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2007年09月29日

丹羽春喜教授の新着論文

丹羽春喜大先生の新着論文が9月25日付で3本も一挙公開されている。
http://homepage2.nifty.com/niwaharuki/

ケインズ政策、デフレギャップ、需給ギャップ、潜在GDP、セイニアーリッジ(シニョリッジ)が分かりやすく解説され、デフレ脱却の方法を極めて明快に示している。

丹羽教授は10年以上まえから同じ主張を述べてきておられ(私は2002年初め頃『カネがなければ刷りなさい』にたどり着いたが)、全然ぶれのない胸のすく論説である。  


Posted by 渡久地明 at 19:43Comments(0)デフレ脱却

2007年09月23日

麻生氏投票の貴重な197票

福田氏330票、
麻生氏197票
無効   1

という自民党総裁選結果だ。地方票と議員票がどのように出たか、よく分からないが、麻生氏の健闘が目立ったとのコメントがTVでは多くあった。

自民党総裁選は、最初は麻生、福田ともに構造改革を続けるといって、あまり差のないスタートだった。

ところが2、3日前当たりから、まず、拉致問題で麻生氏が福田氏に拉致被害者は全員死んでいるといっていたではないか、帰ってきた被害者を帰すべきだといった、と突っ込み、福田氏をあわてさせた。

今朝のTVでは経済政策で福田氏が構造改革をすすめると強調したのに対し、麻生氏は「わたしは財政原理主義者ではない」と明快に述べた。

公明党が老人医療費負担の値上げを凍結、2011年のプライマリバランスの先送りなどを主張しはじめ、構造改革より国民生活が大切という方向に舵を切ったのに対し、

福田氏が、プライマリバランスは先送りしない、約束を守るとした。麻生氏はプライマリバランスは2011年にはとれないだろう、できないと分かればこだわらない、というようなことをいっていた。(ついでに消費税も経済を拡大させることで自然増収となるので、上げないといえばよかった)

福田氏と麻生氏の見解は完全に別れた。麻生氏はもともと財政原理主義者ではない、竹中平蔵の経済政策は間違いと言い続けていたのであり、それを投票直前になってTV討論で鮮明にしたが、地方の予備選はすでに終わっていた。

最後になって、福田=構造改革、麻生=積極財政という違いが鮮明になった。麻生氏は劣勢が伝えられると、構造改革も一応やるということを最初に強調しすぎたのではないか。しかし、劣勢ならかえってバクチを打って自身のHPでこれまで述べてきたとおり、経済成長至上主義を素直に訴えるのがよかった。

TV報道で色分けを見る限り、地方票は2分され、福田氏が少し多かったようだ。

しかし、これは大きな変化だと思う。小泉氏が登場した際に構造改革一辺倒だった日本の地方の自民党が、積極財政への転換を求め始めているのだと見える(不思議なことに最も貧しく、構造改革を進めればすすめるほど痛みがひどくなる沖縄の地方票は3票とも福田氏だった)。

また、自民党議員票でも予想以上に麻生氏が人気を集めたという。これらの票が本当に両者の政策の違いを反映したものなら、自民党はまともな経済政策に少し近づいたことになるとおもう。

福田氏はまずテロ特措法で苦戦し、ジワリと経済政策で追い込まれるのではないか。

麻生氏に投票した197人こそが日本にとって最も大切な人材であると思う。  


Posted by 渡久地明 at 16:33Comments(2)デフレ脱却

2007年09月21日

祝! 月間観光客60万人突破

先ほど県観光企画課の記者発表があり、8月の観光客数が初めて60万人を突破、61万4200人(7.9%増)となった。

課長には記念イベントとして、酒盛りをしようと提案した。  


Posted by 渡久地明 at 12:52Comments(0)沖縄観光の近況

2007年09月20日

夏の沖縄、価値観を転換した実例

 沖縄観光の質を高めなければならないという主張が各方面で見られる。その主な理由は沖縄旅行の価格が安いことを問題視して、もっと高い価格でもお客が集まるように品質を高めるべきだというものが多い。

 しかし、これはよく考えるとおかしい。本当は品質を高めるというより、価格を高くしたいといっているだけだと思われる。

 実は沖縄観光の品質はかなり高いと筆者は考えている。このまま行くと沖縄観光の品質はほとんど何もしないでも東南アジアを追い越し、世界最高になるのではないかとさえ思っている。東南アジア各国はアジア通貨危機というごく限られた期間を除いて、一人当たりGDPは毎年数%、国によっては10%台で成長し続けている。台湾はあと数年で沖縄を抜くだろう。香港はすでに沖縄を抜いているかも知れない。かつて、沖縄観光は人件費が高いので東南アジアのリゾートに勝ち目はないといわれた。人件費が安いのでサービスする人がたくさんいて、手取り足取りの人的サービスが受けられた。ところが、日本の失われた15年で沖縄も人件費は伸びず、東南アジアは成長を続ける結果、人件費は逆転するだろう。皮肉にも沖縄のリゾートは国際競争力が付いてきたわけである。

 品質論者がいうように沖縄観光が安すぎるというなら、それだけで高品質リゾートを提供していると考えることができる。

 パソコンを見てみよう。一昔前は大きなブラウン管モニタ、巨大なパソコン本体、タコアシの配線と机の上を全部占領するような製品でワンセット百万円くらいもしたのが、いまでは液晶パネルと本体が一体の薄型になって机のホンの一部を占めるだけで、性能は百倍、千倍と桁違いに進化。反面価格は十〜二十万円と下がっている。

 品質が高まり、価格が下がること、品質が高まるというひとつの実例である。

 これに倣うと、沖縄観光は過去三十年にわたってあまり価格は変わっていないか、下がっている。オンとオフの価格差は大きく、オフ時にはオン時の三分の一の価格になる。十二〜三月は海のシーズンではないが、四〜七月、九〜十一月は十分海が楽しめ、価格が安い分品質は非常に高まっているといってもよいと思う。八月は高いように見えるが、それを補ってあまりある夏を体験できるということになる。

 このように価格の安い沖縄旅行は、品質は低いのだろうか。そうではない。客室は夏場と同じ、従業員もほとんど変わらないだろう。急に品質が下がる理由がない。というより、八月の三泊四日で十五万円のサービス体制がそのまま他の季節にあるのであって、金額だけで評価するならこの季節は買い手にとって狙い目であり、お得な価格である。決してこの時期の沖縄側の品質が下がっているわけではない。

 もう一つ、県民のホスピタリティーがある。賃金は安いが、お客と面と向かうと賃金の安さを感じさせない応対をしている。人を大切にする県民性があるおかげで、多くが安かろう悪かろうの接客にはなっていない。勤続年数が短いことによるサービスのうまいヘタはあるかも知れないが、接客の品質も賃金を考慮すれば充分に高いものになっていると思う。

 こう考えると、オフ時の沖縄旅行の価格の安さは供給側の問題というより、需要側により大きな問題があるのではないかという仮説が立つと思う。

 つまり、オフ期は需要側に旅行に出かける習慣がなかったり、他にやることがあって沖縄ではないという事情があるのではないか。

 全国の月間航空搭乗客数のグラフを描くと沖縄の観光客数ほどの季節変動はない。確かに乗客数が少ない月は沖縄の観光客数の少ない月と重なるが、全国の変動は少ない。お客の側に沖縄のオフ期に相当する時期には紅葉を見に行ったり、スキーに出かけるといった沖縄以外の地域への旅行が習慣化しているのだと思われる。

 オフ期の沖縄旅行の価格は確かに安すぎるだろう。しかし、その改善には沖縄側の品質を高めて(価格を下げて)解決策になるのだろうか。むしろ需要側に沖縄に目を向けさせるためのオフ期の沖縄キャンペーンのようなものこそが必要ではないのか。復帰直後、墓参団が中心のクソ暑い沖縄の夏はオフだった。キャンペーンで国民の価値観を転換させたのだ。クソ暑い夏こそ本当の夏だ、真っ黒に日焼けしようと若い人たちに訴求し、それが受け入れられ、定着したことを思い出す。  


Posted by 渡久地明 at 18:32Comments(2)沖縄観光の近況

2007年09月19日

辺野古はやめて南北縦貫鉄道

麻生太郎さんとは、03年1月に当時ケーブルテレビの番組でご一緒したことがある。次の総理に最も近い人と番組で紹介した。島田勝也氏がプロデューサー、ディレクター、メインキャスターをつとめたが、わたしも混じって時事放談番組をつくっていた。





麻生太郎さんは確か下地幹郎氏の応援で沖縄に入っていたと記憶している。

番組の内容は

沖縄観光ニュース
http://www.sokuhou.co.jp/backno/628.html

にある。

この中で麻生氏は当時混迷を極めていた(いまでもそうだが)、辺野古の代替滑走路について、

あんなのはやめて、南北縦貫鉄道でも沖縄県民の役に立つ投資をした方がよい。

と発言(下地幹郎氏のパーディーでも同様に発言)。翌日の新聞に出た。それを知った野中広務氏が「沖縄の若い人たちに次期総理などとおだてられたんだろう。辺野古は関係者がやっと合意を取り付けたもの」と激怒して衆院沖特委の委員長を辞任した。

軍事ジャーナリストの神浦元彰さんのHPにこの時の解説記事がある(1月27日と29日付)。
http://www.kamiura.com/new1_2k3.html

いまの麻生さんの発言と当時の辺野古に関する発言は全く異なるものになっているが、麻生さんが総裁になっていたら、沖縄問題は面白く進展する可能性があった。  


2007年09月18日

目くそと鼻くその総裁選

参院選で自公が大敗したのは、小泉・安倍路線が否定だれたからだという分析をする人がいたが、わたしは疑問に思っていた。

構造改革が間違っているから、政策を転換すべきだと思った人が多かったのではなく、構造改革が足りないからもっとどんどんやれという人が多いのではないかというおそれがあった。

その心配が現実であると知れるアンケートを見つけた。

BNN「Webアンケート」
http://www.bnn-s.com/news/07/09/070917072427.html

でやっている。

質問
「あなたは“安倍路線”の転換を望みますか?」です。次の5つの選択肢から最も妥当と考えるものを1つ選んでください。

答え(18日、19時10分現在、投票総数約424人)
 ・路線は引き継ぐべき   (92%)
 ・多少の修正は必要   (2.4%)
 ・大きく転換すべき   (4.5%)
 ・判断できない     (0.5%)
 ・関心ない       (0.7%)
 
投票した人は少ないが、圧倒的に路線は引き継ぐべきが多い。

結局、改革を止めるな、という人が民主党に投票したのではないか。トホホ。

これでは衆院選挙も自公と民主とどちらが構造改革をより強力に進めるかが争点になるのではないか。

麻生さんも組閣後に小泉改革の光の当たらない影の部分を手当する、ブッ壊された自民党を再生するというようなことをいっていたが、結局総裁選では小泉・安倍路線を引き継ぐといっている。福田さんもほぼ同じことを言っている。両方とも消費税を上げるそうだ。目くそと鼻くその総裁選じゃないか。本当にばかばかしい。

麻生さんには期待したのだが。いいこともいっていたので。

麻生太郎講演・論文「嘉麻の里」2007年4月号 『資産デフレ(二)』
http://www.aso-taro.jp/lecture/kama/2007_4.html  


Posted by 渡久地明 at 19:23Comments(0)デフレ脱却

2007年09月15日

那覇空港のPI第三ステップ開始

「那覇空港の調査報告書3」が公開されている。
http://www.pref.okinawa.jp/koutsuu/nahakuukou/

整然とまとめてあるが、突っ込みどころが満載だ。

たとえば、滑走路の沖展に工期が、漁業補償や環境アセスメントを除いて10年とある。

尻に火がついているはずなのに、なんでこんなに時間をかけるのかといえば、10数年先まで現状で十分受入が可能だと当局が考えているからだろう。

しかし、一方で2010年には夏期を中心に需要に応じられなくなるとも計算している。(わたしの計算では09年から対応できない)

つまり、2010年から工事完了の2020ごろまでの長期にわたって沖縄観光は得られるはずの売上を毎年失うことになる。この損失を計算してみると、

8月の那覇空港の到着客数限界が約60万人(現状58万人くらいか。09年には60万人に到達するだろう)とすると、毎年4.5%の伸びるはずのものが、以後、伸び率ゼロとなる。

      現状  拡張 来られない   損失額
   年 (万人)(万人)人数(万人) 〔億円)
2010  60  60   0     0.0
2011  60  63   3    20.8
2012  60  66   6    42.5
2013  60  68   9    65.2
2014  60  72  12    88.9
2015  60  75  15   113.7
2016  60  78  18   139.6
2017  60  82  22   166.7
2018  60  85  25   195.0
2019  60  89  29   224.6
2020  60  93  33   255.4
累積   660 830 170 1,312.6

この間、来られなかった人の累計は170万人、8月は平均消費額も7.7万円と多くなるので、累積損失額は1312億円となる。この間、受入施設はどんどんできる(途中でお客が増えないことが分かれば投資が減る)ので、倒産企業が続出する(成長が鈍化する)可能性が高い。実際には7月と9月、2月、3月にも来られない人が続出するので損失はこれを上回るのは確実だ。

つまり、これだけの損を県民に与えるのを隠して(報告書に一行もこのような計算がない=わたしが9月14日の説明会で質問したところ、計算できないとの答だった。簡単なのに!)、当局の態度は「空港をつくってやるよ」という態度なのだ。これではちんたら10年かけて空港はつくればいいさとなって当然である。

国や県は「県民に損失を与えることを前提に、申し訳ないがこのスピードでしかできない、損失は補償します」という態度でなければならない。その上で、工期を5年くらいに短縮して、損失を最小限に抑えますと説明しなければならない。

本当に腹の立つ、無責任丸出しの報告書である。空港建設にこれほど時間をかけるのは犯罪的行為である。誰も責任はとらないだろうけど。

なお、説明会当日、需要予測が大きすぎる、拡張は不要だと主張する人がいて、よくもそんな妄想を堂々と発表できるもんだなあと思ったのだが、案の定、その部分だけが新聞記事になっている。バカな記者がいるもんだ。

ちなみに需要予測は弱気すぎるという点で間違っていることに違いはない。(現実は4から5%伸びているのに、05年の計算で2%台の伸びと予測し、すでに06年には現実の方が大きく伸びて、予測を上回っている。わたしは昨年の説明会で需要予測が間違っているので上方修正するように提言し、今回の報告書で直っているかと思ったら、無視されている)  


Posted by 渡久地明 at 20:53Comments(2)沖縄観光の近況

2007年09月13日

安倍首相退任、おかしなタイミング

昼メシを食べたあとの車のなかでニュースを聞いていた。昼間から酒盛りになっていたが、これは安倍首相の辞任とは無関係だった。

変なタイミングでやめるものだなあと思った。やめるなら参院選直後だったはずだ。

対して小沢民主党は戦わずして勝つ、の見本のような戦いだった。イラク特措法の延長を認めないといわれたぐらいで、何で辞任か理解できない。国民がそう望んだのなら、世界を説得するのが筋だろう。本当にアメリカの言いなりの政治を目指していたのだと思われても仕方がない。

安倍首相は本当におつむが悪かった。組閣の内容を見ても、この人は何をしようとしているのか全く分からなかった。

反小泉・安倍(反構造改革)が主流となる政界再編、まともな成長政策(積極財政派・リフレ派・税制)の復権が必要だ。

いまになってもまだ小泉の再来を望む勢力があるとの報道である。ホントにバカな人たちがいるものだと思う。失われた15年を取り戻すにはもう一段の混乱が必要と見える。  


Posted by 渡久地明 at 01:12Comments(0)デフレ脱却

2007年09月06日

期待できない与謝野官房長官

経済政策について、???と思わせる発言が多かった与謝野さんだが、

与謝野官房長官の恐ろしい経済認識
http://bewaad.com/2007/09/04/256/

というのが最新の評価として、決定的だろう。

結局、安倍改造内閣は

石原伸晃ら構造改革の年長組、与謝野さんら財政再建厨の二大デフレ推進派と

それとは正反対の高村、額賀さんら極めて少数のデフレ脱却・積極財政派

が三つどもえの内閣となっている。

何をしたいのか全く分からない混迷内閣といってよい。  


Posted by 渡久地明 at 19:28Comments(0)デフレ脱却

2007年09月06日

8月、初の60万人を超えるか

 石垣市商工会の面々と先進地視察で小田原おでんと板橋区のとれたて村へいってきた。

 夜、帰る予定だったが、台風が来たので早い便に代えて貰い、午後2時頃、事務所に戻った。

 航空会社の8月の実績が出ている。

 8月のJAL、ANA、JTA、RACの県外=沖縄線搭乗実績は0.3%増となった。JALが0.7%増、ANAが0.1%増、JTAが3.6%増、RACは0.2%減となった。SKYの実績は来週になるが、全体を3%程度引き上げると見られる。
 
 SKY、海外チャーター便、クルーズ船の状況によっては、観光客数は月間初の60万人台にギリギリ届く可能性がある…  


Posted by 渡久地明 at 19:09Comments(0)沖縄観光の近況

2007年09月04日

賃金が上がらないからくり

株式日記(07年9月3日)
「自民党の政治家が「景気は良くなった」と言うたびに、皆頭にきて
民主党に投票したのである。給料が上がらないのはどうしてなのか?」
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu151.htm
より。

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 しかしクー氏は、スティグリッツの本の解説でこう言っている。
 株の持ち合いがあたりまえだったころの日本企業は、株主のことを考えずに経営できた。利益をあげて株主に分配する必要がなかったから、日本の企業は、利益率が低くてもかまわず、マーケット・シェアを取ることにばかり熱心だった。利益をあげなければ税金も払わずにすむ。資金調達は国内の金融・資本市場でいくらでもでき、そうやって、日本の企業は海外の市場にどんどん進出した。
 それに対し、株主に配当することが重要なアメリカ企業は利益率を重視し、法人税を払って競争している。これではアメリカ企業はまともに競争できない。クリントン政権の財務長官らは、こうした日本的経営が他のアジアの国などにも広まると困ると思い、日本に金融ビッグバンをやらせ資本の自由化に踏み切らせた。株の持ち合いがくずれ、外国人が株を持つようになると、日本企業も利益率をあげて配当しなければならなくなった。日本は、まんまとアメリカの術中にはまった、というわけだ。
 現在、経済界は法人税引き下げをさかんに政府に働きかけている。利益が出ないときには、どのみち税金を納める必要がなかったので引き下げる必要はなかったが、株主に配当するために利益を計上する必要が出てきて、税率が大きな問題になってきた。クー氏の解説には賃金の話は出てこないが、こうしたカラクリは、これから書くように、景気が回復したのに賃金が上がらない理由にもなっている。

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いたよなあ。会社は株主のものであり、配当することが会社の使命と書きまくっていた人たちが。構造改革のなれの果て。  


Posted by 渡久地明 at 04:48Comments(0)デフレ脱却

2007年09月02日

シッコを見てきた

「シッコ」を観てきた。

オーウェルさんのブロクで見てくるようにという指示が出た(?)ので、今日は出歩く準備はしていないけどなあと思いながら、ひげも剃らずに、

香港で買ったブルース・リーのTシャツ(「買ったぞ」とガイドに見せたら、香港でもそんなのを来ている人は見たことがないと絶賛された)と短パン、ジョーリ履きでモノレールに乗り(8割が観光客)、パレットくもじの9階に上がった。

200席くらいあるが、観客は30人ほどだった。

医療を市場原理主義にまかせたらこうなるという、典型的な内容である。

アメリカには年金制度があり、リタイヤしたらフロリダのビーチリゾートで悠々自適の生活をおくっている、うらやましいだろうという話があった。

それがいつのまにか、年金どころか、医療費が払えない。払える人でも民間の保険に入っているからだが、なんと治療のメニューは保険会社が決めている。保険会社はなるべく保険金を払いたくないので、適切な治療なのに拒否するケースが多い、という驚く内容。これを公的な国民皆保険制度にしようとしたら「社会主義者だ」とか「医療水準が低下する」といって猛反発が業界・政界を中心に起こって、現状はますます悪化していった。

対して、イギリスやフランス、カナダでは医療費はただ。イギリスではなんと病院に行ったら交通費まで患者に支給されている。

で、医療水準は低いかというと、そんなことはない。

映画ではもう一つ感動的なある国の実例が紹介されているが、これは映画を見て、本当に感動して欲しい。

アメリカの医療と同じことが日本でも取り入れられようとしている。自己負担が大幅に引き上げられ、病院に行かない人が増えてきた。映画は未来からの警告である。マイケル・ムーアが実例を見せるまで、アメリカ国民でさえ世界の先進国の医療費がただであることを誰も知らなかった。日本人にとってはよけいビックリなのではないか。沖縄では9月14日まで上映している。ぜひ見てね。特に構造改革派にはおすすめだ。

え、わたし。わたしの場合は単純にこれまでの主張が正しかったことを再確認しただけだ。おかげでなんの疑問も持たずに素直に映画に感動して、涙まで流れてしまった。本当に面白かった。  


Posted by 渡久地明 at 20:39Comments(4)デフレ脱却