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2007年10月31日

人の顔が見える観光情報システム

下のような観光情報システムを、昔、構想したことがある(最後の日付に注目して欲しい)。00年頃、おきなわ観光情報学研究会の先生方と公募に応募して、没になったこともある。それとは独立に実際のニーズに基づいて、中央ツーリストとJTAインフォコムがほぼ同じコンセプトの仕組みを最近、実現した。すばらしいと思った。理想に近く、現段階で完璧ではないだろうか。次のわたしの新聞で詳しく伝える予定。

最初のアイデアを述べた下の記事は沖縄観光ニュースのHPにも収録してある(図表付)が、検索しないと出てこない状態になっていた(まだ直してないけど)。以下、本文だけ再録。

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《観光週間ワイド特集/非日常からの発想/観光論文・標語法まる/高度情報化社会が旅行業に与える影響/観光情報システムを考える》
観光情報システムを考える ニューメディア・コンパニオン方式を…

■めんどうな操作

 キャプテンなどのニューメディアを使った観光情報提供システムが、各方面で研究・実験されている。キャプテンには地方自治体としては長崎県がいちばん乗りで観光情報を組み込んだ。また、東京駅や大阪駅には、ボタンをたたけば、全国の主要な観光地の情報が得られる機械がある。

 日本航空はJ‐VISSを開発して、全国の旅行社の窓口にこれを置いて、海外旅行のテレビ画面による紹介をしている。

 いずれの装置も、基本的には利用者がボタンを操作し、テレビ画面の表示にしたがって、ほしい情報までたどりつくというものである。

 情報(たとえば列車の時刻表や旅館の紹介)はテレビ画面にうつし出されるし、必要な場合はそれを印刷して出してくる。

 ニューメディアによる情報の提供は一般にいま述べたようなものが多い。

 しかし、よく考えてみるとこの方法ほど不親切なものはあるまい。その理由を次に示そう。

 第一に、利用者自身に端末機器の操作をさせる点である。画面にあらわれたとおりのボタン操作をすればよいのだが、これかかなりメンドウである。

 ニューメディアによる観光情報提供のいききつをふりかえってみよう。本来、旅行に出ようと考える人は、旅行ガイドブックや旅行会社の窓口で目的地の情報を手に入れていた。

 これは実に簡単な方法である。ガイドブックを見て文字を読めばよい。あるいは旅行社の窓口にいる女のコにきけばよかった。

 ボタン操作を利用者がしなければならない、というのは、利用者に余計な手間をかけることになる。

■ふれあいがない?

 第二に、いうまでもないことかも知れぬが、機械には感情がない。だから、つまらない。人間的ふれあいがゼロであることはあたりまえのことである。

 物理学の実験やお金の振り込みなどの場合には、機械を単に操作すれば目的は達成される。だから、人間的ふれあいなど必要はない。

 だが、観光の場合、心のふれあいを大切にしているので、機械まかせ、は致命的な欠陥といわねばなるまい。

 以上の二点が、観光情報システムを作りあげるときの問題点であろう。

 現在のところこのほかに、出力までに時間がかかる、データがおおざっぱである、内容がパンフレット程度しかない、などの声も聞かれる。

 だが、これらは技術や情報収集体制がととのえば自然に解決される問題である。

 また、第一の理由であるボタン操作の手間は、人の声に反応する機械もそろそろ出てきたので何年かすれば解決されよう。あるいは、未来社会では、端末のボタン操作はだれにでも簡単にできるようになっているかも知れない。現代の人間が文字を書くのと同じくらいに。

 解決がむずかしいのは第二の心のふれあい、に関してである。端末を利用者に操作させるという発想からは、この問題は解決できないであろう。では、旅行集でのニューメディア利用の方法にはどのようなものがあるか。

 コミュニケーションの基本は人と人との対応である。だから、窓口で美しい女性が旅行客にアドバイスする、というのが一番よい。しかも、事務的な対応ではダメ、旅客を処理してはならない。仮りに旅客と対応する美しい女性をニューメディア・コンパニオン、略してNCとしよう。

 端末のかわりに、NCをいろいろな場所に配置すればよい。とはいえ、ボタン操作の端末が便利なのは、小型であり、各家庭に置けるという点である。

■NCで一挙解決

 ではどうするか。ニューメディアの使い方はここから発想したほうがよい。

 電話あるいはテレビ電話でNCを呼びだして旅行情報を問いあわせる、という方法である。

 NCは、細かな旅行情報をすばやく利用者に伝えるよう訓練を積まねばならない。

 沖縄の観光情報を考える場合、このNCを、五十人くらいつくり、情報センターに常駐させる。朝から晩まで、問い合わせに応じさせるのである。うけこたえはさすが、といわれるほど親切でなければをらない。

 情報は、NCが覚える必要はない。これは機械に覚えこませておく。問い合わせに応じてNCが機械を操作し、その内容を利用者に伝えるのである。必要に応じて、ハードコピーも作ればよい。

 さらに、NCをセンターに常駐させる必要もない。センターには、情報の蓄積がある。NCは自宅やオフィスにいて、問い合わせがあったときにセンターのコンピュータを呼び出して知識を得ればよいのである。したがって、NCは、それほど費用をかけることなく大量に採用可能である。

 最も便利なのは、県内の各旅行社やホテルの協力を得て、NCを選定してもらい、問い合わせを順番にふりむけることである。

 通常は各社で日常の業務をNCは行なっているが、問い合わせがあったときにそれに応じるようにするのである。問い合わせの件数によって、NCに手当てを支払う方法をとることも可能である。こうすれば、問い合わせが少ない場合の経費も少なくてすむ。

 以上をまとめると、次のようになる。

 ㈰利用者は、端末のボタンを操作するのでなく、NCに肉声で問い合わせる

 ㈪NCは各家庭あるいはオフィスにいて、問い合わせに応対する。

 ㈫NCはセンターのコンピュータを操作し、必要なデータを得る。これを利用者に伝えるのである。

 ㈬必要に応じてデータのハードコピーを利用者が得られるようにしておく。

 だいたい以上がニューメデイア時代の観光情報の理想的な提供のしかたである。

 以上の方法は、ニューメディアが発達しなければ解決できなかった問題を二つばかり解決している。

 まず、旅行社の窓口に聞いても不明だった細かい情報を、センターのコンピューターを利用して明確にする点。

 次に、電話での問い合わせは人手不足などの理由でむずかしかったが、各家庭やオフィスのNCに対応してもらう、という方法で解決している。

 これらを図示すると次のようになる。

 もちろん、利用者のなかには自分でボタン操作をしたいという人があるかも知れないので、その場合は直接、センターとつながるようにしておけばよい。データは専門の情報収集係がいて常に新しいものをとりそろえることはいうまでもない。

 また、バンキングや予約も、少し工夫すれば可能であろう。(第244号、85年8月1日、本誌・渡久地明)  


Posted by 渡久地明 at 18:37Comments(4)観光情報学の話題

2007年10月27日

低温核融合の記事の反響

 さらにHP沖縄観光ニュースを更新した。
 
第722号(2007年5月合併号(15日)号)の記事から
カジノなど新規7事業 県(07年10月27日)
各国が力を入れるダイビング観光(07年10月27日)
ラグナ 新人にも「エンタメ」教育(07年10月27日)
☆おきなわ観光情報研究会 Tourism Informatics(TI)の試み 46 セマンティックWeb(07年10月27日)
☆前川昌道 ・IT導入、成功と失敗の法則(35)共用玄関オートロックシステム(07年10月27日)
コラム視点722 低温核融合、実用化まであと一歩(07年10月27日)


 県はカジノ検討委員会をスタートさせ、すでに会議が開かれている。その予算が付いたという記事。ま、予算が付いたということは可能ならカジノを導入するという結論になると思う。
 ダイビングは沖縄は国際的に有名ではあるが、英語で案内できるガイドが非常に少ない。東南アジア各国では欧米のダイビングファンに強力にアピールしていたという辺野喜英昭氏の視察記。視察の準備をしていたら、ポール・アレン氏がオクトパス号で沖縄に入り、慶良間の海で潜ったという話も飛び込んできた。
 ラグナガーデンホテルは宿泊客アンケートで全国一をとったりしているが、その従業員教育の一端を明かす。
 低温核融合、実用化まであと一歩という話題はこのブログでも触れた。経済の動向を分かりやすく解説してい南堂久史氏が取り上げているのを見て、ググッたところ、

杉岡幹生氏のHP
21世紀物理学の新しい公理の提案
http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/index.htm

 がヒットした。この中に「常温核融合は本当だった!」というページがあり、日本の常温核融合の研究者らの動向、世界の動向が詳しく書いてある。それらを全部読んだうえで、また、何冊か紹介されている本を買って読むなどして、思い出したことを書いた。

 わたし自身、学生時代に水素を扱い、プラズマをつくるという、低温核融合の研究者らがやっていることと似たようなことをやっていたことがある。

 この記事以来、以来、杉岡氏のHPが面白いのでよく見に行っていたら、

 9月15日付で<渡久地明氏ブログに常温核融合が紹介される!>という記事が出ていたのでビックリした。

 すぐにメールでありがとうと述べたら、こちらこそメールするつもりでしたという返事だ。

 常温核融合が激しい弾圧にあっているという様子は、このかん読んだ本でよく理解できているつもりだ。同じことは歴史的にも現代でも身近にいくらでも起こっている。杉岡さん、挑戦すべき面白いテーマを提供いただき、ありがとうございました。

 なお、低温核融合に関するこのブログの記事には、コメント欄やメールで複数の現役の研究者ご本人からも連絡を頂いた。もっとどんどん取り上げるべきだ、という意味だと勝手に解釈し、杉岡さんとも一緒になって低温核融合の露出を少しでも高めていく予定である。  


2007年10月27日

JTA40周年で新制服のファッションショー

 HP沖縄観光ニュースを更新した。
 
第721号(2007年4月15日号)の記事から
世界最高級、喜瀬別邸デビュー(07年10月27日)
水族館夜8時まで開ける(07年10月27日)
JTA 40周年で制服一新(07年10月27日)
コラム視点721 海外との競争を視野に入れるべきだ

 喜瀬別邸はオープニングで集まった業界人から絶賛の声が聞かれた。客室も広く、プール、特にスパは最高級だ。
 美ら海水族館はピークが12時頃で3時頃には入場者が減少している。開館時間を伸ばしたら入場者が分散して混雑が緩和されると同時に周辺への波及効果が拡大するのではないかという試み。
 JTAの40周年は盛大にキャンペーンを展開中だ。JTA客室乗務員がモデルになって新制服のファッションショーとイメージガールの安座間さんの紹介、イメージソングのバブルガムの生演奏をマスコミに披露。わたしがニコニコしていたら、市ノ澤武士社長に「たまにはマスコミにもサービスをしようという企画ですよ」と冷やかされた。
 視点は昨年来、香港、ベトナム、マカオ、モンゴルと東南アジアの取材が続いていて、その経済発展ぶりから沖縄はまだまだ開発の余地があり伸びるはずだと述べた。  


Posted by 渡久地明 at 15:43Comments(0)沖縄観光の近況

2007年10月24日

ハワイに行かなくなった日本人

 「ハワイに行けなくなった日本人」と書いたが、「行かなくなった」だけではないかという指摘があった。
 
 ハワイの商品価格が上がったとしても、行けなくなるほどの価格ではないし、国民所得が伸びていないにしても、それくらいの余裕はあるだろうというものだ。
 
 しかし、家計調査で可処分所得を調べてみると実際に減少している。
 
 一方。国税庁の民間給与実態調査結果の平成18年の結果がでて、02〜06年の表があるのでグラフにしてみた。すると300万円以下の給与所得者の割合が増え、300万円以上の割合は減少している。
 
 とはいえ、この変化が日本人のハワイなど海外旅行の動向にそれほど影響を与えるものなのかとも思う。
 
 ハワイの日本人客数を見ると、ハッキリ97年まで増え、98年から減少に転じている。

 そこで民間給与実態調査を遡って97年‐98年を境目に階級別給与所得者がどのように変化したかをグラフにした。
 
 下のグラフは98‐06年までの給与の分布である。年収が100万円以下、100‐200万円の人が毎年増加していることがハッキリ分かる。200‐300万円の人の割合も徐々に増えている。



 分かれ目は300‐400万円の人の割合で、毎年減少している。400‐500万円それ以上の人たちの割合も毎年減少していることがよく分かる。
 
 つまり、98年以降、昨年まで年収の少ない人がどんどん増え、年収の多い人は減少してきた。今年より来年の収入の方が減るという状態が続いていると言える。低所得者層も富裕層も両方損をしているのがこの10年の傾向である。
 
 このブログでこれまで述べてきたのは、年収の低い人をどんどん減らして、格差を減らせということだった。ま、低所得者層の年収が目に見えて増えるなら、特に年収の多い人を減らす必要はないだろう。
 
 一方、その前のハワイへの日本人客が増えている間の給与はどうなっていたか。89‐97年までの階級別給与所得者の割合が次のグラフである。ガラリと世界観が変わることに一目で気が付くだろう。



 最初のグラフと逆に、年収400万円以下の層が毎年減少し、400万円以上の層は毎年拡大していた。多くの人が今年より来年の給料は増えていた。理想的ではないだろうか。
 
 バブル崩壊後、不況になったが、給料は97年まではかろうじて上がっていたのだった。また、円高で海外旅行の割安感があった。それもこれもあって、97年まで日本人はハワイによく出かけた。
 
 しかし、98年以降、年収はマイナスに転じ、世の中は暗くなった。ハワイどころではないという意識に転じたのだと思う。ハワイに行くカネはあるが、わざわざ行かないという人が増えたのは事実だろう。それよりも、まだいったことのない中国がよい、となった。
 
 ハワイの日本人客が減ったのは給料が減って「行けなくなった」ともいえるし、先行き収入の増える見込みがないので「行かなくなった」の両方があると思う。
 
 いずれにしても活気のない、暗い世の中になった。だから日本人を不幸にした構造改革を早くやめるべき(以下略)。  


Posted by 渡久地明 at 11:36Comments(2)デフレ脱却

2007年10月19日

市場原理主義の実験台となった沖縄

本日配送された天妃ドットコム・メールマガジンより(執筆は10月16日)。


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       天妃ドットコム・メールマガジン-1019(No.313)
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● ●激しい貧富の差と低賃金‐市場原理主義の実験台となった沖縄/
渡久地明●●

 県内ホテルがどんどん外資系企業に買収されている。県内大型ホテル、
100室規模の中堅ホテルも取引の対象で、00年代に入って30軒以上の
経営者が変わった。
 
 長期にわたって沖縄観光は好調であり、今後も伸びが予想される。国内で
最も客室稼働率が高く、年間を通じて客単価も高い。特に夏場のリゾートは
客単価が5万円を超える。また、レイバーコストが全国一安いとあって、買
収ラッシュとなった。投資に対する利回りは年間5、6%にのぼるのが魅力
という。
 
 買収される側のホテルオーナーはホテル資産はなくなるが、同時に借金も
なくなって一息つく。従業員の雇用はそのまま継続されるケースがほとんど
で、外見上は何も違いはなさそうに見える。
 
 いったいどこにホテル買収資金があるのだろうと思うが、答は身近にあっ
た。もう半年くらい前になるだろうか、海邦銀行小禄支店でカネをおろすた
めに待っていたら、営業窓口で担当者が20代後半とおぼしきOLに「ゴー
ルドマンサックスグループのアリビラへの投資が有望ですよ」とさかんにす
すめていた。
 いわゆるファンドはこのようにして庶民のカネを全国から集め、投資に回
すわけだ。
 
 一方、最近、外資系に買収されたホテル従業員から「借金がなくなり、設
備も更新。がんばって営業して、業績は向上した。でも、給料が増えない。
投資家への配当に回している」
 というような話を頻繁に聞くようになった。このホテル従業員の感じ方は
日本全体にも通じる。02年頃から国内企業は配当を重視するようになり、
儲かっても昔のようにボーナスを出したり、設備を更新して取引先を喜ばせ
るということをしなくなった。(参考1)
 
 昔、株式はグループ企業の持ち合いで、企業が儲かると、配当よりも内部
留保に積み上げ、労働者にも配分された。株主も配当より一層の設備投資と
売上の拡大を奨励して、投資先の企業規模を拡大させ、株式の含み益を増や
すことで満足していた。
 
 ところが、外圧によって日本型の株式の持ち合いが解消される。会社は株
主のものであるというキャンペーンが行き渡り、それが功を奏し、企業は配
当を最優先するのが当たり前になった。配当を最優先する傾向は02年から
顕著となってきた。
 
 すでに90年代後半から企業は従業員をパートやアルバイトに切り替え、
人件費はどんどんさがった。(参考2)
 
 これがここ10年くらいの日本で起こったことだ。戦後ズーッと賃金の低
い沖縄は復帰後も全国最貧県で貧富の差も全国一高かった(参考3)。革命
が起こるといわれるほど失業者の多い地域なのに、そうはならなかった。
 
「おい、日本人というのは沖縄県民のようにいくら搾り取っても暴動も起こ
らないし、体制は変わらないのではないか」
「格差を広げて、貧乏なのは自己責任と思わせてもっと搾り取ろう」
 
 という会話が小泉政権内で交わされたかどうかは分からないが、その通り
になっている。今後は日本全体にもっとどんどん沖縄のような状況が波及し
ていくということだ。沖縄県民は踏んだりけったりだが、悪い手本を全国に
示すことになった。まんまと市場原理主義の実験台にされたというわけだ。
 
(参考1)社会実情データ図録「企業の当期純益の推移」
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/4610.html

(参考2)社会実情データ図録「非正規雇用者比率の推移(男女年齢別)」
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/3250.html

(参考3)社会実情データ図録「都道府県内所得格差」
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/7357.html

とぐちあきら。沖縄観光速報社編集長・工学修士。

★★★★★(@^0^@)まさたんが行く-「400年後は?」★★★★★
(まさたんは、吉元政矩代表の愛称です)

 未来は、過去から現在の延長線上の先にあるという時間軸でとらえている
まさたん。だから「過去を見、今を認識し、将来を予想する」が口癖だ。た
とえば沖縄の行く末を語る場合も過去は復帰前の琉球政府時代、そして約
400年前の薩摩軍による琉球侵攻と、まさたんの時間軸はとーっても長い。
ちなみにその頃、「阮」というまさたんのご先祖様がはじめて琉球の地を踏
んだ。そんなまさたんの目に、400年後の未来はどう映っているのだろう。
もしかして子孫が月の地面を踏む姿が見えている?

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編集:天妃ドットコム・メールマガジン編集局、発行:沖縄21戦略フォー
ラム(毎金曜日配信)〒902-0078沖縄県那覇市識名3-15-13
TEL 098-831-8999 E-mail oki21sf@m1.cosmos.ne.jp
ホームページ http://www.tenpi21.com/ 掲示板へご意見、ご感想など
お寄せください。吉元政矩代表の社会や時代を読み解く「今週のコラム」も
好評連載中です。
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Posted by 渡久地明 at 11:15Comments(2)デフレ脱却

2007年10月11日

不況でハワイに行けなくなった日本人

構造改革は国民の間に格差をもたらした。これが旅行市場に及ぼす影響は

(1)旅行市場(人数)の縮小
(2)旅行費用の縮小

となって現れるだろう。ところが、日本の旅行市場(人数)はここ10年くらい3億数千万人と横這いであり、顕著に縮小しているわけではない。

特に沖縄観光は伸びているため、実感がわきにくい。しかし、

(1)沖縄への観光客数は客室数の増加に応じて伸びる(「沖縄観光成長の法則」(PDF)

ことが分かっており、日本の旅行市場に占める沖縄のシェアは1.5%前後と小さすぎ、価格も特にオフシーズンは十分安く大衆的であり、不況の影響は当面人数には現れないと予想する。

ただし、

(2)一人当たり消費金額は不況の度合に応じて減少傾向となる

だろう。

県内での消費額が減少するのは、需要側である観光客が1997年頃までは10万円くらい持って旅行に出かけたのに、毎年、財布に入れてくるカネが減少し、いまでは7万円前後まで下がっているからだ。それに応じて県内の大半のホテルや観光施設の一人当たり単価も減少せざるを得ないのだ。それが沖縄県の観光統計に現れている。価格が上がらないのは旅行会社の圧力というのではなく、旅行会社がこの価格では売れないと判断して価格を下げているのに過ぎない。その原因=不況こそがホントの問題であり、だから不況を回復せよと前から述べている。

県内消費について、不況との因果関係はまだ精密に証明したわけではないが、間違いではないだろう。

不況で旅行市場が縮小しているという、状況証拠はたくさん出てきている。

たとえば、次のようなニュースがトラベルジャーナルにある。

=================

JATA奥山理事、日本離れに懸念
海外旅行委で需要喚起策を集中議論へ

トラベルジャーナルオンライン07年10月10日付け
http://www.tjnet.co.jp/

 JATA(日本旅行業協会)の奥山隆哉理事・事務局長は10月10日の記者会見で、日加観光会議と日本ハワイ経済協議会に出席した感想として、「各地が日本離れを起こしている。現地関係者に対してアウトバウンドの需要喚起策を明示し、実際に旅行者を増やしていかなければならない」と述べ、日本人旅行市場の地位低下に懸念を示した。10月19日に開く海外旅行委員会では、需要喚起にテーマを絞り議論する予定で、奥山理事は「必要であれば複数に渡り議論し、具体的な方策を決めたい」との考えを明らかにした。
 9月5〜7日に開かれた日加観光会議では、日本の旅行業界は10年近くに渡りカナダ側が提案する観光素材を使わず、旅行者が減り続けていることへの現地観光関係者の不満が取り上げられたという。また10月5〜6日の日本ハワイ経済協議会では、日本人旅行者の減少などを理由に同協議会の解散が採択された。北米や欧米、オセアニアなどの伝統的な人気デスティネーションへの日本人旅行者も低迷を続けていることを踏まえ、「旅行者の送り出し国としての日本に見切りをつけはじめていると感じた。業界を挙げた需要喚起が必要だ」と述べた。」
(下線は渡久地)
=================

一泊以上の旅行に出かける日本人は年間3億数千万人で過去10年くらい横這いだ。これは規模が大きいので変化の様子が分かりにくい。しかし、高額商品となり、規模も1700万人前後の海外旅行は景気の動向をよく反映していると思われる。

海外旅行については橋本内閣の消費税引き上げで落ち込み、その後小渕政権で拡大しかかったが、小泉構造改革政権の登場とテロで落ち込み、SARSとイラク戦争でも打撃を受けた。

実際、日本の海外旅行者数は下のグラフのように低迷している。
(平成19年版観光白書から転載)
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/kankou-hakusyo/kankou-hakusyo_.html



96年(平成8年)までの伸びに比べ、97年以降の低迷は明白だろう。これと同じ傾向を示すのが日本のGDPのグラフだ。
(文部科学省「我が国の高等教育の将来像(中間報告)」から転載)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/04122001/013/001.htm


GDPが低迷するのとシンクロして海外旅行者数は低迷したとみて間違いはなかろう。低迷の中身はもっと分かりやすい。この間、日本人の海外旅行先は定番のハワイが凋落し、中国が著増した。
(「社会実情データ図録」より転載)
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/index.html



で、ハワイでは何が起こっているかというと、先ほど引用したように、<日本ハワイ経済協議会では、日本人旅行者の減少などを理由に同協議会の解散が採択された。>という状態だ。

ハワイは長らく日本人の海外旅行の代名詞であり、旅行社各社が最も力を入れてきたディスティネーションである。ところが、1997年頃から日本人観光客の伸び悩みが始まり、ブッシュ大統領が登場した頃から米本土からの観光客が極めて好調に伸び始めた。その結果、ここ数年ワイキキのホテルレートは上昇し、カラカウア通りに面したホテルのルームチャージが110ドルから130ドルとかそれ以上に上がっている。

ハワイのホテルは日本の旅行社に客室の値上げを通告し、旅行社側もしぶしぶ受け入れるという状態である、とこれまでの各種報道からわたしは理解している。ハワイの観光が極めて好調であるという話はハワイ大学の先生などが沖縄で講演した際にも何度か触れている。(沖縄ハワイ国際シンポジウム 産業クラスターを造れ

つまり、ハワイは2000年頃から米本土のリゾート客が増えだし、客室が足りない状態となって価格が上がった。それに対して、日本人は不況で旅行費用を減らす方向にあり、行き先をハワイから中国などに変更している。旅行社も値上がりしてお客を集めにくくなったハワイより、中国や東南アジアのリゾートを売っている。夏場の沖縄リゾートは海外リゾートからのシフトが起こり、ズーッと好調である。夏場以外も価格をほぼ旅行社の言いなりに下げている沖縄の方がますます売りやすくなっている、ということなのだ。

以上は推理であり、状況証拠を集めただけだが、かなり正解に近いのではないか。

もし、このまま日本が間違った構造改革路線を突き進むと景気は全然回復せず、一人当たりGDPはどんどん世界に追い越される。1993年と94年に日本の一人当たりGDPは世界一だったが、図のように昨年は18位まで後退した。
(「日本経済復活の会」より転載)
http://www.tek.co.jp/p/



世界中が成長している中、日本だけがバカな構造改革を継続することで、順位はさらに下がるだろう。つまり、東南アジア諸国が経済的に日本をどんどん追い越し、物価や賃金の安い日本旅行に行きやすくなる。この事もあって、小泉政権でできた観光立国という政策は当然に実現される。

日本人の海外旅行客が頭打ちになったように、構造改革が続くかぎり、何年か後の沖縄への日本人観光客数も「家計の都合で」頭打ちになる可能性がある。その間、所得が増えた東南アジアからのリゾート客が漸増して日本人客の落ち込みをある程度カバーするだろう。

ま、1000万人くらいまでは予定通り日本人も来るだろうし、その間に構造改革路線が転換されて、世界が当たり前にやっている(日本もそれまでやってきたし、そうでなければならないという人も多い)成長路線に転換すれば、人数も増え続けるし、県内での消費額も増える。消費額が縮小傾向の600万人なのか、700万人なのか、1000万人なのか。80年代のような勢いで消費する600万人、700万人、1000万人なのかという差がこれから出てくる。前者は避けるべき不幸(=豊作貧乏)な状態が当面続くので、はやくバカな構造改革はやめるべきである。  


Posted by 渡久地明 at 20:47Comments(1)デフレ脱却

2007年10月07日

おかしな首里城復元期成会

HP沖縄観光ニュースを更新した。

06年の観光収入4千億円突破(07年10月7日)
沖縄生まれの航空会社として確実に地元に貢献 JTA40周年、大森新社長に聞く(07年10月7日)
首里城復元期成会 基金取り崩し組織存続(07年10月7日)


首里城復元期成会とは、首里城の復元を目的に沖縄経済界の重鎮が集まって34年前に設立された団体。首里城が復元されたので役割はめでたく終了した。ところが解散のタイミングを失い、基金を取り崩すだけという団体に成り下がってしまった。設立当初の役員はほとんどが入れ替わり、「解散すべき」と問題を提起している久保田照子副会長と「基金を取り崩すことの何が悪いと」開き直る石川秀雄会長(元副知事)の双方に聞いた。

この記事を読んだ崎間麗進副会長は首里城復元後の新しい副会長だが、設立当初から基金集めに奔走した久保田副会長に対し「あんたは何様だ。副会長を辞めろ」といったという。この人は琉球新報社から最近表彰されたが、何が表彰の対象になったのか私には全然理解できない。  


Posted by 渡久地明 at 20:49Comments(6)沖縄観光の近況

2007年10月05日

590万人

そろそろ、今年の観光客数当ての季節になってきた。

9月のJAL、ANA、JTA、RACの県外=沖縄線、4.2%増と好調
 9月のJAL、ANA、JTA、RACの県外=沖縄線搭乗実績は4.2%増となった。JALが0.8%減、ANAが8.2%増、JTAが5.0%増、RACは1.49倍となった。SKYの実績は来週になるが、全体を3%程度引き上げると見られ、さらに海外の動向によっては9月の観光客数は2桁増が見込まれる。

以下は予想の予想で、まだ当確ではないが、暦年で590万人、年度で600万人を狙えるところに来ている。わずか5年前に沖縄の観光客は600万人を超えないと言い張っていた観光学者がいたっけなあ。(いまでもいて、審議会の委員になっているが)

9月はスタークルーズの再開、海外チャーター便の好調な入込があり、外国人客が月間1万7000人前後となりそう。観光客数は10〜11%増となり、54万人前後となる。

10月までスタークルーズの運行があり、海外チャーターも予定されていることから、10月に5%増。11、12で3%増を見込むと年間(暦年)の観光客数はぎりぎり590万人と予想。

年度では来年の1〜3月が3%増を継続するとして595万人と600万人に迫る。  


Posted by 渡久地明 at 19:25Comments(2)沖縄観光の近況

2007年10月02日

南堂久史氏の解説

丹羽春喜教授の論説を紹介した。この中で理解しなければならないのは

デフレギャップ

の説明と、それを埋めるための

需要拡大策(=政府紙幣を財源にしたケインズ政策の実施)

である。

巨大なデフレギャップが発生しているので、供給を増やしたり、製品の質を高めたりしても景気は回復しないということだ。

それについて、南堂久史氏の分かりやすい最近の解説があるので、ぜひ、参照して欲しい。

nando ブログ 不況対策としての生産性向上
http://nando.seesaa.net/article/58267268.html  


Posted by 渡久地明 at 22:38Comments(1)デフレ脱却

2007年10月02日

菜の花、実が熟す

早いもので、つい先日種を播いたと思っていたら、花が咲き終わり、実が熟している。来週には刈り取りだそうだ。

菜の花モンゴルプロジェクトのブログ
http://blog.nanohana-mongol.com/