2009年06月22日
吉越税理士の景気回復理論
税理士の吉越勝之氏が財政赤字の原因は所得税率を低くし過ぎたからであるとの論証を自信自身のHPで詳細に行っている。
(1)クリントンと池田税制が高度経済成長大成功の要因
http://book.geocities.jp/yosikosi2001/
(2)税制改革による経済成長と財政再建への構造改革
http://www.geocities.jp/mirai200107/
(3)税制改革による強力な経済成長と財政再建
http://www.geocities.jp/mirai200107/betsu.htm
(23)に日米の最高税率と政府税収などの数値が出ているので、そのままグラフにした。
まず、日本の所得税最高税率と税収、失業率などのグラフが次のようになった。
吉越氏は富裕層にどんどんカネを貯め、それを使わずに投機などに回すため、バブルが起こると述べている。終戦後の吉田茂、池田勇人が高度経済成長を成し遂げたのは所得税率を最高75%としたからであった。
グラフを見ると、日本は高額所得者から当初75%の所得税を徴収し、その後60%に減税したが、この間、政府の税収は極めて順調に伸び、政府の債務もそれほど増えなかった。
ところが、最高税率を50%に下げると同時に消費税を導入して以来、税収はどんどん下がり政府債務も急増した。
吉越氏は消費こそ経済成長の原動力であり、消費に対して罰金のような税を取ることが根本的な間違いと断罪している(わたしもそう思うが)。
さらに、最高税率を低くしたおかげでカネがあまり、余ったカネが投機に向かいバブルとその後の不況を生んだという。これは全くその通りだと思う。
税率が高い頃は税金に取られるより、自分で使った方がよいという風潮で(それでも政府税収は毎年急拡大していた)、カネはどんどん消費にまわっていた。
しかし、税率が下がるとマネーゲームが始まったのだ。バブルの頃に自らも踊り、羽振りのよかった県内のある社長は「いまはカネがカネを生む経済になった。中小企業の勝ち目はないよ」というくらい、敗北感が強い。「自分で何とか生き抜くしかない」とぼやくが、実際にはマネーゲームを招く税制を政府がつくったのだ。
次にアメリカの税率と税収を見よう。
これを見ると世界恐慌の直前に最高税率が25%と大幅に下げられたことが一目瞭然だ。このとき余ったカネが投機に向かい、バブルが潰れて世界恐慌を引き起こしたと読める。
その後、アメリカは立ち直るが、なんと最高税率を90%まで高めて景気を回復させたのだった。ニューディール政策と戦争で景気が回復したと多くの経済学者が言っているが、最高税率を高めたことが景気回復の本当の要因であるといっている。
その後、アメリカは黄金の60年代を謳歌するが、その間の最高税率は90〜70%なのに、税収はどんどん増えた。
連邦政府負債が増え始め変調を来したのは80年代半ばくらいからだが、レーガン政権で最高税率が大幅に引き下げられ50%〜29%となった頃である。
巨額な財政赤字で米経済は低迷したが、クリントン大統領が登場して在任中の8年間で最高税率を39.6%まで上げたところ政府の負債はどんどん縮小してついに財政赤字をなくしてしまった。
その後のブッシュ大統領が再び最高税率を下げて世界同時不況を起こすことになる。
グラフには現れていないが、09年のオバマ大統領は所得税の累進性を強化し、最高税率を上げるといっている。
吉越理論の根底にあるのは、所得の低い庶民が右から左にどんどんカネを使うことで経済は成長する。
低所得者層は収入のすべてを消費することで(だからカネがたまらないのだが)、企業の原材料費や人件費、法人税まで負担しているのであり、政府や企業からしてみれば本当に金の卵である。その金の卵を痛めつけたのが最近の構造改革だった。金の卵に所得を再配分するような税制こそが正しい税制であり、それには消費税は廃止、所得税の累進性は強化すべきである。
実際に日本でもアメリカでもそのような税制が取られているときに黄金期を迎えていたのであり、その後の高所得者優遇策、市場原理主義が間違いであることを二つのグラフは明瞭に示している。
(1)クリントンと池田税制が高度経済成長大成功の要因
http://book.geocities.jp/yosikosi2001/
(2)税制改革による経済成長と財政再建への構造改革
http://www.geocities.jp/mirai200107/
(3)税制改革による強力な経済成長と財政再建
http://www.geocities.jp/mirai200107/betsu.htm
(
まず、日本の所得税最高税率と税収、失業率などのグラフが次のようになった。
吉越氏は富裕層にどんどんカネを貯め、それを使わずに投機などに回すため、バブルが起こると述べている。終戦後の吉田茂、池田勇人が高度経済成長を成し遂げたのは所得税率を最高75%としたからであった。
グラフを見ると、日本は高額所得者から当初75%の所得税を徴収し、その後60%に減税したが、この間、政府の税収は極めて順調に伸び、政府の債務もそれほど増えなかった。
ところが、最高税率を50%に下げると同時に消費税を導入して以来、税収はどんどん下がり政府債務も急増した。
吉越氏は消費こそ経済成長の原動力であり、消費に対して罰金のような税を取ることが根本的な間違いと断罪している(わたしもそう思うが)。
さらに、最高税率を低くしたおかげでカネがあまり、余ったカネが投機に向かいバブルとその後の不況を生んだという。これは全くその通りだと思う。
税率が高い頃は税金に取られるより、自分で使った方がよいという風潮で(それでも政府税収は毎年急拡大していた)、カネはどんどん消費にまわっていた。
しかし、税率が下がるとマネーゲームが始まったのだ。バブルの頃に自らも踊り、羽振りのよかった県内のある社長は「いまはカネがカネを生む経済になった。中小企業の勝ち目はないよ」というくらい、敗北感が強い。「自分で何とか生き抜くしかない」とぼやくが、実際にはマネーゲームを招く税制を政府がつくったのだ。
次にアメリカの税率と税収を見よう。
これを見ると世界恐慌の直前に最高税率が25%と大幅に下げられたことが一目瞭然だ。このとき余ったカネが投機に向かい、バブルが潰れて世界恐慌を引き起こしたと読める。
その後、アメリカは立ち直るが、なんと最高税率を90%まで高めて景気を回復させたのだった。ニューディール政策と戦争で景気が回復したと多くの経済学者が言っているが、最高税率を高めたことが景気回復の本当の要因であるといっている。
その後、アメリカは黄金の60年代を謳歌するが、その間の最高税率は90〜70%なのに、税収はどんどん増えた。
連邦政府負債が増え始め変調を来したのは80年代半ばくらいからだが、レーガン政権で最高税率が大幅に引き下げられ50%〜29%となった頃である。
巨額な財政赤字で米経済は低迷したが、クリントン大統領が登場して在任中の8年間で最高税率を39.6%まで上げたところ政府の負債はどんどん縮小してついに財政赤字をなくしてしまった。
その後のブッシュ大統領が再び最高税率を下げて世界同時不況を起こすことになる。
グラフには現れていないが、09年のオバマ大統領は所得税の累進性を強化し、最高税率を上げるといっている。
吉越理論の根底にあるのは、所得の低い庶民が右から左にどんどんカネを使うことで経済は成長する。
低所得者層は収入のすべてを消費することで(だからカネがたまらないのだが)、企業の原材料費や人件費、法人税まで負担しているのであり、政府や企業からしてみれば本当に金の卵である。その金の卵を痛めつけたのが最近の構造改革だった。金の卵に所得を再配分するような税制こそが正しい税制であり、それには消費税は廃止、所得税の累進性は強化すべきである。
実際に日本でもアメリカでもそのような税制が取られているときに黄金期を迎えていたのであり、その後の高所得者優遇策、市場原理主義が間違いであることを二つのグラフは明瞭に示している。
Posted by 渡久地明 at 21:07│Comments(4)
│デフレ脱却
この記事へのコメント
渡久地さまの図を使用した説明は非常に理解しやすく分かりやすい
と思います。 いつもいつもありがたく国家・国民・企業の繁栄のため
今後ともよろしくお願い申し上げます。 人間の営む経済活動は
「神の手にゆだねられているわけではなく」「人間の手にゆだねられているので」人間がしっかりコントロールさえすれば、必ず良くなるのは当然の事なのに何故専門家のエリートの、皆さまはわからないのでしょうか。
不思議です。
と思います。 いつもいつもありがたく国家・国民・企業の繁栄のため
今後ともよろしくお願い申し上げます。 人間の営む経済活動は
「神の手にゆだねられているわけではなく」「人間の手にゆだねられているので」人間がしっかりコントロールさえすれば、必ず良くなるのは当然の事なのに何故専門家のエリートの、皆さまはわからないのでしょうか。
不思議です。
Posted by 吉越勝之 at 2009年06月24日 15:05
吉越先生
分かりやすいですか。ありがとうございます。
>人間がしっかりコントロールさえすれば、必ず良くなるのは当然
本当に、何のために国会議員や官僚がいるのか分からない。台風が通り過ぎるのを待っている帆船の乗組員。地底に大量の石油があるのに地上で寒さをこらえてふるえている原始人と同じですね。なんで自分の手で状況を変えようとしないのか。やれば出来るのに。
分かりやすいですか。ありがとうございます。
>人間がしっかりコントロールさえすれば、必ず良くなるのは当然
本当に、何のために国会議員や官僚がいるのか分からない。台風が通り過ぎるのを待っている帆船の乗組員。地底に大量の石油があるのに地上で寒さをこらえてふるえている原始人と同じですね。なんで自分の手で状況を変えようとしないのか。やれば出来るのに。
Posted by 渡久地明 at 2009年06月24日 19:35
難しく考えるから景気が回復しないのかもしれませんね。
とりあえずお金を使ってみる事から始めるといいのではないでしょうか。
とりあえずお金を使ってみる事から始めるといいのではないでしょうか。
Posted by 税理士 at 2009年08月17日 17:37
吉越勝之氏はこのような発言をする資格無しです。
恥をしりなさい。
恥をしりなさい。
Posted by 西脇和代 at 2009年11月25日 21:51