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2005年06月20日

森永卓郎はいいが、リチャード・クーはダメ

 一ヶ月くらい前だったか、旧知の全国メディアディレクターと酒を飲んだら、いま、我慢の毎日なのだという。

 「インフレターゲットの企画を出したいのだが、社内で通らない」という。

 通らない最大の理由は、積極財政の番組をつくると視聴率がとれないからだという。

 さらに、政治的な圧力もありそうで、竹中一派もかなり戦闘力があるのだろう。

 しかし、このディレクター氏はわたしと全く同じ考えを持っていることが分かり、楽しい酒であった。

 問題はこれからだ。森永卓郎は愛嬌もあり、笑いがとれるのでまだ使える。しかし、リチャード・クーは上からの圧力もありほとんど大手メディアは使わなくなった。せいぜい、視聴者が格段に少ないケーブルテレビ、衛星放送くらいだという。積極財政が正しいことは分かっていても、社内の経済音痴を説得するには、大変な労力が必要となり、それよりも企画が通り、かつ2番目、3番目にやりたいことを優先するという具合になる。

 メン・イン・ブラック

 という映画を読者はご覧になっただろうか。

 地球上には宇宙人が人間に化けてうようよしており、悪さをした宇宙人を始末する組織がMIBである。トミー・リー・ジョーンズ扮するMIBのボスが、新人の相棒を連れ回すのだが、タチの悪い宇宙人が現れたという確かな情報が本部から告げられる。ボスの捜査は最初に道端の新聞スタンドでタブロイド紙を買う。タブロイド紙とは欧米ではセンセーショナルとエンターテイメント性を重視する大衆紙であり、虚実取り混ぜて記事を造るから、一段低いものと見られている。

 「そんなの買ってどうするんですか」という新人に

 「ここに真実がある」とトミーリージョーンズがまじめな顔でいう。笑える。この映画の一番の名場面だろう。

 タブロイド紙の一面トップには「ゴキブリの大群が主人を食べた」という主婦の証言が…。大新聞はそんなバカなことがあるはずないと最初から取り上げようとしないのだ。

 日本の全国メディアも大企業の収支改善を中心に景気は回復しつつあるという政府発表が大きく取り上げられる。しかし、いま、日本では週刊誌がこれとは全く異なる記事を書いていることに読者は気がついているであろう。真実は後者にある。

 大本営(戦争中、日本は勝っているという偽情報を流し、国民を洗脳した組織)発表そのままのことを、大手メディアはいま、またくり返している。


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Posted by 渡久地明 at 22:32│Comments(0)マスコミ評論
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