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2013年06月08日

「円安で県内畜産危機」????

本日の琉球新報、一面トップ見出しがこれ。丁寧なグラフがある(下)。準トップは「NY円一時94円台」、経済面に「円急騰 アベノミクスに失望感」がある。

「円安で県内畜産危機」????



しかし、グラフを見ただけで06年10-12月は今よりもっと円安だったはずなのに、配合飼料価格の農家実質負担額は42700円と今の60650円よりずっと少ない。負担増はホントに円安が原因か? 記事にはもともとトウモロコシなど飼料の価格が上がっていること、12年度は米の干ばつでトウモロコシ価格がさらに高騰。そこにアベノミクスの円安の影響という。何のことはない円安の影響より、飼料価格そのものが上がっていることが農家の負担増の大きな要因である。

1997年以降の1ドル当たり円は下のグラフの通り(シャドーは景気後退期)。

「円安で県内畜産危機」????



新聞のグラフにある農家の負担が低かったという06年10−12月の一ドルあたり円は

2006/10 118.59
2006/11 117.33
2006/12 117.26

最近の円は

2013/03 94.73
2013/04 97.74
2013/05 101.01

と06年のほうがずっと円安。

JA沖縄が県に対し農家への支援を要請するというが、円安以外のトウモロコシの値上がり要因(天候不順、トウモロコシのバイオエネルギー転用)をなくすための要請が先だろう(かなり難しいのはわかる。特にトウモロコシの燃料利用というのは間違いだ。食うべき)。少なくともアベノミクスの円安で農家が苦しいという言いぶりならアンフェアである。輸入飼料より安く効果的に県内で作る方法があるので、そのためのインフラを整えて欲しいというなら支持するが、記事からはそれは読み取れない。どんな要請になるのか、大変興味がある。

ついでに、本日の沖縄タイムス3面は「アベノミクス失速/市場失望『無策』の批判」と新報経済面より大きな扱い。もっとドンドン市場にマネーを投入しろというのならわかるが、政策が失敗したかのように疑うとは、とほほ。まあ、共同通信の配信そのままなんだろうが、大きく扱うセンスが問題。



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Posted by 渡久地明 at 10:36│Comments(0)デフレ脱却
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