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2009年09月07日

普天間基地問題が動きそうだ

 民主党はこれまで、鳩山由紀夫代表の発言や沖縄ビジョンのなかで明快に沖縄基地の国外移転を主張してきた。

 また、今年の二月には小沢一郎代表(当時)の(将来的には)軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンス(存在)は第七艦隊で十分だ、という発言があった。

 小沢氏の発言に自民党は猛反発したが、直後に軍事ジャーナリストの神浦元彰さんは「明らかに小沢氏の論が日米の安全保障を知り尽くした軍事論を感じる」「陸軍・空軍・海兵隊を日本から撤退させることは、米国こそが日本に求めている二十一世紀型の戦略転換なのである」と解説していた。
 
 ちなみに、沖縄の海兵隊は第七艦隊隷下にあり、第七艦隊と一体。陸軍は日本国内にもともと司令部と兵站部隊が主体に1000人しかおらず、戦闘部隊はほとんどいない。空軍もグアムを拠点にすれば沖縄まで一ッ飛びであり、嘉手納に常駐する必要性は薄れている。航空自衛隊が最新鋭の機体を揃えれば空軍の肩代わりも可能だ。海兵隊は2014年までにグアムに撤退するといっているのだから、ほっといても2014年には限りなく第7艦隊だけと同じになる。

 神浦氏は民主党の新外相に岡田克也氏が内定したことを受けて「(新基地)問題を日米間で話し合う最適の布陣」「普天間基地代替えの新基地建設は…グアムかハワイに移転する可能性が高い」「(米は)キャンプ・シュワブ沿岸基地建設はすでにあきらめていると思う」というところまで軍事を研究しておれば、読めるといっている。

 米には日米同盟は同盟そのものの目的が重要なのはもちろんだが、同盟を利用して商売をすべきだという勢力の層も厚い。オバマさんが一掃するといっているロビーストたちのことである。わたしもワシントンを取材した際、同盟で商売をすることを熱心に、もちろん善意ですすめられたことがある。

 ボクシングで言えば、アメリカから出てくる同盟関連の民主党批判は、まさに同盟を商売に利用しているシンクタンクなどから出た軽いジャブである。こんなのは痛くもかゆくもない。

 本日の読売新聞にこんな記事がある。
普天間代替施設、米が沖合移動に応じる方向

 【ワシントン=小川聡】沖縄県の米海兵隊普天間飛行場移設問題で、米国防総省が名護市キャンプ・シュワブに建設する代替施設を巡り、仲井真弘多・沖縄県知事が求める沖合側への「軽微な修正」に対し、条件付きで応じる方向で検討を始めたことがわかった。

 複数の日米関係筋が明らかにした。

 2014年の移設完了期限に支障を生じさせないことが条件。移動距離は沖縄県環境影響評価条例で手続き途中の修正が認められる約50メートル以内で、これをできる限り短くしたい意向だ。

 米政府はこれまで日本政府に対し、現行計画案で沖縄県から協力を得るように求めてきた。しかし、県外移設などを求める民主党政権が近く発足することを踏まえ、現計画の遂行のためには、沖縄県の意向に配慮する必要があると判断したようだ。

 仲井真知事は「早期の普天間返還のため、現実的な対応が必要」として、民主党に同調はせず、キャンプ・シュワブ沿岸部への移設を求める立場を変えていない。

 一方、米政府は「米国は、普天間の代替施設を日本政府と再交渉するつもりはない」(8月31日のケリー米国務省報道官発言)としているが、「軽微な修正」は日本国内の環境影響評価の手続きの中で行うため、「日米合意の変更にはあたらない」(関係筋)という。

 代替施設を沖合側へ50メートル移動する案は、2008年に当時の福田内閣が米側に打診したが、国防総省が拒否した経緯がある。(2009年9月7日03時07分 読売新聞)

 これから試合が始まるわけだが、手のひらを返したような反応である。
 
 国民の圧倒的な支持を受けた民主党の考えを米も重視せざるを得ない。国民の支持を得ていた自民党がそれをやらなかったところに問題があった。アメリカが教えているように、自民党自身が同盟で商売をしていた、またはそのような勢力とのつながりが深すぎたということだけだろう。



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Posted by 渡久地明 at 19:24│Comments(0)返還基地の跡利用
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