てぃーだブログ › 渡久地明の時事解説 › 琉球の風(区別不能の原稿) › 回想する守護神(上)

2008年06月21日

回想する守護神(上)

まず、絵を見てもらいたい。

回想する守護神(上)



これは沖縄出身の画家、大嶺政敏(1912〜1994年)の代表作といわれる作品だ。

「大嶺政敏作品集」(1996年、(有)ぷろじぇくとT&R発行)の写真をスキャナで読み取った。(フォトショップで全体の雰囲気が写真に近くなるようレタッチした)

キャプションには

回想する守護神(沖縄戦)150F 1979年

とある。大作である。

現物は他の画家からの作品とともに平和祈念堂に展示してあり、絵葉書の売れ行きナンバーワンの、最も人気のある作品である。

この絵を描いた大嶺政敏氏の作品を含む特別展「情熱と戦争の狭間で」が、いま、県立博物館・美術館で開催されている。大嶺政敏の息子・大嶺隆さんを含む県関係画家の遺族5人が出るアートトークがあるというので、あとで見に行こうと思っている。大嶺隆さんはわたしの20年くらい前からの友人で、このほど老朽化した政敏の自宅を取り壊すに当たり、作品を売却する考えである。頒布リストには大作、小品を取り混ぜ27点が並んでいる。

「回想する守護神」について、作品集の解説にはこうある。

 沖縄をテーマとした「沖縄の石像」(53回春陽会展)、「沖縄の綱引」(54回)、「羽衣(銘苅子沖縄民話)」(55回)、「回想する守護神」(沖縄戦)(56回)、「沖縄の行事」(57回)、「貫花・長恩納節」(58回)、「女こてい節」(59回)、「情炎(伊野波節)」(60回)には3次元の絵画を、違った次元によって置き換える未知への冒険の意欲が滲み出ている。
 その中でも「回想する守護神」は、「土俗の活力ある」(読売新聞昭和54年5月2日夕刊)と評され、時間の流れを過去に引き戻し、戦争と平和のテーマを色彩と構図において表現しようとした意図において見事である。画面には沖縄のシーサー(獅子の神の石像)を中央に配置し、これを拝む老婆の向こうから、戦場を逃げまわる人々の姿が写し出され、背後の空は戦場の燃えさかる炎と人々の怨情や嘆き、悲しみなどを包含して赤黒く塗り込められている。
 この絵は、昭和53年10月1日に、沖縄県南部の摩文仁の丘に開堂した「沖縄平和祈念堂」の付属美術館に恒久展示されている。堂を管理している財団法人沖縄協会の吉田嗣延専務理事(当時)からの寄贈依頼に応えたものである。(「大嶺政敏作品集」の解説文「大嶺政敏 赤の到達と挫折」大嶺隆より)

 
売却するというなら代表作が欲しいところであるが、平和祈念堂に恒久展示されている。となると、いくらカネを積んでも誰かが手に入れることはできないわけだ。ところが頒布リストには840万円(6月20日現在)という最低頒布価格が記されているではないか…。買えるのか? (以下、数日後に続く)
(写真の掲載について、著作権者である大嶺隆氏の了承を得ています)



同じカテゴリー(琉球の風(区別不能の原稿))の記事
ヒューマンデバイド
ヒューマンデバイド(2023-07-01 04:12)


この記事へのコメント
沖縄で買い取る?という話ですか?県外流失はあってほしくない!!
Posted by kojaking at 2008年06月23日 19:02
>kojaking

ドラマチックな(下)にしようと思いつつ、書くのを忘れていました。

そのうちやります。すみません。
Posted by 渡久地明渡久地明 at 2008年08月21日 23:43
大嶺政敏氏のアトリエを今年で閉めるそうでお身内の方からご案内がきました。
「大嶺政敏のアトリエの閉鎖に伴い、この度最後の内覧会を下記の通り大嶺政敏のアトリエで開催いたします。この機会に是非、大嶺政敏の絵画に触れていただき、あなたの記憶の中に末永く留めていただければ幸いです。」
とのことです。暖かい良い絵なんですね。
開催期間:2009年2月2日(月)~2月11日(水)12:30~19:00
☆時間外のご来場については、前日にご連絡頂ければ対応致します。
場所: 大嶺政敏アトリエ 東京都練馬区旭丘2-7-4 
TEL03-3957-4419 (西武池袋線江古田駅から徒歩8分) http://seibinomine.art.coocan.jp/
Posted by くろきよ at 2009年02月04日 12:04
>くろきよさん

お知らせありがとうございます。今日の琉球新報夕刊にも記事が出ましたね。

<上>としてまだ<下>の種明かしをしてませんでした。リアル紙面には掲載してあるのですが、こちらにも早く揚げます。
Posted by 渡久地明渡久地明 at 2009年02月04日 17:57
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。