アスベストでベーキング

渡久地明

2005年07月16日 22:46

連日アスベストが話題になっている。

わたしはあまりアスベストは使わなかったが、1970年代の学生のころ、ときどき仲間が使っていた。

アスベストは小学校の理科の時間に石綿金網として確かに使った記憶があるが、金網にしっかり固定されているから漆喰のようなものだと思っていた。

しかし、大学では厚さ7、8ミリ、幅5センチくらいのアスベストでできた包帯のようなものがあって、実験装置全体をニクロム線で捲いて、さらにアスベストの包帯を捲いて暖めるというような下準備が必要なケースがあった。

何でそんなコトしてるのだと聞くと「装置から空気や不純物をを閉め出すベーキングという作業じゃあ」ということだった。もちろん作業は素手でマスクなどしないでやっていた。

装置はテーブル一つ分くらいのもので、確か長さ1メートルくらいのガラス管と中に電極、それを真空にひくための真空ポンプがついていてポンプの手前くらいまでを暖めていたようだった。

アスベストぐるぐる巻きの装置は包帯を巻いたミイラのようであるが、そのアスベストは当時も一応危険であるといわれてはいた。しかし、あまり危険性を意識してなかった(私の場合)。粉が舞い散るようなこともなかった。実験室で使う分には発病するほどの量ではなかっただろう。この包帯状のアスベストを作っている工場で働いている人が大変だと思う。

報道されている発病の例から想像するとかなり大量に吸い込んでいたのだと思う。ひょっとしたら危険であるという認識も薄かったのではないか。

わたし自身は同僚の作業を見ていただけで、自分の実験装置でアスベストを使うことはなかった。

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