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2005年11月15日

世論操作の結果

世論調査はマスコミの世論操作がどの程度うまくいっているかどうかを、マスコミ自身が確認する作業である。

小泉構造改革がいい例だ。世論調査で最も高い数値が出たものを政策として採用していけば、内閣支持率は高まる。

日本は長い間、マスコミが政府を批判してきた。典型的な実例が、税金の無駄遣いとか、財政赤字は悪だという観念だ。その批判に国民は日頃のうっぷんを晴らし、ガス抜きをしてきたのだった。しかし、経済学では財政赤字は悪ではなく、無駄とは大量の失業がある状態=働ける人が働いていない状態=今のようなデフレ、恐慌のことである。だから、デフレを脱するためには政府が国債を発行したり、赤字を出したりすべきだという正しい処方箋がある。

これまで、政治は力があったため、マスコミや世論の批判を受け流したり、跳ね返すことが出来ていた。だが、政治が力を失ってくると、マスコミの批判を丸飲みする政治家が現れた。小泉政権である。人気はあるが、経済政策はとんでもないことになった。しかし、国民もマスコミも長年の思いこみが小泉政権によって実現されようとしているように見えるので決して回復しない「痛み」に耐えている。

結果、さらなる増税、政府のサービスの民間企業への払い下げがどんどん進み、カネはカネがあるところにどんどん積み上がる。GDPは僅かな伸びか、横這いのままだ。GDPが横這いとは企業全体の売上は増えないから景気は回復せず、国民全体の所得は増えないからものが売れず、全体の生産も増えないのである。(一部国民の所得が増え、一部企業の売上が増え、一部企業や国民の消費が増えることはある。)

GDPが増えないままで、大企業の業績が改善したり、富豪が表れるということは、中小企業や低所得者はますますたち行かなくなっているということである。

これが、長年の政府批判をそのまま実行した結果である。正しいことを述べた政治家は抵抗勢力という悪人にされてしまった。

同じことが沖縄基地に対しても言える。長年の反基地闘争、運動は思考のワンパターンをつくり出した。この運動は正しかったと思う。また、これからさらに先鋭化させなければならない時期も来ると思う。しかし、今はそうなのか。そして、世論調査をしたら、マスコミが操作したとおりの結果がでてきたというわけだ。


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Posted by 渡久地明 at 21:47│Comments(0)マスコミ評論
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