2008年07月07日
バーナンキ理事長の「カネを刷れ」
政府支出を拡大して、大型減税や公共投資を行い、景気を良くすべきである、と前から述べているが、先日あるパーティーで
「政府支出で景気拡大は分かるが、モトになるカネはどうするのだ。増税して税収を上げるのが先ではないか」
という人がいた。
「増税は景気を余計冷え込ませるので、カネを日銀が印刷して、国民や政府に渡すのがよい」
と述べたら、そっぽを向かれたわけだが、カネを刷れというのは経済学ではよく知られた政策であり、現在の日本にとって最も的確な政策である。
たとえば、2003年の日本金融学会60周年記念大会の特別講演で米連邦準備制度理事会のバーナンキ理事(当時、いま理事長)が、明快に日本に金を刷れと提言している。
バーナンキ氏は講演の最後でこう述べている。
さすがに学会の講演なので「カネを刷れ」という下品な言葉ではないが、同じことを「日銀が公債を買い増す」と明快にいっているのである。
刷ったカネを政府が財源として使うことのメリットは、新たな借金にならない=国民の負担増にならないことなどがある。もっとも、デフレを脱却しながら緩やかなインフレが起こり、国民はインフレという名前の一種の間接的な税を支払うことになる。
デフレ脱却のための財源は国民に負担をかけないカネを刷ることで得るべきであり、景気が拡大する中でインフレ(物価が上がり、給料も上がる。給料が上がると、物価も上がる。以下同じというスパイラル。現状は物価は上がるのに給料は増えないという最悪の状態)という名の税を広く薄く国民全部が支払う。また、景気がよくなることで累進税制が働き、政府の税収は飛躍的に拡大する。拡大した税収で医療改革や年金改革、格差を縮小させるためのあらゆる政策、必要な道路も建設できるようになる。かくして、刷った分のカネは国民の幸福を追求しながら、いつのまにか国民が返済することになり、政府債務のGDP比はどんどん縮小する。なぜ、このような政策に転換しないのか。
バーナンキ講演の原文(英文)は
日本金融学会のHP
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsme/
にPDFが貼ってある。
「政府支出で景気拡大は分かるが、モトになるカネはどうするのだ。増税して税収を上げるのが先ではないか」
という人がいた。
「増税は景気を余計冷え込ませるので、カネを日銀が印刷して、国民や政府に渡すのがよい」
と述べたら、そっぽを向かれたわけだが、カネを刷れというのは経済学ではよく知られた政策であり、現在の日本にとって最も的確な政策である。
たとえば、2003年の日本金融学会60周年記念大会の特別講演で米連邦準備制度理事会のバーナンキ理事(当時、いま理事長)が、明快に日本に金を刷れと提言している。
バーナンキ氏は講演の最後でこう述べている。
本日私は、財務省が日銀のバランス・シートの金利リスクを免除する代償(a quidpro quo)として、日銀が公債を買い増すという政策協調が、現下の日本のデフレを退治するのに有効な方法であるということを主張させていただきました。私のお話を終わるにあたり、冒頭に申し述べたことをもう一度繰り返したいと思います。すなわち、消費者物価のデフレを終息させることは、日本を本格的な回復軌道に戻すために必要なことの一部にしか過ぎない点です。金融改革と構造改革は決定的に重要であり、可及的速やかに、かつ大胆に、実行される必要があります。改革の重要性については反論の余地はありませんが、デフレは日本が直面する問題のマイナーな一部に過ぎない、という見解に私は同意できません。デフレ問題への取り組みは実質的にも心理的にも大きなメリットを日本経済にもたらし、デフレの終息は、日本が直面している他の問題の解決をその分容易にします。日本経済のみならず世界経済のためにも、私はこれらすべての面で、早期に進展が見られることを強く望むものであります。
さすがに学会の講演なので「カネを刷れ」という下品な言葉ではないが、同じことを「日銀が公債を買い増す」と明快にいっているのである。
刷ったカネを政府が財源として使うことのメリットは、新たな借金にならない=国民の負担増にならないことなどがある。もっとも、デフレを脱却しながら緩やかなインフレが起こり、国民はインフレという名前の一種の間接的な税を支払うことになる。
より一般的に言えば、日銀による公債の買い取りは、有利子負債を貨幣に置き換えることによって、国家財政上の経常収支の赤字幅と利払い負担を軽減し、将来の税負担についての国民の懸念を和らげることになるのです。勿論、ただで何かを得ることは決してできないのであって、財政の観点からは、このように国債のマネー化(訳者注:これはキーワードで、2つの要因がこれに込められている。すなわち、第1は、発行された国債が民間から日銀に買い取られること。第2は、その支払い代金は、日銀が創造するマネタリー・ベースから支払われ、マネタリー・ベースを増大させることであり、国債の貨幣化とも言われる。)を増加させるのは、単に物価上昇という1種の税で他の諸税を代替しているに過ぎないのです。しかし、デフレが蔓延している日本の場合には、ほんのわずかなプラスのインフレ(そして、それに伴う名目支出の増加)を起こすことは、経済回復の促進と遊休資源の再活用という目標の実現を助け、その結果、税収入を増やし、政府の財政状況を改善することになるのであります。
デフレ脱却のための財源は国民に負担をかけないカネを刷ることで得るべきであり、景気が拡大する中でインフレ(物価が上がり、給料も上がる。給料が上がると、物価も上がる。以下同じというスパイラル。現状は物価は上がるのに給料は増えないという最悪の状態)という名の税を広く薄く国民全部が支払う。また、景気がよくなることで累進税制が働き、政府の税収は飛躍的に拡大する。拡大した税収で医療改革や年金改革、格差を縮小させるためのあらゆる政策、必要な道路も建設できるようになる。かくして、刷った分のカネは国民の幸福を追求しながら、いつのまにか国民が返済することになり、政府債務のGDP比はどんどん縮小する。なぜ、このような政策に転換しないのか。
バーナンキ講演の原文(英文)は
日本金融学会のHP
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsme/
にPDFが貼ってある。
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