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2007年09月02日

シッコを見てきた

「シッコ」を観てきた。

オーウェルさんのブロクで見てくるようにという指示が出た(?)ので、今日は出歩く準備はしていないけどなあと思いながら、ひげも剃らずに、

香港で買ったブルース・リーのTシャツ(「買ったぞ」とガイドに見せたら、香港でもそんなのを来ている人は見たことがないと絶賛された)と短パン、ジョーリ履きでモノレールに乗り(8割が観光客)、パレットくもじの9階に上がった。

200席くらいあるが、観客は30人ほどだった。

医療を市場原理主義にまかせたらこうなるという、典型的な内容である。

アメリカには年金制度があり、リタイヤしたらフロリダのビーチリゾートで悠々自適の生活をおくっている、うらやましいだろうという話があった。

それがいつのまにか、年金どころか、医療費が払えない。払える人でも民間の保険に入っているからだが、なんと治療のメニューは保険会社が決めている。保険会社はなるべく保険金を払いたくないので、適切な治療なのに拒否するケースが多い、という驚く内容。これを公的な国民皆保険制度にしようとしたら「社会主義者だ」とか「医療水準が低下する」といって猛反発が業界・政界を中心に起こって、現状はますます悪化していった。

対して、イギリスやフランス、カナダでは医療費はただ。イギリスではなんと病院に行ったら交通費まで患者に支給されている。

で、医療水準は低いかというと、そんなことはない。

映画ではもう一つ感動的なある国の実例が紹介されているが、これは映画を見て、本当に感動して欲しい。

アメリカの医療と同じことが日本でも取り入れられようとしている。自己負担が大幅に引き上げられ、病院に行かない人が増えてきた。映画は未来からの警告である。マイケル・ムーアが実例を見せるまで、アメリカ国民でさえ世界の先進国の医療費がただであることを誰も知らなかった。日本人にとってはよけいビックリなのではないか。沖縄では9月14日まで上映している。ぜひ見てね。特に構造改革派にはおすすめだ。

え、わたし。わたしの場合は単純にこれまでの主張が正しかったことを再確認しただけだ。おかげでなんの疑問も持たずに素直に映画に感動して、涙まで流れてしまった。本当に面白かった。



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Posted by 渡久地明 at 20:39│Comments(4)デフレ脱却
この記事へのコメント
はじめまして。米国政治を勉強しているものです。
>マイケル・ムーアが実例を見せるまで、アメリカ国民でさえ世界の先進国の>医療費がただであることを誰も知らなかった。

これは全く違うのです。
古くは、なんと共和党のニクソン大統領が国民皆保険制度の導入を目指す法案を作った辺りから(これは、議会民主党の「不十分である」という批判で廃案になりました)、88年の民主党デュカキス、92年のクリントンと、国民皆保険制度の導入は争点になってきたのです。特に、92年の選挙では、<米国のみが先進国で国民健康保険制度が無い>という事実が知れ渡り、クリントンが勝った理由の一つはこの問題でした。

米国が怖いのは、この後、93,4年にクリントンの国民健康法案が潰された時に明らかになったように、むき出しの市場至上主義が、選挙に投票する層に受けてしまうことです。(保険の無い層=低所得者層=投票率が低い層)知らないから、ではなくて、知っているからこそ、米国経済の強さは欧州のような「福祉」政策を拒否しているからだ、という主張が通ってしまうところにあるのです。

日本社会が急速に米国の方向に走っているという懸念は、全く同感です。
長々失礼しました。
Posted by 佐藤学 at 2007年09月03日 08:05
>佐藤学さん

>古くは、なんと共和党のニクソン大統領(略)

ネタバレになるので、わざと誰も知らなかったと書いたのですが…。もちろん映画でも効果的にそのエピソードは挿入されています(よけいバラしたりして)。

>日本社会が急速に米国の方向に走っているという懸念は、全く同感です。

という専門家のフォロー、ありがとうございます。
Posted by 渡久地明渡久地明 at 2007年09月03日 18:15
>ネタバレになるので、わざと誰も知らなかったと書いたのですが…。
ご配慮に気付かず、余計な書き込みをしてしまい、申し訳ございませんでした。どうか、私の書き込みを御削除下さい。
私は93-4年の民間健康保険会社によるクリントン法案潰しキャンペインと、それが米国民に受け容れられた結果、94年の「共和党革命」に至った過程を目の当たりにして、米国社会の怖さが未だに心的外傷のように残ってしまっております。
Posted by 佐藤学 at 2007年09月04日 01:18
>佐藤学さん

クリントン法案つぶしキャンペーンを目撃したのですか。

国民=企業が儲かるためのインフラ、と見る国の典型的実例ではないですか。マイケル・ムーア、それをよく見ていて、アメリカの恥といっています。こんな仕事こそまねるべきなんですが、大手マスコミはどこもやらない。

日本でそれをいう人は抵抗勢力と後ろ指をさされたわけで、本当にアメリカが何でも一番、国家のお手本とみんな思いこんでいるんですね。
Posted by 渡久地明渡久地明 at 2007年09月04日 04:33
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