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2009年07月27日

景気回復は最大の格差対策(経済白書)

 6月24日発表の経済白書

(平成21年度年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)― 危機の克服と持続的回復への展望―平成21年7月、内閣府)
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je09/09p00000.html

の一番最後「むすび」に今回の経済悪化からの三つの問題提起として、次の記述がある。

 第一は、外需主導では駄目だ、これからは内需主導だ、という主張である。

 第二は、これからの経済では、政府がもっと前面に出ないといけないという主張である。

 第三に、雇用の保護、所得再分配による格差是正が重要だ、という主張である。
 
 「むすび」には上の三つしか出てこない。最重要課題だと強調しているものと思う。解決策は次のようなものだった。
 
 第一は「グローバル化に背を向けず、外需と内需の「双発エンジン」で回復を」、といっている。
 
 一見当たり前だが、とにかく悲惨な状態の国内を盛り立てるために、内需の回復を優先して良いのではないか。日本の内需が高まり、外国製品をどんどん日本が買うようになれば、外国の景気も良くなり、外需も回復する。わざわざ外需も、という必要はないのではないか。時間が立てば、結果としては双発エンジンになるわけだ。
 
 第二に対して、「金融監督のあり方を見直すことは緊急の課題であり、我が国も、国際的な協調の下で、こうした取組を進めていく必要がある。また、今回のような異例の需給ギャップ拡大を前にして、経済対策により景気を支えることは、政府として当然の任務である」といっている。(下線はわたし)
 
 景気回復が政府の当然の責務なのだと政治家にとって身近な政府機関がいっているのに、なぜそれを誰もやらないのか不思議だ。需給ギャップ40兆円以上と推計しているのだから、政府支出もストレートに40兆円としたらどうか。これは、落ち込みを元に戻し、乗数効果分は成長するという規模になる。自公の景気対策は真水15兆円しかなかった。乗数効果を入れても全然足りない。政党で40兆円規模の支出を行うべきだといっているのは、国民新党で、毎年40兆円の財政支出を5年間継続して行うといっている。これが正解に近いのではないのか。
 
 第三の答は、「失業は、賃金として受け取る所得がゼロであることを意味する。景気後退によって失業が増加すれば、それを加味した賃金格差は拡大、貧困率は上昇する。したがって、『景気回復は最大の格差対策』である、ということができる。また、就業形態の多様化は、需給のマッチングが効果的に行われる場合、失業を低下させる要因ともなる」、である。(下線はわたし)
 
 これの特に下線部には100%賛同する。何だ、日本は何をすべきかちゃんと分かっているではないか。すると再び、何でやらないのだという疑問が湧く。ひょっとして、2003〜06年頃の景気を絶好調だったと認識し、それに戻せばいいと考えているのだろうか。この程度の回復では、景気はいいとはいえない。
 
 この際、一人当たりGDP名目成長率10%×10年間(98年から現在まで減った給与を10年で取り戻し)、その後は5%成長の継続といった目標を示すべきではないか。ま、それは政治家の仕事で、報告書ではそこまで踏み込まない、でも方向性は示した。やるという政権が出てくれば十分バックアップできる内容になっているということかも知れない。
 
 本文280ページにわたる報告書であるが(全部は読んでないけど)、結論はかなり平凡、当たり前のことが書いてある(どうにでも読めるところがたくさんある。上の3つの答にもただし書き、なお書きがいくつもあって、焦点がぼやけている)、という印象だ。



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Posted by 渡久地明 at 22:43│Comments(0)デフレ脱却
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