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2005年05月15日

あす観光情報学会、おいで下さい

あす観光情報学会、おいで下さい新聞記事が出そろったが、タイムスは琉球大学の遠藤、岡崎、松田氏の連載を3回組んで大会の意義を伝えた。

新報は連載は間に合わなかったが、連載に向けて用意していた私の原稿があるので、以下に掲載します。



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(タイトル)観光に科学の光を当てよう
(サブタイトル)工学的発想が観光産業に必要だ
(以下本文)
 「いままでの観光学は科学ではなかった」
 観光情報学会の会長大内東・北大大学院教授は沖縄で観光情報学会の設立を呼
びかける集まりで、三年前にこのように述べた。

 わたしは大学卒業と同時に沖縄観光速報社で観光専門の新聞をつくる仕事をし
ているが、その時から感じていたことをズバリ言ってもらったと思った。これを
聞いて退席する観光学者がいたのであるが、仕方がない。工学部で電子工学を学
び、大学院ではプラズマの研究をしていたわたしは、工学的な発想で観光産業を
捉えるとどんなことが明らかになるのだろうかと二十年にわたってデータ集めて
いた。

 科学が最も大切にするのはいま目の前で起こっていることを精密に調べること
である。その後、それらを合理的に説明する理論を構築することである。この
データ集めという過程でこれまで優に延べ一万人を越える人たちにインタビュー
しただろう。酒を飲む友人もたくさん出来た。観光事業の現場で起こっているこ
とそのものが唯一の事実であり科学の対象である。これを正しく理解し、分析す
ることがホンモノの観光科学の始まりであると信じる。

 ところが、当時の観光学の先生達は根拠不明のご自身の理想のようなものを描
いて、現状をあまり調べないまま、沖縄観光は未熟であるなどと主張するものが
多かった。

 実験また実験でデータをそろえる工学部のやり方からすると、全く科学ではな
かったが、わたしの発言は観光学者には届かなかった。とにかくデータを集める
ことばかりに専念していたら、いつの間にか数学を忘れ、観光を科学にしようと
いう最初の志すらどこかに行ってしまうところであった。

 そこに「観光を科学にしよう」という呼びかけである。「工学部の先生方、来
るのが遅かった。わたしは一人で寂しかったよ」と大内先生の呼びかけに応じた
のが、わたしと観光情報学会のつながりである。琉球大学工学部には観光につい
ての知識は少ないが、研究の方向性さえ気がつけばどんどん成果が出せる体制が
整っており、遠藤聡志教授が中心になって「おきなわ観光情報学研究会」が組織
され、呼びかけから二年で二十本を越えるさまざまな論文が出てきている。わた
しも奮発してこれまで集めたデータを体系化し昨年「沖縄観光成長の法則」とい
うレポートをまとめた。これは観研メンバーとのメールのやり取りを通じていく
つものヒントを得、経済学の常識程度の勉強をやり直してまとめたものだ。工学
部の実験では当たり前の手法を観光産業に応用したものだが、工学部や金融機
関、経済学者から良い反応をいただいている。最近になってこの法則は海外でも
通用しているらしいことが分かり始めた。

 観光情報学の研究分野はこれからますます拡大して行き、実証実験に基づく
しっかりした論文がどんどんでてくると思う。いまはまだ手探りで研究が進めら
れているようだが、ここ数年で実用に耐える成果がいくつも出てくると予想でき
る。多くの観光事業者が学会に参加して、現場からのニーズと目の前で起こって
いることを研究者に伝えて欲しいと思う。面白い成果が続出し、世界中から注目
されるようになると思う。

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なお、工学部の各氏から、穏やかでないので「いままでの観光学は科学ではなかった」という部分は削るように要請を受けていたわけであるが、日刊紙に載せるわけではないのでそのまま無修正で掲示した。



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Posted by 渡久地明 at 12:39│Comments(0)観光情報学の話題
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