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2019年06月18日

UNWTO "Handbook on Tourism Forecasting Methodologies"

UNWTO「観光予測法の手引き」(2008年、A4判90ページ)の概略をA3一枚にまとめていたが、ここに貼っておくのでぜひ活用されたい。UNWTOのホームページに原本があり確か43ドルでだれでも入手可能だ。

UNWTO Handbook on Tourism Forecasting Methodologies

<追記2019.6.19>Handbookの2.9節が英文で分かりにくかったので、訳したのがあった。下の通り。

2.9 コーザル(因果)モデル
 これまでは、従属変数の時間経過による振る舞いを考慮する予測手法のみを述べてきた。この種の単変量または一変量モデルは、多くの予測に適用でき、正確であった。しかし、従属変数、ひとつまたは複数の独立変数を含む他の種類のモデルがある。
 このモデルは特に別の変数との関係、例えば為替レートなどとの関連で予測の精度をもっと高める。特にこの第2の変数がどのように変化するかがよく理解されている場合、精度は高まる。
 ほとんどの政府は、多くの経済的変動がある場合、それらに応じて細かい観光需要を予測する。
 2つの変数間の関係を定量化するために最も一般的に使用される方法として知られるのは、線形回帰だ。線形回帰は従属変数と1つ以上の独立変数直線(直線)を表す式によって表すことができる。
 線形回帰はMicrosoft Excelなどのスプレッドシート・パッケージを使って非常に簡単に行うことができる。
 より複雑な予測方法論(しばしば構造的または計量経済的モデルと呼ばれる)(ケーススタディ4.9から4.11および4.14〜4.16)は、独立変数と従属変数の両方の変数間の関係を定量化している。
 構造モデルは、上で議論した高度な外挿法と同様に、高度な数学的および技術的専門知識が必要になるため、このハンドブックの範囲を越えている。ソングとウィットの文献に、これらのより洗練されたテクニックと適用例と使用方法の優れた説明がある。
 単変量解析とは対照的に、因果モデルを使用する理由は多くある。
 まず、いくつかの独立変数と観光需要の間の関係が分かっている場合、潜在的なシナリオごとにさまざまな予測を作成できる。
 たとえば、観光税と観光需要の関係が分かっていて、政府が来年度の空港出国税の水準を引き上げようと考えているなら、それがどのように需要に影響するか分かる。
 競合他社(企業、地域・国)の行動を取り入れた観光需要予測は、さまざまな背景情報によって得られ、開発に関する重要な政策決定と経営判断にも役立つ。
 コーザルモデルは本当に便利だ。しかし、他のすべての形態の観光予測と同様に、現実世界の複雑さとより洗練された方法を取り込むには、多大な知識と専門知識を要し、困難だ。
 線形回帰と構造に関する最大の問題の1つはどの変数を予測に入れるべきかが決して明白ではないということだ。
 多くの独立した変数の依存性を取り扱う場合には、結果を解釈するためにかなりのスキルが必要となる。
 しかし、これらのいくつもの潜在的な困難にもかかわらず、因果モデルは非常に有用であり、観光需要予測にもう一つの境地を提供する。
 コーザルモデルは、それぞれに複雑さと洗練度が大幅に異なり、利用者が入手したデータに応じて実施することができるため非常に一般的に使用される。


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Posted by 渡久地明 at 22:10│Comments(0)観光情報学の話題
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