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2012年08月04日

お笑いデフレ脱却論に活路

 お笑い路線でのデフレ脱却論がかなり広まってきた。大きな成果は、景気回復と完全雇用を目指すよう日銀法を改正せよというものだ。この他、インフレターゲットの導入、日本の経済破綻はあり得ない、人口デフレ論はバカ理論、消費税の税率を上げてもデフレ下では税収は増えないといったことが次第に多くの人たちに理解されてきた(最も大切なのは経済学者が言うレジーム転換ということのようだが、それについては別に述べる)。

 もともとマイルドなインフレ推進でデフレから脱却せよというリフレ派はインターネットを通じて賛同者を増やしてきた。経済学者の田中秀臣さんがこの十数年を振り返って、最初のデフレ脱却論は学習院大学の岩田規久男教授、中央大学の野口旭教授、亡くなったドラエモンこと岡田靖氏ら20人くらいだったと振り返る。そこに山形浩生氏らがノーベル経済学賞をとる前のクルーグマン教授の論説を日本に紹介、アメリカからの強力な援軍となった。

 一方、デフレ脱却策は政治であるから国会議員に働きかけなければならないと、日本経済復活の会など政治的なアプローチをとったグループがあり、この動きも国会に広がった。

 筆者も2000年頃から強くリフレ政策を意識、理解不能な様々な論文を読み、結局、大学の経済学の教科書を数ヵ月かけて読みかえし(教科書は古いものを持っていて、はじめて読んだ。なんで持っていたのかいまでも思い出せない。買った記憶も無いのに、書き込みがあった。誰かからガメたのか?)、納得。本業のコラム、このブログ(デフレ脱却のカテゴリ)、掲示板でカネを刷って国民に配れ、(いま考えたら足りないけど)100兆円規模の財政出動などを主張した…。

 いまのデフレと同じことは1930年頃の世界恐慌で起こった(その前にも世界中で何回も経験している。国内では江戸時代にもあった)。世界恐慌を真っ先に抜け出したのは日本で、その時の政策は高橋是清による通貨増発(国際の日銀直請け)と公共投資だった。この政策は効き目があり、後に高橋是清は引き締めに入ったのだが、暗殺される。その後に取られた引き締めではなく、一層の通貨増発と戦争であった(もちろん間違い)。

 戦後、経済学の教科書にはデフレ脱却の最も有効な政策として、通貨増発策が記述されるようになり、もはや世界恐慌のようなバカなことは起こりえない、というところまで来た。1980年代以降、世界の経済学の教科書からはデフレそのものの記述が激減したという。実際に世界からデフレは根絶されたと思われたが、その兆候が1990年代の日本によみがえった。最初はそれがデフレだとはごく一部の人たちを除いて、誰も気がつかなかったくらいだ。今では、クルーグマン教授を持ち出すまでもなく多くの経済学者が起こっているのは恐慌だといっている。

 2000年頃、筆者が通貨増発を唱えたら、大いにバカにされたものだ。タコ殴りに殴られたというか、そんな風潮だった。しかも県内金融機関のバリバリの現役から。しかし、いまやガラリと状況が変わり、国会には300人規模で超党派のデフレ脱却の議連や勉強会ができている。むかし、バカじゃねえかと言っていた当の県内金融機関の連中も2、3年前から「誰もがびっくりするような経済政策が必要」などと言い出してきた。消費税増税は不況脱却のための処方箋にはなり得ないのだ。

 通貨を増発してもデフレ脱却はムリ、というおバカもまだいるが、それならカネを刷って国民に大量にバラ撒けばよい。ひとり当たり1万円などとしょぼいことをやったから、効果が出ないのだ。もっと大量にばら撒くべきだった。国民はカネ持ちになり、それでもデフレから抜けられないというなら、これほど幸せなことはない。国民一人ひとりに1億円くらいバラ撒いたら、自殺者は減るし、少子化も一転、人口は増え、教育は行き渡り、福祉予算の増大を気にする必要もなくなる。世界初の無税国家の誕生であり、これほどめでたいことはない。(「観光とけいざい」835号、7月1日付に加筆)

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お笑いの実例(笑わせるが本質をついている。この二人の動画は全部おすすめ)
『永田町で米中代理戦争が勃発!①』上念司・倉山満 AJER2012.7.31
http://www.youtube.com/watch?v=-WQtmWp6C3k&feature=plcp



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Posted by 渡久地明 at 11:38│Comments(0)デフレ脱却
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