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2012年08月20日

エンジン止めてみろ

沖縄航空の故宮良正啓さんが航空機(固定翼)を買い付けるとき、試乗、空の上で「片方のエンジンを止めてみろ」「次は両方止めてみろ」といって止めさせ、どのように飛ぶかを見極めると言っていた。

同じことがヘリコプターでもあって、空中でエンジンが停まっても羽が回ってゆっくり地上に降りる。これがオートローテーションというやつだ。うまい人は空中でエンジンが止まってもオートローテーションで目標にピタリ降りるという。

そのオートローテーション機能がないのがオスプレイ。8月19日の沖縄タイムス記事に、米国防分析所の元主任分析官アーサー・リボロ氏のオートローテーション機能がないという証言が載っている。

 ―日本政府が、自動回転機能があると説明する根拠は何か。
 「海兵隊の説明をそのまま受け止めているからだろう。同機の専門家でない場合、提供されたデータなどの検証は非常に難しい」
 「自動回転機能を確認したい場合一番簡単なのは、実演を要請することだ。オスプレイはこれまで、同機能を実証することすら危険過ぎるというのが共通の認識だ。実証経験がないため、シミュレーターにも実像データがなく訓練は不可能だ。取り込まれている映像は、高い高度でエンジンをゆっくり止めたという状況に沿ったもので非現実的な想定だ。沖縄の人々の懸念を払拭(ふっしょく)したければ、まず米側が事実を伝えることだ」


森本防衛大臣がアメリカでオスプレイに乗って安全性を確認したと言っているが、ホントウは沖縄航空の宮良さんがやったように、空中でエンジンを止めてみて、ゆるゆるとオートローテーションで目的地に着地できるかどうかを確認すべきなのだ。ま、リボロ氏の言うように、あの機体なら地上に向かって猛スピードで垂直に飛行する可能性が非常に高いと思うが。  


Posted by 渡久地明 at 21:49Comments(1)返還基地の跡利用

2012年08月20日

夏休みの航空各社の沖縄線実績、1.5%増

 航空各社が8月20日に発表した夏休み(8月10~19日)の沖縄線実績は前年同期比で101.5%と前年を上回った(LCCを含まないベース)。



 JALが15.6%減、ANAは3.4%増、JTAは4.0%増、SKYは前年9月から那覇=宮古、12月から成田、今年3月から関西、7月から茨城、北九州を新設して44.8%増と大幅に増加。RACは8.6%減となった。

 JAL・ANA両グループとSKYの全国の旅客数は1.6%減、JAL・ANA両グループの日本発着国際線旅客数は6.6%増となった。(沖縄観光ニュース)  続きを読む


Posted by 渡久地明 at 19:01Comments(0)沖縄観光の近況

2012年08月13日

オスプレイの事故頻度

オスプレイの事故がどのくらいの頻度で起こるか、高橋洋一さんが計算している。それによると、8.6年に1回である。

米海兵隊のオスプレイ配備問題。10万時間あたり事故率1.93は普天間に24機配備され年間250時間稼働とすれば形式的に計算すれば8.6年で1件事故がありうるレベル(国民被害とは限らない)。このリスクを尖閣諸島も含めた抑止力との関係でどう考えるか。丁寧な説明が第一歩
http://twitter.com/YoichiTakahashi/status/227389121142861824


計算は、

1機あたり年間250時間飛ぶと、24機では年間6000時間になる。10万時間飛ぶには16.6年(=10万/6000)かかり、この間に1.93回事故るなら8.6年(=16.6/1.93)に一回、事故る、ということである。

しかし、1.93という事故率はクラスAの重大事故に限ったものだった。

報道にもとづき、クラスA、B、Cの事故率を改めて書くと

クラスA(死者や200万ドル以上の損害が出た事故)=             1.93
クラスB(負傷者に重い後遺症があるか損害額50万〜200万ドル未満の事故)=  2.85
クラスC(軽傷者が出るか損害額5万〜50万ドル未満の事故)=         10.46



クラスA〜Cの合計=                            15.24

となる。

合計の事故率で、冒頭と同じ計算をすると、1.1年に一回、クラスA〜Cのどれかの事故が起こることになる。

アメリカの場合、オスプレイ飛行ルートや基地周辺の人口密度が普天間より低いといわれていることから、軽度の事故が沖縄で起こってもクラスAになる可能性が高い。とすると、1.1年で1回の事故はかなり多いのではないか。

もっとも、普天間配備のオスプレイは今のところ12機なので、2.2年に1回の頻度に下がる(空軍にしばらくして12機の配備が計画されているというが)。また、年間1機あたり飛行時間250時間の根拠が見つからないので、訓練時間が長くなれば事故の頻度は高まるし、短くなれば低くなる。  
タグ :事故率


Posted by 渡久地明 at 18:54Comments(0)返還基地の跡利用

2012年08月11日

7月の航空各社の県外=沖縄線、5.4%増

 航空各社の7月の県外=沖縄線旅客数は5.4%増と前年実績を上回った。前年の震災・原発事故の反動増もあるが、2010年の同月実績を0.8%上回っている。また、過去最高となった08年の7月実績に比べると0.3%下回っている。震災の影響はすでになくなっており、東日本の回復や円高・海外との競合といった影響が出ているものと見られる。

 JALが3.1%減、ANAは4.7%増、JTAは6.2%増、SKYは12月から成田、3月から関西、7月から茨城、北九州を新設して旅客数は33.4%増と大幅な増加。RACは5.8%減だった。

 また、石垣・宮古・久米島の県内主要3路線の旅客数も合計で13.8%増と伸びた。10年比でも9.4%増と好調。宮古線で9月15日からJTA、ANA、SKYが三つ巴の価格競争を行なっており、27.2%増と大幅に伸びた。石垣も5.3%増と回復、久米島も4.9%増と伸びた。(沖縄観光ニュース)

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LCCの動向は含まず。好調な国際線とLCCの増分を加えると7月の観光客数は過去最高を更新する可能性がある(県の統計発表は8月15日、楽しみ)。  


Posted by 渡久地明 at 10:22Comments(0)沖縄観光の近況

2012年08月04日

お笑いデフレ脱却論に活路

 お笑い路線でのデフレ脱却論がかなり広まってきた。大きな成果は、景気回復と完全雇用を目指すよう日銀法を改正せよというものだ。この他、インフレターゲットの導入、日本の経済破綻はあり得ない、人口デフレ論はバカ理論、消費税の税率を上げてもデフレ下では税収は増えないといったことが次第に多くの人たちに理解されてきた(最も大切なのは経済学者が言うレジーム転換ということのようだが、それについては別に述べる)。

 もともとマイルドなインフレ推進でデフレから脱却せよというリフレ派はインターネットを通じて賛同者を増やしてきた。経済学者の田中秀臣さんがこの十数年を振り返って、最初のデフレ脱却論は学習院大学の岩田規久男教授、中央大学の野口旭教授、亡くなったドラエモンこと岡田靖氏ら20人くらいだったと振り返る。そこに山形浩生氏らがノーベル経済学賞をとる前のクルーグマン教授の論説を日本に紹介、アメリカからの強力な援軍となった。

 一方、デフレ脱却策は政治であるから国会議員に働きかけなければならないと、日本経済復活の会など政治的なアプローチをとったグループがあり、この動きも国会に広がった。

 筆者も2000年頃から強くリフレ政策を意識、理解不能な様々な論文を読み、結局、大学の経済学の教科書を数ヵ月かけて読みかえし(教科書は古いものを持っていて、はじめて読んだ。なんで持っていたのかいまでも思い出せない。買った記憶も無いのに、書き込みがあった。誰かからガメたのか?)、納得。本業のコラム、このブログ(デフレ脱却のカテゴリ)、掲示板でカネを刷って国民に配れ、(いま考えたら足りないけど)100兆円規模の財政出動などを主張した…。

 いまのデフレと同じことは1930年頃の世界恐慌で起こった(その前にも世界中で何回も経験している。国内では江戸時代にもあった)。世界恐慌を真っ先に抜け出したのは日本で、その時の政策は高橋是清による通貨増発(国際の日銀直請け)と公共投資だった。この政策は効き目があり、後に高橋是清は引き締めに入ったのだが、暗殺される。その後に取られた引き締めではなく、一層の通貨増発と戦争であった(もちろん間違い)。

 戦後、経済学の教科書にはデフレ脱却の最も有効な政策として、通貨増発策が記述されるようになり、もはや世界恐慌のようなバカなことは起こりえない、というところまで来た。1980年代以降、世界の経済学の教科書からはデフレそのものの記述が激減したという。実際に世界からデフレは根絶されたと思われたが、その兆候が1990年代の日本によみがえった。最初はそれがデフレだとはごく一部の人たちを除いて、誰も気がつかなかったくらいだ。今では、クルーグマン教授を持ち出すまでもなく多くの経済学者が起こっているのは恐慌だといっている。

 2000年頃、筆者が通貨増発を唱えたら、大いにバカにされたものだ。タコ殴りに殴られたというか、そんな風潮だった。しかも県内金融機関のバリバリの現役から。しかし、いまやガラリと状況が変わり、国会には300人規模で超党派のデフレ脱却の議連や勉強会ができている。むかし、バカじゃねえかと言っていた当の県内金融機関の連中も2、3年前から「誰もがびっくりするような経済政策が必要」などと言い出してきた。消費税増税は不況脱却のための処方箋にはなり得ないのだ。

 通貨を増発してもデフレ脱却はムリ、というおバカもまだいるが、それならカネを刷って国民に大量にバラ撒けばよい。ひとり当たり1万円などとしょぼいことをやったから、効果が出ないのだ。もっと大量にばら撒くべきだった。国民はカネ持ちになり、それでもデフレから抜けられないというなら、これほど幸せなことはない。国民一人ひとりに1億円くらいバラ撒いたら、自殺者は減るし、少子化も一転、人口は増え、教育は行き渡り、福祉予算の増大を気にする必要もなくなる。世界初の無税国家の誕生であり、これほどめでたいことはない。(「観光とけいざい」835号、7月1日付に加筆)

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お笑いの実例(笑わせるが本質をついている。この二人の動画は全部おすすめ)
『永田町で米中代理戦争が勃発!①』上念司・倉山満 AJER2012.7.31
http://www.youtube.com/watch?v=-WQtmWp6C3k&feature=plcp  


Posted by 渡久地明 at 11:38Comments(0)デフレ脱却

2012年08月03日

夏休みの航空各社の沖縄線予約数、前年と同じ

 航空各社が8月2日に発表した夏休み(8月10~19日)の沖縄線予約数は前年同期比で100.0%と前年とほぼ同じになった。



 JALが16.0%減、ANAは3.1%増、JTAは3.7%増、SKYは前年9月から那覇=宮古、12月から成田、今年3月から関西、7月から茨城を新設して予約数は38.1%増と大幅に増加。RACは21.8%減となっている。

 JAL・ANA両グループとSKYの全国の予約数は1.7%増、JAL・ANA両グループの日本発着国際線予約数は9.5%増となっている。

(「沖縄観光ニュース」http://www.sokuhou.co.jp/)  

Posted by 渡久地明 at 11:35Comments(0)沖縄観光の近況