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2006年06月24日

大深度港湾のコンセプト

南北縦貫鉄道、那覇空港の沖合展開について、これまでの議論を振り返った。

しかし、最も重要なのはハブ港湾の建設である。これについては沖縄県貿易協会の崎原永広専務理事が明快なコンセプトを打ち出している。

かつて、つい20年ほど前までは、直接世界と渡り合っていた沖縄の貿易業者はどんどん少なくなり、大手商社が輸入を取って代わり、県内企業が仕入れるという形態が増えてきた。崎原さんのような主張は今後出てこなくなるかもしれない。しかし、大きな構想であり、将来にわたって有効であると思う。

簡単に要約すると、沖縄の港湾を構想するには、県産品の移輸出だけを想定しては貨物量が少なすぎて、ナンセンス(沖縄は貨物が出ないから大港湾は不要というのが、従来の政府のスタンスである)。しかし、沖縄沖を航行している国際標準コンテナ船が立ち寄れる大深度(水深15m)港湾を建設し、中継貿易を推進すれば、満杯状態となっているアジア各国の港湾の負担を減らすことができ、沖縄から各国の消費地に直接枝船を出すことによって、国際的な物流拠点となる。それによって、国内・近隣海外の輸送コストが削減可能だ。アジアの中の物流拠点としての港湾建設は国策として進めるべきである。沖縄には国際標準コンテナ船が寄港できる港湾がないため、米西海岸から沖縄への貨物は東京(韓国、台湾)で積み替えるため、東京までの運賃の2倍かか、物価を押し上げている。沖縄に移輸入される貨物の輸送料金も半分に落とせる。

長文だが、一部を引用すると、

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(前略)

ハブ港湾・ハブ空港が先決

 そこで、私の提案である。政府が、確実に沖縄のため、フーリートレードゾーン構想を推進するのであればまず、ハブ空港、ハブ港湾を基軸にフリートレードゾーン地帯を構築し、その地帯は現行の諸規制を完全撤廃し、自由地帯として発展させ、その成否をみて全県フリートレードゾーンに拡げる事がベターであると思う。

 資源の乏しい離島県である沖縄が、今後発展するためには地理的条件を活用する事が肝要であり、現在の国際化、スピード化、情報化時代において沖縄を中心とした一〇〇〇マイルから一二〇〇マイルの経済圏は世界に例のない大きなマーケットである事を自覚すべきである。

 その背後の大きなマーケットの人々への供給基地として、港に隣接して大倉庫群を建設し、沖縄を中心として枝船を出す事で、わが国の現在の陸上輸送のパンク状態を補完し、輸送コストの軽減に計り知れない貢献ができるものと確信している。

 太平洋、東支那海の深い海を擁する沖縄の港は、アセアン地域のどこの港より優れており、香港、シンガポールの港は大陸の大きなマーケットを背後に控えて海の輸送には便利だが、陸上輸送は交通渋滞のため満杯で、物流拠点としていま以上の役割を期待する事は無理である。

 港湾インフラは完璧だが、やはり陸上輸送には大いに支障を来している現状であり、これは日本本土の主要港である東京、横浜、名古屋、神戸その他の諸港においても例外ではない。

 ここで沖縄の特徴を発揮する場が生まれてくる。海上輸送で大量の品々を沖縄に受け入れ、これを小口海上輸送で本土の各地の港を始め、遠浅の中国沿岸地区及びアジア週辺地区の港へ運べば、それぞれの消費地に直送できる。海上輸送は一回に五〇〇〇トン以上も運べるが、陸上輸送は一回にせいぜい平均二〇トン程度で比較にならない。

 東京、横浜、神戸などは倉庫のスペースの問題または倉庫料が高すぎる、港湾インフラ整備、港頭地区は満杯状態であり、それに国内陸送はすべての面ですでに限界に達している。

 例えば、北海道や名古屋の製品を九州、四国、中国各地に陸送する事よりも、北海道、名古屋より、一括海上輸送で大量に沖縄に受け入れて、これを小口海上輸送に仕分けして九州、四国、中国各地の消費地に搬入する方が、物流コストも安くなり、陸上交通混雑の緩和にも役立つ事になる。
 
(後略)

《緊急提言》ハブ空港・ハブ港湾の早期実現と最近の全県FTZの動向について
http://www.sokuhou.co.jp/library/sakihara/sakihara.html

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港湾の話題は日常生活にほとんど出てこないため、このようなことを述べる人は非常に少ない。ぜひ、リンク先原文を一読されたい。


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