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2005年09月03日

沖縄タイムスの社説、痛いなあ

8月30日に「公共投資は減るから業種転換? 知識人ほど間違える」http://toguchiakira.president-blog.jp/e482240.html

を書いたが、その間違っている知識人の実例が、沖縄タイムスの8月21日の社説だ。追記欄に引用しておくので確認して欲しいが、ここで述べておかねばならないのは、

いったいなぜ、マスコミは政府の手先となり、間違った政府の方針を読者に押し付けるのかということだ。

しかし、答は簡単。洗脳を受け入れてしまい、頭が悪いからそれから脱却できないということだ。その洗脳はマスコミ自身が自分でやってきた。

無駄を省けというマスコミのキャンペーンはもう30年以上前から毎日、新聞やテレビで展開されてきた。

30年以上前から続く巨大キャンペーンであるから、最近の若い人は(おっと、建設大手の社長達でさえそういう人がいるのでビックリだが)みんな無駄を省こう、政府支出を減らそう、公共工事は悪という観念に染まってしまった。特に公共工事は、利権やスキャンダルとセットになって批判され、ときどき汚職事件もあって、悪のイメージとなって袋叩きにあう。

しかし、汚職が悪なのであって(悪いやつは従来通りひっつかまえればよい)、公共工事に罪はない。戦後の公共工事は失業対策事業といわれた時期があり、失業者の多い地域に厚く手当されたように、社会資本を整備しつつ、国民をフルに活用するというハートのある政策でもあった。その後、失業対策でははたらくもののプライドを損ねるため、公共事業一本に言葉が統一される。もとをたどれば公共工事は国民を豊かにするための事業である。この意味から、最貧県の沖縄での公共工事は正しい政策である。

しかし、日本中で公共工事が悪であるとの大合唱が始まると、沖縄の知識人の間にもこれが伝染する。知識は瞬時に日本中を駆けめぐるが、最貧県からの脱出という現実問題の解決には数十年かかる。そして、われわれが最も重視しなければならないのは目の前に起こっている問題を解決することである。

問題とは、失業率全国一、所得最低県、社会資本不足(空港、港湾、道路、ダム、上下水道、基地撤去、廃棄物処理施設、長期的に低迷している児童生徒の学力不足などきりがないが)である。

知識は知識として、持っておいて良いが、日本中の風潮に付和雷同するための知識でなく、目の前の現状を解決するために使うべきであろう。そのためには、抵抗勢力とか古いとかいわれても失業対策の公共事業はまだしばらく沖縄には必要であるといわざるを得ない。そして小泉改革が間違いであることを正しく批判しなければならない。

そして、このようなことに早く気が付くべきなのもまた、知識人達であろう。正統な経済学では、政府の赤字は、経済を成長させるためなら全く問題にする必要がないことが、正しく示されている。マスコミはその先頭に立つべきなのだが、下の社説は痛い。痛すぎる。

昔は、新聞は政府の方針など片っ端からかみついたのだが、いまではすっかりポチになってしまった。30年かけて無駄をなくせという根拠薄弱なキャンペーンを張ったら、その通りにするといって、政権の座に着いてしまった首相を守るという、番犬に成り下がってしまった。バカの見本の証拠として引用しておく。続きを読む必要はない。

社説(2005年8月21日朝刊)

[建設業の挑戦]

体質強化と戦略再構築を
 厳しい経営環境が続いている県内の建設業界に、新分野進出の動きが出ている。琉球銀行経済調査室が本紙連載でその一端を紹介したが、構造転換という業界の新たな挑戦がさらに広がることを期待したい。

 新分野進出の背景には公共、民間ともに建設投資額が減少する中で、業者数は増加基調を維持し、市場の需給バランスが著しく崩れている業界の事情がある。

 建設業は就業者数が約七万四千人という県内主要産業の一環だ。現状のままだと淘汰企業が続出し、多くの失業者が生まれるなど、県経済に深刻な事態を引き起こすことが懸念される。

 国や県が新分野進出への支援策を打ち出した理由もそこにある。

 ただ、琉銀調査で明らかなように、現実には構造転換がうまくいったケースはまだ一部でしかない。

 下請け中心に受注している多くの企業にとって、新分野進出の必要性や緊急性を痛感はしても、「取り組みたくても取り組めない」のが本音だろう。

 進出を考えていない理由として挙がったのは「建設業の維持・強化が重要」「他分野でも競争が厳しい」「投資リスクが大きい」「情報・ノウハウの不足」「資金面の問題」など。

 逆に言えば、これらの面で課題と不安を抱えているということになる。

 本業強化は当然だが、本業だけで生き残れないとなると、“次善の策”として、リスクを犯してでも、構造転換を考えねばならない状態まで県内業界は追い込まれている。

 行政側は中小零細企業であっても新分野進出が可能になるような、融資制度や助成制度、情報提供、人材育成など、より踏み込んだ、丁寧な支援策を講じる必要があろう。

 同時に、企業には積極的な情報収集や人材育成、資本の蓄積などを通した経営体質の強化と経営戦略の再構築を求めたい。

 新分野進出に成功した企業の多くが、一貫して自助努力を続けていることを忘れてはなるまい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20050821.html#no_2

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御用 Major Newspaper【Э 夏の月 Э】at 2005年09月30日 22:24
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