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2006年07月30日

なぜ1000万人なのか=象徴的な数値だ

メールマガジン<夢先案内人「バクのビジネスマインド論」>に次の記事があった。

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観光関連が今年も好調に推移してますが、
有り難い事に未だホテルの建設ラッシユが続いています。


観光記者の渡久地氏曰く、
「ホテルが増えた分、観光客は必ず増えるんだ」、、、。

「ホテルの建設が止まればそれに見合う観光客数で止まってしまう」。

だそうです。

2018年には観光客数が1,000万に到達すると彼は断言します。
誠に県経済にとっては頼もしい役者のひとりです。


私としては長期滞在型の観光開発が望ましいと思うのです。

今の観光客数でも滞在日数が2〜3倍に増えたなら、
1,000万の観光客数に匹敵する効果があるのではと考えるのですが・・・。


いかがでしょうか、渡久地記者〜!。

まぐまぐマガジンID:0000175593
http://blog.mag2.com/m/log/0000175593/
(最新号のみ表示)

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書いてあることはその通り。ちょっと誤解がありそうなのは、人数より、滞在日数を増やしたほうがよいとバクさんは考えているようだが、わたしの言う1000万人論と意味は同じ(同値)であること。

わたしもあまり人数にはこだわらないでいいと思う。しかし、いまは人数が必要である。以下にその理由を述べる。

沖縄観光の目標は観光収入の拡大であり(その奧には高い失業率の解消や所得格差の是正がある)、観光収入は

観光収入(円/年)=観光客数(人/年)×平均滞在日数(日)×一人一日当たり消費額(円/日/人)・・・(1)

で表される。

各項は()内の次元を持っており、両辺で次元はあう。

問題にしている観光収入の拡大には、(1)式右辺の

観光客数、平均滞在日数、一人一日当たりの消費額

のそれぞれを増やせば良いのだから、基本的に観光客数のみの拡大にこだわる必要はない。

バクさんが志向しているのは、平均滞在日数を増やすことによって観光収入を増やそうじゃないかというもの。それも正解である。また、同様に観光客数は増えなくても、一人一日当たり消費額を増やす手もある。当然、3つを同時に増やす方法もある。どれを採用しても結果は同じだ。

わたしが1000万人といっているのは、単に分かりやすいからで、現状の500万人が倍の1000万人になるなら、どんなビジネスが成り立つか、イメージしやすい。

しかし、単純に数式の結論が同じだから、どうでもよいというわけには行かない。これまでの実情、現状、今後の傾向といった数式に表れにくいものを考慮しなければならない。そして、数式に現れない部分の方が現実に大きな影響を与えると思う。(系列も影響するし、派閥やトップリーダーの方針も数式に現れないが、現実に大きく影響を与える)。

それについて、最低限の現状を取り込んで、方針を出した方がよい。

(1)観光業界には人数の増加によって、売上を拡大できる業種がある。航空会社は典型例で、この業種は日帰り客だろうと1ヶ月の長期滞在客だろうと、売上は一人一往復にしかならない。同様な業種に空港売店の売上などがある。

(2)一方、観光客数が増えなくても、滞在日数さえ伸びれば売上が拡大する業種にホテルがある。

(3)業種間のバランスのとれた発展のために、観光客数も滞在日数も同時に延ばすのがベストだ。しかし、もし人数を拡大する政策のコストパフォーマンスが高い、または、より売上が拡大する事業者が多いなら、沖縄全体のGDP拡大のために、それを選ばざるを得ないとと考える。

この間、30年間の沖縄観光の現状を見ると、滞在日数の拡大は困難だったが、人数の拡大はそれに比べて実現しやすかった。業界の幅広いメンバーが相乗りできるからだ。したがって、政策的(国や県の観光政策)にも、人数拡大策が採用されてきた。この方向性は正しいと思う。

(4)また、一人一日当たりの消費額は、マクロ経済と密接に関連があると思われる。いまの縮小均衡の経済環境下では消費額の拡大の実現はかなり厳しい。97年の消費税増税と縮小均衡経済政策(バブル崩壊とその後のデフレ環境の下、デフレを加速する橋本政権の行財政改革→小泉構造改革)の加速で、沖縄の観光消費金額は年々縮小傾向にある。しかし、マクロを良くすることによってこの問題が解決できる。このためマクロを改善すべきだというのがわたしのここ数年来の強い主張である。

なお、これ以上人数が増えないという状況にやがて沖縄もなるが、その時から一人一日当たり消費額拡大策が重要になってくると思う。これはハワイの例からの経験則である。もちろん個別企業は必死に消費額拡大策を実行しているが、人数が伸びている内は人数の伸びに対応せざるを得ない。伸びなくなってから「構造」が変わるものといまは予想している。

そこで、人為的に(わざっと)人数を増やすのをやめて(たとえば空港をつくらないで、観光客を制限する)、売上を増やしてはどうかと考えることもできるが、それでは小泉構造改革と同じで、犠牲が多すぎ、失敗する可能性もある。これでは責任ある政策とはならず、問題(沖縄の高失業率の解消・格差の是正)を解決できないか、解決までに極めて長い時間を要することになるのではないか。  

Posted by 渡久地明 at 19:49Comments(0)観光情報学の話題

2006年07月30日

ホントに飛ばなかったテポドン

(スペースシャトルや日本の人工衛星でさえ何度も失敗しているのに、新開発の)テポドンなんか飛ぶものか、と6月の内にに述べた。これは、科学一般の初歩的な常識だと思う。

「火をつければ爆発して飛ぶかも知れないが、どこに落ちるか分からない花火のようなものだ」とも述べたが、その通りだったことが、米の軍事専門サイトでテポドン発射直後から次のように指摘されていた。

「高度はたったの4.4キロ、発射台から1.4キロしか離れていない目の前の海に落ちた」

この分析は米民間シンクタンク「グローバルセキュリティー」のもので神浦さんのHPに連日掲載されていた、スパイク通信員の翻訳・投稿記事によるものだ。ちなみにスパイクさんは神浦さんの奨めもあってご自分のサイトを立ち上げており、わたしももちろん参考にしている。

発射からおよそ一ヶ月経った今ごろ、日本の新聞に「テポドン 1.5キロ内に落下、米が分析」(本日の琉球新報1面・沖縄タイムス3面=共同配信)という記事が出ている。正式な日本の報告書は8月上旬の発表になるという。

この間、北朝鮮への日本の経済制裁、国連での非難決議、G8サミットでの非難、PAC3の沖縄配備の前倒しなどが次々に決まった。

共同配信の例は次のような記事となっている。

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1・5キロ内にテポドン落下 米政府が日本に伝達
 北朝鮮が5日に発射した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」について、米政府が日本側に、発射台から1・5キロ以内の地点の上空で爆発し、ほぼ真下に落下したとの見方を伝えていることが29日分かった。爆発の原因や状況の詳細は明らかでないが、米偵察衛星が散乱した破片の一部とみられる物体を確認した。爆発地点は北朝鮮領空とみられる。
 また日本海と太平洋で警戒、監視に当たった日米のイージス艦が、発射された弾道ミサイル7発のうち、2、4、5、7発目の短距離弾道ミサイル「スカッド」や中距離弾道ミサイル「ノドン」の飛行軌跡の捕捉に成功したことも分かった。ただ現時点では、イージス艦によるテポドン2号を含む残り3発の探知、追跡は十分でなかったとされる。(共同)

北日本新聞
http://www.kitanippon.co.jp/

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新聞記事はこれ以外にもズーッと以前からインターネットの専門家に抜かれっぱなしで、最近は見る影もなくなってしまっている。自分でものを考えるのをやめ、防衛庁などの発表に基づく記事制作の日常化という「構造的な欠陥」だろう。上は軍事部門の典型的実例といえる。  

Posted by 渡久地明 at 14:24Comments(0)マスコミ評論

2006年07月25日

JCの経済復興プラン

2006年度(社)日本青年会議所 経済復興プラン(案)
格差なき経済成長&増税なき財政再建
国民生活の安定に向け歳出削減・増税路線から積極財政へ転換
取り戻せ 高潔な日本の魂(こころ)
呼び覚ませ 自立国家 「美しき日本」
http://www06.jaycee.or.jp/2006/soul/economic/uploads/plan.htm

という提言が出ている。約100兆円の外貨準備を日銀に買い取らせて財政出動、累進課税の強化、長期金利の固定化、税の自然増収による借金の対GDP比軽減、3%のインフレプラス実質成長率3%計6%の名目GDP成長目標などなど、わたしがこれまでここで述べているのとほぼ同じ。すばらしい。

政府赤字が拡大している理由についてはbewaadさんの説明

文科系人間から見た「小泉改革の本質」
http://bewaad.com/20050903.html#p03

が、簡単明瞭なのでぜひとも参照されたい。

最近、観光商工部で国の借金について、雑談することがあって、意外と皆さん国の借金が大きすぎるということを気にしているらしいことが分かった。(ちょっと前まではそのような話題にはなかなかのってきてもらえなかったが、最近風向きが変わってきたようだ)。

国民の貯蓄が積み上がるのとほぼイコールで財政赤字が拡大するということを、GDPの定義から分かりやすく導出している。その解決策として、上の青年会議所の提言は間違いなく有効な答であると思う。  

Posted by 渡久地明 at 22:30Comments(1)デフレ脱却

2006年07月20日

格差広がる日本社会‐OECDのまともな警告

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OECDの対日審査報告
格差拡大を指摘

 経済協力開発機構(OECD)は二十日、日本経済の現状を分析した「対日経済審査報告書」を発表した。相対的貧困層の割合は先進国で二番目とし、「不平等の度合いが増している」と指摘。格差拡大は、所得が低い世帯の子どもたちの教育水準低下などを招く恐れがあると懸念を表明した。

 ゼロ金利解除後の金融政策にも言及し、デフレに逆戻りするのを避けるためにも、追加利上げは慎重に判断するよう求めた。

 主要国の日本経済に対する考え方を示す同報告書は、構造改革への抵抗を強めかねない格差拡大を防ぐよう警告しており、経済政策をめぐる国内の議論にも影響を与えそうだ。

 報告書は全六章のうち一章を格差問題にあて、初めてこの問題に本格的に言及。日本の可処分所得の分布を分析した結果、中央値に比べ、所得が半分未満の「相対的貧困層」の割合が、二〇〇〇年には13・5%と、OECD加盟国の中で米国に次いで二番目に高かった。

 その理由として、景気低迷で正社員が減り、賃金が安いパートなどの非正社員が増えたことを挙げた。

 同時に「貧困を固定化しないためにも、所得が低い世帯の子どもが質の高い教育を受けられるようにすることが重要」と強調。(1)非正社員への社会保険の適用拡大(2)低所得世帯への財政支援の強化−などを提言した。

(東京新聞20日)http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20060720/eve_____kok_____001.shtml

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 沖縄の新聞で、

「高校の授業料、沖縄のみ減免数に上限 教育庁/8%枠は維持」

 生活困窮家庭への高校授業料減免制度で、全国で沖縄県のみが減免者数の上限枠を設定していることが十八日までに分かった。他県は認定基準を満たせば減免措置が受けられる。文部科学省は「上限枠の事例は聞いたことがない。そもそも制度の趣旨に合わない」と指摘する。県教育庁は「長年の制度なので、すぐには撤廃できない」としており、救済制度における全国との格差は当面放置されることになる。(以下略)(沖縄タイムス7月19日朝刊)

 とあるのとピッタリタイミングがあったOECDの分析だ。タイムスはせっかく「格差を考える」というシリーズもので学校の授業料が払えない子弟が続出しているところまで行き着いたのだから、バカな構造改革まで踏み込んで欲しいところだ。授業料の話は解説記事では「沖縄の教育行政が問われる」としているが、実際にはマクロ経済の問題だ。まともな経済学者は小泉構造改革によって、まさにいまOECDが懸念したようなことが起こると、ずーっと前から警告してきた。東京新聞の下線部分は不要だと思うが、OECDがそういってるのだろうか。
 
 全国最低の所得水準の県であり、OECDが懸念する問題はいち早く沖縄に現れるはずだ。郵政民営化に最後まで反対して。いまでも反対している稲村公望さんは、所得格差(ジニ係数)も沖縄は全国で最も大きいといっている。
 
 なお、低所得者が多いと言うことは、高所得者が低所得者のカネをどんどん巻き上げているから、という極めて単純な理由による。それが極端にならないようにするために、累進課税というのがあったが、最近はどんどん高所得者(法人税も含め)の税率が下がって、政府の税収が減り、その結果、社会保障に回すカネが不足し、消費税値上げという議論になる。累進所得税を元に戻して消費税は撤廃するのが正解である。本当に小泉構造改革とはバカなことをしたものだ。

 あ、ついでに今日の新報夕刊に「年金運用基金が株高で黒字が8兆円、前年度の4倍」という記事がある。特殊法人年金運用基金は、儲かりすぎたので、国庫に約2兆円上納するそうだ。構造改革なんか後回しで、最初からまともな経済運営で株を上げていれば、年金不安なんか起こらなかった。重ね重ねバカな構造改革であった。

<追記>全国のジニ係数について、富山県のHPに詳しい記述があった。その中で沖縄の所得格差は全国最大とある。計算方法も示されているので、そのうち計算してみようと思う。

2割の人が9割の所得-世界の所得の平準度の試算-富山大学極東地域研究センター 研究協力専門官 浜松誠二
http://www.pref.toyama.jp/sections/1015/ecm/back/2001nov/tokushu/index.html
  

Posted by 渡久地明 at 22:07Comments(0)デフレ脱却

2006年07月17日

県の観光予算が半減

HP沖縄観光ニュースを更新した。構造改革・三位一体改革で沖縄県のリーディング産業である観光部門の県予算が半減となっている。これではどういうこーぞーになっていくのか、全然不明である。東京でこーぞーかいかくしたら、地方の主力産業が崩れていく見本のようなものだ。

県の観光予算半減 3割のマイナスシーリングと事業終了など)
琉宮城蝶々園が11周年 全国に沖縄の蝶を広めた
自然のなかの伝統民家「大家」にお客殺到
渡久地明コラム699 米軍撤退に外貨準備の有効活用
おきなわ観光情報学研究会コラム35 ㈫観光ゾーニング」は地域特性化を促し、観光許容量を知るツール
前川昌道ITコラム23 ビジネスを確実に成功させる方法  

Posted by 渡久地明 at 12:58Comments(0)沖縄観光の近況

2006年07月15日

小沢代表、沖縄・米軍再編を争点にする



民主党小沢一郎代表は15日、菅直人代表代行、鳩山由起夫幹事長とともに沖縄県連のパーティーに出席した。3人が沖縄に同時に訪問したことはかつてないことで、たぶんこれからもないと笑いをとって、

「沖縄は国際的に重要な土地であり、国内でも最重要な土地だ。沖縄が動けば全国に影響を与えるからだ」

と続け、

「国民の福祉が切り捨てられ、大企業と中小企業、個人と個人の格差がどんどん開いていく政治、勝つためには何をやってもいいという政治はダメだ」「辺野古のV字型滑走路はつくらせない」「そのために政権交代が必要なんだ」「沖縄知事選では非自公の皆さん、政党と協力して行く」

と呼びかけると、会場から大きな拍手が巻き起こった。会場のパシフィックホテル沖縄には1000人を越える支持者が集まった。相当に勢いのある集会となったようだ。わたし個人の印象では、普段の顔ぶれとはまったく異なる集会となっていた(あはは、普段どんな集会にでとるんじゃ、というと政治集会には出たことはなく、業界の集まりなどと比べてという意味。沖縄ビジョンの意見交換会の終わった後でメシを食うのが目的で出た)

それに先立つ民主党沖縄ビジョン意見交換会には約20人の「地元有識者」(新聞記事、非常に微妙な人も混じっているが)が参加。約1時間半の意見交換となった。

沖縄ビジョンの担当になった松本剛明政調会長は「どなたたかの配付資料の通り米軍の再編は日本政府が<お願い>したものだという認識だ」とあいさつ、武正公一氏が沖縄ビジョン全体を改めて説明した。その後、参加者が次々に挙手して意見を述べた。大島敦次の内閣府担当大臣、喜納昌吉県連代表も参加した。

この中で、島田勝也氏が「07年の参院選で民主党が躍進、08年の北京オリンピックまでに東アジアの情勢が大きく変わり、09年には首里城明け渡し400周年、喜納昌吉県連会長の出番が来る」とビジョンにタイムスケジュールの視点を入れるように提言。

また、宮城弘岩氏は「ビジョンはここ数年の新聞記事のキーワードを羅列したもので、ビジョンとは呼べない。沖縄は復帰前まで失業率は1%前後だったのが、海洋博の工事で農民が建設作業員となり、海洋博終了で農業には戻らず、失業率が10%まで拡大したものだ。中小企業の基準にも満たない県内零細企業を振興する法律がいまでも必要。また、沖縄の豊かさはGDPでは測れない。人の往来の大小で決まる」と述べた。

事前に提出された配付資料はわたしのものと新聞記事だけのようで、もう一人が当日資料を配付した。

時間ぎりぎり、最後に手を挙げてわたしは「ビジョンは沖縄県民が<スゴイ、面白くなる>といういような魅力的なものでなければならない。政権をとれば沖縄基地は嘉手納も含めて全面返還することが可能であることが今回の米軍再編協議で明快に分かった。全面撤退を目指し、大深度港湾、空港、南北縦貫鉄道の3点セットに取組むべきだ。これらは箱モノの公共工事ではなく、沖縄の効率を高めるために必要な公共事業である」と述べた。

小沢代表は格差の拡大や壊れていく日本の伝統について、争点にした。沖縄の米軍再編と外交問題、集団自衛権なども参院選の争点に据えてくると思われる。それに見合う新たな沖縄ビジョンが必要になった。  

2006年07月14日

民主党に注文

小沢・菅・鳩山の民主党幹部が揃い踏みする集会が明日ある。それに先立ち、事務方との意見交換会があって、出席する予定だ。

民主党は「沖縄ビジョン」を策定していて、策定に当たっての地元との意見交換会を何回も開き、わたしもその都度「小泉構図改革は間違いであり、それを一層押し進めようとする民主党はよけい間違い」と何度も意見を述べてきた。民主党支持者ではないが、沖縄の声を伝えておく必要はあると思ったので、発言した。このようなことは普段はしたことはないが、当時の民主党沖縄県連代表の島尻昇氏の要請に応じたものだ。沖縄ビジョンは1、2があり、両方の意見交換会にでた。今回、改定するなら3回目になると思う。

「皆様からの意見、提言が沖縄の未来への一助になります。よろしくお願いします」「配付資料のある方は、7月13日までにお送り下さい。当日、コピーを用意します」と沖縄県連からの呼びかけであり、きのう夜、下のペーパーをFAXしてある。

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民主党沖縄ビジョン配付資料

06年7月13日 渡久地明

(1)東アジアの中心に位置する沖縄地理的特性等はますますその重要性を高めていると大きな状況を前提にしているが、ビジョン全体が小さい。

 たとえば、米軍基地が沖縄の進むべき道を妨げているとしながら、(基地返還後は)沖縄があらためて自主自立の新たな道を切り開くことを通じて(略)先端モデル地域になりうると述べるにとどめ、進むべき道についての考察がほとんどなく、匙を投げているように見える。また、日本の進路との関わりについての記述がほとんど見られないのはなぜか。

 「○○年までの完全雇用の達成」という分かりやすい目標を盛り込み、政治の責任をハッキリ示したらどうか。沖縄のGDP成長率や規模などがなぜ明記できないのか。

 政権をとっていれば基地の縮小は当たり前に実現できることが、今般の米軍再編の交渉過程で明快に見えた。辺野古のV字型滑走路は現政権が米政府に「お願い」して合意したものだ。いまさら「地位協定の改定」や「SACO2」では踏み込みが全然足りない。基地の全面返還を前提にビジョンを作り直すべきだ。「基地縮小のために支援してやる」(小泉自民党と同じ)ではなく、「日本豊かにするために沖縄にはこの部分を担って欲しい」という積極的な姿勢が必要だ。

(2)沖縄が求める将来像をもっと丁寧に聞いて、それをどのように120%実現するかという立場からビジョンを再構築、改めて打ち出すべきだ。

 現ビジョンは沖縄の地理的・歴史的特性を枕詞に、これくらいのことをやってやれば満足だろう、というビジョン執筆者のスタンスが丸見えだ。「昆布ロード」とか「時差の設定」といったことは大切ではあるかもしれないが、政権をとる民主党の沖縄ビジョンにしては細かすぎる記述だ。それらはビジョン実現のためのロードマップとか付属文書でよいのではないか。

(3)沖縄が求める将来像として、たとえば「浦添市に整備する①国際標準の大深度港湾施設に米西海岸やシンガポール、香港、中国、台湾などからの輸入品の仕分けや一時保管、加工する中継加工拠点としての機能を持たせ、日本最大の物流拠点にする。フリーポートなど国際標準の制度導入で港湾利用料を抑制したり、最先端の機能で関連企業誘致も同時に進める」としてはどうか。同様の観点から②那覇空港の拡張(国際リゾートの実現)、③南北縦貫軌道(東京、大阪に次ぐ全国3位の道路1キロあたり渋滞損失の解消)を構想・整備すべきだ。

 ビジョンは全体的に沖縄が世界の中でどのような役割を果たしていくかという戦略的思想が希薄だ。米軍が沖縄を拠点にせざるを得なかった地政学的利点がビジョンでは活かされていないのではないか。
以上
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2006年07月09日

骨太方針は評価できるようだ

 今日の沖縄タイムスに2本の面白い主張がある。2本とも骨太の方針に関するもので、一つは社説。もう一つは経済学者の評論だ(共同の配信と思われる)。

 社説が骨太方針を実現できるのかといちゃもんをつけて批判しているのに対し、経済学者は皮肉は交えているがプラスに評価している。

 読者の手間を省くために、2本を並べてそのまま転載しよう。わたしの考えは最後に述べる。なお、この時点でわたしは骨太方針はまだ読んでいない。

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社説(2006年7月9日沖縄タイムス朝刊5面)
[骨太の方針]
歳入改革の道筋を示せ
 政府は今後五年間の経済財政運営の基本的指針となる「骨太の方針二〇〇六」を閣議決定した。
 小泉政権の最後となる今回の方針で政府は、名目成長率3%程度を前提として一一年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を確実に黒字にすると明記。財源不足額十六兆五千億円のうち、十一兆四千億—十四兆三千億円を歳出を削減して賄うことを強調している。
 だが歳出を調整するには、きちんとした歳入の算出が必要ではないか。
 つまり残りの財源不足を補うには増税に頼らざるを得ないはずなのに、その工程表があいまいにされたまま十分な論議もされていない。
 政府、与党が来年夏の参院選に影響があるとして、消費税率の引き上げ幅や導入時期など歳入に関する具体策を先送りしたのは疑問と言うしかない。
 当然のことだが、国の歳入・歳出の問題は国民の暮らしと将来に密接にかかわる。
 財政改革が喫緊の課題であれば、解決への道筋づくりを選挙後に先送りしてはならず、現政権が責任をもってつくるべきだ。
 もう一つ言えば、当初盛り込まれるはずであった地方交付税の削減方針も、やはり来年の選挙を控えた参院自民党の反対で削除されている。
 確かに国民に痛みを強いる問題を選挙前に打ち出せば、影響が出るのは間違いない。
 だが解決すべき最重要課題であるのなら選挙に左右されてはならず、厳しい状況の中で努力することが本来の政治家の責務ではないか。
 つまり国会論議を通して、国民の前にはっきりと歳出削減の痛みか、増税による痛みかの選択を問うべきであり、それこそが政治の役割だろう。
 政府、与党内には参院選後に消費税率の引き上げ論議を本格化させ、〇九年度に控えている基礎年金の国庫負担割合の引き上げで必要な財源を確保しようとの狙いがあるという。
 柳沢伯夫自民党税調会長や中川秀直政調会長も「〇九年度までの消費税引き上げ」に言及している。
 であれば“増税隠し”の手法は姑息と言うしかなく、これでは「骨太」ではなく、小手先の方針だけを打ち出したと批判されても仕方あるまい。
 政府はまた、国と地方が抱える八百兆円近い長期債務残高を縮小する方針も示さなかった。
 避けて通れない歳入改革、つまり増税論議を棚上げにしたままでは、プライマリーバランスの黒字化は達成できないということを肝に銘じたい。

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評論(2006年7月9日沖縄タイムス朝刊2面)
骨太方針と小泉改革
歳出削減優先に意義
諮問会議実質終焉告げる

岩田部昌澄氏 早稲田大学政治経済学術院教授
(わかたべ・まさずみ 65年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。ケンブリッジ大学客員研究員などを経て05年から現職。主著「経済学者たちの闘い」「改革の経済学」など。)

 今年のいわゆる「骨太方針」は、小泉経済政策の決算報告書である以上に、今後の内閣の設計図でもある。その注目点は大きく分けて二つある。内容そのものと、この内容が骨太方針として決まった過程である。
 まず内容面では、今年の骨太方針は㈰成長力・競争力強化㈪財政健全化㈫安全・安心で柔軟かつ多様な社会の実現1の三本柱からなる。
 第一の柱は、国の競争力を強化するという、経済学的にはあまり意味のない言葉が用いられていることを除けば、具体的な施策をほとんど欠くので、実質的には人畜無害である。第三の柱は、再チャレンジ支援など「格差社会」批判への解答であるとともに、小泉後の最有力候補者安倍晋三官房長官の政権構想に配慮している。とはいえ、この部分には新味はない。
 今年の骨太方針で最も実質的で重要なのは第二の柱である。第一の柱でうたわれている成長力強化も第二の柱と一体となってこそ意味をもつ。
 その意義は三点ある。まず、名目成長率3%程度を維持するという前提を明確にしたこと、次に国の債務残高について対国内総生産(GDP)比で削減していくことを明記したこと、そして歳出削減を優先することによって、増税への道を遠のかせたことである。
 細部はともかく、経済と財政を一体としてみるこの基本方針は正しい。財政について基礎的財政収支のみを問題にしているところは見事である。
 内容を個別に見たときにも、興味深い事実が浮かび上がってくる。名目成長率3%を確保するためには、物価上昇率は少なくとも1・5%程度を維持しなくてはならない。これを達成するのは日銀の役割だから、この骨太方針は日銀に注文をつける内容でもある。なお、名目成長率が3%以上になった場合には、増税はさらに遠のくことになるだろう。
 さらに興味深いのは、今年の骨太方針が決定された過程である。いうまでもなく、第一の柱は中川秀直政調会長、二階俊博経済産業椙、与謝野馨経済財政担当相によって今年の五月十一日に合意された「経済成長戦略大綱」そのものである。また、第二の柱は三月にほぼ決着し、その後自民党の財政改革研究会で作成された「歳出・歳入一体改革」である。
 今年の骨太方針は、小泉政権展後の一年に生じた政策決定過程の重要な変化を明確に示している。それは、重要な政策は与党が決めるということだ。経済財政諮問会議は、それを追認する器にすぎなくなった。今年の骨太方針は、経済財政諮問会議の実質終焉を告げている。今後この変化は続くだろうか。三つの点に注目すべきだろう。第一に、名目成長率を維持することができるかどうか。このためには日銀が安定的に物価を運営することが必要不可欠だ。第二に、歳出削減がどの程度実現するか。歳出削減努力を進めるのは当然としても、その内容は社会保障費のように削減に痛みを伴い、難しいものが多い。どのように政府サービスを提供すればよいかも、別途議論する必要があるだろう。第三に、政治家が今後どれだけ自制できるかどうか。予算編成権を掌握した与党政治家の力量と見識が問われることになろう。
 
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 まったく反対の意見になっているが、わたしは後者の考えに9割同調する。社説にはまったく同意できる部分がない、というか社説そのものに内容が全くない。井戸端会議状態で、責任ある発言とは思えない。
 
 若田部氏は最後の方で政治家が予算を握ったら財政出動をどんどんやるのではないかと懸念しているようだが、わたしは財政出動も含めて景気回復を着実なものにすべきだと考える。そこだけちょっと違うが、その他は全面的に若田部氏の考えが正しいと思う。
 
 それにしても、若田部氏のようなまともな学者が新聞紙上に登場するようになってきたのは喜ばしいことだ。トンデモなタレント学者ばっかりだったからなあ、いままで。  

Posted by 渡久地明 at 21:40Comments(0)マスコミ評論

2006年07月09日

観光情報学会誌「観光と情報」が到着

観光情報学会の雑誌「観光と情報」を受け取った。学会の普及に活用するようにと部数をいただいたので、週明けから何カ所かに届けようと思う。



また、おきなわ観光情報学研究会の集まり(飲み会)を琉球大学の方で企てているので、そこでも十部ほど配布できる。

5本の学術論文、1本の産業化研究論文、網走市長の特別寄稿、各地の研究会の近況とわたしの寄稿(「沖縄観光成長の法則」)も掲載されている。

わたしの原稿は論文としては未熟だが、査読者が読んで、疑問点に応えるなら寄稿として掲載するというので、指摘にそって書き直し、掲載してもらったものだ。そのうち論文にする予定である。  

Posted by 渡久地明 at 13:18Comments(0)観光情報学の話題

2006年07月09日

6月の観光客は久々に減少

 県観光商工部が05日、発表した(速報するのをうっかり忘れていました、テポドンが飛んだ翌日でした)JAL、ANA、JTA、RACの6月の県外=沖縄到着便旅客数は、前年の6月に比べ0.5%減少した。JALが0.2%増、ANAが2.4%減、JTAは9.6%増、RACは3.5%減となった。

 6月は1〜10日が6.4%増と順調に伸びたが、11〜20日は大雨の影響で14.4%減と大幅に減少。梅雨明け後、21〜30日に7.7%増と盛り返したが、月間トータルではわずかに前年割れとなった。

 台湾からのクルーズ客の全減(約9,000人)の影響もあり、6月の観光客数は2%程度のマイナスとなる見込み。

 先行き(6-8月)についてはJATA(日本旅行業協会)のDIで沖縄はプラスを維持、JTBの夏休み(7月15〜8月31日)の旅行動向で沖縄は好調であることから伸びる見込み。夏休みについては今週、航空会社の予約状況が発表される予定で、それについても速報する。  

Posted by 渡久地明 at 12:39Comments(0)沖縄観光の近況

2006年07月07日

スマンが、爆笑 北朝鮮

テポドンとかノドンは弾道ミサイルであるが、弾道ミサイルって何だっけ。

「弾道ミサイルは、大砲の弾のように空中に弧を描いて飛ぶ対地ミサイルのこと。弾道ミサイルは最初の数分間に加速し、その後慣性によって飛翔する。」(ウィキペディア「弾道ミサイル」)

もので、この説明通りなら命中精度は非常に低い。映像でよく見る狙ったところにピンポイントで当たるレーダー付き・エンジン付きのミサイルとはまったく異なる。少し長いが上のウィキペディアの解説は読んでおく方がいい。

短距離弾道ミサイル(スカッドなど=今回北朝鮮が発射したもの)でも最初の数分加速して、宇宙空間に飛び出し、大気圏に再突入、落ちて爆発する。最初の数分で着弾地点を精密にコントロールする能力が、北朝鮮にあると考える方がナンセンスだろう。

弾道ミサイルは命中精度が低すぎるため、弾頭に核を積んで、半径数キロを破壊できるようにする、それでもなかなか命中しないので何百発も撃つ。効率を高めるため米ソが冷戦時代にミサイル精度と核の破壊力を競ったわけだが、数キロの誤差はどうしてもあるようだ。目標に命中することはマレで、核を積んでいなければ破壊力も大したことはない。

米軍が警戒態勢を高めていないのはこのような事情だろうと思う。

北朝鮮が核爆弾を2、3発持っているのではないか、という専門家の見方もあるが、持っていないとする専門家もまた多い。もしやっとかっと製造した虎の子の核なら、命中しない弾道ミサイルに積んで発射するというカケに出るだろうか。仮に「ハワイを狙った場合、着弾地点は目標より500キロずれる」(6日、昼のTV番組で、神浦さんの解説)なら、海の藻屑だ。陸地に落として核を爆発させたいならアメリカ大陸を狙うしかないだろう。

第二次大戦中、日本は風船爆弾というのを開発して、アメリカに爆弾を何発か落としたが、山火事が起こった程度だった。それと似ているのではないか。(ちょっとバカにしすぎか)

「渡久地君、飛行機からの機銃掃射ね、オレも撃たれたけど、あれはあたらんよ。確実に殺すには地上での火炎放射器だよ」

と数年前、沖縄県貿易協会の川田会長から戦時中の体験談を聞いたのを思い出しているのだが。

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以上の記事は昨日(6日)書いたものだが、今日(7日)になって

神浦さんのHP
http://www.kamiura.com/report.html

でスパイク通信員が精度の高い分析

globalsecurity.org
http://www.globalsecurity.org/wmd/library/news/dprk/2006/060706-nkir2625.htm

を紹介している。

それによると、テポドンはハワイ方面に向けて撃たれたことが軌道の計算で分かっていた。



また、米西海岸を狙う場合



と東海岸を狙う場合



の発射の方向が描かれている。

テポドンはハワイに向かって撃たれたが、北朝鮮から7000キロあるハワイには全然届かず、高度はたったの4.4キロ、発射台から1.4キロしか離れていない目の前の海に落ちた。致命的な失敗作であるらしい。

同じものを沖縄に向けて撃ったら上の軌道計算の図から類推して、東京上空を通るくらいの方向で撃って、途中の佐渡島にも届かないという精度しかないのではないのか。

どう考えてもお笑い以外の結論は出てこないようだが…。

これまでの記事。


テポドン発射‐もうすぐ窮鼠猫を噛む?(7月5日)
http://toguchiakira.ti-da.net/e880447.html

テポドンなんか飛ぶもんか(6月23日)
http://toguchiakira.ti-da.net/e862196.html  

2006年07月05日

テポドン発射‐もうすぐ窮鼠猫を噛む?

北朝鮮のミサイル発射が朝から盛大に報道されているが、専門家が揃って発射の理由が分からないと言っているようだ。わたしも分からんけど。

また、北朝鮮崩壊の始まりとする見方もある。

目に付いたのは、増田俊男氏が、米朝の国益になる、

(アメリカ:日本からの米軍再編費用、TMD開発予算の獲得)
(北朝鮮:「窮鼠猫を噛む」状態になったところで米朝2国間協議の開催と経済制裁解除)

というもの。

時事直言7月5日付
http://chokugen.com/opinion/backnumber/h18/jiji060705_365.htm

現状だけよく見ておくと、北朝鮮の窮鼠ぶりは、下の表の通り。



北朝鮮の     人口は沖縄の16.6倍
        GDPは沖縄の2/3
   一人当たりGDPは沖縄の4/100

これでよくミサイルなどにカネをかけていられるものだ、と思う。  

2006年07月03日

3点セット揃う?

日本経済新聞Webに東アジアの物流拠点としての港湾整備との記事が。これで政府の沖縄振興策は、空港、南北縦貫鉄道、大深度港湾の3点セットが新聞記事では揃った。

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沖縄に国内最大の物流拠点、米軍再編に向け振興策検討

 在日米軍再編で決まった普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市への移設などの施設整備を円滑に進めるため、政府・与党が検討している沖縄振興策の概要が2日、明らかになった。那覇軍港の移設に伴い浦添市に整備する港湾施設に中国や台湾などからの輸入品の仕分けや一時保管をする中継拠点としての機能を持たせ、日本最大の物流拠点にする構想が目玉だ。

 具体的には、補助金などの財政支援により港湾利用料を抑制。関連企業誘致も同時に進める。内閣府は8月の来年度予算の概算要求で調査費を要求。来年3月にもまとめる沖縄振興後期5カ年計画に詳細を盛り込みたい考えだ。 (07:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060703AT3S0200F02072006.html

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しかし、県からは「誰も何もしていない、自分のことと思っていないようだ」との話がもれてきている。「動き始めるのは知事選後では」。対応、大丈夫か。

<これまでの記事>

南北縦貫鉄道の検討
http://toguchiakira.ti-da.net/e853245.html

那覇空港の沖合展開のゴーサイン時期
http://toguchiakira.ti-da.net/e856945.html

大深度港湾のコンセプト
http://toguchiakira.ti-da.net/e863246.html

《緊急提言》 目の前に来た普天間返還 沖縄全体の再開発考えるべき
http://www.sokuhou.co.jp/library/futenma04.html  

Posted by 渡久地明 at 13:18Comments(0)返還基地の跡利用