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2009年03月29日

テポドン迎撃、ナンセンス

 無視しようと思ったが、飲み屋でも話題になることが増えたので。

 テポドン2号の推進エンジンの破片が落下する危険区域を国際民間航空機関がだいぶ前に発表している。一段目の危険区域は日本海で、二段目は太平洋だ(クリックして拡大)。

テポドン迎撃、ナンセンス



ICAOのニュースリリースと詳しい地図(09年3月12日付)(PDF)
ICAO OFFICIALLY ADVISED OF DPRK PLANS FOR ROCKET LAUNCH
http://www.icao.int/icao/en/nr/2009/pio200902_e.pdf

 それをもとに、スパイクさんが地球上に立体的な軌道を描いたのが、次の図。




 上の画像の詳しい解説記事「テポドン2号は日本のどこを通る?」(09年3月14日)は次のところ。
http://spikemilrev.com/news/2009/3/14-1.html

 テポドンはハワイの西を通り、向かっている先は南米の方向だ。もしこれが真っ赤なウソで東京や北米大陸を狙ったなら、北朝鮮は数十分で報復され、アッという間に国家が消滅するだろう。それは自殺行為であり東京やアメリカを狙うと言うことはあり得ない。え、沖縄? 相当盛大にかつ都合よく失敗しない限り破片も届かない。

 日本が大騒ぎして迎撃するといっているのは、お笑いだ。
 
 軍事ジャーナリスト神浦さんの解説によると、迎撃ミサイルSM3の射程は100〜300キロで、狙える高度は100キロ程度。PAC3の迎撃高度は十数キロである。

 本日の産経新聞の6面(オピニオン)で、SM3の迎撃可能高度を100キロと解説している。今までに産経新聞だけが、SM3の射程を300キロと報じていた。射程は300キロでも迎撃できる高度は100キロという意味である。
 PAC3に関しては、迎撃高度を十数キロと報じている。今まで各メディアは数十キロと報じていた。私はPAC3の本体の大きさ(固体燃料の量)から、この産経新聞の数字を信じることができる。
 やっと政府関係者がSM3やPAC3の正確な性能を公表する気になったのだろう。(この記事の数値はまさにMDの急所で、確実にスクープである)
 これで、やっと日本でも正確な数値の元でミサイル防衛議論が出来るようになった。インチキな数値と勝手な思いこみの数値で、これからの不毛の議論を行うべきでない。(09年3月25日付、What's new! )
http://www.kamiura.com/new.htm


 すると、スパイクさんの軌道から日本がSM3を発射するのはまだ行き先が分からないテポドンの上昇途中か、打ち上げに失敗してSM3テポドンの本体や落下途中の燃料タンクがSM3のカバー範囲に都合よく向かってきた場合ということになる。

 PAC3の迎撃範囲はかなり狭く、テポドンが事故で空中分解し、配備しているPAC3に向かって破片が落ちてくる場合に限られる。PAC3の準備はアリバイづくりのようなものだろう。あまり意味はない。
 
 もしテポドンが打ち上げに成功したら、100〜400キロの高度の宇宙を飛ぶテポドン本体にSM3もPAC3も届かない。また、迎撃する必要もない。

 結局、迎撃するチャンスそのものがないだろう。また、テポドンが日本のどこかに墜落するような、迎撃するのに都合のよい失敗というのもほとんどないだろう。もし、迎撃して当たらなかったら目も当てられない無駄なミサイル防衛費を使っていたということがばれてしまう。迎撃は100%ないだろう。



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Posted by 渡久地明 at 19:43│Comments(0)返還基地の跡利用
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