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2006年09月12日

佐藤優「沖縄のエゴが国益になる」

佐藤優は根っからの沖縄人であるようだ。顔も体型も沖縄らしい。話もうまい。

北方領土問題でロシアとやり合ったが、ロシアからの信頼も得ていた。

北方四島のもともとの住民はアイヌであり、この事実によって明快に北方領土は日本である。

沖縄は沖縄住民がいたからこそ潜在的主権という概念をつくり出して、それが沖縄返還の根拠となった。

沖縄戦の様子は本を読んだし、母親が石部隊とともに戦った経験があり、それを聞かされて育った。米軍の非道を知っていたし、日本軍については、追いつめられて沖縄人を傷つけた者もいたが、母親を身をもってかばった者もいたことも知っていた。

その沖縄人が抱く素朴な感情と同じものを北方領土の元住民は持っていると言い、驚くことにいま北方領土に住んでいるロシア人もスターリンの迫害を受けたこと(ほとんどのロシア人はスターリンからひどい迫害を受けているが)、中央政府や地方政府に対して不信感を持っている。

そして、北方領土の元島民と現島民は互いに話しが合うというのである。

北方領土の元島民は領土の確定で、いま住んでいる島民を追い出すことまではしたくないといい、その心は迫害を受けた人が最終的に持つ優しさだという。それを理解し、領土確定に活用しようとしたのが佐藤優で、鈴木宗男も完璧に理解した。同じ理解をロシアの有力政治家も持ったのだという。

北方領土を侵略したというスターリンの負の遺産を解決するのはロシア側にとっても得であるというところまで来ていた。

それをプーチン大統領に伝えるために沖縄サミットを準備し、最大限に活用したというのである。沖縄を見せることで、北方領土を解決した方がロシアにとってプラスになるとプーチンも理解するはずだ…。

北も南も国境の住民は「徹底的にエゴを通すことが、国益になる」というのが佐藤優のメッセージだった。

こういう話が主題だったと思うのだが、今日の新聞(琉球新報)を見るとおまけ的に話した「沖縄密約問題」が記事になっている。この話は「月刊現代」10月号に書いたので詳しくはそれを見てくれ、という話だったのに、おまけの話で、かつ、すでに活字になっているものが記事になるんだなあ。

ちなみに「現代」10月号の佐藤優の記事は沖縄密約がメインだが、根室の漁船が発砲され死者が出た問題で、このような問題が起こらないように当時の外務省と根室住民はある手を打っていて、漁船がちょっとくらいちょんぼをしても、ロシア側が発砲までできない仕掛けをしてあったことが出ている。その仕掛けが鈴木宗男の逮捕で無効になっていたと明かす(講演でも詳しく述べていたが)。

なお、「現代」10月号は立花隆が安倍晋三と対決しなければならないと宣言した記事があり、それも話題になっている。「現代」はアッという間に東京の書店から一斉になくなった、買い占めではないか、といううわさがあることを森田実さんが「おそろしい話」としてご自身のHPで紹介している。(沖縄の書店にはいま山積みになっている。あまり売れてないようだ)


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