2015年09月20日 17:13
安倍政権の政策を「新自由主義」だとか「一部の富裕層を富ますだけ」という人たちにはたぶん一生かかっても理解できないだろうけど、安倍政権の経済政策の思想的面白さは保守政党なのに欧米リベラル政策を採用していることにある。再分配政策は弱いが、民主党政権よりも結果をみると改善面さえある。
— 田中秀臣 (@hidetomitanaka) 2015, 9月 20
《視点》日本の最大の懸念は安倍首相である
先日、久しぶりに私が地下組織と呼ぶ数人のメンバーと一杯やった。私はノンアルコールビールで酔っ払う技を身につけたので、ときどき飲み会にも出没するようにしている。
地下組織というのは本紙の読者にとっては耳を疑う話になるが、私が前世紀から本欄も含めさまざまなところで主張してきた「カネを刷れ」というリフレ政策に理解を示す人たちの集まりのことだ。なぜ地下組織かって、リフレ政策の理解が沖縄では全く進んでいないからだというのだ。
実は、私自身も主に本欄での発言が中心で、面と向かってリフレ政策を議論する相手がなかなかいないのが実情なのだ。これまで議論は主にインターネットでやってきた。前世紀の終わり頃まではリフレ政策を主張する人たちの書籍も少なかったが、この七、八年で書店の棚の風景は様変わりとなった。いまではリフレ派の主張が中心になったといっても良いだろう。
なにより、リフレ政策をよく理解した安倍晋三が首相になってから、金融政策の効果が予想通りに出て、景気回復が実現しつつある。政府はこの政策を二十年以上継続すると国民に約束すべきで、それを実行してホントにデフレ脱却となる。
ところが、いまはまだそれが不透明なのである…。というのも、リフレ政策を真剣に理解しているのが自民党では安倍首相と菅官房長官の二人しかいないのではないかという不安があるからなのだ。安倍首相がいなくなれば、再びデフレに後戻りということもあり得る。日本の不安定要因とはこれのことなのだ。
このようなことは常識だと思っていたら、地下組織の面々によると「まだまだまったくリフレ政策は世間に受け入れられてませんよ」ということらしい。メンバーの一人は会社規模数百人の会社員だが「会社中で私ともう一人くらいしかリフレ派はいません。われわれ地下組織ですよ」というのである。地下組織という名前はここからきている。
わたしも前世紀から、いろんなところで日本はカネを刷るべきといってきたが、冗談と思っている人が多かったようだ。実際に安倍政権で黒田日銀総裁がカネを大量に刷るという政策を実行して景気が良くなっているのに、それが分からないのだ。
最近、私がまとめた「沖縄観光成長の法則2015」を読んで「渡久地明は安倍首相をありがたがりすぎているのではないか」という人がいた。数学と経済学で論を展開しているのに、耳を疑う批判でほんとうに驚いた。科学のかけらも知らない無知な発言だ。
このようなわけで、安倍首相の経済政策を続けられるかどうかが日本最大の懸念なのだ。その解消のためには国民には、もっと経済学を学ぶことが求められるのだ。(明)(「観光とけいざい」第906号、2015年9月15日付け)