てぃーだブログ › 渡久地明の時事解説 › 2007年12月

2007年12月29日

世界の躍進と凋落する日本

「10秒で読む日経」というメルマガ

(面白いのでおすすめ)
http://www.mag2.com/m/0000102800.html

に次の記事が出ている。(12月27日付)

==============

今日のNews
●2006年の世界の名目国内総生産(GDP)に占める日本の割合が9.1%となり、24年ぶりに10%の大台を割り込んだことが判明した。ピーク時の1994年と比べて半減。国民1人当たりの名目GDPでも順位を下げた。
 内閣府が26日発表した国民経済計算で明らかにした。06年の日本の名目GDPは4兆3755億ドル。前年比で4%減と2年連続のマイナスとなった。(日本経済新聞 12月27日)
 佐々木の視点・考え方
★下の表は、OECD加盟国の一人当たりGDPの現在と10年前の数値。
 http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#kakuho
 当時の日本は金融不安が深刻化していく、不況感の強い時期だった。
 それから、IT景気があり、2003年以降の長く続く好景気だったのでがそう悪くは無い10年だったはず。
 しかし、国民一人当たりの状況を示す一人当たりGDPで見ると、日本は3.68万ドルから3.4万ドルへと減少している、30国中唯一の存在だ。
 他の先進国の多くは約2倍に増えているのと比べると、この格差は大きい。
 お隣、韓国も1986年には2701ドルで、日本とは6倍以上の開きがあったのに、いつの間にか日本のすぐ傍にキャッチアップしている。
 大きな要因として為替の円安と言うのがある。GDPをドル建てで示すためだ。しかし、為替が安いと言うことは、その国の状況が良くないことを(示す)。だから為替は理由にならない。
 これはひとえに、日本の過去10年間が世界全体の、好景気のなかに入っていかなかった、内弁慶になってきた事を示すものと見える。それが証拠に、輸出型製造業企業は好調を示している。(以下略)
 
==============

 日本の一人当たりGDPがどんどん縮小している様子は前にも述べたが、記事中のリンクを元に「世界の躍進と日本の凋落(2006年と1995年)」というグラフを作った。




 世界各国がそれぞれGDP(全体のパイ)を拡大したのに、OECD加盟各国で唯一日本だけが縮小し、一人当たりGDPの国際順位も世界3位から18位と大きく後退した。
 これは異常な状態だ。30カ国で唯一矢印が下向きになっている。90年代半ばのデフレ突入後、デフレ脱却政策を取らずに狂った橋本内閣の行財政改革と小泉内閣の構造改革が始まり(これに反した小渕内閣では日本の一人当たりGDPの国際順位は上がったが、小渕氏の死去とともに拡大政策は潰えた)、日本経済は凋落の一途だ。グローバルでは各国が拡大政策をとったのに、唯一日本だけが拡大政策というグローバル化に乗り遅れ、失速した。規制緩和でグローバル化(景気拡大)というのはでたらめだった。経済規模を拡大することこそがグローバル世界が追い求めていることであって、間違ったグローバル化のおかげで、日本は世界から置いてけぼりを喰らった。
 グラフの原数値も表に示す。表は拡大しているGDPの額を表現しようと95年と06年で上下をズラした。ルクセンブルクの成長が著しい。また、ノルウェーもすごいが、先日、ノルウェーからの団体旅行が初めて沖縄にきたというので空港で歓迎式があった。旅費が170万円というので、通貨レートの計算が間違っているんじゃないのかと思ったが、間違いではないなと思う。





 ちなみに30カ国の95年の一人当たりGDPの平均は21,583ドル、06年は34,701ドルで、1.6倍に拡大した。06年の日本の一人当たりGDPは67,000ドル(世界3位)、現状の約2倍になっていてもおかしくなかった。(1月1日追記)  


Posted by 渡久地明 at 11:16Comments(3)デフレ脱却

2007年12月21日

年間では585万人を予想

 07年の観光客数は585万人程度に落ち着きそうだ。11月の国内線航空実績は0.7%増で、外国人客を加えて観光客数は2〜3%増となりそう(2%増と見ておく)。12月は20日までのJAL・ANA旅客実績が2〜3%の前年割れとなっている。増加傾向の海外客を加えて月間観光客数は手堅く前年並みと見て585.1万人と予想する。誤差はプラスマイナス3000人くらい。  


Posted by 渡久地明 at 18:18Comments(0)沖縄観光の近況

2007年12月21日

年末年始の沖縄は好調、4.7%増

 航空各社は年末年始(12月28から1月6日)の予約状況を先ほど発表したが、JAL・ANA両グループとSKYの国内全線の予約数は前年比0.1%減と前年並み。対して、県外=沖縄線は4.7%増と好調だ。

 県外=沖縄線予約数はJALが2.5%増、ANAが1.7%増、JTAが9.4%増、RACが7.6%増、SKYが2.05倍。

 日本発国際線予約数は2.8%増となっている。

  


Posted by 渡久地明 at 18:09Comments(0)沖縄観光の近況

2007年12月09日

おかしな道州制議論

 今朝の琉球新報、

 「もし道州制が真の分権改革であるならば(略)府県や市町村から道州制を求める声が挙がっているはずだが、そのような状況はない。
(略)道州制は国の財政改革が主目的だからである。(略)分権改革という錦の御旗の下で、国は地方での交付金・補助金を大幅に削減することをも狙っている」(琉球新報12月8日付け、日曜評論「道州制は真の分権改革か」佐藤学氏(沖縄国際大学教授))

 は面白い指摘だ。

 わたしも前から上のような狙いがあるのではないかと道州制の議論を漠然と見てきたが、なるほどこうハッキリ問題点が指摘されると、あとは簡単だ。
 
 いまの道州制の考えの前提に財政至上主義があり、おまけにアメリカ型の市場原理主義も入っているのなら最悪である。人間の顔が全くみえない議論になっている。これに基づく道州制にはわたしも全く反対である。
 
 道州制に関しては、居酒屋談義でも話題になるが、沖縄の場合、単独州では財源が不安である。しかし財源には尖閣列島の地下資源を回せ、といったことで盛り上がる。米軍基地は土地代を取るのではなく、安全保障料として県民全てに金を回せ、というふうに発展する(賛成だが)。
 
 また、ひも付きの補助金200億円よりも、自由に使える100億円の方が価値があるという論も展開されることがあるが、これも納得できない。200億円が100億円になったら、どんな工夫をしようと経済規模はその分、縮小するのであり、それに伴うマイナスの波及効果はだいたい1・8倍になる。失業が増え、さらに所得格差が拡大する。
 
 道州制の精神論については沖縄県民の独立心をくすぐるものであり、理解できる面もあるが、財政政策についてはあまり詰められていないと思う。また、分権が欲しければ豊かな財政と分権の両方を求めれば良いところを、何で政府が失敗した財政政策のケツを拭いてやってまで分権して間違った国の財政政策に協力し、地方がますます痛む方向に荷担したいのだろうか。そうではなく、財政至上主義、市場原理主義、おかしな構造改革を進める政治を改めるのが先ではないのか。
 
 単独州になる場合の沖縄経済への影響については、かなり精密に計算ができる。優秀なパソコンソフトも出回っているようなので、沖縄単独州成立のための条件をみんなで計算して見るというのもいいと思う。
 
 このような計算機シミュレーションは日本経済全体について実際にいくつも行われている。政府そのものも実は政府支出を減らしたら、景気が悪化することを大型コンピュータを使ったシミュレーションでちゃんと知っている。それにも係わらず、おかしな構造改革を推進したのは狂気というほかない。また、それを多くの国民が選挙などで後押ししたのだった。マスコミの論調もオカルトという他はない。このことは、もはや常識になってきている。
 
 今日の日曜評論のようなものを、日本のあり方の入口にすべきだ。答はいま議論されているような道州制ではないと気がつくと思う。  


Posted by 渡久地明 at 15:47Comments(0)デフレ脱却

2007年12月07日

11月の県外=沖縄線、0.4%減と前年並み

 11月のJAL、ANA、JTA、RACの県外=沖縄線搭乗実績は0.4%減となった。JALが3.8%減、ANAが2.2%増、JTAが前年と同じ、RACが1.5%増となった。SKYの実績は来週でる。海外の増加が期待されることから、11月の観光客数は前年をやや上回る模様。

 07年の観光客数は585万人(3・9%増)前後となる見込み。

 県は07年の目標値を3年前の第2次沖縄県観光振興計画で580万人と設定しており、この目標を上回るのは確実。

 また、県は07年から暦年の目標値設定をやめ、年度目標に変えた※。07年度の目標は590万人(ビジットおきなわ計画)だが、これを上回るかどうかは、さらに見極めが必要だ。

 07年は暦年でも590万人が達成可能と見られた(わたしが見ていた)が、航空会社などによると10月以降12月までの第三4半期の不振が予想されている。10、11月はバーゲン設定を期間を縮小、12月は予約が弱いという。

 1月以降、不振を取り戻す動き(バーゲン設定の拡大など)が航空会社から出てくることも予想されるが、高騰する燃油価格をにらんでの運賃設定になりそう。

※航空会社の施策が2月頃に出るため、それを折り込んで「精密」な目標を設定したいというのが県の説明だが、これでは単なる予想であり、戦略性が要求されるはずの「目標」たり得ないだろう。逆に沖縄県の目標の立て方によって航空会社に影響を与えるというくらいでなければならない、と思う。  


Posted by 渡久地明 at 18:48Comments(0)沖縄観光の近況