2006年11月11日

劣化ウラン摂取限度3000万人分、ってあのね

 今日の沖縄タイムス朝刊トップに

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 米軍機劣化ウラン340キロ
 
 C141 90年代まで嘉手納常駐
 
 摂取限度3000万人分
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 という記事が出ているが(「続きを読む」に証拠として全文収録)、この記事は変だ。
 
 なぜこの記事が今日のトップニュースなんだろうと思う。
 
 沖縄タイムスが最近、データを入手したからとにかくトップ記事にしたかも知れないが、内容はとても薄い。バリュー(古語だが)がない。
 
 すでにこの機体は嘉手納にはないから、危険性はいまはない。扱うとしても1面トップではないだろう。
 
 内容もおかしい。劣化ウランの放射能による危険性はほとんどないというのは、沖縄国際大学のヘリの墜落の際にかなり議論されている。劣化ウランはまえからあまり問題はないだろうと思われていたが、沖国大の事故の際、危険性は低いことが再認識されたはずだ。
 
 劣化ウランは劣化ウラン弾として対戦車砲などに使われるが、これは比重が重いので、戦車の厚い装甲を貫通する能力があるからとされる。戦車の装甲を貫通・着弾した際、劣化ウラン弾が変形したり割れたりするだろうが、その際、弾頭が擦れて粉塵になり(エアロゾル)、これが燃えて殺傷力を増すという特性がある。説明によっては劣化ウラン弾が高温で燃えると表現する人もいるが、基本的には
 
「ウラン単体の融点は1132℃と比較的低いため、着弾時の摩擦熱によって融解飛散しやすく、飛散した結果発生するエアロゾルは空気中の酸素で酸化され燃焼する。このため、着弾の際に焼夷効果が期待できることから、対戦車砲弾等に応用した場合には高い貫通力を発揮するのみならず、弾頭としてきわめて望ましい特性をもつ稀有な素材であると言える」(Wikipedia)

ということである。

 記事の劣化ウランは弾ではなく飛行機の機体のバランサー(重さの調節材料)として使われており、その量が340キロあった。「墜落事故などで高温にさらされると微粉末になって大気中を浮遊し、周辺住民が吸い込む恐れがある」。「放射線作業に従事しない人が劣化ウランを吸入する場合は一一・四ミリグラムとされ、同機に使用された量は二千九百七十六万人分にも相当する」と推理して記事にしている。
 
 しかし、この推理はいかがなものか。
 
 特に危機を煽る書き方となっているのは、3000万人分の劣化ウランの微粉末が放出されるというところだ。この計算はどうやら
 
 340キロ÷11.4ミリグラム=2976万人分
 
 ということのようだ。
 
 しかし、機体が墜落したとしてもバランサーの劣化ウランが全量粉塵になって飛び散るということはあるだろうか。そのままの形状でその辺に吹っ飛んだり、転がる程度ではないのか。この計算はナンセンスである。
 
 また、記事では劣化ウランは燃えやすいから、燃えて微粉末になって大気中に拡散すると読めるが、機体が墜落して火がついたとしても、その火で劣化ウランが燃えるということにはなりそうにない。武器としての劣化ウラン弾は、堅い装甲を高速で貫通・着弾する際の衝撃と摩擦でエアロゾルができ、それが燃える。しかし飛行機の墜落のようなゆっくりとした衝撃で、バランサーの劣化ウランがボッと燃えて、粉塵が飛び散るというふうにはならないはずだ。
 
 つくづく、おかしな記事と突拍子もない扱いだなあと思う。
2006年11月11日(土) 沖縄タイムス朝刊 1面
米軍機劣化ウラン340キロ/90年代まで嘉手納常駐
摂取限度3000万人分/米軍資料で判明
 米軍機の部品に多数の放射性物質が使用されている問題で、C141大型輸送機に三百三十九キロの劣化ウラン製「バランスウエイト」が装備されていたことが、十日までに米軍資料で分かった。沖縄タイムス社が米国の情報公開法を通じて入手した。墜落事故などによる炎上で一般県民が吸い込む場合の「年摂取限度」に換算すると、約三千万人分に相当する。同機は今年退役したばかりで、嘉手納基地にほぼ常駐していた時期がある。米軍には詳細な説明が求められる。(阿部岳、磯野直)

 資料は、米国有数の航空機整備拠点であるロビンス空軍基地(米ジョージア州)が開示したC141のバランスウエイトの一覧表と、整備マニュアル。一覧表によると、C141は補助翼などの振動を抑えるため、一機当たり百四十八個の劣化ウラン製バランスウエイトを使用していた。一個の重さが五十九グラムから六十九キロまでの四十九種類あり、総重量は三三九・三三キロだった。

 劣化ウランは、燃えやすい性質を持つ。墜落事故などで高温にさらされると微粉末になって大気中を浮遊し、周辺住民が吸い込む恐れがある。

 人体を発がんなどの放射線障害から守るため、国際放射線防護委員会は、一年に取り込む上限として年摂取限度を定めている。放射線作業に従事しない人が劣化ウランを吸入する場合は一一・四ミリグラムとされ、同機に使用された量は二千九百七十六万人分にも相当する。同時に開示されたマニュアルは、整備兵に対して「バランスウエイトから常時二フィート(約六十センチ)以上離れること」と指示。「それ以上近付いたり触ったりする必要があれば、作業時間を記録し一定以下にとどめる」ことを義務付けている。

 一方、同基地は劣化ウラン製バランスウエイトを装備していたC5大型輸送機について、「タングステン製への交換を終えた」と説明。C130輸送機は「劣化ウラン製を使用していない」と回答した。

 劣化ウランは普天間飛行場所属を含むCH46中型輸送ヘリなどにも使用されていることが、米空軍基地ホームページの「航空機放射性物質データベース」で分かっている。ほかにストロンチウム90やトリウムなどの放射性物質の使用が明記され、事故時の健康被害が懸念されている。

 C141は一九六四年に配備が始まり、今年五月に現役を退いた。八〇—九〇年代には主力輸送機として嘉手納基地に実質的に常駐していた。

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