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2006年06月23日

テポドンなんか飛ぶもんか

日本の人工衛星も何度も打ち上げに失敗している。何十回も飛んでいるスペースシャトルチャレンジャーでさえ打ち上げに失敗することがあるのに、練習した気配もない北朝鮮のテポドンが飛ぶわけがないだろう、と思う。

思う、というだけでは根拠レスの無責任発言になるが、今日の沖縄タイムスにはこんなのがある。

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テポドン 程遠い「実用レベル」 核弾頭搭載なら脅威

北朝鮮が発射準備の動きを見せている長距離弾道ミサイル「テポドン2号」は、米アラスカ州にも届くとされ、日本は懸念を強めている。だが、軍事的有効性は核弾頭などを大気圏に再突入させ、目標地点に着弾させることができるかどうかにかかっている。専門家の間では「実用レベル」にはほど遠いとの見方が強い。(本文略)

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ま、火をつければ爆発して飛ぶかも知れないが、どこに落ちるか分からない花火のようなものだ。

この他、グーグルでテポドンと入れてみると、トホホのニュースだらけである。

★【テポドン2号】米前国防長官「発射基地を爆撃せよ」 朝鮮日報 - 10時間前

★テポドン準備そのままに…金総書記が訪露? 韓国紙報道 産経新聞 - 10時間前

★テポドン不安だけど…、いつもの海へ 県内漁業者「食べられない方が大変」 北國新聞 - 18時間前

★【テポドン2号】北、99年にも発射準備後に撤去 朝鮮日報 - 2006年6月21日

★北朝鮮ミサイル、99年は発射台に50日・韓国メディア報道 日本経済新聞 - 22時間前

★【テポドン2号】「北に人工衛星の技術はない」 朝鮮日報 - 2006年6月19日

★日本の技術で極秘製造か テポドン2号

 【ソウル20日共同】韓国紙、中央日報は20日、北朝鮮が発射準備を進めているとされる長距離弾道ミサイル「テポドン2号」が、日本の技術を使って平壌に近い南浦近郊の軍需工場で極秘に製造され、5月初めに咸鏡北道花台郡のミサイル発射台に移されたと報じた。

 情報筋などによると、ミサイルに使われた電子部品は平壌の半導体工場で生産。電子部品の大半は、日本の部品と技術を基につくられたという。

 移動は大型トレーラーで偽装工作をして行われたが、日米の衛星が追跡、発覚したとしている。

 韓国大手各紙は20日、韓国政府がミサイルを軍事用ではなく「人工衛星」と判断していると伝えた。朝鮮日報は、ミサイル発射が差し迫っているとの日米の報道は信頼できないと韓国政府が判断しているとも報じた。(2006年06月20日 10時53分)

★軍事評論家・惠谷治「テポドンは発射しても日本に落ちない」 BNN - 2006年6月20日

★【テポドン2号】悪天候で発射が遅延か ライブドア・ニュース - 2006年6月20日

(その他略)

軍事専門家の神浦元彰さんは

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今回の北朝鮮のミサイル発射準備の動きを、日本の諺(ことわざ)で何かないかと考えた。今朝、思いついたのは、「ヤブを突いて蛇を出す」である。北朝鮮としては軍事目的の弾道ミサイルの発射ではなく、平和目的の人工衛星の打ち上げ(あるいは準備段階だけも)で乗り切れると思った。何とかしてアメリカとの直接交渉を実現させ、アメリカの金融制裁を解除させたいと切望したのだ。これが動機で北朝鮮は「ヤブを突いた」ことになる。

 ところがアメリカは、北朝鮮がミサイル発射準備を始めた約1ヶ月前から動きを察知していながら、準備万端で北朝鮮の動きを注視し待ち構えた。そしてアメリカは北朝鮮が求めたヒル国務次官補の平壌訪問要請を無視をした。すると北朝鮮は組み立てたミサイル発射台でミテポドン2を組み立て始めた。これが北朝鮮が得意の瀬戸際外交である。

 この段階から、アメリカと日本は航空機(ミサイル発射監視偵察機)と艦船(ミサイル追跡艦やイージス艦)による監視を強め、メディアに北朝鮮がミサイル発射の準備を始めていることを公表した。その弾道ミサイルは新型のテポドン2で、アメリカに到達する可能性があるという説明も行った。この段階で「ヤブから蛇」が出てきたのである。それもこの蛇は1匹ではなかった。北朝鮮は「液体燃料の注入を完了した可能性がある」「注入完了を確認した」と、日米はガンガンと危機感を煽りだしたのである。

 さらに日本はもしミサイル発射が行われれば、”万景峰号の入港を止める”とか”日本からの送金を禁止する”という、北朝鮮として耐えられない経済制裁を行うことを宣言させてしまった。(日本政府は北朝鮮のミサイル発射に備え、万景峰号の入港禁止という手段を今まで温存させていた可能性もある)

 また、北朝鮮のミサイル発射は人工衛星の打ち上げであっても、弾道ミサイル(軍事目的)と同じ判断をするという日米が歩調を合わせた。北朝鮮にとってヤブの蛇は2〜3匹ではなかったのだ。日米当局は北朝鮮の弾道ミサイル発射は、99年の米朝のミサイル発射凍結、日朝平壌宣言(02年)のミサイル発射凍結、6カ国協議の共同宣言(05年9月)に違反する行為と、ガンガンと国際社会に北朝鮮の異常さを繰り返した。

 その結果、中国の外務大臣、ロシアのプーチン大統領が北朝鮮説得を約束し、国連の安保理では北朝鮮のミサイル発射の事前審議を行うという動きまで現れた。さらにオーストラリア、ニューランド、フランスなど北朝鮮と国交がある国までが、北朝鮮のミサイル発射に反対することを表明しただした。

 こうして北朝鮮の弾道ミサイル(人工衛星)打ちあげは、アメリカと日本の連携でねじ伏せられてしまった。すでに北朝鮮は6カ国協議への参加で”核兵器開発カード”は封印されている。今回のテポドン2騒動で北朝鮮は、弾道ミサイル発射(準備だけを含む)による威嚇も政治的に封じられることになった。

 もともと北朝鮮の弾道ミサイルでアメリカを威嚇することが無理だったのである。それが出来ると誤信して、ヤブの中にいた蛇を追い出してしまった。結果、北朝鮮は1枚しか残っていない手持ちの”弾道ミサイル発射カード”を失った。

 これが今回のテポドン2騒動に関する私の考え(分析)である。もしアメリカの情報機関が北朝鮮に罠を仕掛け、弾道ミサイルの発射を誘って行った謀略ならば、いつも私がいうところの挑発で”戦わずして勝つ”(孫子の兵法)のお手本となるだろう。

6月21日付 What's new?
http://www.kamiura.com/new.html

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と分析している。

北朝鮮は崩壊が近いと考えられていて、2008年の北京オリンピック前に北朝鮮問題は中国が引き金を引いて片付けるだろう、という見方があった。宜野湾市長が当選して5年以内に普天間基地を全面返還させると言っているが、偶然(?)08年が期限となっている。07年や08年に政変があると、残党によるテロなどでオリンピックにとばっちりがいく恐れもある。中国はそれは困るから、2年くらい前、つまり06年には北朝鮮問題を片づけるだろう。そのような動きがないので、北朝鮮は08年までは安泰かと思っていたのだが。わざわざ6カ国全部を敵に回してしまっている。その点が不思議である。別の目的があるのだろうか。本当にやぶ蛇で終わりなのだろうか。

こんな見方もある。9・11テロを予言した増田俊男さんは、北朝鮮はアメリカに協力してミサイル発射準備を仕掛けた、という。

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(前略)

1998年8月31日、日本の三陸沖の上空をテポドン1号が通過したが、実はアメリカの国益に大きく貢献した。当時小渕内閣は8月26日の閣議で、日米台で推進するTMD(戦略ミサイル防衛)基地選定のための調査費9億8千万円の拠出を却下した。中国との関係(承認すれば中国は猛反対する)を考慮したからである。TMD構築には総額5兆円に及ぶ大防衛予算を要する。アメリカは日本が調査費を却下したことはアメリカの最重要軍事戦略TMDに日本が乗ってこないものと受け止めた。私も当時米国の主要新聞で「日本、TMD脱退か?」の見出し記事を見た。アメリカにしてみると「TMDなしに対中軍事戦略なし」である。

北朝鮮はこうしたタイミングを逃さず、閣議の5日後テポドンを日本に向けて発射したのである。日本は大騒ぎになり、(今日のように)アメリカに情報を求めた。するとアメリカは「北朝鮮は日本に向けて軍事ミサイルを発射した」と報告すると同時に、TMD調査費を閣議で否認したことに遺憾の意を表した。あわてた小渕首相は9月2日の閣議で調査費を了承すると、アメリカは「あれは軍事衛星ではなく人工衛星の実験らしい」と言って来たのである。

米軍再編成の一環で国内外の米軍施設の統廃合費用でアメリカは日本に数兆円の負担を要求しているが、日本はなかなか応じない。今後TMDの5兆円の負担問題も目前である。北朝鮮の脅威に晒されていながら無感覚の平和ボケ日本に何が必要か、またアメリカの対日予算請求をスムーズに通すにはどうしたらいいのか?北朝鮮がアメリカの国益に資する最善の戦略、それが今回のテポドン2号発射である。アメリカにしてみれば対北金融制裁の効果がでてきたことなのだ。

増田俊男時事直言
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h18/jiji060620_362.htm

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このような使い方ができる北朝鮮ならアメリカは湾岸戦争とイラク戦争でフセインを2度使ったように、今後も使い道がある限り生かしておこうと考える可能性はある。日本に対して中国の脅威を煽って北朝鮮のようには使えない。

このような情報戦のまっただ中に沖縄基地の再編があった。改めて海兵隊の沖縄撤退にカッコを付けるためのV字型滑走路、ロードマップであり、日本にカネを出させてグアム基地を最新鋭化するゲームだったと考えた方が真相に近いのではないか。

(そのような証拠がないか、日米の関係者に酒をのませて白状させてみたいところだ。)


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Posted by 渡久地明 at 23:34│Comments(3)返還基地の跡利用
この記事へのコメント
私もそう思いますよ。
時間の問題だから、そんなにピリピリする必要ないと^^ヾ

いつも、万景峰号の出入りも間近で見てます(当日は朝から晩までヘリコプターが頭上を旋回するのにも慣れっこになりました)し、
拉致被害者家族会支援団体の人(車に鉈を放り込まれた)も近所に住んでます。
沖縄の平和団体の人(牧師)が以前に講演にやってきた時も、必死に語る姿が妙に現実離れしてました。

また、チマチョゴリ姿の女の子が普通に街を歩けるようになるといいな、と思ってます。
Posted by ふえきのり at 2006年06月24日 01:56
へ、鉈を投げ込む人がいるんですか。かえって対立が激化するだけではないですか。

北朝鮮脅威論に対する日本の反応は、

ハブにかまれたら死ぬからといって、そこら中にはいないのに、ハブを殺せと毎日棒を持って見回りをしているようなものですね。(沖縄でそんなコトする人いませんが)
Posted by 渡久地明 at 2006年06月24日 14:55
鉈を投げ込まれた晩は、近所中にものすごい物音がしたけれど、支持団体の内部抗争(現に今、分裂してます)だろうと、誰も北朝鮮の仕業とは思いませんでしたし^^;
実際に、そこまでする微力もないんですよ。
肩身の狭い思いをしている在日の方が、気の毒です。

>北朝鮮脅威論に対する日本の反応

アメリカの「過剰防衛」に仕方なく従わざるを得ませんでしょう?
(先日、私のもうひとつのブログURLが面倒臭いことになって、中国の業者の方にとてもお世話になりましたが、頭に血が上っている人は別です)
こちらにもご面倒をお掛けしては行けませんので、ここまでにします<(_ _)>
Posted by ふえきのり at 2006年06月24日 18:16
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