ブレーンに聞く菅政権の成長戦略

渡久地明

2011年01月12日 22:22

 菅首相のブレーン、宮崎徹内閣府参与の講演会「最近の景気状況と政府の成長戦略」がきょうあり、参加した。30人くらいが集まった。
 
 (大幅に前略)
 
 景気の現状認識は需要不足であるというのは同意。
 
 ケインズ型の公共投資、バラ撒き政策が第一の道、第二の道が小泉流の供給サイドの強化で、これは不完全雇用の元では間違い。かえって不況が深まる。第三の道として介護、役に立つ公共投資など課題解決型の需要回復策…と言っているのは周知の通り。
 
 そこで介護やエコ分野などに投資する新成長戦略が出てくる。
 
 エコポイントは相当効果的な政策で、投入予算6850億円に対して、税収は1兆560億円に上ったという(←この部分ニュース)。

(大幅に中略)
 
 質疑応答があったので私も「ハイ」と手を挙げ
 
 「先生、エコポイント対象分野だけでなく、国民にエコポイント予算の100倍を渡して全産業で需要を回復させれば、100兆円の税収が得られるハズであり、なぜそれをやらないのか。国民にカネを配る議連もできている」
 
 と聞いたら、
 
 「そんなに多くの需要はないだろうし、成熟社会であり、カネを渡しても国民は使わない」
 
 という答。
 
 (それだけカネをバラ撒けば、持っているのが損なのでみんな使うはずだと思いながらも)
 
 「いま、国民へのニーズ調査で30万円あれば何に使うかと聞いたら多くの人が『旅行』したいと応えている。エコポイント部門と国民の希望は違うじゃないですか」と述べたら、
 
 「…政策の参考にしたい」
 
 という答。苦し紛れのようだったけど。
 
 なお、エコポイント分野、介護分野に予算を投下する際の説明は下図(見にくいけど元がコピーのコピー…となっている)を示しての説明だった(小野善康氏の説明ということであった。小野氏は首相の有力ブレーンで消費税を増税しても、全部介護分野に使えば景気は回復するという論者)。





 私の指摘は『当該分野』と言う部分を全産業に置き換え、その実現のためには国民への一律50万円のバラ捲きが良いという趣旨だ。
 
 上の図で、『当該分野』として予算を限定してケチっているから、規模が小さすぎていつまでたってもデフレから脱却ができないのが現状だ。とはいえ、あと少しで正解に届きそうなのだ。
 
 さらに、政府が『当該分野』を絞り込むことそのものも間違いだろう。国民が必要なor好きな分野にカネを使うことで(市場原理で)、全産業分野に万遍なく行き渡るよう需要回復させることでデフレから脱却できる。エコポイントで実証済みなのに、何を政府は躊躇しているのか???

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