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2006年01月19日

地域観光のイールドマネジメント

 航空座席の収益を最大化するプログラムが航空会社のレベニューマネジメント、イールドマネジメントと呼ばれるもので、アメリカで生まれた。

 国内航空各社も似たような収益最大化プログラムを使っているが、簡単にいえば、

(1)10円の座席を10人に売ると、売上100円

この売上を100円以上にするために、座席を15円にしたら、お客は2人減ったとき、

(2)15円の座席を8人に売って、売上120円

と収益が上がる。

 一方、座席を8円に下げたら、安くなったので利用者が増え、15人に売れて

(3)8円の座席が15人に売れ、売上120円

となる。

 運賃は割引の設定、卸売価格の改定などで相当頻繁に変更があるが、基本的に売上を最大化するための調整である。

 さて、このようなプログラムで(2)を航空会社が選ぶと、航空会社の売上は増え、燃料やサービスの分量など経費が削減されるが、地域へのお客は減る。

 (2)を採用した結果、お客が減った典型例は00年4月からの値上げと、大幅割り引き運賃の導入の時期。平均運賃がやや上がり、お客は微減となったが、売上は僅かに増えた。最近では、04年の9月上旬、05年の7月中旬、9月上旬の沖縄線の大幅な値上げ(割引座席の削減)と旅客減だった。この旅客減は航空会社にとっては収益拡大となったかも知れないが(あれだけ減らして、なおかつスカイマークの深夜便参入を許して、売上が増えたとは思えないのだが)、沖縄にとってはマイナスとなる。

 他方で航空会社は旅行会社、ホテルをグループ内に擁しており、航空座席だけでなく、ホテルの稼働率や旅行社の取扱高も含めて売上を最大化する新たなプログラムが組める。航空会社にレベニューマネジメントでホテルや旅行社の売上も計算しているか聞いたところ、そうなっていないという。しかし、考え方としては正論かも知れない、という。

 座席だけでなく、グループ全体の売上拡大を考えるなら直観的に、(3)のプログラムがグループ売上の最大化に貢献するだろう予想される。航空座席は沖縄線は利用率は年間平均70%とまだ拡大できる。特にオフシーズンは利用率は50%まで下がるので、拡大の余地が大きい。座席以外にグループホテル客室の売上を増やし、ホテル客室を売り尽くしても、グループ旅行社を通じて他のホテル客室も販売して売上を拡大できるからだ。

 座席以外の売上までカバーするプログラムの行き着くところは、地域のマクロ計量モデルとなるが、誤差が大きければ航空会社としては採用しにくい。せいぜい客室と旅行社まで範囲を広げるのが精一杯であると思われる。

 しかし、航空会社グループの売上最大化プログラムの解が、沖縄観光客の最大化と同じものになれば、航空会社は積極的に沖縄全体の販売強化に協力すると思われる。

 これを定量的に検討するのはそれほど難しくないのではないかと考えている。航空実績は細かく公表されており、航空会社の決算などで年間の売り上げが分かる。観光客数や観光収入は観光要覧、ホテル売上は沖縄公庫のホテルレポートなどが使え、マクロ計量モデルは琉球大学の大城肇研究室にある。

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Posted by 渡久地明 at 09:51│Comments(0)沖縄観光の近況
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