2008年04月10日
国民を騙すシミュレーション
政府の経済運営が間違い続けていると述べてきた。その根拠はまともな経済理論に基づくなら、デフレのいまは減税、公共事業の拡大、利下げを行うのが定石だからだ。高校の教科書にもそう出ている。景気の変動には様々な要因があるが、考えられるあらゆる要因を組み込んで経済モデルをつくり、コンピュータでシミュレーションするという方法で、現実経済の動きをかなり予想できるようになる。このようなモデルは民間・政府を問わずいくつもの経済研究所や研究機関が活用している。市販のソフトにも有力なものがあり、たとえば東洋経済新報社から出ているエコノメイトなどがよく活用される。また、日本経済新聞は日経NEEDSというモデルを持っており、これが現実経済をよく説明できることから、さまざまなシンクタンク、研究所で活用されている。
政府も独自にモデルを持っているわけだが、これもかなり現実経済を予想できる優れものだ。ところが、それをまともに使うと、構造改革が間違いだったということがばれてしまうため、最近になって内部をいじって、構造改革が正しいという細工をしていたことが発覚した。(下に引用)
このような細工をするということは、政府は自分自身が間違った政策を継続していることを自覚しているということに他ならない。
つまり、経済理論としては構造改革派間違いだが、間違いと国民に気づかれたら大変なことになる、政権を失う、仕返しされる、経済苦を理由に死んだ人が浮かばれない、という経済とは全く関係がないことを恐れて間違い続けているとしか考えられない。
こんなバカな政治は早くやめさせるべきである。このブログで何度も言及している「神州の泉」で小野盛司氏が内閣府シミュレーションの細工について詳述している。
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内閣府の試算と日本経済復活の条件(小野盛司)
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/04/post_bf88.html
(前略)
2005年の経済シミュレーションには、「構造改革を行わなかったら、こんなに経済が悪化する」という試算が添えてあった。構造改革の意義をPRしようとしたのだが、明らかに国民を騙す試算だ。確かに急激に経済の悪化する試算になっていたのだが、よく見ると実質長期金利が7%にまで上がるという前提になっているのだ。7%まで金利を上げれば、景気が悪くなるのは当たり前で、これは構造改革をやるかやらないかを試した試算ではなく実質、金利を上げればどれだけ景気が悪くなるかを示したにすぎなかった。
積極財政を行えば景気は良くなるが、すぐに金利が上がって、国の利払いが増え、財政が悪化するから、景気は絶対によくしてはいけないというのが、政府(内閣府)の論理だ。しかし、日銀が金利を抑えれば、金利は上がらず、財政も改善し続けるはずだと我々は政府を追及した。内閣府の試算に従うと確実にそうなる。これには、政府(内閣府)は反論できなかった。
そこで内閣府は驚くべき行動に出た。内閣府の経済モデルを自分たちに都合の良いように変えることだった。国民を更に騙し続けるため、内部の関数を変えてきたのだ。こんなことをすれば、どんな結果でも出せる。設備投資の関数と物価・金利の関係を示す関数をメチャクチャに変えてきた。結果はどうなったか。金利引き上げの影響に関するデータで言えば、2006年の試算では1年目の潜在GDPの減少幅が0.14%であったのに、2007年では0.01に減った。なんと14分の1にまで減らしたのだ。よくやるよと、呆れて物が言えない。ここまでやって国民を騙し続けるのかと怒りがこみ上げてくる。
つまり、2006年の内閣府のモデルでは、景気対策と金利に低め誘導で、景気は回復し、財政も健全化してしまうので、景気対策が悪いと言えなくなってしまう。そうするとそれまで行ってきた政府の政策が間違えていたことになるので、モデルを作り替えてしまったのだ。2007年からのモデルでは金利低め誘導の効果を激減させた結果、景気対策と金利低め誘導を行っても、財政健全化は最初の2,3年だけで、それ以後は財政が悪化すると主張し始めた。我々の追求が無かったらこのようなモデルの作り替えを行うことはなかっただろう。積極財政で財政が健全化することに、国民が気付かなければ、今までの政策が間違いだったことを隠し続けることができるのだから。
(後略)
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わたしも「神州の泉」に出張して小野先生の記事にコメントをつけたら、それに回答をもらった。ぜひ、一連のエントリに目を通して欲しい。
「脳死状態」と週刊誌に書かれている福田首相がなぜ政権にしがみついているのかは上のような事情があるからに違いないと思う。自分が間違っていたことが分かればさっさと謝って方針転換すべきだが、それができないのなら、倒すしかない。早く選挙やれ。本当に腹が立つ。役に立たない日銀総裁人事なんかどうでもよい。「かわいそうなくらい翻弄された」のは国民の方だろ。日銀総裁になれなかった人なんか、全然かわいそうくないよ。
なお、民主党が勝っても期待できないのであるが、いままで正統なことをいってきたのに、小泉政権以降、弾圧を受けてきた政治家、官僚、経済学者らが復権する可能性が少しでもあるなら、その方がズーッとよい。実際にこのままの市場原理至上主義では国民はますます不幸になると警告していた、真の愛国者と呼べる人たちがいくらでもいるのである。
政府も独自にモデルを持っているわけだが、これもかなり現実経済を予想できる優れものだ。ところが、それをまともに使うと、構造改革が間違いだったということがばれてしまうため、最近になって内部をいじって、構造改革が正しいという細工をしていたことが発覚した。(下に引用)
このような細工をするということは、政府は自分自身が間違った政策を継続していることを自覚しているということに他ならない。
つまり、経済理論としては構造改革派間違いだが、間違いと国民に気づかれたら大変なことになる、政権を失う、仕返しされる、経済苦を理由に死んだ人が浮かばれない、という経済とは全く関係がないことを恐れて間違い続けているとしか考えられない。
こんなバカな政治は早くやめさせるべきである。このブログで何度も言及している「神州の泉」で小野盛司氏が内閣府シミュレーションの細工について詳述している。
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内閣府の試算と日本経済復活の条件(小野盛司)
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/04/post_bf88.html
(前略)
2005年の経済シミュレーションには、「構造改革を行わなかったら、こんなに経済が悪化する」という試算が添えてあった。構造改革の意義をPRしようとしたのだが、明らかに国民を騙す試算だ。確かに急激に経済の悪化する試算になっていたのだが、よく見ると実質長期金利が7%にまで上がるという前提になっているのだ。7%まで金利を上げれば、景気が悪くなるのは当たり前で、これは構造改革をやるかやらないかを試した試算ではなく実質、金利を上げればどれだけ景気が悪くなるかを示したにすぎなかった。
積極財政を行えば景気は良くなるが、すぐに金利が上がって、国の利払いが増え、財政が悪化するから、景気は絶対によくしてはいけないというのが、政府(内閣府)の論理だ。しかし、日銀が金利を抑えれば、金利は上がらず、財政も改善し続けるはずだと我々は政府を追及した。内閣府の試算に従うと確実にそうなる。これには、政府(内閣府)は反論できなかった。
そこで内閣府は驚くべき行動に出た。内閣府の経済モデルを自分たちに都合の良いように変えることだった。国民を更に騙し続けるため、内部の関数を変えてきたのだ。こんなことをすれば、どんな結果でも出せる。設備投資の関数と物価・金利の関係を示す関数をメチャクチャに変えてきた。結果はどうなったか。金利引き上げの影響に関するデータで言えば、2006年の試算では1年目の潜在GDPの減少幅が0.14%であったのに、2007年では0.01に減った。なんと14分の1にまで減らしたのだ。よくやるよと、呆れて物が言えない。ここまでやって国民を騙し続けるのかと怒りがこみ上げてくる。
つまり、2006年の内閣府のモデルでは、景気対策と金利に低め誘導で、景気は回復し、財政も健全化してしまうので、景気対策が悪いと言えなくなってしまう。そうするとそれまで行ってきた政府の政策が間違えていたことになるので、モデルを作り替えてしまったのだ。2007年からのモデルでは金利低め誘導の効果を激減させた結果、景気対策と金利低め誘導を行っても、財政健全化は最初の2,3年だけで、それ以後は財政が悪化すると主張し始めた。我々の追求が無かったらこのようなモデルの作り替えを行うことはなかっただろう。積極財政で財政が健全化することに、国民が気付かなければ、今までの政策が間違いだったことを隠し続けることができるのだから。
(後略)
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わたしも「神州の泉」に出張して小野先生の記事にコメントをつけたら、それに回答をもらった。ぜひ、一連のエントリに目を通して欲しい。
「脳死状態」と週刊誌に書かれている福田首相がなぜ政権にしがみついているのかは上のような事情があるからに違いないと思う。自分が間違っていたことが分かればさっさと謝って方針転換すべきだが、それができないのなら、倒すしかない。早く選挙やれ。本当に腹が立つ。役に立たない日銀総裁人事なんかどうでもよい。「かわいそうなくらい翻弄された」のは国民の方だろ。日銀総裁になれなかった人なんか、全然かわいそうくないよ。
なお、民主党が勝っても期待できないのであるが、いままで正統なことをいってきたのに、小泉政権以降、弾圧を受けてきた政治家、官僚、経済学者らが復権する可能性が少しでもあるなら、その方がズーッとよい。実際にこのままの市場原理至上主義では国民はますます不幸になると警告していた、真の愛国者と呼べる人たちがいくらでもいるのである。
Posted by 渡久地明 at 22:39│Comments(2)
│デフレ脱却
この記事へのコメント
民主党がいいっ!という状態では無いけれど外に選択肢がない・・・毎回思いますがアメリカの大統領の予備選の盛り上がりが羨ましいです・・・
Posted by kojaking
at 2008年04月11日 11:58

>kojakingさん
小沢さん、菅さん、枝野も全然ダメですな。
小沢さん、菅さん、枝野も全然ダメですな。
Posted by 渡久地明
at 2008年04月11日 18:20
