2007年06月06日
航空分科会の答申素案にある那覇空港の拡張に関する記述
5月31日に開かれた交通政策審議会航空分科会で那覇空港の拡張についても話し合われ、
琉球新報が<那覇空港拡張を提言 国交省審議会>(6月1日、朝刊1面)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24239-storytopic-3.html
沖縄タイムスが<那覇空港拡張 福岡より優先で検討 国交省 来年にも概要決定>(6月2日、朝刊1面)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021300_01.html
と報じた。(続きを読むに収録)
答申の素案が公開されている(http://www.mlit.go.jp/singikai/koutusin/koku/07_9/s03.pdf)ので、那覇空港について記述されている部分を引用した。
福岡と那覇空港の拡張については03年に拡張が見送られた際にも、引き続き検討することになっていた。今回、福岡と那覇の記述を比べると、那覇の方が一歩先行していると読める。長いが第4節を全部引用する(下線はわたし)。
====================
今後の空港及び航空保安施設の整備及び運営に関する方策について答申案(素案)
(略)
第四節三大都市圏以外の地域における空港のあり方
1.地域における拠点的な空港のあり方
我が国の地域社会は少子高齢化を伴う人口減少の進展産業構造の変化地方分権や市町村合併の進展、地域ブロック内での二極化(大都市部への集中等)、各地域と東アジアとの人やモノの直接交流の進展等といった転換期を迎えている。
こうした中、今後、各地域における拠点的な空港は、国内航空ネットワークの充実を図る上で基盤的な役割を担うとともに、東アジアをはじめとする諸外国との直接交流を促進する上でも重要な役割を果たすことによって、各地域における内外の中核的な交流拠点として機能していくことが望まれる。
とりわけ、福岡空港及び那覇空港については、将来的に需給が逼迫する等の事態が懸念されるため、抜本的な空港能力向上方策等に関する総合的な調査が進められている。この調査は、パブリックインボルブメント(PI)の手法を取り入れることにより、透明性、客観性を確保し、地域住民を含む幅広い関係者の参画を受けてそれぞれ段階的に実施されている。
福岡空港については、これまでの調査で、既にピーク時には航空機の慢性的な遅延が発生し、2010年代初期には、滑走路処理容量に余力がなくなり、需要に十分応えられなくなるとされている。今後、現空港の有効活用、近隣空港との連携、滑走路の増設、新空港の建設といった対応案と、それらを評価する視点をまず示して意見を求め、その結果を踏まえて、対応案の比較評価と方向性の案を示し、意見等をとりまとめる。
那覇空港については、これまでの調査で、現在の施設のままでは、2010年〜2015年度頃には観光のピークシーズンである夏期を中心に航空旅客需要の増加に対応できなくなるおそれがあるとされている。今後、将来の対応策として現空港の有効活用策と複数の滑走路増設案、並びにそれらの評価について提示し、意見等をとりまとめる。
両空港については、これらの調査結果を踏まえ、抜本的な空港能力向上のための施設整備を含め、将来需要に適切に対応するための方策を講じる必要がある。
また、地域における拠点的な空港については、我が国の地域活力の向上のため、国際競争力の強化や観光立国の推進に不可欠な社会基盤として、国際線ターミナルの機能強化や鉄軌道系アクセス等空港アクセスの改善等その機能の向上を図るとともに、航空ネットワークの充実に向けて、その活用を推進することが重要である。
2.一般空港のあり方
航空需要の増大への対応及び高速輸送ネットワークの構築のため、空港の新設や滑走路の延長等といった事業がこれまで着実に推進されてきた結果、空港数は現在97(うちジェット化空港66)を数えるに至り、空港までのアクセス時間2時間圏内人口は約95%に達しており、事業実施中の空港を加えると、空港の配置的側面からの整備は全国的にみれば概成したものと考えられる。
このため、拠点的な空港以外の一般空港については、自立的で活力のある地域づくりや地域の国際化のための社会基盤として、ハード及びソフトの組み合わせを十分に考え、就航率の改善や国際化対応の強化等その質的な充実を図るとともに、観光振興のためにもその利用を促進し、既存ストックを最大限活用していく必要がある。
(略)
====================
下線部分で、
福岡は㈰複数の案があるが、㈪それらを評価する視点をまず示し、㈫それから意見をまとめる。
というふうになっているのに対し、
那覇は㈰複数案の評価を示し、㈪意見をまとめる。
となっている。
那覇は福岡より、一行程少ない。このことが沖縄タイムスの「福岡より優先」という表現につながっている。
実際にわたしも「福岡に勝った」という話しは聞いているが、答申素案を素直に読めばその通りになっていると分かる。この表現で拡張はほぼ決定ということらしい。
今後のスケジュールだが、審議会は6月21日に答申案が出る。追加や踏み込んだ表現になれば答申に盛り込まれる。注目である。(03年の時も間違いないと期待されていたが、先送りになった。今度はそうはならないと思う)
拡張が提言されると、8月の概算要求などで那覇空港の実際の調査費が組み込まれる順番になる。もっとも、現状でも石垣空港の工事費と那覇空港の調査費がセットで組まれている。
12月の予算編成で具体的に「那覇空港の拡張」の文字が出てくると見られる。
琉球新報が<那覇空港拡張を提言 国交省審議会>(6月1日、朝刊1面)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24239-storytopic-3.html
沖縄タイムスが<那覇空港拡張 福岡より優先で検討 国交省 来年にも概要決定>(6月2日、朝刊1面)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021300_01.html
と報じた。(続きを読むに収録)
答申の素案が公開されている(http://www.mlit.go.jp/singikai/koutusin/koku/07_9/s03.pdf)ので、那覇空港について記述されている部分を引用した。
福岡と那覇空港の拡張については03年に拡張が見送られた際にも、引き続き検討することになっていた。今回、福岡と那覇の記述を比べると、那覇の方が一歩先行していると読める。長いが第4節を全部引用する(下線はわたし)。
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今後の空港及び航空保安施設の整備及び運営に関する方策について答申案(素案)
(略)
第四節三大都市圏以外の地域における空港のあり方
1.地域における拠点的な空港のあり方
我が国の地域社会は少子高齢化を伴う人口減少の進展産業構造の変化地方分権や市町村合併の進展、地域ブロック内での二極化(大都市部への集中等)、各地域と東アジアとの人やモノの直接交流の進展等といった転換期を迎えている。
こうした中、今後、各地域における拠点的な空港は、国内航空ネットワークの充実を図る上で基盤的な役割を担うとともに、東アジアをはじめとする諸外国との直接交流を促進する上でも重要な役割を果たすことによって、各地域における内外の中核的な交流拠点として機能していくことが望まれる。
とりわけ、福岡空港及び那覇空港については、将来的に需給が逼迫する等の事態が懸念されるため、抜本的な空港能力向上方策等に関する総合的な調査が進められている。この調査は、パブリックインボルブメント(PI)の手法を取り入れることにより、透明性、客観性を確保し、地域住民を含む幅広い関係者の参画を受けてそれぞれ段階的に実施されている。
福岡空港については、これまでの調査で、既にピーク時には航空機の慢性的な遅延が発生し、2010年代初期には、滑走路処理容量に余力がなくなり、需要に十分応えられなくなるとされている。今後、現空港の有効活用、近隣空港との連携、滑走路の増設、新空港の建設といった対応案と、それらを評価する視点をまず示して意見を求め、その結果を踏まえて、対応案の比較評価と方向性の案を示し、意見等をとりまとめる。
那覇空港については、これまでの調査で、現在の施設のままでは、2010年〜2015年度頃には観光のピークシーズンである夏期を中心に航空旅客需要の増加に対応できなくなるおそれがあるとされている。今後、将来の対応策として現空港の有効活用策と複数の滑走路増設案、並びにそれらの評価について提示し、意見等をとりまとめる。
両空港については、これらの調査結果を踏まえ、抜本的な空港能力向上のための施設整備を含め、将来需要に適切に対応するための方策を講じる必要がある。
また、地域における拠点的な空港については、我が国の地域活力の向上のため、国際競争力の強化や観光立国の推進に不可欠な社会基盤として、国際線ターミナルの機能強化や鉄軌道系アクセス等空港アクセスの改善等その機能の向上を図るとともに、航空ネットワークの充実に向けて、その活用を推進することが重要である。
2.一般空港のあり方
航空需要の増大への対応及び高速輸送ネットワークの構築のため、空港の新設や滑走路の延長等といった事業がこれまで着実に推進されてきた結果、空港数は現在97(うちジェット化空港66)を数えるに至り、空港までのアクセス時間2時間圏内人口は約95%に達しており、事業実施中の空港を加えると、空港の配置的側面からの整備は全国的にみれば概成したものと考えられる。
このため、拠点的な空港以外の一般空港については、自立的で活力のある地域づくりや地域の国際化のための社会基盤として、ハード及びソフトの組み合わせを十分に考え、就航率の改善や国際化対応の強化等その質的な充実を図るとともに、観光振興のためにもその利用を促進し、既存ストックを最大限活用していく必要がある。
(略)
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下線部分で、
福岡は㈰複数の案があるが、㈪それらを評価する視点をまず示し、㈫それから意見をまとめる。
というふうになっているのに対し、
那覇は㈰複数案の評価を示し、㈪意見をまとめる。
となっている。
那覇は福岡より、一行程少ない。このことが沖縄タイムスの「福岡より優先」という表現につながっている。
実際にわたしも「福岡に勝った」という話しは聞いているが、答申素案を素直に読めばその通りになっていると分かる。この表現で拡張はほぼ決定ということらしい。
今後のスケジュールだが、審議会は6月21日に答申案が出る。追加や踏み込んだ表現になれば答申に盛り込まれる。注目である。(03年の時も間違いないと期待されていたが、先送りになった。今度はそうはならないと思う)
拡張が提言されると、8月の概算要求などで那覇空港の実際の調査費が組み込まれる順番になる。もっとも、現状でも石垣空港の工事費と那覇空港の調査費がセットで組まれている。
12月の予算編成で具体的に「那覇空港の拡張」の文字が出てくると見られる。
那覇空港拡張を提言 国交省審議会(琉球新報、6月1日、朝刊)
【東京】国土交通省の交通政策審議会航空分科会(会長・山内弘隆一橋大学大学院教授)は31日、9回目の会合を同省で開き、今後の空港整備等に関する方策を示した素案をまとめた。 この中で、那覇空港について「抜本的な空港能力向上のための施設整備を含め、将来需要に適切に対応するための方策を講じる必要がある」と提言し、拡張整備の必要性を盛り込んだ。合意形成や総合的調査を求めた前回(2002年)の答申よりも、具体的な整備実施を促す内容となった。
航空分科会は6月21日の最終会合で方策を取りまとめ、冬柴鉄三国交相に答申する。
素案は、03年度から内閣府、国交省、県が始めた那覇空港の総合的調査を踏まえ「現在の施設のままでは10—15年度ごろには観光のピークシーズンである夏季を中心に、航空旅客需要の増加に対応できなくなる恐れがある」と指摘。その上で「今後、将来の対応策として現空港の有効活用策と複数の滑走路増設案ならびにそれらの評価について提示し、意見等を取りまとめる」と説明し、今後逼迫(ひっぱく)する需要に対応する必要性を強調している。
前回の答申では「抜本的な空港能力向上方策等について、幅広い合意形成を図りつつ、国と地域が連携し、総合的な調査を進める必要がある」と提言していた。
有識者らでつくる航空分科会は「今後の空港および航空保安施設の整備および運営に関する方策」を、5年ごとに取りまとめる。新たな方策は06年9月から検討を重ねてきた。
那覇空港は滑走路一本の空港としては発着数が国内2位、旅客数3位。15年度までには、需要に応えられなくなると予測されている。
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那覇空港拡張 福岡より優先で検討 国交省 来年にも概要決定(沖縄タイムス、6月2日、朝刊)
【東京】国土交通省は一日までに、那覇空港の拡張整備について、福岡空港より優先して方向性を打ち出す検討を始めた。那覇空港に関する住民参加型の総合的調査(PI)が年内に終了することを受け、二〇〇八年にも滑走路増設を含む施設整備の概要を固める。
福岡空港では航空機の離陸の遅延が慢性化するなど滑走路処理容量が限界に達しつつあり、これまでは同空港拡充の検討が最優先とされていた。
しかし、福岡空港のPIが〇八年も継続されることに加え、安倍晋三首相が四月の参院沖縄補選で来県した際に「那覇空港の拡張を最優先で行うことを約束する」と明言したことから、同省内では「首相の公約は重い」との受け止めが広がった。
那覇空港の拡張整備の予算化や着工時期が先になるかどうかは不透明だが、従来より優先度が高まっている。
同省は五月三十一日の第九回交通政策審議会航空分科会(座長・山内弘隆一橋大学大学院教授)で、空港や航空保安施設の整備・運営に関する方策の素案を公表。那覇空港について「現在の施設のままでは、一〇—一五年度ごろには夏季を中心に航空旅客需要の増加に対応できなくなる恐れがある」と指摘。「今後、現空港の有効活用策と複数の滑走路増設案、並びにそれらの評価について提示し、意見等を取りまとめる」として、拡張整備の必要性に言及している。
【東京】国土交通省の交通政策審議会航空分科会(会長・山内弘隆一橋大学大学院教授)は31日、9回目の会合を同省で開き、今後の空港整備等に関する方策を示した素案をまとめた。 この中で、那覇空港について「抜本的な空港能力向上のための施設整備を含め、将来需要に適切に対応するための方策を講じる必要がある」と提言し、拡張整備の必要性を盛り込んだ。合意形成や総合的調査を求めた前回(2002年)の答申よりも、具体的な整備実施を促す内容となった。
航空分科会は6月21日の最終会合で方策を取りまとめ、冬柴鉄三国交相に答申する。
素案は、03年度から内閣府、国交省、県が始めた那覇空港の総合的調査を踏まえ「現在の施設のままでは10—15年度ごろには観光のピークシーズンである夏季を中心に、航空旅客需要の増加に対応できなくなる恐れがある」と指摘。その上で「今後、将来の対応策として現空港の有効活用策と複数の滑走路増設案ならびにそれらの評価について提示し、意見等を取りまとめる」と説明し、今後逼迫(ひっぱく)する需要に対応する必要性を強調している。
前回の答申では「抜本的な空港能力向上方策等について、幅広い合意形成を図りつつ、国と地域が連携し、総合的な調査を進める必要がある」と提言していた。
有識者らでつくる航空分科会は「今後の空港および航空保安施設の整備および運営に関する方策」を、5年ごとに取りまとめる。新たな方策は06年9月から検討を重ねてきた。
那覇空港は滑走路一本の空港としては発着数が国内2位、旅客数3位。15年度までには、需要に応えられなくなると予測されている。
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那覇空港拡張 福岡より優先で検討 国交省 来年にも概要決定(沖縄タイムス、6月2日、朝刊)
【東京】国土交通省は一日までに、那覇空港の拡張整備について、福岡空港より優先して方向性を打ち出す検討を始めた。那覇空港に関する住民参加型の総合的調査(PI)が年内に終了することを受け、二〇〇八年にも滑走路増設を含む施設整備の概要を固める。
福岡空港では航空機の離陸の遅延が慢性化するなど滑走路処理容量が限界に達しつつあり、これまでは同空港拡充の検討が最優先とされていた。
しかし、福岡空港のPIが〇八年も継続されることに加え、安倍晋三首相が四月の参院沖縄補選で来県した際に「那覇空港の拡張を最優先で行うことを約束する」と明言したことから、同省内では「首相の公約は重い」との受け止めが広がった。
那覇空港の拡張整備の予算化や着工時期が先になるかどうかは不透明だが、従来より優先度が高まっている。
同省は五月三十一日の第九回交通政策審議会航空分科会(座長・山内弘隆一橋大学大学院教授)で、空港や航空保安施設の整備・運営に関する方策の素案を公表。那覇空港について「現在の施設のままでは、一〇—一五年度ごろには夏季を中心に航空旅客需要の増加に対応できなくなる恐れがある」と指摘。「今後、現空港の有効活用策と複数の滑走路増設案、並びにそれらの評価について提示し、意見等を取りまとめる」として、拡張整備の必要性に言及している。
Posted by 渡久地明 at 17:45│Comments(1)
│琉球の風(区別不能の原稿)
この記事へのコメント
最初のタイトル
那覇空港の拡張に関する答申素案の記述
というのは誤解されやすいので、改めました。
那覇空港の拡張に関する答申素案の記述
というのは誤解されやすいので、改めました。
Posted by 渡久地明 at 2007年06月07日 11:16