ホントに飛ばなかったテポドン

渡久地明

2006年07月30日 14:24

(スペースシャトルや日本の人工衛星でさえ何度も失敗しているのに、新開発の)テポドンなんか飛ぶものか、と6月の内にに述べた。これは、科学一般の初歩的な常識だと思う。

「火をつければ爆発して飛ぶかも知れないが、どこに落ちるか分からない花火のようなものだ」とも述べたが、その通りだったことが、米の軍事専門サイトでテポドン発射直後から次のように指摘されていた。

「高度はたったの4.4キロ、発射台から1.4キロしか離れていない目の前の海に落ちた」

この分析は米民間シンクタンク「グローバルセキュリティー」のもので神浦さんのHPに連日掲載されていた、スパイク通信員の翻訳・投稿記事によるものだ。ちなみにスパイクさんは神浦さんの奨めもあってご自分のサイトを立ち上げており、わたしももちろん参考にしている。

発射からおよそ一ヶ月経った今ごろ、日本の新聞に「テポドン 1.5キロ内に落下、米が分析」(本日の琉球新報1面・沖縄タイムス3面=共同配信)という記事が出ている。正式な日本の報告書は8月上旬の発表になるという。

この間、北朝鮮への日本の経済制裁、国連での非難決議、G8サミットでの非難、PAC3の沖縄配備の前倒しなどが次々に決まった。

共同配信の例は次のような記事となっている。

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1・5キロ内にテポドン落下 米政府が日本に伝達
 北朝鮮が5日に発射した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」について、米政府が日本側に、発射台から1・5キロ以内の地点の上空で爆発し、ほぼ真下に落下したとの見方を伝えていることが29日分かった。爆発の原因や状況の詳細は明らかでないが、米偵察衛星が散乱した破片の一部とみられる物体を確認した。爆発地点は北朝鮮領空とみられる。
 また日本海と太平洋で警戒、監視に当たった日米のイージス艦が、発射された弾道ミサイル7発のうち、2、4、5、7発目の短距離弾道ミサイル「スカッド」や中距離弾道ミサイル「ノドン」の飛行軌跡の捕捉に成功したことも分かった。ただ現時点では、イージス艦によるテポドン2号を含む残り3発の探知、追跡は十分でなかったとされる。(共同)

北日本新聞
http://www.kitanippon.co.jp/

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新聞記事はこれ以外にもズーッと以前からインターネットの専門家に抜かれっぱなしで、最近は見る影もなくなってしまっている。自分でものを考えるのをやめ、防衛庁などの発表に基づく記事制作の日常化という「構造的な欠陥」だろう。上は軍事部門の典型的実例といえる。

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