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2006年01月14日

北朝鮮の経済特区化

 以下は100%わたしの豊かな空想力の産物である。
 
 金正日が中国のシンセン、珠海などの経済特区を視察している。なぜいまごろ中国の経済特区かということになる。
 
 わたしはかねてより、南北朝鮮統一は香港・マカオ型の統一が適当であると考えてきた。北朝鮮は国境はそのまま残して韓国の経済特区として統一の第一段階を踏み、その後、経済力が対等に近づいたところで国境を取っ払うのが最も混乱が少ないであろう。
 
 東西ドイツ、あるいは沖縄返還のような統一では、韓国が持たないだろうと見るからだ。
 
 東西ドイツの壁を取っ払っての統一は、旧西ドイツの富を旧東ドイツに分配する形となり、ドイツの国力を停滞させたと見ている。いきなり、長年の悲願であり、同胞であるからといって、民主的に国土や経済を統一した新しいドイツにとって、旧東ドイツが重荷になった。しかし、ベルリンの壁の崩壊は突発的であり、準備の時間がなかったから致し方ない。
 
 同じ統一の形は沖縄返還である。これは返還といっているため、東西ドイツ統一とは異なる部類の話のように見えるかも知れないが、制度の違う沖縄に、ある日から突然、日本の法律を適用したのであるから、本当はドイツ統一に似ているのだ。
 
 沖縄統一の場合は経済大国日本に対して、人口比でわずか1%の沖縄県民であること、海に囲まれた島であるという天然の境界線があったから、日本経済を混乱に陥れるということはなかった。(沖縄自体は相当混乱して今でも解決していない問題があるのだが、別に述べる)
 
 ところが、これと全く別の形態の統一が香港・マカオで行われた。中国の一国両制である。
 
 中国は香港が返還されるのを見越して、1980年初頭、香港に隣接する珠海、シンセンを経済特区にして、香港・マカオとの間にショックアブソーバーのような地帯を設けた。この地域を当の中国、香港はもとより世界中に開放して、投資を受け入れ、資本主義を取り入れた。香港→シンセン→中国内部と境界線を2段階で変化させた。これによって、初期に混乱はあったものの、香港に流れ込む中国人を制限するのに成功した。国境を残し、中国人は観光客として香港にいま殺到しているが、香港に住み着くことはできない。
 
 結果として、シンセンが大都市化し、香港と両立した。中国が十分豊かになったところで、香港との国境をなくせば統一は成功である。この期間、50年を中国政府は保証している(ハワイのアメリカ統一も50年の特別な期間を設けている。沖縄の復帰特別措置は34年が経過したところである)。ただし、中国の経済特区は上海、泉州、厦門、海南島などいくつもあり、香港統一だけを念頭に置いたものではない。
 
 南北朝鮮統一も、両国民の長年の悲願だからといって、国境をなくすと韓国が持たない(国境を残しておかないと貧しい北朝鮮難民が韓国に殺到し、混乱する。ただし、観光客は自由に北朝鮮に入れるようにすべきだ)。しかし、香港方式で、北朝鮮を全部経済特区にして、世界に開放すると、低賃金の良質な労働者を活用できることから、シンセン・珠海のように投資が集まり、安いコストで短期間に成長させることが可能だ。カネは日本や韓国が出し(北朝鮮が豊かになったところで集金すればよい)、アメリカも参入するだろう。中国は食糧を供給する。その後、国境を取っ払えば平和的に南北は統一できる。期間は50年くらいか。
 
 このような統一を計画できるのは、香港統一を成功させた中国だろう。中国が韓国にマスタープランを提示する可能性もあるだろう。韓国も経済特区は釜山などで実験済で、お手の物だが、南北統一では中国の協力はどうしても必要になるだろう。
 
 というわけで、南北朝鮮統一は北を韓国の経済特区とする方式がベストだろうと思っていたが、ひょっとしたら中国との統一、中国の経済特区となる可能性もあるかも知れないと最近、考えるのである。
 
 昨年来、高麗は中国の一地方だったという中国側の説が出ていたが(もっと昔からそのような説があっただろうが)、中国による北朝鮮統一は今の金正日さえ丸め込めば何とかなるわけだ。その交渉が始まっているのではないか。中国は消滅した王朝の王族などの扱いにも慣れている。
 
 北朝鮮の経済特区化、開放の時期をもし握ることができたなら、中国は2000万人の北朝鮮労働者を活用し、莫大な利益を得る。ベストタイミングで実行に移す時期を計画しているかも知れない。そのための準備もいますすめておく必要がある。
 
 一国両制を成功させた実績は大きい。金正日の中国経済特区視察はこんな意味もあるのではないか。北朝鮮、相当弱みが入っているのか。


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この記事へのコメント
北朝鮮の経済特区化、おもしろい発想ですね。
確かに同胞だからといって南北統一を図ってしまったら
北朝鮮からの労働者が韓国になだれ込み
韓国の経済体力では持たないでしょうね。
政治的に歩み寄れないのであれば、
打開していく手はないのでしょうかね。
Posted by 中里智英子 at 2006年01月14日 19:55
ありますよ。わたしの空想の線で、中国が決めるでしょ。
Posted by 渡久地明 at 2006年01月14日 20:39
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