てぃーだブログ › 渡久地明の時事解説 › 2006年08月

2006年08月31日

おや、おじさんが

こんなところに。気がつかなくて済みません。  

2006年08月28日

那覇空港需要予測、推計式への疑問

その後、航空需要予測の元になった報告書を国土交通省航空局が公表しているのを知った。

航空需要予測の手法について
http://www.mlit.go.jp/koku/02_topics/01_juyou/index.html

このなかで、冒頭に「航空需要の伸びはGDPの伸びより大きい。需要の変動は経済指標だけでは説明できない要因があるものと考えられる」と述べている。

ところが、需要予測モデルでは沖縄観光に限るとGDP以外の需要変動要因について、説得力のある要因が挙げられていない。

具体的には、需要は空港や道路、移動時間などのハードに依存するという理屈の組立になっていて、全国の動向とはまったく異なる沖縄観光の変動要因であるキャンペーンやプロモーション、セールスなどソフト部門が考慮されていないようだ。

もちろん、ソフトはハードに付随するので短期的には無視できると考えることは可能だ。しかし、それなら最初から航空需要は空港容量(ホテルや観光施設などを含めて受け入れ容量)に主に依存するので、GDPとは無関係に毎年適当なスピードで拡大すると考えた方がすっきりするのではないか。そしてその適当なスピードとは沖縄県の場合、過去30年間平均で、毎年平均4.5%成長、が有力候補として挙げられる。  

Posted by 渡久地明 at 13:02Comments(0)観光情報学の話題

2006年08月25日

那覇空港のPI説明会でのわたしの発言

23日に那覇空港の需要予測についてのPI(パブリック・インボルブメント=政府の事業などで計画段階から広く大衆(=パブリック)を巻き込み(=インボルブメント)意見を聞くという意味)の手法に基づいて説明会があったので、いってきた。写真を撮って自分の新聞に使う予定で、すぐに帰るつもりだったのだが。那覇空港の需要予測については、前に「トホホな内容」というエントリで、疑問を投げてあった。

==========

ビデオでの説明の後、質疑応答で大略次のように述べた。お相手は内閣府沖縄総合事務局開発建設部の若手、国土交通省大阪航空局の若手、県企画部の若手。主に開発建設部の担当者が応えたので、この人が実務を取り仕切ったのだと思われる。また、発言は記憶に基づくもので、厳密にこのとおりのやり取りだったわけではない。主催者側はビデオカメラを撮っていたので、だいたい下のようであったと精密に検証できると思う。(普段はあまりこういうことはやらないのだが、内容がひどすぎること、他に質問する人がいないのでわたしが最初の10数分マイクを独占した)



(1)推計モデルは最上位ケースでも利用者数は年率2.3%と非常に低いものとなっている。弱気すぎて、現実ともマッチしていない。

(答)幅を持った需要予測となっている。(少なすぎることについては)そのようなご意見はありがたい。

(2)推計モデルの最低位ケースはリスクケースとしているが、これは日本経済破綻ケースである。こんな想定はおかしすぎる。

(答)その通りです。このような低い伸びはバブル崩壊直後の成長率が前提で破綻ケースに近い。しかし、幅を持たせ、慎重にやっています。

(3)慎重にやると景気が悪くなるので、やめて欲しい。

(4)推計モデルの前提にGDPと日本人の年間の旅行回数が関係があるとしている。しかし、GDPと沖縄の観光客数は無関係である。なぜこのような計算になるのか。

(答)GDPと旅行者数に相関があるということを示したものです。

(5)GDPと日本の旅行者数に相関はあるかも知れないが、GDPと沖縄の観光客数は関係がないといっているのだが。
 たとえば97年から日本のGDPは500兆円とほぼ一定だが、沖縄の観光客数はどんどん伸びている。これをどう考えるか。

(答)90年代後半からは合わないですが、その前の20年以上はGDPは順調に伸び、旅行者数も伸びています。

(6)02年から05年までの観光客数は毎年平均4.5%増という実績だ。なぜ、今後は最大でも2.3%しか伸びないと想定したのかのか明快にすべき。また、沖縄県観光基本計画では2011年の観光客数を毎年3.7%増の650万人を目標にしているが、それにも届かないではないか。

(答なし)

(7)根拠がないなら、最上位ケースのその上に現実を踏まえて年率5%成長の需要予測を追加すべきである。また、日本経済破綻ケースはやめてしまえ。

(答)積極的なご意見ありがとうございます。

(8)レポートでは2015年を強調して最上位と最下位の需要予測のいずれでも八月は限界に達すると述べている。しかし、グラフを見ると最上位ケースでは2009年に限界になると読みとれるがその通りか。

(答)その通りです。

(9)2009年で限界であると見ていいね。

(答)はい。

(10)では、2009年に羽田が拡張され、ドーンと発着枠が増えるのだが、那覇空港ではそれを受け入れることができないというわけだね。

(答)はい(か無言。どう応えたか忘れたが否定はしなかった)。

(11)航空各社は効率の悪い500人乗りのジャンボジェットをどんどん退役させて、08年から効率のよい250人乗りのB787と交代する。このことから、利用者の増加以上に発着回数が増加するわけだが、レポートでは機材の大型化で旅客は増えるとして、小型化をを盛り込んでいないではないか。

(答)ジャンボは退役ですが、航空会社によると沖縄線などは輸送力に遜色のないB777を活用するといっているので、ジャンボ退役の影響は少ないと思われます。

(12)わかった。

(13)上位ケースの2.3%成長だと、沖縄県のGDPはいかほどまで増えるのか計算はあるか。

(答)いま、細かい数値は持ち合わせていません。

(14)それが最も大切ではないか。観光客数が増えると雇用が増えることがわかっている。沖縄の高い失業率を3%以下に下げ、県民所得を高めるためには、このくらいの観光客数が必要という需要見通しを出すべきではないか。

(答)確かのそのような考え方があります。しかし、ここではなるべく中立的な数値を算出したものです。

(15)それは中立というのでなく、単純に消極的というだけだ。もっと積極的に地域振興に関わってもらいたい。

(答)無言。

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上は、「忌憚のない積極的な意見を求める」という企画部の課長の求めに応じたものだ。しかし、これではPI報告書はパブリック・インボルブメントじゃなくて、パブリックに政府はインポである、と宣伝しているようなものだ。本当に情けない。それというのも、構造改革で(以下略)

<追記>那覇空港の総合的な調査のページに

各機関別の調査結果
http://www.pref.okinawa.jp/nahakuukou/src/qa03_kekka.html

があり、

沖縄総合事務局・平成17年・調査結果
http://www.pref.okinawa.jp/nahakuukou/pdf/kaigi_06/siryou1-4-1.pdf

として、詳細な需要予測方法と結果が述べられている。

先ほど気が付いたのだが、これほど精密に計算しているとは知らず、大変失礼しました。

とはいえ、現実と合わない需要予測となっている点は変わりなく、精密に計算しても予測が精密になるとは限らないということが改めて分かる結果となっている。

気が付いた問題点を列挙すると、

上で述べたように、低い政府のGDP予測が空港需要予測を引き下げる大きな要因になっている可能性が高いこと。したがって、小泉退陣後の新首相の経済運営方針が変われば、予測結果も大きく変化すると見られる。

また、上で述べたとおり、沖縄への観光客数とGDP成長率は全然関係がないことから、GDPを需要予測の主要なパラメーターとすることの妥当性に問題がある。

また、沖縄の魅力度という考えを導入しているが、これは以下の理由で無効であると考える。各種実態調査から「沖縄の最大の魅力は海である」ことが分かっており、個別の観光地を魅力として点数化することが妥当であるとはすぐに決められない。

むしろ、旅行社や航空会社が会社として利益を追求する際の収益源として観光施設などを追加すべきだ。モデルでは沖縄観光の推進エンジンである旅行・航空会社の役割に直接の言及がないようだが、その場合、需要喚起の重要な要素を見落としていることになる。

また、観光施設が増えることによって魅力度が増えるなら、観光施設そのものが増えることも予測する必要がある。観光施設は新しく建設されることもあるし、元からあるものに光が当たって急に観光施設になるものもある。たとえば、那覇市場はある時期から急に観光地になった。プロ野球がキャンプを張り始めると急にスポーツ合宿が広まったが、それらは予測できたのか?

結局、非常に厳密かつ慎重に需要を見極めようと努力しているが、検証が足りない。同様の手法で10年前にさかのぼって沖縄や北海道、済州島、ハワイ、ラスベガスなどが説明できるだろうか。せっかく客観性が高そうなモデルを構築したのだから、いろいろなところで条件を変えて試してみて、有効性を立証・アピールすべきだろう。2ヶ月くらいあれば、いま述べた地域くらいは調べられるはずだ。しかし、直観的にこのモデルでは最近の沖縄の好調な伸びは説明できないだろう。また、近年の北海道の失速、ハワイの90年以降の低迷を説明できないと思われる。木を見て森を見ないモデルになっていないか。(8月26日、00:55)  

2006年08月21日

8月11〜20日は好調

 航空各社は夏休み(8月11~20日)の実績を先ほど発表した。それによるとJAL、ANA、JTA、RAC、SKYの沖縄=県外線実績は7.3%増と順調に伸びた。
 JALが7.9%増(搭乗率83.4%)、ANAが5.5%増(同84.0%)。JTAは11.7%増(同88.4%)と高い伸び。SKYは20.3%増(同90.1%)となった。
 国内全線は2.2%増、日本発海外は0.9%増となった。(沖縄観光ニュースより転載)

  

Posted by 渡久地明 at 20:31Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月19日

かりゆしグループの展望など

 HP「沖縄観光ニュース」(「観光とけいざい」6月1日号の記事)を更新した。

新ブランドホテルに着手 かりゆしグループ
大連雑技団、1ヶ月の沖縄初公演
ラグナガーデン ホテルマンに俳優養成講座
前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(24)
渡久地明コラム701 デフレなのに好景気とは

 かりゆし社長のインタビューはマリオット売却の経緯、大連雑技団はトップ沖縄というお年寄りの旅行に特化した大変ユニークな旅行社の取り組み、ラグナの人気の秘密は以前ここでも少しだけ触れたもの。  

Posted by 渡久地明 at 01:39Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月18日

天妃ドットコム・メールマガジンへの投稿を転載

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       天妃ドットコム・メールマガジン-0818(No.252)
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       ●●国民を不幸にする構造改革-渡久地明●●

 この5年間まったく間違った政策をとり続け、国力を大きく後退させた小
泉純一郎氏が退場する。国民の個人資産が積み上がれば、財政は赤字になる
という当たり前の経済原則が分からず、財政赤字を減らそうと政府支出を減
らした結果、赤字国債の発行が加速度的に増えたのが小泉構造改革だった。
 
 正しくは個人・法人の所得税の累進制を高める一方、消費を奨励し(消費
税の撤廃や個人や法人の必要経費の拡大)、政府は強力な財政支出を行って
デフレを脱却することであり、金融政策では3%程度のマイルドなインフレ
を実現することであった。それによって景気が回復すると、政府の税収は増
え、国債発行残高も収束に向かう、名目GDPは毎年5%以上拡大でき、低
所得者層を豊かにできるというものだった。
 
 この5年間とオーバーラップして、年内には8年間、県政のトップだった
稲嶺恵一氏が退場する。一昔前ならどんな知事でもマスコミ各社が厳しく激
しい批判をくり返したものだが、稲嶺県政にはほとんど批判らしいものが見
当たらない。むしろ県庁内部に冷静かつ激しい批判が渦巻いている。

 最大の懸案だった基地問題はいっこうに進展せず、大きなチャンスとなっ
た米軍再編にもまったくコミットできなかった。

 政府とのパイプは目詰まりしていた。政府側は知事に話が届くと思いこん
でさまざまなシグナルを送っていたが、まったく反応しなかった。米軍再編
問題では政府は沖縄県庁の誰と話をしたらいいか分からず、結局、沖縄抜き
で日米協議は決着した。普天間返還問題はもっと突っ込めば代替施設無しの
返還まで行けたのを、とうとう海上を埋め立ててV字型の滑走路をつくるこ
とでの日米合意を許してしまった。

 沖縄の知事は米軍基地問題に象徴されるように、日米同盟のあり方も含め
政府を動かす能力も求められる。米軍撤退後の沖縄再開発を構想するに当た
っては、政府の財政政策にも発言力を持つべきだ。それほど重要な地位にあ
る沖縄県知事であるべきところをその自覚のない人がトップにたっていた。

 無知な構造改革で国民の所得格差はどんどん広がり、貧富の差はOECD
加盟国中最悪の状態になった。外交では日米同盟さえ強化すれば、他の国と
もうまくいくという詭弁で日本を孤立させた。この状態をブッシュ大統領で
さえ警戒している。中東で忙しいときに、日中・日韓で余計な心配をしたく
ないというのが本音だ。

 政府と沖縄県が同時に機能不全となって、国民・県民を不幸にしたのが、
この5年間だった。だからこそ、次の県知事はこれまでの停滞を挽回するた
めにも従来に増して大きな期待と責任を負うことになる。真剣に応えてもら
いたい。県民の側もまた、国民を不幸にする構造改革の間違いに早く気が付
くべきだ。

とぐちあきら。沖縄観光速報社編集長・工学修士。

★★★(@^0^@)まさたんが行く-「だって、おもしろいから」★★★
(まさたんは、吉元政矩代表の愛称です)

 先日、まさたんを講師に若者達の勉強会が開かれた。お酒を飲んでも飲ま
なくても、まさたんのちゃーしゃべりは相変わらず。まさたんアンテナを駆
使した情報をもとに、するどく社会情勢に切り込んだ内容と将来予測。さら
にはユーモアも交え、笑いを取るサービスだって忘れない。この八面六臂の
ワザに、若者達は時間がきてもまさたんを質問攻め。っていうか、みんな
1分だって長くこんなおもしろいおじさんといたいのが本音なんだよね。

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編集:天妃ドットコム・メールマガジン編集局、発行:沖縄21戦略フォー
ラム(毎金曜日配信)〒902-0078沖縄県那覇市識名3-15-13
TEL 098-831-8999 E-mail oki21sf@m1.cosmos.ne.jp
ホームページ http://www.tenpi21.com/ 掲示板へご意見、ご感想など
お寄せください。吉元政矩代表の社会や時代を読み解く「今週のコラム」も
好評連載中です。
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2006年08月15日

那覇空港の需要予測のトホホな内容

那覇空港調査連絡調整会議(内閣府総合事務局・国土交通省大阪航空局・沖縄県)が

「那覇空港の調査報告書2」
http://www.pref.okinawa.jp/nahakuukou/src/step2_report.html

をまとめた。

この中で、
(1)将来の人口
(2)将来の経済成長
を元に那覇空港の需要予測を計算している。

ここまで書いただけで、このブログの読者はわたしが何をいいたいか分かると思うが、結論を先にいうと、極めて弱気な予測となっており、弱気すぎて間違っているといってもいいくらいになっている。

GDPと旅行回数が関係があることから、「構造改革と経済財政の中期展望(2005年度改定)」(内閣府経済諮問会議)や「日本21世紀ビジョン」をもとに、構造改革が進展した場合の成長率を「経済進展ケース」、逆に停滞した場合の成長率を「経済停滞ケース」として設定し…将来の潜在的な需要を計算した。

問題は構造改革をやめて、積極財政をとった場合、日本経済は目を見張る成長を遂げ、数年以内に500兆円のGDPは600兆円に拡大、その後も成長を続けるという理論があり、こちらの方が正統な経済のあり方であると世界中の有力な学者が主張していることだ。

なぜ、トンデモ経済政策としか言えない構造改革理論をもとにするのだろうか。

そのようなトンデモ理論を採用して得られた需要予測は、次のようなものだ。

那覇空港需要予測
2004年 1,281万人(実績) 観光客数515万人
       ケース1     ケース4
      (高位ケース)  (低位ケース)
2010年 1,461万人 1,358万人
2015年 1,655万人 1,419万人
2020年 1,850万人 1,456万人

04年実績の1,281万人というのは那覇空港を往復する人数。このうち約20%が「県民」と「観光客のうち県内線利用者」だから、その分を除いて約1,025万人が県外を往復する観光客数で、その半分が入域観光客数ということになる。

上の需要予測を観光客数に置き換え、高位ケースだけ書くと、

2005年 550万人(実績)
2010年 584万人
2015年 662万人
2020年 740万人

となる。

2005年から2020年までの成長率は毎年2.0%である。いくら弱気の業界人でもこんな低い伸びを想定する経営者はいない。それではやっていけないだろう。ばかばかしすぎる。

低位予測の場合、2020年の観光客数は583万人でしかなく、この数値は今年の565万人を経て、来年2007年にはほぼ達成するだろう。こんな情けない内容を印刷して欲しくないなあ。ナンセンスだ。

ついでに、報告書には需要予測の推計式を明示すべきだ。それがあればもっと精密に内容を吟味できる(たとえば、10年前にさかのぼって、その推計式で現在を計算してみる。推計式の妥当性が一発で分かる)のに、これでは推計の根拠が不明である。学生の論文なら落第点だ。それとも推計式なんか書いても県民は分からないだろうと考えているのだろうか。

なお、わたしの計算では2015年の観光客数は875万人、2020年は1,095万人である。根拠はわたしの新聞で何度も述べているが、初歩的な数理を使って説明したものを観光情報学会雑誌「観光と情報」(6月)に寄稿してある(わたしの推計式は1990年にさかのぼっても現状を極めてよく説明できている)。また「観光とけいざい」8月1日号に転載した。全文をそのうちWebでも公開するので、ここでお知らせする予定だ。細かい内容は今後のわたしの講義や講演などで随時述べる。  

Posted by 渡久地明 at 22:44Comments(0)観光情報学の話題

2006年08月14日

8月上旬は3.2%減

県観光商工部がまとめた10日までのJAL、ANA、JTA、RACの下り便合計。SKYは入っていない。

台風で供給は2.2%減となっているが、利用率は76.4%と前年より、0.8ポイント落としている。やはり勢いがない感じだ。  

Posted by 渡久地明 at 13:02Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月11日

8月も前年割れの可能性が出てきた

8月上旬のJALの旅客数は台風の影響もあり、2.8%減となった(供給は2.4%減)。ANAも同様の理由で伸び悩んだなら中旬の最ピークにいくらか盛り返すとしても月間トータルでは低い伸びかマイナスになる可能性もある。

4月以降、需要に勢いがなく、今年は神戸線などで供給を増やしたのに運賃が高水準というのでは経済原則に反する典型的な実例となる。県内主要ホテルもほとんどが8月の稼働率に悲観的な見通しを出している。9月も悪い。  

Posted by 渡久地明 at 19:04Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月10日

7月も前年割れの見込み

7月の観光客数も前年割れとなる模様だ。以下、 沖縄観光ニュースより転載。6月には出す予定だった年間観光客数565万人達成確実予想は現時点でまだだせない状況となった。

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7月の県外=沖縄線国内航空実績1.1%減
 国内航空各社は7月の旅客実績を発表した。それによるとJAL、ANA、JTA、RAC、SKYの沖縄=県外線は1.1%減と前年割れとなった。
 JALが3.7%増、ANAが5.0%減、JTAは0.3%増、RACは1.4%増、SKYは44.1%減となった。
 また、沖縄県がまとめている下り便搭乗実績は1.9%減となっている。これによって7月の観光客数(海外路線、海路の合計)は2%以上の減少が予想される。
 前年割れは2カ月連続。7月は台風の影響も軽微であったことから、国内航空の運賃政策で前年割れとなった可能性がある。県内ホテル稼働率も数ポイントの前年割れとなり、特に那覇市内ホテルは「例年、西海岸リゾートが先に満室となり、次に那覇市内が混雑するが、今年はその勢いがない」という。(06年8月11日、15:20)  

Posted by 渡久地明 at 16:15Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月06日

王毅駐日大使の講演など

「沖縄観光ニュース」を更新した。

OCVB ビル建設やリゾートなど(06年8月6日)
2014年に嘉手納以南返還(06年8月6日)
「中国との観光経済交流」王毅駐日大使が講演 県が招く(06年8月6日)
連載コラム視点700 撤退の面子を立てた新施設(06年8月6日)


改革途中のOCVBはこのような方法で再生できたかも知れないとするアイデアがあり、県も承知していたと見られるが、内部で葬られた。王毅氏の講演は最後の方で驚くべき提言がある。コラムは新基地は日米の面子を立てるだけのものでばかばかしいが、利用すべきと述べたもの。  

Posted by 渡久地明 at 19:03Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月06日

家計の制約で沖縄に行かない

「マーケティング戦略沖縄」(月刊、伊敷豊編集長)という雑誌にコラムを書いていて、いままでネット上には公開してこなかったが、20編ほどたまったのでぼちぼち公開します。

意外と多い家計の制約で沖縄に行かない層

 沖縄県がまとめた「平成17年度観光統計実態調査」(PDF)に面白いデータが出ている。全国の消費者約2,000人に沖縄旅行の経験回数を聞いたところ、全体の63.1%が沖縄を訪れたことがなく、全体の50.1%は計画したこともなかった。

 また、今後5年以内の沖縄旅行動向を聞いたところ、全体の51.8%が「行かないと思う」と答えた(標本数2,246)。

 沖縄にいると、もうほとんどの国民が沖縄を訪れたのではないかと漠然と感じていたが、国民の6割は沖縄未経験というのは意外な結果だ。

 もっとも、わたしが大学生のころ(何ともう30年も前になる)は40人クラスで在学中に沖縄にいったのはわずか3人程度(全部わたしが連れていった)、90%以上が沖縄未経験だった。いまでは修学旅行で40万人が沖縄を訪れているが、30年前に修学旅行で沖縄に来たのはたったの2万人だった。それからすると、国民の4割が沖縄に行ったことがあるという数値は、大きく躍進したものだとも考えられる。

 しかし、それよりも重要なのは、沖縄に行かない理由が何かということだろう。同調査では沖縄に行かない理由も聞いている。それによると、「家計の制約がある」が26%と最も多く、次いで「沖縄までの交通費が高い」の24%となっている。以下、「他に行きたい観光地がある」23%、「仕事で休暇が取れない」18%、「沖縄までの移動時間が長い」16%、「一緒に行く人と休日が会わない」13%などと続く(複数回答、標本数559)。

 日本は世界一の金持ち国になったはずなのに、沖縄に行ったことがない人たちの理由のトップは「家計の制約」である。これはどういうことだろう。

 調査では年代別・世帯年収別に今後5年間の沖縄旅行動向も聞いている。

 「行かないと思う」と答えた人は20代を除いて年収が低い層ほど多くなっている。年収の多い層(800万円以上)でも、各年代で4割程度は「行かない」と答えており、収入とは別の理由で沖縄には行く予定がない。しかし、年収の大・小と、沖縄旅行に行く・行かないに関係があることは間違いない。

 これは世界一の金持ち国・日本の実情を表す数値と考えることができるのではないか。年収は充分で別のところに行きたかったり、沖縄の食べ物が体に合わないという人がいるのはいいとして、行きたくても家計の事情で行けないという現実がある。本当にこれで世界一の金持ち国日本といえるのだろうか。いえないだろう。

 国民の誰もが、行きたいと思うところに旅行できるようにしようではないか。

 低いGDPの伸びでは国民隅々にカネが回らず、最近のOECDの報告では日本は米国に次いで貧富の格差が大きく開いている。「ゼロ金利解除」「デフレ脱却宣言」「消費税増税」「社会保障費の国民負担の拡大」「国家予算の削減」など間違った政策がどんどん打ち出されている。早く構造改革路線から、景気拡大路線に転換すべきだ。そうするとデフレから脱却でき、税収は拡大し、予算に余裕ができるのでじっくり必要な改革もできるのである。

 沖縄を訪れる観光客の消費金額も低落傾向にあり、沖縄に行けるほど年収がある人でさえ、なるべく沖縄では消費しないようにしている。調査は言及していないが、沖縄での消費金額が減り始めるのは91年のバブル崩壊後であり、97年の消費税増税でさらに減少幅が拡大、小泉内閣誕生後は激減している。このまま所得の格差が開いていくと、沖縄旅行そのものが成り立たなく時期が来るかも知れない。

(「マーケティング戦略沖縄」06年7月号)  

Posted by 渡久地明 at 17:54Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月04日

夏休みの沖縄線予約数4.9%増

 航空各社は夏休み(8月11〜20日)の予約状況を先ほど発表した。それによるとJAL、ANA、JTA、RAC、SKYの沖縄=県外線予約数は4.9%増と順調に伸びている(沖縄観光ニュース(http://www.sokuhou.co.jp/)より転載)。
 JALが6.2%増(予約率82.9%)、ANAが3.1%増(同80.6%)。JTAは8.3%増(同86.6%)と高い伸び。SKYは3.7%増(同88.3%)となっている。
 国内全線の予約数は4.1%増と好調な伸び。
 日本発海外は0.4%増とほぼ前年並みの状態。
 夏休みの予約数は例年7月20日頃から8月20日頃までの約30日間について7月14日頃の発表だった。今年はJRの統計に合わせるとして、8月11〜20日までの10日間の集計に変更となった。

  

Posted by 渡久地明 at 19:34Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月02日

夏休みの予約も変則発表

7月の勢いが弱いと書いたが、これはANAの実績。前年比4.9%減と不振。JALは伸びている可能性があるので、全体がどうなっているかは、JALの発表待ち。

例年だと7月15日前後に7月20日から8月31日までの約40日間の夏休みの予約状況が発表されるのだが、今年から夏休みの時期を8月11日から20日までとし、8月4日に一斉に発表することになった(JRの慣習に倣うことにしたらしい)。このため夏休みの動向が事前に分かりにくくなっている。JRの方が航空業界に基準をあわせるべきだと思うが、なにか都合の悪いことが起こっているのか。とにかく不透明。  

Posted by 渡久地明 at 20:00Comments(0)沖縄観光の近況

2006年08月02日

観光の勢い弱まる

兆候は4月から見られていたが、観光客数の伸びが弱まっている。6月の3%減に続いて、7月もマイナス成長となりそうだ。日銀那覇支店は6月がマイナスとなったのに、依然高水準で県内経済を観光が牽引していると楽観的だが、先行きに不透明感が広がってきた。

8月以降の巻き返しを見なければならないが、565万人ギリギリというところまで落ち込んできた。9月以降の動向によっては目標割れもあり得る。

年初の580万人の勢いがここにきてバッタリ止まった感じだ。この原因はなにかは重要なテーマとなる。  

Posted by 渡久地明 at 13:00Comments(0)沖縄観光の近況