外から県内に投資してもらい、新しいビジネスをつくりたい。

 糸数が公共工事を積極的に導入する考え。これは開発途上地域である沖縄などに対して、標準的・伝統的な経済政策である。

 仲井真は企業誘致策を唱えているが、需要不足の不況下でこの発言の直前の「既存の産業、企業を大事にし」という部分と整合性はあるのか。既存産業と競合しない新しいビジネスとはなにか。

(3)財政健全化

 糸数 健全化には義務的経費の抑制と地域活性化による税収アップが必要だ。

 仲井真 これを改善するには税収アップ、税収率アップに尽きる。むろん歳出抑制も当然必要で‥‥

 両者同じようなことをいっているようだが、糸数が地域活性化による税収アップとしている点は好感◎。義務的経費の削減と限定したのも良い。何しろ、前述のように、また、あとで取り上げるように、公共投資を増やすなら歳出が増えるのは当たり前であるからだ。

 仲井真の税収アップに尽きる、という表現は取り立てを厳しくする、というようにも聞こえ、中小零細企業、庶民にとってはマイナスに映る。これ以上搾り取るのかという感じだ。さらに歳出を抑えるのに職員数の適正化や公共投資にPFIを導入で民間資金の活用としている点、日本を不幸にした構造改革と同じ志向であり、間違いではないのか。

(4)振興の具体策

 仲井真 振計の中でも産業は大きな意味があり、産業を大きくする結果として失業率がぐんと下がるはずだ。あとはその経済力で沖縄の文化・芸能、スポーツ、自然環境、健康、長寿を磨き併せて医療や社会福祉にもっと力を入れていけば、日本一の良い社会が実現する。
 
 糸数 那覇空港の平行滑走路の早期整備を第一に考えたい。‥‥さらに那覇港、中城湾港、平良孝、石垣港の重要な県内の4港の整備、‥‥本島南北縦貫軌道やモノレール延長などもぜひ実現したい。

 際だって面白い違いがここに出ているようだ。仲井真が産業政策で、糸数が大型公共投資を志向している。仲井真の発言は構造改革派のそれとまったく同じに見える。そのため公共投資が出てこないで、文化やスポーツといった経済とは直接結びつかないピントはずれの振興策となる。
 
 しかし、沖縄での公共工事不要論は間違い。沖縄の場合、空港や鉄道、大港湾など本当に産業振興に必要な公共投資を行なうことで、産業が振興される。それによって税収も上がるのだ。これはわたしの持論でもある。糸数は意識しているかどうか分からないが、まともな振興策を述べている。
 
(5)言い残したこと

 もっとも、仲井真も公共投資をどんどんすべきと、言い残したことを問われて次のように述べている。

 仲井真 振計にあるインフラをもっと加速する必要がある。‥‥いまの時代には矮小であるとか容量が足りない。‥‥嘉手納より南の米軍基地が返る可能性があるのでいろんなインフラを徹底して国の義務として入れる必要がある。
 
 と付け足している。ここまでで公共投資についてはやや巻き返したが、糸数の空港、港湾、南北縦貫鉄道のような具体的な言及がなく不透明。後手に回っている。前述の財政健全化の部分で、PFIの導入など歳出抑制が必要とした考えと矛盾している。行き当たりバッタリ、勉強不足ではないか。
 
 糸数は同じ質問に道州制を考えるべきで、‥‥自治や分権を進める必要性や沖縄自立の観点から特別県制度や特別自治州などを真剣に検討すべきだ。
 
 と仲井真が触れなかったことに言及している。道州制は不況下では国力を削ぐと思うので、現時点でわたしは不要だと思う。道州制の議論が盛んになったのはバブルという異常な経済情勢下であったことを忘れてはならない。経済や財源に言及しないで道州制を唱えるのは無責任だろう。気持ちは分かるが、説得力がない。  
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Posted by 渡久地明 at 20:58Comments(0)TrackBack(0)