世界で最も衰退した国、日本

渡久地明

2008年08月26日 17:51

前に、先進国の一人当たり名目GDPの順位の比較をやったことがあったが、IMFのHPに便利なデータがあるので、世界180カ国くらいの比較を精密にやってみた。くらい、というのは、全部で181カ国のデータがあることになっているが、1995年にさかのぼるとアフガニスタンなどデータがない国もあったので数カ国については省略した。

やり方は、1995年の各国の一人当たりGDPが2007年にどこまで伸びたかをセミログのグラフに描いた。

結果は次の通り。





世界中で一人当たり名目GDPは伸びたが、減った国が8カ国だけある。国民が貧乏になったのは、先進国では日本だけ。世界でも8カ国しかない。

2007/1995の比率を出すと、1以上なら成長しているので成長率と呼ぼう。世界の170カ国くらい、ほとんどの国が成長した。

世界平均の成長率は1.92である。その周辺にいる国は、

パナマ   =1.96
ブルネイ  =1.95
クウェート =1.95
タンザニア =1.95
バルバドス =1.92
キプロス  =1.92
ミャンマー =1.91
ケニア   =1.91
マダガスカル=1.90
マラウィ  =1.90

だった。

成長率1以下(衰退率とでも呼ぼうか)の衰退した国は、次の8カ国だった。

パプア・ニューギニア=0.97
ギニア       =0.90
アルゼンチン    =0.89
ギニアビサウ    =0.88
日本        =0.82
ブルンジ      =0.77
ソロモン諸島    =0.76
ジンバブエ     =0.09

日本の衰退率はアルゼンチンより大きく、ハイパーインフレでのたうち回っているジンバブエ、たぶん石垣島あたりに似ていると思われるソロモン諸島、あまり聞いたことがないブルンジに次いで、下から4番目となっている。

日本はカネを印刷して国民にバラ撒き、景気を拡大すべきだ、という世界の経済学者の助言に対して、

「そんなことをしたらアルゼンチンみたいになる」(実際にはならないけど)

という人がいたが、カネを刷らなかったおかげで日本はとっくにアルゼンチン以下になっていた。

笑うしかないのか。

緊急経済対策は8兆円じゃ全然足りない。30兆円以上が望ましい。一挙に過去20年分の衰退を取り戻すには、確か1995年のGDPが500兆円くらいだったと記憶しているので、その1.9倍=400兆円くらいの景気対策が必要だ。10年かけて回復させるなら、政府は毎年40兆円×10年やると約束するのがよい。実際には4、5年目で回復は軌道に乗るだろう。その時、もし景気過熱しているなら、徐々に引き締めればよい。財源は通貨増発であることはいうまでもない。

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