てぃーだブログ › 渡久地明の時事解説 › 2008年11月

2008年11月29日

2000年前の人骨化石でる

HP沖縄観光ニュースを更新した。

第742号(2008年4月1日号)の記事から
香港から初便が到着(08年11月29日)
文化審議会 おきなわワールドの5件、登録を答申(08年11月29日)
来年10月にJC全国大会(08年11月29日)


第743号(2008年4月15日号)の記事から
所持金半分残す人が47%(08年11月29日)
琉民 県産素材の新商品投入(08年11月29日)
小田静夫著『壺屋焼が語る琉球外史』(08年11月29日)

 おきなわワールド・玉泉洞は園内の明治時代の沖縄古民家が登録文化財となったが、つい先日、園内の武芸洞から6000年以上前の爪形文土器の破片多数と、2000年以上前の石棺墓に埋葬された人骨の化石が出た(08年11月17日)。此の写真では分かりにくいが、写真中央下から1/3位にある丸い石のようなものが頭で、うつぶせで左を向いている。
足は画面奧(撮影=わたし)。





 わたしも27日に現場で人骨化石と爪形文土器を前にして説明を聞いたが、いずれも同種のものが沖縄本島の中北部で出土していることから年代が推定されている。那覇以南での出土は初めての大きな発見となる。県立博物館・美術館と沖縄更新世遺跡発掘調査団が5年計画で発掘しているもので、土・日(11月29、30日)に博物館の担当者が子供たちに向けた発掘現場説明会を開く(無料、申込不要、10時、11時、13時、14時、15時に実施、10分前までにチケット売場集合、小学生は保護者が同行すること)。

(30日以降も発掘現場は見学できると思うが、専門家による説明はたぶん明日が最後。27日は頭部のみの露出だったが、明日あたりは全身が見られるかも知れない! 人骨化石は博物館に持っていくというので、出土したままの状態が見られるのもここ数日間が最後かも。)
 
 武芸洞は世界最古級の新人化石・港川人(1万8000年前)がでたフィッシャーに近く、港川人の生活の場の一つだった可能性があると見られている。1万8000年前に届く遺物が出るのではないかとの見通しで発掘が続けられている。今回の発見は、11月17日から30日までの予定で1年ぶりに発掘を再開して、23日に見つけたというから、周辺をもっと徹底的に調べるとさらに多くの化石が出る可能性がある。  


Posted by 渡久地明 at 21:45Comments(0)沖縄観光の近況

2008年11月27日

606万人を超えると思う

10月の観光客数が54万7000人となった。前年に比べて5.3%増とかなり伸びている。

1〜10月の累計は509万6000人(3.7%増)となった。

世界金融危機で10月以降の不振が予想されたが、意外と大きく伸びたのは前年の反動増の要因が大きいと思われる。

外国人客は1.9%減となったが、円高の影響は韓国人客に出たが、香港などは好調。マイナスとなった大きな要因はスタークルーズの寄港が前年比(追記:15%減と)大幅減となったためで(開始が1ヶ月早く、終了も1カ月早かった)、これは折り込み済。航空実績に絞ると外国人客は26%と好調に増えている。

11、12月の予想が難しい。例年なら2、3%伸びるハズだが、国内航空実績が11月中旬で前年並み、下旬には伸びると思うが、せいぜい1〜2%程度か。(追記:11月は、スタークルーズの寄港が前年比大幅減となる見込み(開始が1ヶ月早く、終了も1カ月早かった)だが、これは折り込み済。)

すると、年間トータルの観光客数は現時点で600万人を超えるのは確実。606万人を超える程度となりそう。年初、わたしが予想した610万人には届かない可能性が出てきた。

不透明感が広がっており、業界の予想は1、2月は厳しい、というもの。来年の予想が難しい。

【訂正】スタークルーズの運航がなくなるのは11月で、10月に大きな影響はありませんでした。(11月28日11:50)  


Posted by 渡久地明 at 22:38Comments(0)沖縄観光の近況

2008年11月22日

朝日のスティグリッツとクルーグマンの記事

11月3日の朝日新聞スティグリッツ教授インタビューと11月17日のクルーグマン教授の記者会見記事が評判になっている。

全文転載しているサイトがあるので、リンクを張っておく。必読。

■2008年11月3日 朝日新聞 スティグリッツのインタビュー記事 全文
http://anond.hatelabo.jp/20081106103603

■2008年11月17日 朝日新聞 クルーグマンの記事 全文
http://anond.hatelabo.jp/20081118194540  


Posted by 渡久地明 at 12:42Comments(0)デフレ脱却

2008年11月22日

与謝野氏、政治の意味が分からない?

ちょっと古いが11月18日、沖縄タイムス夕刊。

「08・09年度はマイナス成長、経財相示唆 プラス要因無し」

という記事。

与謝野経財相が12月に発表する09年度のGDP実質成長率予測について

「プラスになる自信は現時点でとてもない」

と述べた。

「(海外の)条件や国内の条件を見ても、プラスに貢献する要素は見つけづらい」ともいう。

さらに経済見通しには政策目標の側面もあるが

「予算の基礎となる経済見通しと、政策として達成しようとする努力とは違う」と話し、現実から外れた楽観的な見通しは策定しないと断言した。

この人は経済政策は自然現象か何かと思っているのだろうか。落ち込みが分かっていれば、そうならないための手を打つのが政治のはずだ。落ち込みが予想されるから、実際に落ち込むという政治などバカがやることだ。与謝野氏が経財相でいることそのものが日本経済のマイナス要因だ。

取材記者も落ち込みが予想されるなら、そうならない政策を早く打てとなぜ聞かないんだろう。

クルーグマン教授ら世界の経済学者が日本に年率4%の経済成長を実現すべきだと助言している。そのためには拡張的な財政政策、ゼロ金利政策が引き続き必要だ。特に効果的なのはインフレ目標だ。そのための財源に赤字国債を出すのがそんなにいやなら、通貨発行益を使えばよい。効果は同じだ。

与謝野氏は最悪だと前にも述べたが、最近に限っても次のようなバカな発言がある。(某掲示板より)

315: 名無しさんの冒険  2008/11/22(Sat) 03:23
ポエム与謝野迷言集

9/17リーマン破綻の影響「ハチが刺した程度」=与謝野担当相
9/25日本は重篤な病ではない、追加財政出動を否定=貿易赤字で与謝野担当相
10/3日銀の金利誘導水準引き下げは効果ない=与謝野経済財政担当相
10/7日本経済は底堅く健全、円買いの背景に相対的な安全性=与謝野担当相

そして、10/10日経平均株価が8000円割れへ

「公定歩合引き下げは、全く経済に影響を与えない。心理的効果のみ」

翌日から数日間爆上げで9000円復活


別の掲示板にはこんなのもある。

166 :金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/11/20(木) 21:05:48
赤字国債発を財源にして、穴掘って与謝野を埋めれば景気は回復する。
私の試算では乗数3ぐらいの効果がある。
180 :金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/11/21(金) 09:20:01
>>166
ははは。おもしれーw
ほんと与謝野が何で評価されるのかわからん。


与謝野氏がアホだというのはかなり幅広く常識になっていると思う。政策通とかいって盛り立てているのは大衆新聞とTVだけだろう(まあそれでほとんど全国民をカバーしているわけだが)。  


Posted by 渡久地明 at 09:48Comments(0)デフレ脱却

2008年11月13日

定額給付金は、全額支給すべきだ

本日の新報・タイムスの一面トップは定額給付金の所得制限について、県庁所在地の全国46市に共同通信がアンケートしたところ、9市が制限しないと応えた、との記事である。主見出しは「市町村まかせ無責任」というもので、市町村が困っているとしている。しかし、困る必要はない。制限しないとした9市が正解だ。制限無しに全部配るべきだ。



2兆円の定額給付金が迷走した。給付方法は市町村に任せるが、高額所得者は辞退してくれ、というのが政府の結論。

給付金は、基本的に景気対策のカネであって、それによって消費が増えることを期待したのだった。

それがいつのまにか額が少なすぎるため、生活支援のカネと呼び名がかわった。さらに、生活支援なら高額所得者はいらないだろう、となった。

高額所得者に辞退してもらうが、その見極めは自治体に任せるという。

もともと景気対策のためのカネなのだから、生活支援と名前をかえても、狙う効果は消費の拡大である。これくらいでは足りないと言うなら、額を10倍に増やして20兆円にするという議論なら分かる。ところが、高所得者に渡す必要はないといった、下らない話に成り下がってしまった。与謝野さんの影響だが、この人、本当にしみったれた人だ。

市町村は困っているようだが、困る必要はない。高所得者にも配るのが正解だ。ついでに、高所得者にはカネを渡すときに「その倍のカネを使ってくれ」とうべきだろう。

沖縄の人口は130万人、日本全体の1%だから、200億円がまわってくる計算だ。これを高所得者には辞退してもらってわざわざ減らす必要は金輪際ない。支給額よりも多く使ってくれと言うのが正しい。

なお、額が一人1万2000円では、財布に入れておいて日常生活に使えば、1週間くらいでなくなるだろう。もともと使う予定のカネの減り方が1週間伸びたということになる。1週間貯金したというのと同じだ。これでは効果は少ない。

しかし、もし、使う予定になかったものに支出したなら、定額給付金は経済効果が出たということになる。それを狙って、どのような消費キャンペーンをすればよいかという議論ならまだしも、高所得者に渡すなと言う話かよ。本当にバカげている。ハラが立つ。

というわけで、事務を任された市町村は、予定外の支出をしてくれと言いながら、全額支給すべきだ。県は「せっかく地域に入ってくる200億円を一円でも減らすな」と市町村を指導すべきだ。

【追記】(08年11月18日)

全国の町村が全額給付を決めるそうだ。地域を預かるものとしては当然の結論。市長会も同じにすべきだ。

全国町村会、給付金所得制限見送りで一致へ

 全国町村会(会長・山本文男福岡県添田町長)は政府・与党が支給を決めた「定額給付金」について、加盟町村が一致して所得制限を見送る方向で調整に入った。25日に開く役員会で正式な対応方針を決める。(17:20)(日経ネット)

  


Posted by 渡久地明 at 14:33Comments(2)デフレ脱却

2008年11月12日

アジアの観光客を日本にもたらす

HP沖縄観光ニュース(http://www.sokuhou.co.jp/)を更新した。

第740号(2008年3月1日号)の記事から
マカオ観光局 直行便を要望(08年11月12日)
消費単価、1・1%減(08年11月12日)
那覇増設、構想段階へ(08年11月12日)

第741号(2008年3月15日号)の記事から
4月3日から香港直行便(08年11月12日)
アジアの高級リゾート目指す(08年11月12日)
リゾートウェディング 昨年は7285組(08年11月12日)

第740号
■マカオ直行便はこのあと実現した。
■また、不況の影響で観光客の消費金額は低迷している。
■那覇空港増設はやっと構想段階で、驚いたことにこの時点で現滑走路から1310m離したオープンパラレルの滑走路案が最有力で当たり前と思われたのに、最近になって予算の都合でもっと間隔を狭めて工事費を浮かす(将来的に発着回数が制限される可能性がある)という案も検討されるようになった。緊縮財政のしわ寄せがこういうところに出てきた。

第741号
■香港定期便が実現した。香港エキスプレス航空の代表は「アジアの観光客を日本にもたらす」と強い自負を見せた。つい最近まで日本が世界に対してやってきたことを新興国がになうということだ。しかし、最近の金融危機、円高で10月下旬頃から国際線の実績にかげりが出てきた。(この後、香港エキスプレス航空は海南航空が買収)
■アジアの高級リゾートを目指すというのは県の表現だが、先日(11月3〜5日)、万国津梁館で開かれて島嶼観光会議で、海南島の行政トップは「世界一流の観光島を目指す」といっていた。なんで沖縄は世界トップといわないんだろうと思う。そういえば9.11テロの頃、東京大学卒の青年をインターンとして受け入れていたことがあるが、彼も「一流を目指すべきです」といっていたなあ。
■リゾートウェディングはこの時点で長野県や北海道を抜いて挙式件数で日本一となっている。  


Posted by 渡久地明 at 18:56Comments(0)沖縄観光の近況

2008年11月11日

10月の沖縄=県外線、好調

航空各社の沖縄線実績が出そろった。それによると、県外=沖縄線旅客数は4.3%増と好調に伸びた。前年が4.2%減と不振だったことへの反動増の要因が強いと見られる。(06年にJAL・JAS統合完了キャンペーンで大型の割引を実施、ANAも対抗上割引。07年に反動減、今年はその反動増)

JALが7.7%増と高い伸び、ANAは1.4%増、JTAは9.9%増と極めて好調、RACも4.2%増と伸びた。SKYは前年の大幅増に対する反動減の影響があると見られる。席数は増やしたものの運賃の値上げで需要がついてこず、6.3%減と不振だった。

また、県内主要離島は石垣が8.8%増、宮古が11.5%増と極めて好調。久米島は2.2%減となった。  


Posted by 渡久地明 at 00:01Comments(0)沖縄観光の近況

2008年11月10日

てぃーラジヲに出演

先週、土曜日(11月8日)に収録したインターネットラジオの模様が昼前にUPされていた。

てぃーラジヲ 14 沖縄観光速報社編集長 渡久地明さん
http://tradio.ti-da.net/e2348604.html

てぃーだブログの著者をインタビューしているそうだ。あまり編集しないと言っていたので40分ぐらいあると思う。話、飛びすぎだが(縦横無尽といおうかー)。  


Posted by 渡久地明 at 18:01Comments(0)デフレ脱却

2008年11月09日

消費性向を高めるのがベスト

おや、これは分かりやすい! おすすめ。

シンプルな数理モデルを提示して、現実をよく説明しているようだ。
結論の一つ、消費性向を高めるための所得税の累進制の強化と低所得者層への減税は、オバマ(クリントン)の政策と全く同じ。また、なぜケインズ政策が効かなくなったように見えたかについても、管理通貨制度に原因を求めている。

Wave of Sound の研究月誌
http://waveofsound.hishaku.com/zaisei/zaisei0.html

<目次>
第1部 いくつかのシンプルな考察
 0 要約
 1 プライマリーバランスは重要でない
 2 持続可能となるための条件
 3 近年のデータを観察する
 4 変動相場制とケインズ政策

第2部 持続可能性を高める税財政政策
 5 モデルの説明(限界税率と誘発投資を考えるモデル)
 6 定常状態から分かること
  その1(歳出削減の継続で債務を解消できるか)
 7 定常状態からわかること
  その2(増税で債務を解消するのに必要な税率は?)
 8 経済成長を仮定するわけ(長期の傾向をみる)
 9 財政赤字の国民総所得に対する比率は何で決まるか
10 日本経済の現状と望ましい政策

付録
 A 債務解消の成功例と失敗例(海外と日本の経験)
 B 日本経済のパラメータ
 C 限界税率・誘発投資モデルの安定性
 D 日本の国際収支の推移
 E 主な政策の効果の試算  


Posted by 渡久地明 at 19:08Comments(0)デフレ脱却

2008年11月08日

お笑い経済教室

きょう、インターネットラジオのインタビューを受けた。来週にはうpされる見込み。

青年3人でインタビュー、録音、写真も撮っていったが、普段なかなか聞けない話しをわたしがしたそうで、面白がっていた。

そこでまえまえから考えていたのだが「お笑い経済教室」という番組ができると思う。もちろん、わたしがしゃべる。

内容は、たとへば、きょうは

「金融危機と沖縄観光産業への影響」
「石油の無機起源説に基づいて電気料金をタダにする話」
「通貨発行益の活用を財源にした国民一人30万円のバラ捲き政策の正統性」

などを中心に述べた。

しかし、お笑いネタとしては

「政府の借金800兆円というのは国民に返すべきカネなのに、何で増税して国民が政府の代わりに払ってるんだ」とか

「子や孫の世代に借金をつけ回しては行けない、というが1000年後に先送りしたらどうなるよ」

「少子高齢化? 最後の一人になった日本人はそれまでの借金を全部払うのかい。おれがそうなったら借金も財産も日本全部おれのものじゃん」

「貧乏人が右から左にカネを使うから企業が儲かるんであって、貧乏人こそ国の宝である」

というのが手をかえ品をかえてできそうなんだが。  


Posted by 渡久地明 at 21:37Comments(2)デフレ脱却

2008年11月06日

与謝野さん、最悪

与謝野馨氏が定額給付金を「生活支援のカネであって、豊かな人に出すのはおかしい」と発言したら、麻生総理も同調してしまった。

このカネは本来は30万円くらいにして、デフレ脱却策とすべきだったのを、ケチってたったの1万5千円にした結果、「生活支援」などと意味が分からないカネになってしまった。それで将来の消費税値上げか。国民が最悪と思っていたシナリオを保証してどうするんだ。

どうせ増税を言うなら「所得を倍増して、十分国民にカネが行き渡った段階で、累進制を高める」くらいなら、理解してやってもいいが。

本当に下らないというか、しみったれた内閣だ。これでは景気回復はムリだ。なんで与謝野なんかを大臣にしたんだろう。

麻生さん、カネ余りがデフレ圧力になっている、と正しい分析をしていて、財政再建至上主義はとらないなど正しい政策も口にしていたが、結局、実行できなかった。

対する民主党は定額給付金を選挙前のバラ捲きと批判している(マスコミも同じ。本当に情けない)。少ないと言って批判すべきだった。両方ともダメじゃ、こりゃ。  


Posted by 渡久地明 at 22:21Comments(0)デフレ脱却

2008年11月05日

オバマの税制

取材先でオバマ氏の勝利を聞いた。

演説がうまい。

ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ

をかっこよく発音している感じがする。

ハワイで高校を卒業したというのも親しみを感じさせる。ハワイで沖縄県系人に身近に接していた可能性がある。

先ほど、9時のNHKニュースで、「富裕層に増税して、低所得者層を減税する政策は効果が不透明」

と解説していた。

しかし、クリントン政権で上の税制を採用して財政赤字を解消した実績があるのは有名なのではないか。

株式日記
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/

の表紙に「クリントン政権が経済成長と財政再建の同時達成に大成功した理由」として引用されている文章が面白い。

元の論文は

東京地方税理士会税理士 吉越勝之氏のHP
http://www.geocities.jp/mirai200107/index.html#p1

で、そこに膨大な論説と資料がある。

経済学の教科書(今回は「スティグリッツ入門経済学」第3版、東洋経済、05年4月第1刷)には、次のような説明がある(279〜280ページ)。

1981年、レーガン大統領は大規模減税を押し進めてきた。何人かの大統領顧問は、税率の引き下げが経済を活性化させ、その結果として、総税収が増加することを保証したか、少なくともそのことを期待した。あらゆる統計分析は逆の結論を示唆していたが、後にこの分析結果の方が正しいことが証明された。結果として歳出の伸びは歳入の伸びを上回り、財政赤字が累積した結果、その水準は史上最大となり、最悪時には、財政赤字はGDPの6%を上回るほどであった。

1993年に就任したクリントン大統領は、国防費を中心とする歳出削減(冷戦終結のゆえ実行しやすかった)と、所得上位2%層を中心とする増税をなしとげた。同時期のアメリカ経済の成長率は上昇を示したが、それに寄与したのは、経済の重荷になっていた財政赤字の削減と考える者もいれば、新しいコンピュータ技術の成果がようやく実現したと考える者もいた。いずれにせよ、数年の内に、巨額の財政赤字は黒字に転換した。


富裕層への増税が財政を好転させるのは、当たり前とスティグリッツ教授の教科書では読める。実績もあるのに、どうしてオバマの税制の効果が不透明というのだろう。

理屈としては富裕層がカネ使わず、どんどん貯め込むので、デフレ不況になる。だから政府が貯まったカネを税として徴収し、富裕層の代わりに公共投資や低所得者層への減税や給付金を支給するための財源として使ってあげる。すると(低所得者層は右から左にカネを使うので)景気は回復する、というものだろう。

自民党も民主党も次の選挙では、たった数%しかいない年収ン千万円以上の富裕層の税率をいかに上げるかという競争をすべきである。消費税を上げる必要はないはずだ。票は庶民が持っている。オバマの政策、そのまま使ったら? 
  


Posted by 渡久地明 at 23:14Comments(6)デフレ脱却

2008年11月03日

首里高校の同期会

休日なのにアクセス、増えてるのはこれのせいなのね。

2008年11月1日同期生会参加者(最終)
http://shuri31.ti-da.net/e2332563.html

住所が分かった300人くらいに案内状を出しして、168人が参加。予想を大幅に上回って盛況でした。

幹事さん、ありがとうございました。  


2008年11月01日

「月刊日本」拝受のお礼

(東京の「抵抗勢力」の先輩から『月刊日本』10月号と11月号を送ってもらった。そのお礼のメール)

本日、昼、『月間日本』10月号と11月号拝受。ありがとうございました。

「ショック・ドクトリン」(10月号)について、何も書いていませんでしたが、ちょうどいい機会なので私の新聞やブログでも取り上げようと思います。

平沼赳夫さんがデフレ・ギャップを埋めるまでカネを刷れと正論をはいていますね(10月号)。日本を骨粗鬆症にしたうえ、構造改革がまだ足りないと言う(竹中氏は)「厚顔無恥も極まれり、ますますもって赦しがたい。竹中氏は本来なら国民に土下座してお詫びして腹を切らねばならない」など、100%同意します。

すかさず丹羽春喜先生がいまこそ政府通貨発行権を行使せよ(11月号に)と述べていますが、お元気そうでで何よりです。

森田実さんと稲村公望さんの対談、植草一秀さんの市場原理主義批判(11月号)も読みごたえがあります。ちなみに稲村さんは元郵政省の官僚で沖縄勤務の経験がある方です。「郵便局を民営化したら景気がよくなる」といって国民のカネを私物化させるなど、小泉・竹中コンビは本当にバカなことをしたもんですねえ。

きょうは、午前中、FM21というコミュニティー局の稲垣さんの番組で、11時から1時間、金融危機に際して日本はカネを刷れ、銀行に10兆円入れて、国民にたった2兆円じゃ全然足りない、銀行はどうでもいいから、国民にもっと大きなカネを配れと放送してきました。(番組には証券会社の翁長さんも出演、金融危機の実態について詳しく説明していました。)

10年くらい前に丹羽教授の痛快な政府通貨発行論を読んで、大いに賛同しましたが、金融危機でますます現実味を帯びてきました。アメリカがあれだけ多量に札を刷っているのを見たら、金融政策の常識として政府通貨発行論が国民の間にかなり広がるのではないでしょうか。次期選挙では丹羽政策を取り入れると言うところに投票すべきであると思います。

渡久地明  


Posted by 渡久地明 at 17:30Comments(0)デフレ脱却