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2018年08月24日

『続・黒潮文明論 海の民の遙かなる旅』の紹介

 稲村公望氏の著書『続・黒潮文明論 海の民の遙かなる旅』(彩流社、上製四六判、296ページ、2800円+税)が7月31日、出版された。稲村氏から1冊献本いただいた。


 稲村氏は七二年に郵政省に入省、沖縄郵政管理事務所長や日本郵政公社常務理事を務めた。沖縄では大田昌秀知事時代に「マルチメディア特区」を提唱し、沖縄のIT政策と産業をリードした。現在は「月刊日本」客員編集委員、岡崎研究所特別研究員。

 『続・黒潮文明論』は与那国から奄美の琉球列島の気候風土、日本本土までの文明に影響を与えた黒潮文化圏を考察する稲村氏のライフワークともいえる論考集だ。

 黒潮が洗う島々の風俗、文化、言語、食などが日本全体に影響したのではないかと文明の基層を掘り下げる。西郷隆盛ゆかりの大隅半島紀行や沖永良部島などにまつわる逸話も充実している。

 稲村氏といえば新自由主義者らの郵政民営化に反対し、メディアでも頻繁に取り上げられた。なぜ、反対したのか。

 郵便局の土地や資産を新自由主義者らにバルクセールで大安売り、豪州に投資して巨額損失を出したいきさつ、株式売り出しと予想を下回る株価などにも言及している。株式の売り出しはつい最近のことだったが、わたしのところにも儲かるから投資すべき、と証券会社からの勧誘があった。しかし結果は予想外れ。

 この間、小泉首相が言う「郵便局を民営化すれば景気は良くなる」というのも全くのでたらめだった。「カネを刷れ」という政策を取り入れたアベノミクスが始まるまで景気は底を這うばかりだった。これらを見れば、一体、何のための郵政民営化だったのか、ホントに不思議だ。

 郵政民営化論議は一部の新自由主義者らが利得を得るために国民を勘違いさせ、それを利用した壮大な仕掛けだったと分かる。

 稲村氏はそれを見抜いていた亀井静香氏の国民新党から〇九年の衆院選に立候補、そうせざるを得なかった心境も吐露している。そのなかで稲村氏を応援するブログを筆者(渡久地明)が立ち上げたことにも触れている。このブログ「稲村公望さんを国政に送り込もう! 市場原理主義からの脱却」はいまでも閲覧可能だ。黒潮の流れの中のほんの一瞬の出来事だったが重要だった。各国の郵政事業の具体例にも言及しており、将来同じ轍は踏まない、あるいはやり直すために本書は一つの道しるべになるのではないか。


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