てぃーだブログ › 渡久地明の時事解説 › デフレ脱却 › PB先送り、麻生太郎のまともな経済政策

2008年08月06日

PB先送り、麻生太郎のまともな経済政策

 麻生さん、ナチス発言が騒がれているが、経済政策はまともなことをいっている。

 朝日新聞電子版(2008年8月5日23時3分)から、経済部分を抜き出して、はっておく。

 わたしの従来の主張とほぼ同じだが、財政出動をしない景気刺激策という手口(下線部)でお茶を濁してはいけない。財政は出動すべきだ。財政出動した分は景気回復後の自然増収で回収されるのだから、実際には実質マイナス金利での融資とほぼ同じになる。

 景気が悪いときにカネを借りろと言っても、金利ゼロでも実質金利はドーンとのしかかるので借りる人はいない。そのことは分かっているはずだが。

 いまなら国民全部に一律30万円を配るといったバラマキの減税策がよい(=丹羽春喜教授の政策提言。財源は通貨増発)。それによる消費で特定の業種に偏らない広範な需要が喚起されるからだ。それで需要が回復しなければ、さらに30万円を配るということをくり返せばよい。

 ——当面の緊急課題の景気対策について、具体的にどのような政策をまとめますか。

 昨日、総理の方から与謝野経済担当大臣にバラマキはダメ等々の話があって、とにかく経済構造改革につながるようなものにしてという話も出た。財政再建っていうものをやりながら何とかするということになると、かなり手足が縛られる。少なくとも景気対策が優先されてしかるべきだ。今の状況は。個々は優先順位は景気対策が先だ。

 経済成長率は名目で2%近いような数字が出てたけど、そんなことないね。間違いなく1%切るくらいの数字になってくる。そういった意味では、財政再建をやるために増税するとかは、なかなかしにくい。財政を出さないで景気を刺激する手口はいくつもあって、例えばかつて中小企業への特別融資ってのをやったじゃない? あれ20兆だったっけな。あの時は政調会長だったんだ。膨大な予算を使ったバラマキとは全然違う問題なんじゃないかな。

 ——5日午前の記者会見で、2011年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化するという財政再建目標の達成は「難しい」と言及しました。

 目標は堅持すべきだ。状況としては、今の経済情勢は前より難しくなっていると思いません? 経済知っている人なら、だれでもそう思っていると思う。だったらPBを優先させるために景気がさらに悪くなるというのは、とるべき選択じゃない。むしろ景気対策が優先されてしかるべきだ。GDP(国内総生産)の名目(成長率)で2〜3%が続けば世の中もなんとなく上向いてきたなというのが分かる。数年、2〜3年。その上で改めてという話にするのが順番なんじゃないかね。

 預貯金は増えて、企業に対する銀行貸し出しは減って、政府が国債を買わなくなれば、たまったカネは間違いなくデフレ圧力になる。財政再建は引き続き堅持するのは当然だと思うが、11年度までにというのは一つの手段であって、好景気でもない時に安易に(財政再建目標達成のための)増税をやると、どういうことになるか。

 ——目標達成を11年度から数年後ろにずらす選択肢は今後ありますか。

 よく協議しなくちゃいかんところでしょうが、選択肢としてあるでしょうね。

 ——小泉元首相が掲げた国債発行を30兆円以下に抑制する方針にこだわる必要はありませんか。

 今の状況で「政府が30兆円を借りた結果として日本は大恐慌を免れた」ということを言ってている人はいないけど、あと何十年かすると歴史学者や経済学者がたぶん言うんだと思う。あの時30兆円借りていなければ、日本は不況どころか大恐慌になっていたんじゃないか。借入金だから少ない方がいいのは間違いない。しかし、民間の資金需要が全然起きない状況が続くんであれば、どっかの形でたまる法人預貯金をどっかで使うことを考えない限りは縮小均衡にならざるを得なくなる。(30兆円枠には)全然こだわらない。

 2万円財布にあれば「2万円しかない」と思うか、「2万円もある」と思うか。同じ2万円の絶対額は同じでも気分が違うのと同じで、先行き不安が一番ダメなんだ。不満はエネルギーになるが、不安はエネルギーにならない。先行き不安ということになれば、年金の話やら何やら全部かんでくる。キチンとしたものをやる姿勢が大切かな。

 ——政府は、現在の景気状況について「踊り場」という認識を示しています。

 踊り場じゃないな。数字が出てきたら、オレは「景気後退になっている」と言うと思う。景気は後退している。東京にいるとあまりピンと来ないけど、地方に回るとやっぱり景気後退していると思いますね。



同じカテゴリー(デフレ脱却)の記事
MICE債の発行
MICE債の発行(2017-09-26 00:35)


Posted by 渡久地明 at 02:00│Comments(0)デフレ脱却
この記事へのトラックバック
 派遣社員から寄せられる様々な苦情のなかで、女性派遣社員に特有の問題となっているのは、セクハラの問題や妊娠・出産に伴う育児休暇習得...
増える女性派遣社員へのセクハラ【巨大派遣会社と戦うドンキホーテのブログ】at 2008年08月06日 14:05
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。