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2005年10月17日

米軍と自衛隊が入れ替わると

 軍事ジャーナリストの神浦元彰さんが米軍撤退後の軍事的空白を自衛隊が埋めると次のようにいっている。

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(略)
 沖縄の普天間基地から岩国基地に移転予定であった米海兵隊のKC−130空中給油機は、海自の鹿屋基地(鹿児島)に移転先が変更された。また嘉手納の米空軍のF−15戦闘機は、新田原や築城など本土の空自・基地を巡回して行うことが決まっている。さらに那覇軍港や牧港補給所なども日本返還が日米で合意している。

 これで沖縄の米軍基地が劇的に減少する。それにともなって本土の基地でも動きがある。百里基地(茨城県)のF−15戦闘機部隊が嘉手納基地に移転し、那覇空港(軍民共用)のF−4戦闘機が本土に撤退することが計画されている。

 米軍が沖縄から引くと共に、自衛隊の南方進出がいよいよ本格化する。

 私の推測では、北朝鮮が片づけば佐世保の陸自・普通科連隊も沖縄に移転し、米海兵隊の撤退(グアム移転)で明いた軍事的な空白を埋めるはずである。

 また厚木に移転する海自のEP3やOP3は、今は主として北朝鮮情報を収集している。これを岩国から厚木に移すことは、対中国へのシフト体制を整え始めたような気がする。米軍でも電子偵察機は三沢基地(青森県)に所属し、嘉手納に飛来してここを拠点に東シナ海などで対中国情報を収集している。情報戦は平時こそ有事である。だから厚木に移転した電子戦機が嘉手納に飛来し、嘉手納を拠点に無防備(護衛なし)で情報収集する可能性があるのだ。いよいよ在日米軍のトランスフォーメーションも本格的に姿が見え始めたてきた。(略)
 
http://www.kamiura.com/の10月17日付け「 What's new ? 」

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 米軍の代わりに自衛隊が引っ越してくると、「経済的」には米軍と全く異なる状況になる。自衛隊の沖縄移転は経済的側面だけ取り出せば、景気回復策となる。

(1)米軍は食べ物やその他の生活物資を米本国から支給されていた。このため県内消費に結びつきにくく、米軍人による経済波及効果が少なかった。ベトナム戦争当時、復帰前の1ドル=360円の頃は、米ドルも使い勝手があったが、いまや110円前後では米兵はなるべく基地内で消費する。とても基地外のレストランやバーに出かけられない。

(2)米軍が自衛隊に置き換わると、自衛隊員は円を使い、なにも生産はしないのに沖縄県内で消費だけするから、県内需要が増え、景気にプラスとなる。1万人の自衛隊員とその家族の増加は観光客20万人規模の経済波及効果となるだろう。(月間消費額一人10万円を見込めば、年間120億円)
 在沖米軍の4万7000人全部が入れ替われば、経済波及効果は600億円近くとなり、観光客100万人分の経済波及効果となる。


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Posted by 渡久地明 at 14:43│Comments(5)返還基地の跡利用
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この記事へのコメント
渡久地さん、いつも見るだけで、縄跳びの中に入れないのと同じで、なかなかコメントを寄せられませんでした(トホホ)。
さて、今回の米軍の代わりに自衛隊が引っ越した場合のお話ですが、
現在、基地内で働いている軍雇用員の方々はどうなるのでしょうか?
基地の中には、レストランやスーパー、学校、図書館などで働く方々がたくさんいますが、この方たちは、引き続き自衛隊基地内で雇用されることになるのでしょうか?
Posted by 中里智英子 at 2005年10月18日 16:03
仲里さん、

そのような問題の発生が予想されます。しかし、明日からというわけではないです。

沖縄の場合、基地従業員の再教育のための職業訓練などをすでに行っています。大幅に解雇が予想される場合、転職のための政策が強化されると思います。

アメリカでは国内の基地の閉鎖が進んでいて、それによって「傷み」を受ける人も多いため、対策が講じられていました。やはり転職のための職業訓練プログラムがあったり、起業のための支援が行われていました。
Posted by 渡久地明 at 2005年10月18日 16:30
基地返還後の「雇用問題」は、以前からよく訴えられていたことですね。
アメリカにはそのような制度があるんですか。
知りませんでした。

しかも、「日本人」従業員にもそのプログラムが既に適用されているんですか?
Posted by 笛木のり at 2005年10月19日 08:22
渡久地さん、回答ありがとうございました。
職業訓練が行われていたなんて知りませんでした。
私のまわりにも、軍雇用員の人がいますが
話をしていると軍の中と外では、ギャップを感じます。
やはり外で働くとなると職業訓練が必要かと思います。
Posted by 中里智英子 at 2005年10月19日 10:02
笛木のりさん、

日本人従業員には日本政府がカネを出して再教育をしています。復帰の際に軍雇用員が解雇され、この事業がスタート、いまでも細々と続いています。起業の成功例にタクシー会社などがあります。
Posted by 渡久地明 at 2005年10月19日 13:02
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