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2009年09月30日

亀井大臣とマスコミがいうモラトリアム

 先ほどのTVニュースで亀井静香金融担当大臣が「ムダを削るのはいいが、景気対策の補正予算も必要だ」と発言している映像が出た。
 
 亀井さんの面目躍如といったところだ。早速、官房長官が変なコメントを出したが、連立政権で経済の先行きを見通しているのは亀井さんしかいないようだ。
 
 モラトリアム発言が問題になっているが、亀井さんは選挙期間中から中小企業の返済猶予などを行うと演説していた。同じことは鳩山さんも演説していた。
 
 連立の3党合意文書には
 
 7、地域の活性化

 国と地方の協議を法制化し、地方の声、現場の声を聞きながら、国と地方の役割を見直し、地方に権限を大幅に移譲する▽地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられるようにする▽生産に要する費用と販売価格との差額を基本とする戸別所得補償制度を販売農業者に対して実施し、農業を再生させる▽中小企業に対する支援を強化し、大企業による下請けいじめなど不公正な取引を禁止するための法整備、政府系金融機関による貸付制度や信用保証制度の拡充を図る中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸し付け債務の返済期限の延長、貸し付けの条件の変更を可能とする。個人の住宅ローンに関しても、返済期限の延長、貸し付け条件の変更を可能とする。(下線はわたし)

 
 とあり、このことを亀井さんはモラトリアムといっているのに過ぎない。
 
 問題にされいるモラトリアムは、過去の日本の例では関東大震災や昭和恐慌の際に、銀行に取り付けの行列ができたので、手形の期限を延ばしたり、政府が急いでカネを印刷し、銀行に届くまで取引を停止したというものだ。こんなことは確かにいまやる必要はないだろう。技術が進歩しているのでカネなどどんどん印刷でき、印刷中だからといって銀行を閉める必要はない。
 
 結局、亀井さんのいうモラトリアムとは何なのか、まだわからないのにマスコミを含む小泉・竹中一派の残党が過剰に批判しているというのがこの問題の答だろう。
 
 亀井さんのいうモラトリアムは上の3党合意の内容そのものと理解すべきだ。技術的にどうするかだけの話しだ。昭和恐慌時のそれとは異なる。
 
 合意文書にあるようなことは現状でもしばしば行われている。わたしの知り合いも体をこわして、収入が激減したら、金融公庫が相談にのって、支払額を減額し、そのかわり支払期間を長くしたので楽になったといっていた。金融公庫はリーマンショックや911テロの際には低利、据え置き1年という中小企業の救済策をとっており、途中に据置期間を設けるということだってできるだろう。
 
 また、住宅ローンの借り換えで金利を安くするのは当たり前だろう。ここ10数年来、いろんな面倒な条件はあったが基本的に、多くの個人が古い住宅ローンを金利が安くなった別の住宅ローンに借り換えた。マスコミでもさんざんもてはやされたやり方だ。それをもっと柔軟にできるようにするだけでないの。
 
 できれば、この際、合意文書に文言はないが、ノンリコースローン(住宅ローンが払えなくなったら家を差し出せばチャラ)を個人にも適用できるようにしたらどうか。マンションが売れて景気回復につながる可能性は高いと思う。
 
 また、債権放棄というのがあるが、銀行がそれをやる場合、贈与に当たるとして税金が取られるらしい。債権放棄したほうがいいのに、銀行は贈与税をとられるのを恐れて債権放棄ができない。1億円以下なら債権放棄でも贈与税はとらないというふうにしたらどうか。

…つまり、3党合意のなかでやることは結構あると思う。大塚耕平副大臣、腕の見せ所ではないの。  


Posted by 渡久地明 at 20:54Comments(0)マスコミ評論

2009年09月28日

JALの危機は経済失政によるものだ

 JALの危機はJAL固有の問題ではなく、主に(9割以上)デフレを放置した経済失政によるものだ。

 新聞記事用のグラフを書いたので説明抜きで貼り付けておく。



  


Posted by 渡久地明 at 23:51Comments(0)デフレ脱却

2009年09月20日

民主党の沖縄観光政策

 民主党政権で米軍基地に関しては大きく変化が起こりそうだが、観光関連はどうか。
 
 民主党は「民主党沖縄政策」(1999年7月)「民主党21世紀沖縄ビジョン」(2002年5月)、「民主党21世紀沖縄ビジョン改訂版」(2005年8月)、「民主党・沖縄ビジョン(2008)」(2008年7月)を発表している。
 
 99年、02年の政策が民主党のHPで(ざっと見たところ)見当たらないが、たしか02年版ですでに1000万人を打ち出してなかったっけ(わたし自身が強力に進言した覚えがある)。
 
 05年の改訂版で観光客3000万人ステイ構想(1000万人が2泊3日滞在)と打ち出しており、2006年の沖縄県知事選で初めて一千万人目標を公約にした現在の仲井眞知事よりも早かった。
 
 また、08年の最新版でも「3000万人ステイ構想の実現に取り組む」としている。
 
 那覇空港についても「拡張」が盛り込まれており、観光産業については、1000万人はもちろん、基地返還をにらんで1000万人後にも対応できる内容となっている。  


Posted by 渡久地明 at 00:10Comments(0)沖縄観光の近況

2009年09月17日

チェコのMD計画電話でキャンセル

米、東欧でのMD配備計画凍結 対ロ核軍縮交渉に好材料

 欧州の旧共産圏ポーランド、チェコに迎撃ミサイルやレーダーを配備するとしてきた米国のミサイル防衛(MD)計画について、チェコのフィシェル首相が17日記者会見し、オバマ米大統領から前日夜の電話会談で、「撤回する」との意向を伝えられたと明らかにした。ゲーツ米国防長官が17日、新たな方針を正式発表する。(略)

 オバマ政権は、イランの長距離ミサイルの開発計画の進み具合は想定していたよりも遅れていると分析。欧州への脅威は現時点では大きくないことを根拠として、MD配備を当面見送る方針を固めたという。(朝日新聞電子版2009年9月17日22時44分)

 これと同じことが普天間で起こっても不思議でないような情勢になってきた。岡田克也外相が普天間問題に最初に取り組むといっているが、米との緊密な連携があるからではないか。すでに電話で辺野古キャンセルが伝えられていたりして。

 北朝鮮の脅威は著しく低下し、もはや朝鮮半島に向けて海兵隊を備えておく必要がなくなった。それどころか早く撤退しないと、無駄な経費がかさむというわけだ。

 第2に10年くらい前まで米国務省などは中台間の危機を盛んにあおっていた。しかし、90年代から台湾企業はどんどん中国に進出し、最近になって台湾国民党は中国との関係を修復した。中台間の危機もなくなった。

 米中間も数年前から相互依存の関係になっていた。世界で最もドルを持っているのは日本を抜いて中国になった。オバマ大統領は「米中関係が世界のどの2国間関係より重要だ」といい、米中の対立もなくなった。

 結局、アジアが安定したので、米軍が沖縄にいる理由がなくなった。

 なお、民主党のいう緊密で対等な日米同盟という言葉は10年前から米が言っていた言葉そのものである。橋本首相の時に緊密な日米同盟を要求し、小泉首相の頃には対等な日米同盟を提言していた。  


Posted by 渡久地明 at 23:59Comments(0)返還基地の跡利用

2009年09月12日

100万ゲットー! (カネじゃないです)

なんと、自分で引いてしまった!!!!。

HP「沖縄観光ニュース」1000000スクリーンショット
↓↓↓↓↓




途中で何度もリセットされ、08年12月14日には998000まで確認していたのが、1月25日には980030に後戻りしていて何なんだと思っていた。  

2009年09月12日

「辺野古沿岸の新基地建設はキャンセルされたと見ていい」

 本日の新報・タイムス二紙は一面トップで

嘉手納F15削減打診
米、三沢F16撤収も
今年4月 日本難色で保留


 と報じている。共同の特ダネのようで、朝日新聞などの電子版では見当たらなかった。

 これについて、軍事ジャーナリストの神浦元彰氏(ブログ右側コラムにリンク)が

辺野古沿岸の新基地建設(06年の日米合意)はキャンセルされたと見ていいと思います。(「What's New」9月12日)

「ついに来るべき時がきた」という気持ちです。(「メールで情報と感想」9月12日)


 と解説している。神浦氏は沖縄米軍は撤退すると予想しており、特に海兵隊の撤退時期について、02年9月に那覇で開いた講演会で

「2008年頃まで(北京オリンピック)」(「沖縄観光ニュース」)
http://www.sokuhou.co.jp/backno/621.html

 と見ていた。この講演会のゲストだった吉元政矩元沖縄兼副知事は「2015年までの米軍全面撤退」を見通し、下地幹郎衆議院議員は「普天間の嘉手納統合」を主張していた。これらの議論をまとめた形で沖縄基地問題が片付く可能性が出てきた。

 また、本日新報一面は、民主党の岡田克也氏が

政権公約に「県外」ない


 と発言したことを疑問視している。

 これに関して神浦氏は、普天間の嘉手納統合の可能性が高いと読んでいる。岡田氏のきまじめな性格上、普天間の嘉手納統合を見越して県外といえなかった可能性があるわけだ。この解説そのものも特ダネだろう。

 続きを読むに共同の記事と神浦氏のコメントをスクラップしておく。  続きを読む


Posted by 渡久地明 at 20:29Comments(1)返還基地の跡利用

2009年09月07日

8月の県外=沖縄線、6.6%減

 JAL、ANA両グループの8月の沖縄線搭乗実績がまとまった。それによると、県外=沖縄線の旅客実績は前年の8月に比べ6.6%減となった。8月は上旬に台風の影響を受け、夏休みが不振、中・下旬も前年実績に届かなかった模様。
 
 JALが8.5%減、ANAが4.4%減、JTAが9.6%減、RACが14.8%減となった。SKYの実績は未着だが、福岡線を新設しており、前年並みを確保する見込み。

 また、石垣・宮古・久米島の県内線主要3離島の実績は合計で12.9%減と前年8月を大幅に割り込んだ。  


Posted by 渡久地明 at 20:18Comments(0)沖縄観光の近況

2009年09月07日

普天間基地問題が動きそうだ

 民主党はこれまで、鳩山由紀夫代表の発言や沖縄ビジョンのなかで明快に沖縄基地の国外移転を主張してきた。

 また、今年の二月には小沢一郎代表(当時)の(将来的には)軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンス(存在)は第七艦隊で十分だ、という発言があった。

 小沢氏の発言に自民党は猛反発したが、直後に軍事ジャーナリストの神浦元彰さんは「明らかに小沢氏の論が日米の安全保障を知り尽くした軍事論を感じる」「陸軍・空軍・海兵隊を日本から撤退させることは、米国こそが日本に求めている二十一世紀型の戦略転換なのである」と解説していた。
 
 ちなみに、沖縄の海兵隊は第七艦隊隷下にあり、第七艦隊と一体。陸軍は日本国内にもともと司令部と兵站部隊が主体に1000人しかおらず、戦闘部隊はほとんどいない。空軍もグアムを拠点にすれば沖縄まで一ッ飛びであり、嘉手納に常駐する必要性は薄れている。航空自衛隊が最新鋭の機体を揃えれば空軍の肩代わりも可能だ。海兵隊は2014年までにグアムに撤退するといっているのだから、ほっといても2014年には限りなく第7艦隊だけと同じになる。

 神浦氏は民主党の新外相に岡田克也氏が内定したことを受けて「(新基地)問題を日米間で話し合う最適の布陣」「普天間基地代替えの新基地建設は…グアムかハワイに移転する可能性が高い」「(米は)キャンプ・シュワブ沿岸基地建設はすでにあきらめていると思う」というところまで軍事を研究しておれば、読めるといっている。

 米には日米同盟は同盟そのものの目的が重要なのはもちろんだが、同盟を利用して商売をすべきだという勢力の層も厚い。オバマさんが一掃するといっているロビーストたちのことである。わたしもワシントンを取材した際、同盟で商売をすることを熱心に、もちろん善意ですすめられたことがある。

 ボクシングで言えば、アメリカから出てくる同盟関連の民主党批判は、まさに同盟を商売に利用しているシンクタンクなどから出た軽いジャブである。こんなのは痛くもかゆくもない。

 本日の読売新聞にこんな記事がある。
普天間代替施設、米が沖合移動に応じる方向

 【ワシントン=小川聡】沖縄県の米海兵隊普天間飛行場移設問題で、米国防総省が名護市キャンプ・シュワブに建設する代替施設を巡り、仲井真弘多・沖縄県知事が求める沖合側への「軽微な修正」に対し、条件付きで応じる方向で検討を始めたことがわかった。

 複数の日米関係筋が明らかにした。

 2014年の移設完了期限に支障を生じさせないことが条件。移動距離は沖縄県環境影響評価条例で手続き途中の修正が認められる約50メートル以内で、これをできる限り短くしたい意向だ。

 米政府はこれまで日本政府に対し、現行計画案で沖縄県から協力を得るように求めてきた。しかし、県外移設などを求める民主党政権が近く発足することを踏まえ、現計画の遂行のためには、沖縄県の意向に配慮する必要があると判断したようだ。

 仲井真知事は「早期の普天間返還のため、現実的な対応が必要」として、民主党に同調はせず、キャンプ・シュワブ沿岸部への移設を求める立場を変えていない。

 一方、米政府は「米国は、普天間の代替施設を日本政府と再交渉するつもりはない」(8月31日のケリー米国務省報道官発言)としているが、「軽微な修正」は日本国内の環境影響評価の手続きの中で行うため、「日米合意の変更にはあたらない」(関係筋)という。

 代替施設を沖合側へ50メートル移動する案は、2008年に当時の福田内閣が米側に打診したが、国防総省が拒否した経緯がある。(2009年9月7日03時07分 読売新聞)

 これから試合が始まるわけだが、手のひらを返したような反応である。
 
 国民の圧倒的な支持を受けた民主党の考えを米も重視せざるを得ない。国民の支持を得ていた自民党がそれをやらなかったところに問題があった。アメリカが教えているように、自民党自身が同盟で商売をしていた、またはそのような勢力とのつながりが深すぎたということだけだろう。  


Posted by 渡久地明 at 19:24Comments(0)返還基地の跡利用