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2006年06月30日

与謝野大臣は小泉内閣に最もふさわしい経済音痴ぶりだ

今日の沖縄タイムス夕刊1面左肩
 
全国5月 消費者物価0.6%上昇 7カ月連続プラス

の記事中、

与謝野馨経済財政担当相は閣議後の記者会見で「デフレ、デフレと経文のように唱えていたことを、本当にこれからも唱え続けてもいいのか、というところまできたと思う」と述べ、デフレ脱却が視野に入っているとの認識を示した。

とあることから、与謝野さんというのはまるっきり経済音痴であることが分かる。

記事全体を朝日新聞から引用すると

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5月の消費者物価、7カ月連続上昇
2006年06月30日10時09分

 総務省が30日発表した5月の消費者物価は、変動が激しい生鮮食品を除いた全国の総合指数(00年=100)が98.5と、前年同月比0.6%上昇した。上昇は7カ月連続。上げ幅は前月の同0.5%から0.1ポイント拡大し、日本銀行がゼロ金利解除の前提とする「安定的な物価上昇」が確認された。ただ、ガソリン値上がりの影響も大きく、総務省は「消費者物価の動きは、年明け以降あまり大きく変わっていない」としている。

 5月はガソリンや灯油などの石油製品が同11.1%上がった。石油製品の物価指数全体の上昇への影響は4月は0.3%分だったが、5月は0.4%分に拡大した。家賃や宿泊料などにもやや値上がりの動きが見られるが、「石油製品の上昇圧力が他の製品、サービス価格を押し上げる動きは幅広くはなっていない」(総務省)という。

 生鮮食品に加え石油製品や電気代などのエネルギー関連も除いた米国式の総合指数は同0.1%上昇で、上昇幅は前月より0.1ポイント縮小した。

 同時に発表された東京都区部の6月中旬速報は、生鮮食品を除いた総合指数が97.3と前年同月比0.3%上昇。上昇幅は前月の同0.4%上昇から0.1ポイント縮小した。
 
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となっており、役所の言うことの方が大臣の言っていることより実態を反映しているだろう。つまり、オイルが上がったので物価が上がった。景気が悪いときの物価上昇であり、これはスタグフレーションといって、最悪の状態である。

朝日のサイトには、家計消費が減少を続けているという記事もある。

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5月の家計消費支出、5カ月連続の減少
2006年06月30日11時00分

 総務省が30日発表した5月の家計調査報告によると、農林漁業世帯を含む勤労者世帯(2人以上)の月平均消費支出は、1世帯当たり31万482円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.7%減少した。

 消費支出の実質減少は5カ月連続。ガソリン代高騰の影響などで自動車購入費を抑える動きが見られる。実収入は42万6680円と実質で同3.7%減った。減少は7カ月連続。
 
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朝日新聞の二つの記事から、

(1)家計消費、実収入は減少(2)消費者物価は上昇

であり、意味は、

価格が上がっているガソリンなど、どうしても必要なものは仕方なく買うが、それ以外はなるべく買わないということだろう。

5月のスーパー売上高*(−1.8%)、百貨店売上高*(−0.4%)、新車登録台数**(−7.8)、総取扱額国内旅行*(4月、−2.1%)はその証拠ではないか。

与謝野馨経済財政担当相は小泉内閣に最もふさわしい経済音痴大臣である。

*朝日新聞の経済データ一覧
http://www.asahi.com/business/data/index.html

**新車登録台数は自販連のホームページ
http://www.jada.or.jp/contents/data/type/index01.php  

Posted by 渡久地明 at 23:44Comments(0)デフレ脱却

2006年06月30日

リゾートウェディングの現状など

沖縄観光ニュースを更新した。沖縄ウェディングの調査は初めてのもの。満足度がかなり高く、件数もうなぎ登りだ。この他、RVパーク建設の準備が進行していることなど新たな動きがある。

OCVB 収益事業予算が倍増
RVパーク協が発足 健全な開発と振興目指す
沖縄ウェディング 需要伸び供給間に合わない
渡久地明コラム698 米軍撤退の象徴のVサイン

なお、HPは「観光とけいざい」発行の2、3カ月後に更新することにしている。また、航空搭乗実績は発表と同時にどこよりも早く速報する方針。  

Posted by 渡久地明 at 16:08Comments(0)沖縄観光の近況

2006年06月29日

人口300万人、次の知事の公約

稲嶺知事は今日、11月の選挙には出ないと引退を表明した。

誰が出てくるのか分からないが、次のような公約はどうか。

1.全国最低の県民所得を、4年間で全国平均に追いつく、県民所得拡大県政とする。

1.現在の失業率8%、失業者5万人を、4年以内に失業率1%以下、失業者1万人以下(自然失業率)にまで減らす。貧乏人は一人もいない県にする。

1.米軍再編は、朝鮮半島問題の解決に向けた海兵隊の沖縄からの撤退過程であると判断されることから、推進する。

(1)辺野古V字型滑走路は、海兵隊撤退の象徴であり、いずれ全面撤退するものと見越す。全面撤退後はリゾート空港としての活用を視野に入れ、それに配慮した造形とする。
 
(2)普天間と嘉手納以南の基地の閉鎖を推進し1500ヘクタールの土地の返還をスムースに行えるようにする。返還前の土地の浄化、基地内道路の開放などをすすめる。

(3)米空軍の撤退にも目途を付ける。嘉手納の全面返還交渉に着手する。
 
1.返還基地の再開発は、沖縄全体の再開発を構想し、これまで基地があるために思い通りにならなかった沖縄の生産性を高めるためのインフラ整備を行う。

1.必要なインフラ整備は大きく次の3点セットである。

(1)那覇空港の沖合展開(観光・リゾート、ビジネス利用の拡大)

(2)南北縦貫軌道の導入と沿線の再開発(車とそれに伴うオイル消費や排ガスの削減。運転する、渋滞に巻き込まれるという無駄な時間の削減と生まれた時間の有効活用)

(3)中継貿易立国のための大深度港湾とバックヤードの整備(物価の安定化、フリーポート)。

 なお、埋め立てが問題になっている沖縄市東海岸の土砂は那覇空港沖合展開予定海域や辺野古埋め立てに使えば一石二鳥ではないかと思うが…。また、これより細かいインフラも多数必要であるが、それらは別途示す(目的達成のため何でもやる)。
 
1.カジノは推進する。規模は大きくする。伊江島丸ごとカジノくらいがよい。本部町=伊江島間は海底トンネルか橋を架ける(両方でも良い)。

1.景気拡大派の有能な官僚及び官僚経験者100人を沖縄顧問団として招致。政府との折衝や交渉を徹底的に行う体制を整える。年報1億円を保証し、2年契約×2回とする。手法やノウハウは県庁などにも移転する。

また、日・米・中・台の有力な頭脳を招聘して500人規模の研究所を設立し、沖縄を軸とした外交・防衛・経済に関する自由な研究の場を提供する。1年契約で論文1本以上を義務付け、年俸をはずむ。アジアの安定をこの研究所からの提言・戦略で実現する。

これらによって、日本全体の方向性も示す。

1.以上が実現したら、次は、県民所得日本一を目指し、東京を上回るところに行く。沖縄の人口規模300万人を目指す。  

2006年06月26日

国の借金827兆円の債権者は誰か

ラヂオもりおかの
http://www.radiomorioka.co.jp/index_pc.html

増田俊男の本日の目からウロコ(月曜分

で、昨日のサンプロの国の借金827兆円を貸しているのは誰かという話があるので、聞いておいて欲しい(リアルプレーヤーの音声放送)。一週間は聞ける(来週月曜は更新される)。

(追記)

増田俊男氏の言っているのは

国の借金について解説して下さいという質問に対して、

昨日もサンプロで財部さんが、借金時計というのを財務省の入口にたてたら、危機感が出て引き締めになる、というようなことを言っていたが、面白いことを言うなあと、同時になんというバカな大ウソをよく言うよと。

こんなことを日本経済新聞もテレビ朝日といったマスコミが報道しているのだけれども、鵜呑みにしてはいけない。

国の借金827兆円は政府が債務者でしょ、じゃあ誰が政府に金を貸しているかというと、債権者は国民でしょ。国民からカネを借りている。それを借りている方と貸している方を一緒にして国の借金827兆円で国民一人当たり648万円というのはトリック。

国民一人当たり648万円かしているんですよ。それで借金が増えると利払いが増えると。少し頭がおかしいんじゃないですかね。

利子が増えたらそれを受け取る国民の受取利息が増えると言うことでしょう。

これがあるからいまや国民が持っている現金はいまや600兆円ですよ。国民の金融資産は1600兆円になって、世界一の金持ちなんです。

もう一つのばかげた話は借金してそのカネをどうしたかですよ。これはどぶに捨てているカネじゃないんです。必要な借金をしてどうしたかというと必要なもの、公共投資その他に使ったんです。それによって国の純資産が増えている。この20年間で借金の伸び率と純資産の増え方を見ると、6倍ですよ。600%も純資産が増えている。不思議な国ですね。ばかばかしくて話にならない。

(記憶に基づくもので、細かい点で表現は異なるが、だいたい上のような話)

その後、増田氏のHPに音声に加え文章も追加されている。(06年7月3日追記)

「国の借金最高827兆円、国民一人当たり648万円」の大嘘!(愉快な暴言、6月26日付)
http://chokugen.com/bomb/000_top.htm

それでも足りないと、さらに追加。

国の借金は少なすぎる(時事直言、7月3日付)
http://chokugen.com/opinion/backnumber/h18/jiji060703_364.htm
  

Posted by 渡久地明 at 13:50Comments(1)デフレ脱却

2006年06月25日

なんでサンプロは竹中平蔵を持ち上げるのか

本日のサンデープロジェクト、番組全体で竹中平蔵のオベンチャラ放送で、見るに耐えない。

口直しに、まともなエコノミストの発言を見る。植草一秀氏へのインタビューで04年2月27日に作成されたものだが、90年代からの不況の様子をよく説明している。

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(前略)

<過去の財政政策について>

【飯尾】:株価が生産水準を追いかけるのではなくて、株価の方が早いわけですか。

【植草】:そうです。先行指標です。そのような現象が現実に観測されるので、株価の変動をもって経済の変動の代理変数として見ると、90年代に株価が大きく値下がりして、その中で危機と呼ばれた局面が4回あります。1つは92年8月、2番目は93年11月末、それから95年7月と98年10月です。その4回の局面でどのように対応して流れを変えたかというと、92年の8月は宮沢政権が10.7兆円の景気対策を打ちました。それから、93年11月末のときは、最終的には94年の2月までずれますが、同じ時点から、実は所得税減税の先行実施などが浮上して、これを決めたのは94年の2月で、15兆2500億円の対策を決めています。それから95年の9月に、村山政権が14兆2200億円の対策を決めて、これに先立って、日銀は7月と9月に金利引き下げを行っています。98年の10月は、金融問題に対応して60兆円の金融支援策を固めて、翌11月には23.9兆円の景気対策を決めた。つまり、4回とも、ある程度の財政政策を中心にした政策対応が打ち出されました。財政需要によって、需要水準そのものを高めようという施策をとっています。

その後の市場の反応を見ると、4回とも株価が5000円から8000円上昇して、経済活動も一定の改善を見ているわけです。特に暦年の96年は、実質で3.4%の成長を実現した。株価は2万2600円まで上がりました。それから、2000年も日本の経済成長率は2.4%、株価も2万800円まで上昇した。ということで、非常に大きな成果を上げています。

ただ、それは結局長続きはしませんでした。そのことについて、人為的な景気対策は有効でないという話がしばしばなされますが、もう少し正確に実態を調べてみると、実は、事実と異なっています。というのは、93年の半ばに、株価は2万円を超えますが、これが崩れていきます。このときの要因というのは、記録的な冷夏が日本を襲って、夏の消費がものすごく落ちて、それ以外に、細川政権が生まれた年ですが、政策の空白が数カ月あって、政策が全く止まってしまいました。もう1つ、ゼネコン疑惑があって、公共事業の動きが止まった。それからクリントン政権が発足して円高が進行した。さまざまなことが重なって、腰折れしている。

94年の場合は、日銀が時期尚早の利上げの動きを本格化させて、世の中は利上げムード一色になった。これを背景に株が2万円を割り込んで、景気が悪化に転じます。そこに、95年に入って1月17日の地震とか、3月20日のサリン事件とか、3月、4月には円・ドルレートが1ドル80円を突破するとか、これが重なって、株価1万4485円まで急落していった。ですから、この2回のケースは、冷夏とか地震とかサリンというアクシデントにかなり左右されています。いずれにしても景気対策の効果が持続しなかったのではなくて、外的ショック、あるいは94年の場合には政策の間違った対応があって、悪化しただけです。

それから、3番目の96年ですが、株価は2万2600円まで上がっていました。ここに橋本政権が登場して、消費税の引き上げの方針を正式に閣議で決定したのが96年の6月25日です。株価は6月26日から下落を始める。結果、橋本政権は97年度に非常に強硬な緊縮政策をとっている。それで98年の10月まで2年3カ月で株価は1万円の暴落になった。つまり、橋本政権のあの緊縮政策がなかった場合、検証のしようはないのですが、なかったら多分全く事態は違っていた。超緊縮の政策がとられて、1万円の暴落になりました。

4番目は、2000年です。小渕政権の政策対応により、株価は2万円を突破し、経済成長率も2.8%を記録しました。しかし、2000年4月に小渕首相が倒れ、森政権に移行し、緊縮財政に政策が転換し、また日銀が金利引上げに動いた。翌2001年4月に小泉政権が発足し、緊縮路線を強化しました。株価は1万3000円も暴落しました。

長い説明になりましたが、要は、90年代に政策が景気浮揚策を方針として示して、それに見合う、ある程度の規模の政策を発動した局面では、4回とも株価の本格上昇と経済の流れの転換に成功しているんです。ところが、93年の場合には冷夏だったし、94年の場合には、日銀の政策にもよりますが、地震とかそういうのが一気に重なって崩れたし、96年とか2000年の場合には、基本的に政策の逆噴射によって壊してしまった。ですから、日本経済の低迷が長期化していることについて、積極的な経済政策は効果がなかったと説明する向きが非常に多いのですが、実体を詳細に調べるとそうではなくて、景気対策は効いたけれども、経済が軌道に乗った局面とか、軌道に乗る直前で政策の逆噴射、私は「負のケインズ政策」と呼んでいるんですけれども、そのような政策をとられたために、経済の改善というのは水泡に帰している。これが歴史の真実です。

(後略)

経済産業研究所
■第7回「日本経済の問題を需要不足にあると見て、財政出動を重視する選択肢」
植草一秀(野村総研→早稲田大学大学院教授)氏との対談
http://www.rieti.go.jp/users/iio-jun/discussion/07.html

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この部分は最近、亀井静香勝手連BBSで紹介されていて(わたしも未読だった)、ここまでの分析があれば、いつ株を買えばいいか良く分かるという書き込みがあったが、その通りだろう。

最近の企業業績の回復は構造改革とは無関係(郵便局を民営化したからといって景気が良くなるわけがない)、株価の回復が大きな原因の一つであることがよく分かるだろう。その上で短期には株価を回復させるのが最優先で、適切な財政出動を行えばよく、構造改革は中長期的な課題だ、と植草氏らは小泉首相登場前から述べていたのだった。

植草氏は今日の論説で、小泉改革で自殺者を多数出す一方、ある勢力が儲かった、と次のように推理している。

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(前略)

 小泉政権は、(りそな銀行の)最終局面で「破綻処理」でない「銀行救済」を選択したのである。最終局面で預金保険法の「抜け穴規定」を活用して「銀行救済」が選択されるなら、もとより株価が7607円まで暴落する必然性は存在しなかった。小泉政権は最終局面で「抜け穴規定」を活用することを、かなり早い段階から検討していたのだと考えられる。その意思決定には米国が深く関与したと見られる。

 小泉政権は「金融危機」なる「風説」を流布し、株式を「売りあおり」、最終局面で預金保険法102条の「抜け穴規定」を活用して「銀行救済」を実行し、株価の猛烈な上昇を誘導したと言っても過言ではないような行動をとったと判断することができる。国家ぐるみの「株価操縦」、「風説の流布」的行為の疑いは濃厚である。そしてこの方針を事前に入手した投資家が株式売買に動いたのなら、実質的な「インサイダー取引」が行われたことになるのだ。
 
(略)

 結局、小泉政権は「銀行救済」を選択したのだ。「自己責任原則貫徹」を放棄し、「金融システムの安定性確保」だけを求めることになった。このような「安易な道」を選択するのなら、それまでの大混乱は不必要だった。株価の暴落誘導の巻き添えを食らって塗炭の苦しみに直面した国民をどれほど生み出したことか。年間3万人を超える自殺者のかなりの部分がその犠牲者でもある。逆に外資系ファンドなどは、人為的な資産価格暴落による資産の底値買いにより巨大利得を獲得したと考えられる。小泉政権は資産価格暴落誘導と並行して、「対日直接投資倍増計画」を実行し、外国資本による日本資産取得に注力してきた。

(後略)

宮崎学責任編集「直言」UEKUSAレポートPlus
2006.06.25第10回「失われた5年−小泉政権・負の総決算(4)」
http://web.chokugen.jp/uekusa/2006/06/10_47b9.html

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小泉政権はクリーンな政治からは程遠い、非常にタチが悪い内閣であると、わたしは前から述べてきたが、改めて実相が透けて見える。蛇足だが、わたしは植草氏の手鏡事件は免罪だと判断している。植草氏がじゃまでじゃまで仕方がなかったのだ。  

Posted by 渡久地明 at 14:07Comments(0)デフレ脱却

2006年06月24日

大深度港湾のコンセプト

南北縦貫鉄道、那覇空港の沖合展開について、これまでの議論を振り返った。

しかし、最も重要なのはハブ港湾の建設である。これについては沖縄県貿易協会の崎原永広専務理事が明快なコンセプトを打ち出している。

かつて、つい20年ほど前までは、直接世界と渡り合っていた沖縄の貿易業者はどんどん少なくなり、大手商社が輸入を取って代わり、県内企業が仕入れるという形態が増えてきた。崎原さんのような主張は今後出てこなくなるかもしれない。しかし、大きな構想であり、将来にわたって有効であると思う。

簡単に要約すると、沖縄の港湾を構想するには、県産品の移輸出だけを想定しては貨物量が少なすぎて、ナンセンス(沖縄は貨物が出ないから大港湾は不要というのが、従来の政府のスタンスである)。しかし、沖縄沖を航行している国際標準コンテナ船が立ち寄れる大深度(水深15m)港湾を建設し、中継貿易を推進すれば、満杯状態となっているアジア各国の港湾の負担を減らすことができ、沖縄から各国の消費地に直接枝船を出すことによって、国際的な物流拠点となる。それによって、国内・近隣海外の輸送コストが削減可能だ。アジアの中の物流拠点としての港湾建設は国策として進めるべきである。沖縄には国際標準コンテナ船が寄港できる港湾がないため、米西海岸から沖縄への貨物は東京(韓国、台湾)で積み替えるため、東京までの運賃の2倍かか、物価を押し上げている。沖縄に移輸入される貨物の輸送料金も半分に落とせる。

長文だが、一部を引用すると、

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(前略)

ハブ港湾・ハブ空港が先決

 そこで、私の提案である。政府が、確実に沖縄のため、フーリートレードゾーン構想を推進するのであればまず、ハブ空港、ハブ港湾を基軸にフリートレードゾーン地帯を構築し、その地帯は現行の諸規制を完全撤廃し、自由地帯として発展させ、その成否をみて全県フリートレードゾーンに拡げる事がベターであると思う。

 資源の乏しい離島県である沖縄が、今後発展するためには地理的条件を活用する事が肝要であり、現在の国際化、スピード化、情報化時代において沖縄を中心とした一〇〇〇マイルから一二〇〇マイルの経済圏は世界に例のない大きなマーケットである事を自覚すべきである。

 その背後の大きなマーケットの人々への供給基地として、港に隣接して大倉庫群を建設し、沖縄を中心として枝船を出す事で、わが国の現在の陸上輸送のパンク状態を補完し、輸送コストの軽減に計り知れない貢献ができるものと確信している。

 太平洋、東支那海の深い海を擁する沖縄の港は、アセアン地域のどこの港より優れており、香港、シンガポールの港は大陸の大きなマーケットを背後に控えて海の輸送には便利だが、陸上輸送は交通渋滞のため満杯で、物流拠点としていま以上の役割を期待する事は無理である。

 港湾インフラは完璧だが、やはり陸上輸送には大いに支障を来している現状であり、これは日本本土の主要港である東京、横浜、名古屋、神戸その他の諸港においても例外ではない。

 ここで沖縄の特徴を発揮する場が生まれてくる。海上輸送で大量の品々を沖縄に受け入れ、これを小口海上輸送で本土の各地の港を始め、遠浅の中国沿岸地区及びアジア週辺地区の港へ運べば、それぞれの消費地に直送できる。海上輸送は一回に五〇〇〇トン以上も運べるが、陸上輸送は一回にせいぜい平均二〇トン程度で比較にならない。

 東京、横浜、神戸などは倉庫のスペースの問題または倉庫料が高すぎる、港湾インフラ整備、港頭地区は満杯状態であり、それに国内陸送はすべての面ですでに限界に達している。

 例えば、北海道や名古屋の製品を九州、四国、中国各地に陸送する事よりも、北海道、名古屋より、一括海上輸送で大量に沖縄に受け入れて、これを小口海上輸送に仕分けして九州、四国、中国各地の消費地に搬入する方が、物流コストも安くなり、陸上交通混雑の緩和にも役立つ事になる。
 
(後略)

《緊急提言》ハブ空港・ハブ港湾の早期実現と最近の全県FTZの動向について
http://www.sokuhou.co.jp/library/sakihara/sakihara.html

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港湾の話題は日常生活にほとんど出てこないため、このようなことを述べる人は非常に少ない。ぜひ、リンク先原文を一読されたい。  

2006年06月23日

テポドンなんか飛ぶもんか

日本の人工衛星も何度も打ち上げに失敗している。何十回も飛んでいるスペースシャトルチャレンジャーでさえ打ち上げに失敗することがあるのに、練習した気配もない北朝鮮のテポドンが飛ぶわけがないだろう、と思う。

思う、というだけでは根拠レスの無責任発言になるが、今日の沖縄タイムスにはこんなのがある。

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テポドン 程遠い「実用レベル」 核弾頭搭載なら脅威

北朝鮮が発射準備の動きを見せている長距離弾道ミサイル「テポドン2号」は、米アラスカ州にも届くとされ、日本は懸念を強めている。だが、軍事的有効性は核弾頭などを大気圏に再突入させ、目標地点に着弾させることができるかどうかにかかっている。専門家の間では「実用レベル」にはほど遠いとの見方が強い。(本文略)

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ま、火をつければ爆発して飛ぶかも知れないが、どこに落ちるか分からない花火のようなものだ。

この他、グーグルでテポドンと入れてみると、トホホのニュースだらけである。

★【テポドン2号】米前国防長官「発射基地を爆撃せよ」 朝鮮日報 - 10時間前

★テポドン準備そのままに…金総書記が訪露? 韓国紙報道 産経新聞 - 10時間前

★テポドン不安だけど…、いつもの海へ 県内漁業者「食べられない方が大変」 北國新聞 - 18時間前

★【テポドン2号】北、99年にも発射準備後に撤去 朝鮮日報 - 2006年6月21日

★北朝鮮ミサイル、99年は発射台に50日・韓国メディア報道 日本経済新聞 - 22時間前

★【テポドン2号】「北に人工衛星の技術はない」 朝鮮日報 - 2006年6月19日

★日本の技術で極秘製造か テポドン2号

 【ソウル20日共同】韓国紙、中央日報は20日、北朝鮮が発射準備を進めているとされる長距離弾道ミサイル「テポドン2号」が、日本の技術を使って平壌に近い南浦近郊の軍需工場で極秘に製造され、5月初めに咸鏡北道花台郡のミサイル発射台に移されたと報じた。

 情報筋などによると、ミサイルに使われた電子部品は平壌の半導体工場で生産。電子部品の大半は、日本の部品と技術を基につくられたという。

 移動は大型トレーラーで偽装工作をして行われたが、日米の衛星が追跡、発覚したとしている。

 韓国大手各紙は20日、韓国政府がミサイルを軍事用ではなく「人工衛星」と判断していると伝えた。朝鮮日報は、ミサイル発射が差し迫っているとの日米の報道は信頼できないと韓国政府が判断しているとも報じた。(2006年06月20日 10時53分)

★軍事評論家・惠谷治「テポドンは発射しても日本に落ちない」 BNN - 2006年6月20日

★【テポドン2号】悪天候で発射が遅延か ライブドア・ニュース - 2006年6月20日

(その他略)

軍事専門家の神浦元彰さんは

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今回の北朝鮮のミサイル発射準備の動きを、日本の諺(ことわざ)で何かないかと考えた。今朝、思いついたのは、「ヤブを突いて蛇を出す」である。北朝鮮としては軍事目的の弾道ミサイルの発射ではなく、平和目的の人工衛星の打ち上げ(あるいは準備段階だけも)で乗り切れると思った。何とかしてアメリカとの直接交渉を実現させ、アメリカの金融制裁を解除させたいと切望したのだ。これが動機で北朝鮮は「ヤブを突いた」ことになる。

 ところがアメリカは、北朝鮮がミサイル発射準備を始めた約1ヶ月前から動きを察知していながら、準備万端で北朝鮮の動きを注視し待ち構えた。そしてアメリカは北朝鮮が求めたヒル国務次官補の平壌訪問要請を無視をした。すると北朝鮮は組み立てたミサイル発射台でミテポドン2を組み立て始めた。これが北朝鮮が得意の瀬戸際外交である。

 この段階から、アメリカと日本は航空機(ミサイル発射監視偵察機)と艦船(ミサイル追跡艦やイージス艦)による監視を強め、メディアに北朝鮮がミサイル発射の準備を始めていることを公表した。その弾道ミサイルは新型のテポドン2で、アメリカに到達する可能性があるという説明も行った。この段階で「ヤブから蛇」が出てきたのである。それもこの蛇は1匹ではなかった。北朝鮮は「液体燃料の注入を完了した可能性がある」「注入完了を確認した」と、日米はガンガンと危機感を煽りだしたのである。

 さらに日本はもしミサイル発射が行われれば、”万景峰号の入港を止める”とか”日本からの送金を禁止する”という、北朝鮮として耐えられない経済制裁を行うことを宣言させてしまった。(日本政府は北朝鮮のミサイル発射に備え、万景峰号の入港禁止という手段を今まで温存させていた可能性もある)

 また、北朝鮮のミサイル発射は人工衛星の打ち上げであっても、弾道ミサイル(軍事目的)と同じ判断をするという日米が歩調を合わせた。北朝鮮にとってヤブの蛇は2〜3匹ではなかったのだ。日米当局は北朝鮮の弾道ミサイル発射は、99年の米朝のミサイル発射凍結、日朝平壌宣言(02年)のミサイル発射凍結、6カ国協議の共同宣言(05年9月)に違反する行為と、ガンガンと国際社会に北朝鮮の異常さを繰り返した。

 その結果、中国の外務大臣、ロシアのプーチン大統領が北朝鮮説得を約束し、国連の安保理では北朝鮮のミサイル発射の事前審議を行うという動きまで現れた。さらにオーストラリア、ニューランド、フランスなど北朝鮮と国交がある国までが、北朝鮮のミサイル発射に反対することを表明しただした。

 こうして北朝鮮の弾道ミサイル(人工衛星)打ちあげは、アメリカと日本の連携でねじ伏せられてしまった。すでに北朝鮮は6カ国協議への参加で”核兵器開発カード”は封印されている。今回のテポドン2騒動で北朝鮮は、弾道ミサイル発射(準備だけを含む)による威嚇も政治的に封じられることになった。

 もともと北朝鮮の弾道ミサイルでアメリカを威嚇することが無理だったのである。それが出来ると誤信して、ヤブの中にいた蛇を追い出してしまった。結果、北朝鮮は1枚しか残っていない手持ちの”弾道ミサイル発射カード”を失った。

 これが今回のテポドン2騒動に関する私の考え(分析)である。もしアメリカの情報機関が北朝鮮に罠を仕掛け、弾道ミサイルの発射を誘って行った謀略ならば、いつも私がいうところの挑発で”戦わずして勝つ”(孫子の兵法)のお手本となるだろう。

6月21日付 What's new?
http://www.kamiura.com/new.html

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と分析している。

北朝鮮は崩壊が近いと考えられていて、2008年の北京オリンピック前に北朝鮮問題は中国が引き金を引いて片付けるだろう、という見方があった。宜野湾市長が当選して5年以内に普天間基地を全面返還させると言っているが、偶然(?)08年が期限となっている。07年や08年に政変があると、残党によるテロなどでオリンピックにとばっちりがいく恐れもある。中国はそれは困るから、2年くらい前、つまり06年には北朝鮮問題を片づけるだろう。そのような動きがないので、北朝鮮は08年までは安泰かと思っていたのだが。わざわざ6カ国全部を敵に回してしまっている。その点が不思議である。別の目的があるのだろうか。本当にやぶ蛇で終わりなのだろうか。

こんな見方もある。9・11テロを予言した増田俊男さんは、北朝鮮はアメリカに協力してミサイル発射準備を仕掛けた、という。

============

(前略)

1998年8月31日、日本の三陸沖の上空をテポドン1号が通過したが、実はアメリカの国益に大きく貢献した。当時小渕内閣は8月26日の閣議で、日米台で推進するTMD(戦略ミサイル防衛)基地選定のための調査費9億8千万円の拠出を却下した。中国との関係(承認すれば中国は猛反対する)を考慮したからである。TMD構築には総額5兆円に及ぶ大防衛予算を要する。アメリカは日本が調査費を却下したことはアメリカの最重要軍事戦略TMDに日本が乗ってこないものと受け止めた。私も当時米国の主要新聞で「日本、TMD脱退か?」の見出し記事を見た。アメリカにしてみると「TMDなしに対中軍事戦略なし」である。

北朝鮮はこうしたタイミングを逃さず、閣議の5日後テポドンを日本に向けて発射したのである。日本は大騒ぎになり、(今日のように)アメリカに情報を求めた。するとアメリカは「北朝鮮は日本に向けて軍事ミサイルを発射した」と報告すると同時に、TMD調査費を閣議で否認したことに遺憾の意を表した。あわてた小渕首相は9月2日の閣議で調査費を了承すると、アメリカは「あれは軍事衛星ではなく人工衛星の実験らしい」と言って来たのである。

米軍再編成の一環で国内外の米軍施設の統廃合費用でアメリカは日本に数兆円の負担を要求しているが、日本はなかなか応じない。今後TMDの5兆円の負担問題も目前である。北朝鮮の脅威に晒されていながら無感覚の平和ボケ日本に何が必要か、またアメリカの対日予算請求をスムーズに通すにはどうしたらいいのか?北朝鮮がアメリカの国益に資する最善の戦略、それが今回のテポドン2号発射である。アメリカにしてみれば対北金融制裁の効果がでてきたことなのだ。

増田俊男時事直言
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h18/jiji060620_362.htm

============

このような使い方ができる北朝鮮ならアメリカは湾岸戦争とイラク戦争でフセインを2度使ったように、今後も使い道がある限り生かしておこうと考える可能性はある。日本に対して中国の脅威を煽って北朝鮮のようには使えない。

このような情報戦のまっただ中に沖縄基地の再編があった。改めて海兵隊の沖縄撤退にカッコを付けるためのV字型滑走路、ロードマップであり、日本にカネを出させてグアム基地を最新鋭化するゲームだったと考えた方が真相に近いのではないか。

(そのような証拠がないか、日米の関係者に酒をのませて白状させてみたいところだ。)  

Posted by 渡久地明 at 23:34Comments(3)返還基地の跡利用

2006年06月20日

那覇空港の沖合展開のゴーサイン時期

南北縦貫鉄道に並んで沖縄振興策として検討されている那覇空港沖合展開については、第8次空整で決定かと思われていたが、「供用中の空港は全国で94、最寄空港へのアクセス60分圏内の人口カバー率は約75%、同120分圏内では約97%となっており、これに事業実施中の空港を加えれば、国内航空ネットワークを支える空港の配置は離島を除き概成したと言えるのではないか」
(今後の空港及び航空保安施設の整備に関する方策について答申、交通政策審議会航空分科会
平成14年(02年)12月6日)
http://www.mlit.go.jp/singikai/koutusin/koku/toushin.pdf

として、8次空整そのものがなくなった。

答申では今後は関空と羽田、成田の整備(離島も)を中心に行うこととし、沖縄と福岡については

「地域拠点空港のうち主要地域拠点空港(福岡、新千歳、那覇)については、路線展開と利用の状況などから、国内航空ネットワークの地域拠点として大都市圏拠点空港に次ぐ重要な役割を果たしている。これらの空港のうち、将来的に需給が逼迫する等の事態が予想される福岡空港及び那覇空港については、将来にわたって国内外航空ネットワークにおける拠点性を発揮しうるよう、各圏域における今後の航空需要の動向等を勘案しつつ、既存ストックの有効活用方策、近隣空港との連携方策とともに中長期的な観点からの新空港、滑走路増設等を含めた抜本的な空港能力向上方策等について、幅広い合意形成を図りつつ、国と地域が連携し、総合的な調査を進める必要がある
(同)

としている。新空港とは福岡を想定しており、滑走路増設とは那覇のことだ。福岡空港は滑走路を増設する余裕は現在の空港にはなく、海上を埋め立てて新空港の展開を地元は求めている。那覇空港は従来から沖合いの増設を求めている。

この二つの空港は滑走路が1本しかなく、一本の滑走路の空港として発着回数は国内1位と2位である。

那覇については国土交通省・内閣府沖縄総合事務局・沖縄県が

那覇空港調査連絡調整会議
http://www.pref.okinawa.jp/nahakuukou/

を設けて昨年度から3年計画で調査を進めており、3年目の来年度には結論を出す運びだった。米軍再編の影響よりも、従来から増設が想定されており、予定通りゴーサインが出る、ということになるのではないか。ゴーサインの時期がひょっとしたら今年度に早まるかも知れない、という状態だと思う。ちなみに、ゴーサインが出ると沖縄観光は1000万人超を政府が想定したと言うことになり、一層のホテル建設計画が出てくると思われる。それによってさらに観光産業は成長するという良い循環が生まれると考えられる。

一方、国内航空各社はジャンボの引退を進めており、08年から順次300席前後の

B787
http://ja.wikipedia.org/wiki/B787

を導入、世代交代させる。787は燃費・席数など最も効率の良いサイズと考えられている。ジャンボで500人前後を一度に輸送するより、200人から300人を何度も輸送する方がコストが下がり、効率も良くなるという。便数が増えた方が利用者も便利である。

一本の滑走路だと輸送能力を高めるにはジャンボを使うしかないが、すでにJAL、ANAはジャンボの退役を決めており、輸送力は発着頻度で勝負するようになる。この時、沖縄と福岡の滑走路が1本のままだと両空港のためだけに非効率なジャンボを運用しなければならない。ジャンボが完全に引退して滑走路が増えなければ、両地域は席が取れずに空港利用者数が伸びず、成長が阻害され、不便な地域となることが予想される。  

Posted by 渡久地明 at 20:38Comments(0)返還基地の跡利用

2006年06月18日

南北縦貫鉄道の検討

政府は辺野古沖V字型滑走路建設など米軍再編の引き換えに南北縦貫鉄道、那覇空港新滑走路、港湾、その他道路などを検討している。昨年12月30日の読売新聞に、次のような記事があった。(読売の無料サイトからはすでに削除されているが、2ちゃんねるにコピペがあったので転載)

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【沖縄】普天間移設の新振興策、那覇—名護間60kmに鉄道建設を検討[12/29]

1:依頼159@試されるだいちっちφ★:2005/12/30(金)12:00:15ID:???0
★普天間移設の新振興策、那覇—名護に鉄道を検討

 政府・与党は29日、米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設について、地元の理解を得るため、同県北部の新たな振興策を策定する方針を固めた。
 目玉事業として、名護市と那覇市とを結ぶ鉄道の建設、那覇空港への新滑走路建設などの交通基盤整備計画を検討している。在日米軍再編の最終報告が来春策定された後、新振興策をまとめる考えだ。
 日米両国は1996年、普天間移設を決定。政府は代替施設を辺野古沖(名護市)に軍民共用空港として建設することとし、2000年度から10年間、年100億円規模の北部振興策を実施する予定だった。
 しかし、辺野古沖への移設が頓挫し、10月の在日米軍再編中間報告で、移設地がキャンプ・シュワブ沿岸部に変更されたため、政府・与党は新振興策を検討することにした。軍民共用空港の計画も白紙となったことから、鉄道計画はその代替手段の意味を持つ。
 沖縄県では、那覇市にモノレールがあるが、鉄道はない。那覇市から約60キロ・メートル離れた名護市を訪れる観光客はタクシーなどを利用している。政府・与党は鉄道建設で北部への観光客を増やし、沖縄市などに駅を設置して沿線の利便性向上を目指す。06年度にも、調査に着手したい考えだ。
 一方、那覇空港への滑走路新設は、県が以前から求めていた。同空港は大型旅客機が離着陸できる3000メートル級の滑走路1本を持つが、自衛隊との共用で、04年は総着陸回数約5万7000回の約2割を自衛隊機が占めた。自衛隊機のトラブルで滑走路が閉鎖されることも少なくない。
 このほか、新振興策には、道路整備、情報通信機能強化、港湾などの海上交通機能整備なども盛り込まれ、全体では数千億円の規模となる見通しだ。

(2005年12月30日3時4分読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051230i101.htm

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この記事で南北縦貫鉄道について大きく取り上げられたのに対し、あまり地元では盛り上がりがないように見える。ただし、南北縦貫鉄道については古くから議論が盛んである。復帰時には那覇=名護間の鉄道を政府に要求しようという案があったが、建設費が500億円もかかるので(!)、(びびって)見送ったという経験がある(03年、ゆいレール湖城社長の就任パーティーで牧野副知事の挨拶)そうだ。「あの当時つくっておけば良かった」と牧野氏は述懐しておられる。

南北縦貫鉄道について、わたしも主張したことがある。その元になったのは4年前の知事選で吉元政矩・元副知事が公約として南北縦貫鉄道を挙げたことがある。鉄道などは採算がとれないのではないかと漠然と考えていたが、採算はとれるとする県の報告書もあるといい(手元にないが)、ルートもトンネルや橋を駆使して用地取得はそれほど難しくはないということだった。費用は5000億円前後を見込んでいたと記憶している。

経営が成り立つという計算があるならやるべきだ。そこで、普天間の返還が早まりそうな気配となった04年、

《緊急提言》 目の前に来た普天間返還 沖縄全体の再開発考えるべき(渡久地 明、04年3月13日)
http://www.sokuhou.co.jp/library/futenma04.html

という主張を行い、その中で南北縦貫鉄道を建設すべきだと述べた(セットで那覇空港沖合展開、大深度港湾の建設も)。この記事は吉元氏がご自身のHPに転載しておられる。

沖縄県は南北縦貫鉄道について、どんな考えを持っているだろうか。県議会では高嶺善伸さんが熱心で、平成12年(00年)第4回沖縄県議会(定例会)に次のようなやり取りがある。

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 次に、総合交通体系についてであります。
 (1)、沖縄南北縦貫鉄道導入について。
 戦前走っていた軽便鉄道が戦争で破壊され復活されずに今日に至っており、本土復帰後県議会の決議も含めて全県的な鉄道建設運動がありましたが、当時の国鉄再建問題で立ち消えになっています。ことしになって沖縄南北縦貫鉄道を実現する会のNPO活動が発端となり、定時・定速で本島北部と南部を結び地域間格差をなくそうという沖縄鉄軌道導入問題が盛り上がっており、県議会でも超党派で沖縄県議会鉄軌道導入促進議員連盟がスタートし、沖縄県市議会議長会、沖縄県市長会の決議がなされ、知事にも要請がなされていると思います。
 日本鉄道建設公団も既に沖縄鉄道建設を前提とした条件整備に着手したと伺っており、鉄道の恩恵を受けてこなかった沖縄に国策として鉄道を建設する千載一遇のチャンスと言われております。現在行われている沖縄県総合交通体系の見直しの過程で鉄道導入の文言を入れるかどうか、注目されています。
 そこでお聞きします。
 ア、知事は、沖縄に南北縦貫鉄道を導入することについて率直にどのような認識を持っておられるか。盛り上がっている県民世論に対してどのように感じておられるか。
 イ、鉄軌道導入可能性調査の結果、どの時期にどのような組織で評価するか。新たな沖縄総合交通体系基本計画に含めるかどうか、どのようなプロセスで決まるのか、そしてその時期はいつか。
 ウ、知事は、これまで国に対して鉄道導入について公式、非公式を問わず打診協議したことはないか。今後、新法、新計画政府要望に対する県案として協議する考えはないか。
 エ、昭和56年9月に策定された沖縄県総合交通体系基本計画で、「北部圏の成長と都市機能の成熟が広域的展開を必要とする段階で検討すること」になっているが、ポスト3次振計で検討してはどうか。

(略)

(これに対する知事答弁)

 次に、総合交通体系について、知事は、南北縦貫鉄道導入について率直にどのような認識を持っているか、また盛り上がる県民世論についてどのような認識を持っているかについてお答えいたします。
 沖縄本島に鉄軌道の導入を求める「NPO・沖縄南北縦貫鉄道を実現する会」や沖縄県議会鉄軌道導入促進議員連盟の設立など県民世論の高まりは公共交通の利便性の向上、都市交通問題の解決、高齢化社会の到来や環境問題への対応など、21世紀における本県を支える基盤整備の必要性や豊かな地域社会形成への期待のあらわれであると認識しているところであります。
 南北縦貫鉄道の導入につきましては、交通需要や採算性など検討すべき課題が多岐にわたることから、県としましては、今回「総合交通体系基本計画」の見直しに当たっての基礎的な資料を得るための鉄軌道導入可能性基礎調査を行っており、引き続き検討していくべき課題と考えております。

沖縄県議会議員 高嶺善伸のホームページ
http://www5.ocn.ne.jp/~zensin/no4gikai.htm

================

この答弁のあとに出た、肝心の沖縄県の計画(14年(02年)3月の「沖縄県総合交通体系基本計画」)を見ると、南北縦貫鉄道という言葉は使っていないが、沖縄本島の骨格的な公共交通システムの検討として、軌道系交通システムの導入を挙げている。

================

1)本島県土軸の形成
①多様な活動や交流を支援・促進する骨格幹線交通網の拡充
那覇、沖縄、名護、普天間等の拠点都市の相互連携・補完による拠点機能の向上、拠点都市と他地域間の連携強化、及び地域間の交流促進、並びに基地跡地利用を含めた新たな拠点都市の戦略的誘導に向け、モビリティの高い幹線交通網の整備、拡充等を展開し、本島の県土軸を形成する。
a)本島のラダー型骨格道路網の整備・那覇空港自動車道、名護東道路、沖縄西海岸道路、那覇インターアクセス道路、南部東道路、国道329号沖縄バイパス、国道331号、中部縦貫道路、中部横断道路、宜野湾横断道路(仮称)等の整備推進
b)本島の骨格的な公共交通システムの検討
・軌道系交通システムの検討や基幹バスシステム等の導入促進
・沖縄自動車道等を活用した高速バスの拡充

総合交通体系基本計画、第4章戦略的に推進する施策体系、3産業・物流活動の支援、(3)施策の内容(PDFの9ページ)
http://www.pref.okinawa.jp/koutsuu/pdf/04.pdf

=================

検討時期については、中長期的な取り組み(概ね2012年以降)としているが、これが南北縦貫鉄道に当たるものとなるだろう。また、02年から11年までの沖縄振興計画には、

「さらに、軌道系を含む交通システムについて調査、検討する。」(第3章 振興施策の展開、7 持続的発展を支える基盤づくり、(1) 交通体系の整備、ウ 陸上交通)
http://www8.cao.go.jp/okinawa/3/32.html#3-7-1

とあり、一応視野に入れているが、新振計期間中は「検討する」だけにとどめている。02年当時は時期尚早と見られ、10年以内に検討としたかも知れない。

しかし、この計画が出た時期といまと異なるのは、米軍再編で嘉手納以南の基地が2014年には返還されるという明快なロードマップを日米が合意したことだ。02年当時、嘉手納以南の米軍基地返還と絡めて鉄道を検討する状況にはなかったと思う。しかし、いまはある。検討時期を早め、新たな沖縄振興策とすることは十分考えられる。

ちなみにわたしも最近「国土交通省はランニングコストがとれるなら着工しても良いという考えだ」といううわさを県庁で聞いている。

ゆいレールが大方の予想に反して当初目標の乗客数をクリアしている。これは県民の利用に加え、観光客の好調な伸びに支えられた結果だと思われる。那覇空港の沖合い展開と合わせて、観光客数を2018年頃に1000万人と計画するなら、南北縦貫鉄道もランニングコストを取れるように計画する方法があると思われる。返還軍用地の再開発にとっても鉄道は有効だと思う。

冒頭の読売報道の後追いが県内では見当たらない。あまり盛り上がっていないのは事実で、これはV字型滑走路建設の見返り、という条件付きになるのを県民が嫌っているからだと思われる。手放しで歓迎しにくい雰囲気が確かにある。米軍は実際には撤退であることが県民世論に織り込めるなら、話は早く進むと思うが。アジアが安定することを前提に、すぐにでも着工可能な検討や研究に取り組んでおいて損はないと思われる。  

Posted by 渡久地明 at 16:08Comments(1)返還基地の跡利用

2006年06月17日

日銀総裁が1000万円で疑念?

中央銀行総裁が金融政策の変更を利用して、1000万円を増やそうなんて考えるわけがないだろうとおもう。

福井総裁が量的緩和解除の直前に村上ファンドの出資金1000万円を解約したというのはインサイダーなんかにはならない。ばかばかしい。

しかし、世論は圧倒的に日銀総裁はずるい、というものだ。表向き1000万円の出資で、実際には水面下で百億円単位で利殖をしていたというなら、分かるが。

日銀の量的緩和解除で世界同時株安のキッカケになったというのは説得力があり、本当だろう。3月の決定は間違った政策だと思う。オイルの値上がりで消費者物価指数がチョビット上がったから、金利を上げる(準備のために量的緩和解除)なんて、間違いだ。早くこんな総裁は取り替えた方がよいが、村上ファンドへの1000万円でクビとなっては、政策の間違いは不問ということにしかならない。政策の間違いは今後もいくらでもくり返されるということにしかならない。福井総裁が任期途中でやめさせるなら、政策が間違ったからであると、ちゃんと分かるようにすべきだ。  

Posted by 渡久地明 at 23:51Comments(0)デフレ脱却

2006年06月10日

2006年06月08日

お客と主役と俳優学校

 アクターズスクール、沖縄タレントアカデミーで数々のタレントを育てた小澤公平さんにあったら(仲間由紀恵さんを指導した)、俳優になるための教育は、誰にでも必要なのではないかと思った。
 
 自分が主役であることを子供たちにたたきこむのだが、何かをスパルタ式にやっているというわけではなかった。
 
 自分がカメラの前でどのように演技をするか、相手から好感を持たれるような仕種とか視線をどう身につけるかということなのだそうだ。
 
 それらはテクニックである。しかし、演技は真心がなければできない。それが自然に出てくるようになれば、もう教えることはだいたい教えたと言うことになる。
 
 だれでも真心はあるのに、それを表現する演技を身につけていない。それを教える。同時に考えさせる。セリフを忘れたときにどうアドリブを出していくかが大切だ。それを考えさせる。
 
 歌舞伎などで戦場のシーンで、セリフを忘れたら、その場で死ぬんだそうだ。するとまわりの役者が駆けつけて、そばで死に際の言葉を聞いたフリをして、役を変わってセリフを続け、まるで予定通りのように舞台を回す、という実例がいくつも出てくる。
 
 ラグナガーデンホテルでの授業風景を見学したのだが、面白い。それで学生(ホテルマン)はみるみる進化するそうだ。

 ラグナでいま大きな成果が出始めている。従来の観光業界の人材育成講座、接遇セミナーとはまったく質や次元の異なる、ひょっとしたら究極の人材育成手法かも知れない。大手チェーンのホテルマニュアルにもこのような記述はないという。
 
 「ホテルだけでなく、あらゆる場面でこれが応用されたら面白いよね」というとラグナの担当者も同意して「広まるといいですね」と応じた。
 
 わたし自身は20年くらい前、いまのホテルシティコートができるときに石塚さんという総支配人をインタビューしたときに、
 
 「お客も、お茶を出してもらったら、相手の目をちゃんと見て笑顔でありがとうと言うべきですよ」
 
 といわれたのが非常に印象に残っている。日本人でこういうことをする人は意外と少ない。しかしわたしは、それ以来、世界中で実験してきた。するとアメリカでも中国でも、非常に効果があるのだ。世界中で必ず笑顔が返ってくる。
 
 中国の観光地は女の子がぶっきらぼうだ、という話があるが、わたしの場合、そのような経験はほとんどない。調子に乗りすぎる場合もあるのだが、たいてい許してもらっているようだ。日常の取材でもなるべくそのようにしている。(単なるおっさんだったりして)
 
 「そのようなことか」と小澤さんに聞いたら「その通り」だそうだ。それをさまざまな場面で応用していくのが、俳優スクールなのだそうだ。わたしはダンスや歌を猛烈にに特訓しているのかと思っていたが、それは間違いだった。
 
 「それなら沖縄の青少年、みーんな俳優の勉強したら、随分世の中楽しくなりますね」というところで意見は一致して、面白かった。
 
 「ナカイ君がホテルのベルボーイの役を演じて、主人公になるドラマが作れるでしょう。ホテルマンやホテルウーマンは映画の主役。カメラの代わりにお客さんの目があるだけ。プロとしてお客を喜ばせておカネを取る。そのための演技を身につける。ホテルマンも俳優と同じです」
 
 おや、自分の新聞のネタを先にここでばらしてしまったー。読まなかったことにしてね。  

2006年06月06日

5月は2.0%増

5月の航空各社の県外=沖縄線実績は全線(上下あわせて)で2.0%増と低い伸びになった。JAL、JTAが好調だが、ANAが前年をやや割り込んでいる。

6月上旬に出そうと思っていた年間565万人の「当確」は8月の結果がでるまで先延ばしにする。4月入り後、勢いが弱くなってきている。JALが席数を大幅に拡大しているのに対し、ANAは席数を絞って利用率を上げる戦術と見られる。この調子だと年間では570万人程度となりそう。580万人が見えたところで当確を出す予定だったが、580万人は下回りそうだ。

ホテル各社の予約状況から6月も2%前後の低い伸びが予想される。7月は3から5%の伸びになりそう。  

Posted by 渡久地明 at 13:58Comments(0)沖縄観光の近況

2006年06月04日

同窓会、楽しかった

昨日、1973年卒業の小禄中学校の同窓会がパシフィックホテル沖縄であった。

幹事の方々が骨をおってくれたおかげで、145人が参加して盛会だった。

事務所の近くにすむK君が一緒にタクシーに乗っていこうというので、誘われるまま出掛けた。

いろんなことを忘れていて、というか当時のクラスの様子がまったく記憶になく、クラス別に受付るのだが、自分が何組だったか覚えていなかった。

すると、受付のきれいな女性スタッフ(同級生だから知っている人たちなのだが、これもまったく記憶がなく、というか女性の場合は相当に変わっているので分からない)が、アルバムのコピーの中から自分が何組にいるのか探すようにという。

ところがこれがまた大変で、自分がどれだか分からないのだ。写真説明に名前があったので、やっと3年10組だったことが分かり、サインをしたら、一緒に来たK君が同じ10組でとっくに会場に入っていた。K君は昔、学校でよく話したが、同じクラスだったとは全然認識してなかった。

会場はクラス毎に丸テーブルがあり、壁に組別の卒業写真が引き延ばして貼ってある。その中にわたしもいるのだが、やっぱりどれがわたしだか分からない。

何人かが集まってこれがおまえだというので、そうかと思う始末だった。

「覚えているか」「誰だっけ」「○×だよ」と名前を聞いても分からないので、その写真の前に行って、これだよ、と指さして、おおそうか、と確認しあうのだった。

自分のことはよく覚えているつもりだったが、わたしが知らないわたしの話がたくさんあって、ビックリの連続だった。そのうち思い出すだろうと思いながら、久々にものすごく楽しい酒をのんだ。  

2006年06月02日

天姫ドットコム・メールマガジンへの寄稿記事

本日配送された「天妃ドットコム・メールマガジン」のわたしの記事。



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       天妃ドットコム・メールマガジン-0602(No.241)
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       ●●米軍撤退で日本が果たす役割-渡久地明●●

 日米2+2のロードマップが5月1日公表され、沖縄の第3海兵遠征軍の
グアム撤退が2014年を目標にすることなどが決まった。これには辺野古
の新飛行場建設、グアムの再開発などの条件がつき、嘉手納以南の米軍基地
の返還がパッケージで行われることになっている。

 報道がこと細かくなるにつれて、全体像は分かりにくくなるなるものだ。

 しかし原点は、「アジアが安定すれば、沖縄米軍は撤退する」という単純
なものだ。そして、アジアの安定とは北朝鮮問題であり、平和的に解決する
だろうという見通しから、沖縄米軍は必要がなくなってきたのだ。平和的と
いうのは、北朝鮮は大規模な戦闘を行うことができなくなっており、朝鮮半
島有事に備えた米軍は「戦わずして勝つ」という状態になったということだ。

 ところが、それを日米両政府とも面と向かって国民に説明していない。と
いうか、北朝鮮の体制は変更せざるを得ないと日米の多くの軍事専門家が見
通している反面、政府がそういうわけにはいかない。おかげで米軍再編の目
的が分かりにくくなっている。本質は昨年の2+2合意に明記してあるよう
に、第3海兵遠征軍のグアム移転=沖縄撤退である。

 もともとSACOで、撤去可能で海上に浮かべるイカダのような施設でい
いといっていた飛行場を、日本政府が陸上と浅瀬を埋め立てて、より強固な
V字型滑走路にすると約束したので、米側はこれ幸い。いつでも使える基地
を沖縄に置いたまま、本体はグアムに撤退させるが、プレゼンス(存在感)
は維持できるようになった。日本に何を出させるか、米側はゲームと見てい
た。まんまとはまったのは日本政府の方である。そのツケが名護市と沖縄県
に回ってきている。
 
 米軍再編はアメリカが沖縄撤退の意図を隠すためのゲームであると認識し
た上で(代替施設無しの普天間返還、撤去可能な海上基地、辺野古埋め立て
の3つのカードの内、日本政府は最悪のカードを引いてしまった)、沖縄は
結果を活用してはどうか、というのがわたしの主張である。嘉手納以南の基
地閉鎖で沖縄全体の投資効率を高めるための再開発を計画しようとこれまで
に述べてきた。
 
 この主張を責任あるものにするには(より困難な道かも知れないが)、アジ
アの安定に日本が積極的な役割を果たすことである。北朝鮮問題は近く解決
するとして、次の脅威とされる中台紛争は、日本(沖縄)が間に立ってやめ
させるという具体的な目標ができる。それによって、日本は憲法前文にある
ように世界平和を実現し、国際的な尊敬を集めることができるようになる。
ありもしない北朝鮮の弾道ミサイルや中国脅威論に煽られてはいけない。

 「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理
想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専
制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会に
おいて、名誉ある地位を占めたいと思ふ」(憲法前文)
 
 何度読んでも感動するが、これを本当に実現する政府を持ちたいと思う。

とぐちあきら。沖縄観光速報社編集長・工学修士。

★★★★★(@^0^@)まさたんが行く-「ニーズのくい違い」★★★★
(まさたんは、吉元政矩代表の愛称です)

 梅雨空が続いているが、まさたんの周りはいたって明るい。それもそのは
ず。なんせ、まさたん髪様の後光が照り輝いているのだから。この後光、ま
ぶしいくらいに明るいものの、暑くならないし紫外線も含んでないので、特
に女性に人気だ。まさたんが女性にモテる一因にはこれがある。しかし、当
の本人は砂漠化が進む頭髪に恵みの雨がほしいところかも? このニーズの
くい違いはいかんともしがたい・・・。

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編集:天妃ドットコム・メールマガジン編集局、発行:沖縄21戦略フォー
ラム(毎金曜日配信)〒902-0078沖縄県那覇市識名3-15-13
TEL 098-831-8999 E-mail oki21sf@m1.cosmos.ne.jp
ホームページ http://www.tenpi21.com/ 掲示板へご意見、ご感想など
お寄せください。吉元政矩代表の社会や時代を読み解く「今週のコラム」も
好評連載中です。
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Posted by 渡久地明 at 22:58Comments(0)返還基地の跡利用

2006年06月01日

沖縄の行政投資は意外と少ない

 米軍再編で沖縄には空前の行政投資が行われることになる。
 
 それについて、これまで沖縄は優遇しすぎ、という的外れな批判がある。沖縄がもし優遇されているとするなら、一人当たりの行政投資額は全国平均(24万7565円)の2倍とか、都道府県別でぶっちぎりのトップといったような状態のはずだ。
 
 ところが実際には、行政投資額は03年実績で総額31兆5941億円、沖縄県は4920億円(23位)。県民一人当たりトップは島根県の56万0678円(指数226、全国平均を100とする)、2位が鳥取県45万3197円(指数183)、3位が秋田県43万3771円(175)。以下、高知、福井、山梨、石川、北海道、徳島と続き、10位に
 
 沖縄県36万4875円(147)
 
 である。
 
 総務省HPに昨日UPされた<「平成15年度行政投資実績」の公表>参照。(http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060531_1_bt.pdf

 便利のために、行政投資額の県別順位を引用しておこう。

  都道府県  金額(百万円)
   全国31,594,065
 1 東京 2,575,616
 2 北海道2,157,656
 3 大阪 1,505,364
 4 愛知 1,481,335
 5 神奈川1,362,806
 6 兵庫 1,343,903
 7 福岡 1,177,221
 8 埼玉   996,325
 9 静岡   959,753
10 千葉   937,093
11 新潟   827,600
12 岐阜   728,889
13 広島   698,177
14 茨城   665,224
15 長野   605,504
16 鹿児島  599,469
17 福島   584,462
18 京都   569,992
19 宮城   559,810
20 秋田   506,418
21 岩手   504,869
22 熊本   492,923
23 沖縄   492,207
24 長崎   490,734
25 三重   488,375
26 岡山   488,077
27 青森   477,699
28 石川   450,760
29 愛媛   442,115
30 栃木   430,584
31 群馬   423,847
32 島根   422,360
33 山口   407,065
34 山形   397,264
35 富山   392,051
36 宮崎   387,305
37 滋賀   384,007
38 大分   358,144
39 山梨   351,516
40 和歌山  350,517
41 奈良   341,110
42 福井   337,175
43 高知   329,312
44 徳島   305,502
45 佐賀   278,281
46 鳥取   276,788
47 香川   250,859

 行政投資の額からいえば、沖縄は特に優遇されているとは言えないだろう。

 優遇の実例として高率補助が挙げられる。全国では地元が3割負担すれば、7割を国が補助するというのを、沖縄の場合は1割負担で9割補助というのがある。これは優遇と見えるが、行政投資額からしたら単に沖縄県が貧乏であるといっているに過ぎない。高率補助をやめたら、沖縄の行政投資は半減、GDPも3割は縮小するのではないか。
 
 また、ガソリン税などオイル関連、空港の使用料、酒税、沖縄公庫の金利の優遇措置などがあるが、これらは本則を適用したら、県民が疲弊するだけだろう。
 
 なんだか出口が見えない状況のようだが、米軍基地返還はこの問題をクリアする光になるのではないか。本来あるべきだった投資と成長がこれから始まると考えると、失われた60年を取り戻すための投資は桁外れのものでなければならないだろう。復帰後の投資は邪魔な米軍基地があり、効率的ではなかったということだ。
 
 沖縄は優遇されていたというのは当たらず、米軍基地があったため非効率な成長しかできなかった、ということだろう。しかし、日本の安全保障料としては安上がりについた。沖縄は安く買いたたかれた上に、優遇してやっているといわれては、沖縄戦で死んだ人たちは浮かばれまい。もちろん、いま生きている人たちにとっても、所得が低いのは自己責任だという、小泉構造改革のような考えは間違いである。  

Posted by 渡久地明 at 23:19Comments(0)返還基地の跡利用