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2005年11月30日

キンザーの可能性

観光業界の社長から、

「辺野古の問題は分かりにくい。観光の話が先だ。誰も読まない」

とおこられたわけだが(略)

そのかわり、

「渡久地明が記事にするなら、キャンプキンザーが返還されたら何が出きるかがいい」

という提案である。

確かに、海兵隊は撤退であるといっても、そんなものは社長たちにとってどうでもいいかも知れない。

それよりは、キャンプキンザーの可能性だろう。海に面し、海岸線はワイキキより長く、自然の海岸である。ワイキキは湿地帯を埋め立てた人工の海岸だ。キンザーの海岸は生き物も豊富で美しい。

ここにすっぽりワイキキが引っ越してきたと想像するとどうなるか。太平洋地域で最大級のリゾートが出現することになる。

面白いので、捕らぬ狸の皮算用だが、「観光とけいざいの」新年号で相当精密なシミュレーションを行ってみようと思う。ネタをばらしてしまったが、マネはできないと思う。(本当はパクる人が出てくればもっと面白い)  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(3)沖縄観光の近況

2005年11月29日

金融公庫は単独がよい

これから始まる日米同盟強化に基づく、2兆円規模の沖縄再開発をすすめるに当たって、沖縄公庫は単独の組織として、自由に大胆に活動できる環境を整えるのがよい。

その上で、復帰特別措置は2012年以降、同盟強化(海兵隊撤退)沖縄再開発特別措置としてさらに10年、延長すべきだ。

逆に統合なら、県民に対して、海兵隊撤退に基づく沖縄再開発は要らないという政治的メッセージとなるだろう。  

2005年11月28日

中国からの投資は?

政府関連機関の経済分析部員が、外資の沖縄進出について取材しているというので、コメントした。

質問に応じて話をしていたら1時間以上になり、「沖縄観光成長の法則」の基礎部分を説明していた。

「中国の投資が来ていないのはなぜですか」

「来てる。投資したいという中国資本も沖縄を見に来ている」

「しかし、これまでも台湾からの投資計画などがあったのに頓挫してます。実現性はあるんでしょうか」

「ある。しかし、まだ中国人にわたしが成長の法則を説明してないから、実行にいたらないのだろう。分かれば実行する」

「アハハ。2月にレポートを出しますが、英語でも印刷します。中国人にも伝わるでしょう」

「ほう。ぜひそうしてくれ。このグラフ(沖縄の観光客数のセミログで直線になっている例のやつ)を使うんだったらデジタルデータ渡してもいいよ」

と言ってある。

成長の法則は県外の人は非常に面白がるなあと思っているのだが、先日の沖縄電力での講演では、聞いている人に技術職が結構いて、みんなびっくりしていたらしい。

「非常に好評です」

と担当者が記念写真をもってあいさつに来ていました。(わざわざありがとね)  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年11月27日

小さな政府は大きな迷惑

この構造計算の泥仕合は、官から民へのなれの果てだろう。その奧には不況の影響がある。

政府はカネがないので民間活力を導入して検査を民間に渡した。しかし、そのチェックのための民間企業は建設会社が出資してつくったものだったから、お手盛りのチェックになった。

日本ではこれと同じことがいろんなところで行われている。

終戦直後、日本の大学の教授は中央審査会で審査したが、これの例外として東大その他の「権威ある」大学は無審査で自分でお手盛りで博士号を出し、全く能力のない人が教授になった。その後、全国の大学で同じことが行われ、お手盛りの博士号がどんどんでた。

似たような例に柔道の昇段試験がある。昔は講道館だけが段を出したが、その後、全国で段を出せるようになると、講道館1級程度の実力が、全国で初段になり、黒帯がどんどん増えた。わたしも柔道は初段だが(ま、これはあまり実害はない)。

読者は5、6年前だったか、金融ビッグバンでこれからは銀行の財務内容を勉強した上で預金しなければならない、と言われたことを思い出して欲しい。さらに、保険の知識、投資する場合の証券会社の知識、年金の知識と本業で忙しいのにどんどん自己責任でいろんな勉強をしなければならなくなり、今度はマンションの構造計算も勉強しなければならなくなった。

こうなってくると、一体何のための銀行や保険会社か、建築会社かと言うことになる。

日本全体どの業種もいい加減だから、消費者はすべてのものに知識が必要と言うことになってくる。まさに究極の小さな政府なのだろうが、国民の負担(カネ以外の銀行や保険会社の財務内容とか、マンションの構造計算などのお勉強に要する時間や労力)はどんどん増える一方だ。そのうち、食中毒は食ったやつの責任、病気で死んだら病気になったやつの責任、藪医者にかかったやつの責任、交通事故も被害を受けた方の責任となるだろう。非常にばかばかしい。小さな政府は大きな迷惑だ。  

Posted by 渡久地明 at 19:00Comments(0)デフレ脱却

2005年11月27日

50年古酒を味わう

謝花良政さんといっても知らない人の方が多いかも知れないが、沖縄の古酒づくりの第一人者である。

古酒はただ置いておけばできるものではなく、厳密な管理と仕次によって、造られるものだ。

それにはたとえばカメの形状や粘土の成分も影響するし、古酒になる元の酒の性質、仕次の時期やとる量、かびや雑菌が入らない管理など気を付けなければならないことが色々ある。

そして「50年たって分かったのはカメのフタの管理なんだ」という。

その謝花さんの古酒の製法を細かくまとめた本が出た。山入端艸以著「琉球の宝古酒・古酒造りハンドブック」(発行所(有)シーエーピー、1680円)がそれだ。

週明けから那覇市内の書店に並ぶと思うが、古酒造りは趣味としても面白い。ぜひチャレンジしてみて欲しい。なお、山入端氏がこのような本を執筆しているといううわさは県内の古酒コレクターにアッという間に広がり、秘蔵の古酒を飲んでみて欲しいという要望が殺到し、実際に味わったという。沖縄の古酒市場というかマニアの層の厚さに改めて驚かされる。

注目の50年古酒が、出版記者発表の際、記者団にもふるまわれた。封を切った小瓶から「からから」に注ぐと泡盛の甘い香りが会見場にただよい、飲んでもうまい。

謝花さんは古酒道というものを唱えており、持ち主が数十年かけて造り上げた古酒をいただく際には最大限の敬意を払うのが礼儀だと述べている。

古酒のつくり方は謝花式以外の方法があるとも言われるが、品質が安定しており、内外から定評がある謝花さんの古酒は他の追随を許さない。ソムリエの田崎慎也さんがサミットで各国首脳に出したのもこの古酒をベースにしたもだった。

つくり方を公開した、というところは画期的である。

(おまえテレビに出て酒飲んでただろう、という人がいて、最近はそんなコトしてないよ、といったのだが、この会見風景だったのね)

写真は50年古酒をカラカラに移す、山入端氏、後ろは謝花氏。

  

2005年11月26日

相手にされない稲嶺県政

 防衛庁長官、外務大臣らが相次いで沖縄を訪問している。
 
 ところが、この訪問で何か建設的な話が出たことがない。異常な状態であるといえる。
 
 政府は困っている。沖縄の誰に話をすれば状況が変化するのか、分からないのだ。政府側にも事情がある。海兵隊の撤退を「グアムへの7000人の移転、旅団への縮小」といい、戦前の大本営発表そのままで通した。もう少し、国民に軍事的センスがあったらこれが撤退であることはすぐ分かったはずだ。
 
 さらに、日米で浅瀬埋め立てか、内陸部かで建設場所でもめたかのような芝居を演じて辺野古沿岸を合意したため、なぜ辺野古沿岸案が従来案よりいいのかと問われると明快に説明できない。軍事的に優れているからに決まっているが、それを言えない。
 
 異常事態である。上のようなからくりが分かれば、沖縄県はいくらでも出番があるのに、水面下で政府と交渉できる人がいない。県組織がしっかりしていれば、行政のプロ、その頂点にいるべき副知事が動くべきであるが、それが全くない。政府からの信頼が全くない。それどころか政府は大田県政の頃の県幹部と接触しているとのうわさも聞かれる。
 
 結局、官僚達は沖縄の誰に話をすればいいのか分からず、いきなり大臣と知事が会い、互いに建前だけの顔合わせに終わっている。そして、県外移設にしろ、受け入れにしろ、何も状況は変化しない。
 
 稲嶺県政は政府から全く相手にされていない。話す相手がいないので政府も実は困っている。
 
 しかし、この状態では小規模な「沖縄振興策」が示され、それと引き換えに辺野古沿岸着工という最悪の結果になりかねない。  

2005年11月25日

549万人

本日、午前、県観光商工部が10月の観光客数が47万9,900人(前年同月比11.8%増)となったと発表した。

わたしの予測より4,000人多い結果となった。

このため、これまで年間では547万人としてきたわたしの予想を、549万人に修正する。11、12月が予想以上に伸びれば、550万人に届く。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年11月24日

ワイドショーの基地問題で

放送するインタビューを受けた。

内容は普天間・辺野古問題。ここでメモしたことを基本に、数値や観光産業の見通しについて、資料を渡してある。

上の番組とは別に、一般にTV番組では視聴率をとれるかが、やはり最も気になるところで、沖縄基地問題というのは視聴率が全くとれないということになっているそうだ。

このため、ニュース番組とは違う番組のつくり方をしたいといっているのだが、どうなるか分からない。わたしのインタビューが出るかどうかも分からない。

で、沖縄基地問題でなぜ視聴率がとれないのかというと、戦闘機が飛んでいるような絵が出た瞬間にチャンネルを変えられる、そうである。

「チャンネルを変えるというのは、面白くないからかね。それとも見たくないの」

「面白くないんでしょう」

「その面白くないと言うのは、軍隊が生理的にいやという意味か」

「そうです。見たくないんです」

「ほう。それならまともな感覚だよね。オレも戦車なんか見たくないよ。なるほど」

という話になった。

沖縄基地問題は日本人は無関心、どうでもいいことなのではなく、見たくない・いやなもの、という感覚なら、沖縄県民と共有できる感覚だと思われる。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(2)マスコミ評論

2005年11月23日

基地、観光、リフレ政策

 沖縄の基地問題の解決には同時に3つの問題解決が必要である。
 
 第一に、基地撤去そのものを行うことである。これにはアジアの安定が必要になる。
 第二に、基地撤去後の基地収入の減少を補い、さらに上乗せさせる経済政策である。
 第三に、基地の跡地利用に関わる再開発事業予算の確保である。
 
 このうち、第一の問題は「2+2」で撤退の方向性が見えてきた。超長期には米軍は「沖縄に永続する考えはなく、沖縄基地に長居はしない」。

 朝鮮半島問題は今後15年〜20年を見た場合、終結に向かう。韓国米軍の撤退、沖縄海兵隊の撤退は、これを見越したものだ。インドネシアの内戦、インドとパキスタンの衝突、中台危機はイラク戦争のようにしてはいけないし、ならないよう日本の出番がある。
 
 今後は沖縄米軍は地域の小さな紛争の鎮圧に出かける程度の出番しかなくなるよう、日本は外交で貢献すべきだ。

 第二の問題は、沖縄の観光産業の規模が倍増するだけで、基地収入の落ち込みを全部カバーした上で、上乗せが可能であることが明快に分かってきた。そして、現在500万人、観光収入4000億円、波及効果で6000億円は、2018年に1000万人、観光収入は少なくとも8000億円に拡大し、波及効果も含めると1兆3000億円規模となる。基地収入の落ち込みは基地返還後、最初の2、3年に影響があるかも知れないが、再開発が始まれば再開発そのものによる収入、その後は観光産業の成長によってカバーできる。(「沖縄観光成長の法則」で示したことが現実になるだけである)
 
 また、県産品の人気は今後も衰えることはないと思われる。観光と物産の両分野で今後20年間の経済成長が可能となるだろう。
 
 第三の問題は、政策転換には時間がかかるかも知れないが、解決に動けば早い。大がかりな返還軍用地を活用して、本来あるべき沖縄像を描き、全体を再開発すべきであるが、その費用を捻出する方法である。これには即効性のある財政支出をあてるべきで、その理論的支柱はリフレ政策である。沖縄再開発を契機に、日本のデフレ脱却を構想しておかしくない。政府に沖縄のために大幅な財政出動の余裕がないといわせないためのマクロ経済政策の転換があってよい。
 
 もっとも、経済問題でテーマを広げすぎると現実味が薄れるなら、日米同盟特例として沖縄の再開発だけに大幅な財政出動を行うことで妥協せざるを得ないかも知れない。日本国民から沖縄のために政府支出を増やすのはおかしい、という世論を出させないで、沖縄再開発に1兆円以上の財政支出が可能なら、日本全体のデフレ脱却には不足だが、それを選ばざるを得ない。

 以上3つのうち、最後のマクロ経済政策について、かなり悲観的な政治情勢であるが、先日来このブログでも歓迎している、次期FRB理事長に就任するバーナンキ氏は、次のように日本の経済政策を提言している。経済政策の転換もアメリカ頼みになるが、外圧を利用するのも今は悪くはない。  続きを読む

2005年11月23日

TV局へのコメント

先日の番組とは別の東京のTV番組制作者が私のところに取材に来ていました。

辺野古は本当は要らなかったはずであること。

海兵隊はMEFがグアムに移転し、MEBに取って代わるというのは撤退である
ということ。

アメリカがとりあえず欲しいと言ったら、日本政府は金も出すといったので、内
心(ヤッター)と思っているだろうと言うこと。おまけにもともと計画していた
グアムの新施設建設費も出すほど寛大であること。

辺野古には将来は別として、今返すには惜しい何かがあるだろうということ。

しかし、南部の基地が帰り、再開発が始まれば沖縄観光は飛躍的に強化され、基地
収入の減少をカバーした上にさらに上乗せできること。

マクロ経済では沖縄や他の地域へ投資が財政に上乗せされるなら、日本のGDPは
ストレートに拡大し、景気回復に役立つものとなること、

などを話してあります。

渡久地明  

2005年11月21日

下地幹郎さんも基地で発言

http://www.mikio.gr.jp/html/voice_37.html

わたしの提言と似たこと(相当開きはあるけど)を下地幹郎氏も自信のHPで発言しておられる。

興味のある方は上のリンクからどうぞ。読み比べたら面白いかも知れない。

「2+2」合意直後のわたしの主張は下。第2弾を紙面で展開しています。後に公開します。

http://www.sokuhou.co.jp/backno2/689.html  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)返還基地の跡利用

2005年11月20日

アーミテージ発言で書かなかったこと

オフレコではなかったが、アーミテージ氏とのインタビューで書かなかったことが一つある。

「日本政府が出て行けといえば、いつでも出ていく」

とすごんだことだ。それ以外のことはすでにわたしの新聞で公開してある。

つまり、日本政府が頑張れば、アメリカはいつでも出ていく、そのかわり…何だというのだろうか。

日本はまだ自信がなく、60年前の敗戦以来、ずーっと占領状態が続いている現実が見えなくなっているのだ。ソフトパワーで解決すべき北朝鮮や中台のにらみ合いなどの造られた脅威の前で米国に頼らざるを得ないと言う思いこみである。そして、政治家はこの状態を利用する。

なお、今回の2+2合意で、アメリカの要求はほとんど受け入れた。

残るのは集団自衛権の行使に関する部分だが、これについてはアメリカは要求はしているが「決めるのは日本だ」という姿勢であり、どうしてもというところまでは言っていない。

日本にはまだいろんなカードがあることを知った上で、2+2合意は沖縄にとって有利となるように活用すべきだ。  

2005年11月19日

倒産、しかしネットで再生

 ブログで顔写真を出すのは最初は気恥ずかしいものだったが、今日は33年ぶりに中学生の頃の友人K氏に会えた。伊敷豊のマーケティングブログ経由で渡久地明にたどり着き、ブログでわたしの顔を見て会いたくなったというのだ。昔はもっと色が白かったはずだという。

 夢を語り合った日々だった。2000年の正月にニューヨークで会おうと約束していた。

 もちろん、互いに覚えていた。わたしもときどきこの約束を思い出して、どうしているかなあと思ったりしていたものだ。

 中学卒業後、定時制の高校に進み、卒業。いくつかの会社に勤め、沖縄支社長のような地位をえた。そして、独立。ところが、1億円超の負債を抱えて会社は倒産。どん底に落ち込んだところで、インターネットを使って輸入代行サービスにチャレンジ、見事に再生した。多いときには年間1億円以上売り上げた。

 この間の様子は彼のHP(http://1000man.jp/)に出ているので、直接見て欲しいが、33年という時間は人にいろいろな経験をさせるものだ。それでも再会してみると、昔のままのK氏がいた。中学の頃から難しい本を読んで、大人顔負けの社会評論を展開していて、わたしなどは付いていけなかったが、そのままであった。

 倒産、家族、米軍再編、構造改革、沖縄の自立…と話の種は尽きなかった。

 「いろいろな授業料を払ったが、その中の一つも自分にとって無駄ではなかった。それらの経験がいまの自分を幸せな状態に導いた」

 という。わたしも同じことを考えている。世の中に無駄なものはないし、無駄な人などは一人もいない、と昔から思っている。だから、最近の無駄な公共投資という風潮は間違いだと最初から知っている。

 壮絶といえるK氏の話は面白すぎて今日はずーっと聞き役に回っていた。個人で仕事をしているが、このような人物をもっと沖縄は活用していくべきだと思う。  

2005年11月17日

マイ・ハックルベリー・フレンド、小泉

昨日の朝日。

「2+2」の米軍再編協議で、日本側がアメリカを相手に最後まで粘ったという記事がある。

最後まで粘って、米軍が50年前から描いていた計画に話が落ち着いたのだから、最初から芝居だろうといっているのに、朝日の記者は層は思っていないようだ。ひょっとしたら、防衛庁もそう思っていないのか。

トムソーヤが言い付けられた壁のペンキ塗りを不満たらたら仕方がなくやっていると、親友のハックルベリーフィンが向こうから歩いて来るではないか。

トムソーヤは鼻歌を歌い始め、夢中でペンキ塗りをしている芝居をしながら、ハックルベリーフィンが隣に来たのも気が付かないふり。

ふと気づいて「やあ、ハックルベリー。楽しくて楽しくて、君がそこにいるのも気が付かなかったよ」

「それ楽しそうだねえ。ぼくにもやらせてよ」

「OK、いいとも」

といって、トムソーヤはつまらない仕事の量を半分にするのに成功したわけだが。

………

国防総省「(撤退案もあったけど)名護市長が容認姿勢の辺野古浅瀬なら、普天間を移転させても良い」

防衛庁「いや、海をまるまる埋めるのは地元が反対する。山だ」

国防総省「山はダメだ。(地下核シェルターの出入りに差し支えるからだが)訓練場を移転するのが難しい」

防衛庁「では海と山の間をとって、ぎりぎり沿岸の陸地では」

国防総省「(やった。でも昔建てた計画の方がいいから)ダメだ海だ」

防衛庁「仕方がない陸と海の中間だ」

国防総省「(やった。予定通り)仕方がない。そのかわり、滑走路を300m延長したい」

防衛庁「わが方の言い分を聞いてもらいありがたい。300m延長ですむなら地元を説得できる」

国防総省「(まさかそこまでバカではないだろうがとにかくいってみよう)建設費は日本が出すように。ついでに海兵隊を大幅にグアムに移すのだから、グアムの施設も日本がカネを出せ。それが、沖縄県民の負担減少になる」

防衛庁「分かった。7000人も移転して、沖縄の負担軽減に協力するのなら、その金も用意しよう」

………

防衛庁側の話しを聞いて記事を造ると、冒頭のような朝日の記事になるというわけだ。ばかばかしい。  

Posted by 渡久地明 at 13:13Comments(2)マスコミ評論

2005年11月16日

量とか質とかに決着



 沖縄電力の「西海岸地区ホテル関係者交流会」というのがあり、講演した(写真)。
 
 タイトルは「沖縄観光の将来」。
 
 この中で、「沖縄観光はハワイ並を受け入れるなら年間1800万人まで拡大可能だ」と述べた。
 
 参加者は西海岸ホテルから技術職、総務担者ら30人、沖縄電力はお客さま担当20人くらい。
 
 講演後の懇親会で豊橋技術科学大学(長岡だったかな)でイオンインプランテーションをやっていたという若手の電力社員が「専門は何ですか、モデルがあるでしょう」というので「イオン打ち込みをやっていたのなら、粒子密度とか、温度とか、ライフタイムだよね、○▽◇」という話になり、種明かしをした。
 
 新たに、成長の法則は「時間に対して平行移動が出きるから、もし復帰が10年早ければ、今ごろの観光客数は700万人になっているはずで、逆に10年遅ければ300万人だった」。
 
 また、成長の法則で「観光客数は客室数に比例する時間の関数であり、客室の品質について何も述べていない。つまり、ワンベッド1ドルのベッドが増えても、1泊3万円のホテルが増えても、同じ結論に達する。新しくできるホテルの品質が高ければ、沖縄観光の品質はそのまま高まる。ビジネスやドミトリーばっかり増えても、品質は向上しないが、観光客は増える」と述べた。これによって、沖縄観光の量とか質の問題は決着が付いたと思う。  

Posted by 渡久地明 at 18:19Comments(2)観光情報学の話題

2005年11月15日

世論操作の結果

世論調査はマスコミの世論操作がどの程度うまくいっているかどうかを、マスコミ自身が確認する作業である。

小泉構造改革がいい例だ。世論調査で最も高い数値が出たものを政策として採用していけば、内閣支持率は高まる。

日本は長い間、マスコミが政府を批判してきた。典型的な実例が、税金の無駄遣いとか、財政赤字は悪だという観念だ。その批判に国民は日頃のうっぷんを晴らし、ガス抜きをしてきたのだった。しかし、経済学では財政赤字は悪ではなく、無駄とは大量の失業がある状態=働ける人が働いていない状態=今のようなデフレ、恐慌のことである。だから、デフレを脱するためには政府が国債を発行したり、赤字を出したりすべきだという正しい処方箋がある。

これまで、政治は力があったため、マスコミや世論の批判を受け流したり、跳ね返すことが出来ていた。だが、政治が力を失ってくると、マスコミの批判を丸飲みする政治家が現れた。小泉政権である。人気はあるが、経済政策はとんでもないことになった。しかし、国民もマスコミも長年の思いこみが小泉政権によって実現されようとしているように見えるので決して回復しない「痛み」に耐えている。

結果、さらなる増税、政府のサービスの民間企業への払い下げがどんどん進み、カネはカネがあるところにどんどん積み上がる。GDPは僅かな伸びか、横這いのままだ。GDPが横這いとは企業全体の売上は増えないから景気は回復せず、国民全体の所得は増えないからものが売れず、全体の生産も増えないのである。(一部国民の所得が増え、一部企業の売上が増え、一部企業や国民の消費が増えることはある。)

GDPが増えないままで、大企業の業績が改善したり、富豪が表れるということは、中小企業や低所得者はますますたち行かなくなっているということである。

これが、長年の政府批判をそのまま実行した結果である。正しいことを述べた政治家は抵抗勢力という悪人にされてしまった。

同じことが沖縄基地に対しても言える。長年の反基地闘争、運動は思考のワンパターンをつくり出した。この運動は正しかったと思う。また、これからさらに先鋭化させなければならない時期も来ると思う。しかし、今はそうなのか。そして、世論調査をしたら、マスコミが操作したとおりの結果がでてきたというわけだ。  

Posted by 渡久地明 at 21:47Comments(0)マスコミ評論

2005年11月14日

時間に対する平行移動

当たり前と思っていたことだが、このように説明されると目からウロコだ。

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(略)
その結果、線形現象の取扱では圧倒的な重要性を持っていたフーリエ解析が、非線形現象を考えるときには、それほど重要でないことがわかった。これにははっきりした数学的理由がある。電気回路の現象は、他の多くの物理現象と同様に、時間の原点の移動に対して不変であるという特徴を持っている。正午にある物理実験を開始して、午後2時にある段階に達したとする。12時15分に同じ実験を開始すれば、2時15分にそれと同じ段階に達するであろう。したがって物理学の法則は、時間の群の不変量を扱うのである。
(略)

ノーバート・ウィーナー「サイバネティックス」(岩波書店)、第2版への序文

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「沖縄観光成長の法則」が「これまではその通りだったが、これからもそうなるという保障はない」といわれたとき、これからもそうなるのは当たり前と思っていたが、上の理屈なら説明できる。

たとえば、ハワイが沖縄より30年進んだ観光地なら、成長の法則に基づいて沖縄はハワイのあとをたどり、行き着く先が読める。ハワイは成長が3段階で変化し、いま、最終段階と見られるところにある。あるいは、4段階目の成長への助走の時期かも知れない。成長の法則に基づいてハワイを研究したら面白いだろう。  

Posted by 渡久地明 at 21:07Comments(0)観光情報学の話題

2005年11月12日

辺野古受け入れを主張

HP「沖縄観光ニュース」(http://www.sokuhou.co.jp/)を更新した。ぜひお読み下さい。

この中で、これまでのわたしの同盟関連の発言から辺野古移設は米軍撤退の象徴であり、県はこれを受け入れ、沖縄全体の再開発を行うべきだと提言した。

(第689号 11月1日付)
☆《緊急提言・海兵隊の辺野古移転》米軍、将来の撤退の象徴だ 受け入れ、再開発すべき(05年11月12日)http://www.sokuhou.co.jp/backno2/689.html

(第687号 10月1日付)
☆大和地所 宜野湾に447室計画(05年11月12日)http://www.sokuhou.co.jp/backno2/687.html#t1
☆押川社長 「沖縄の将来極めて有望」(05年11月12日)http://www.sokuhou.co.jp/backno2/687.html#t2
☆県 指定管理者制で運営者を公募(05年11月12日)http://www.sokuhou.co.jp/backno2/687.html#t3
☆連載コラム視点687 辺野古浅瀬と陸上の不思議(05年11月12日) http://www.sokuhou.co.jp/library/COLUMN/687-COLUMN.html

(沖縄観光ニュースは「観光とけいざい」発行後、約1カ月後にWebで記事の一部を公開しています)  

Posted by 渡久地明 at 15:29Comments(0)返還基地の跡利用

2005年11月11日

再開発の好機だ

97年と05‐06年の違い、思いついたメモと考察。

97年(大田知事・県知事選挙、村山総理、橋本総理、デフレ下の消費税増税と累進所得税の減税、クリントン大統領)
○少女暴行事件、8万人集会、特措法
○SACO合意(負担軽減策、5000ヘクタールの返還計画)
・兵力削減は無し
○国際都市形成構想
・全県フリーゾーン
○那覇空港沖合展開
○大深度港湾(軍民共用&ハブ港湾)
○普天間代替海上施設(ヘリポート1500m、数千億円?)

稲嶺知事当選
○辺野古沖合、2500mの軍民共用空港(建設費1兆円とも)、使用期限15年(米は最初から明快にノー=国際的に間違ったサインとなるから)
○国際都市形成構想・没
○全県フリーゾーン・没
○沖縄振興計画


06年(稲嶺知事・県知事選挙、小泉総理、デフレ下の構造改革、ブッシュ大統領)
○米軍の世界的再編(冷戦後のハイテク化、効率化、予算の削減)、テロ、アフガン・イラク戦争
○「2+2」(自衛隊と米軍の一体化、海兵隊の沖縄撤退)プラスSACO合意
・兵力削減=3MEFのグアムへの撤退、代わってMEBに縮小
○新ガイドライン、有事法制(米軍は有事には日本中の空港の使用可能に)
○那覇空港沖合展開
○大深度港湾(ハブ港湾)
☆南北縦貫鉄道(筆者私案)
☆開発途上地域である沖縄の投資効率・経済効率を高めるための返還軍用地を含む沖縄全体の再開発(=自立以前のサプライサイド、筆者私案)
○辺野古沿岸施設(滑走路1800m、建設費数千億?)

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いま、沖縄に抜け落ちているのは、国際都市形成構想のようなコンセプトと思われる。しかし、国際都市形成構想は当時は確か、政府の財政は要らないから(政府に金がないから)、(自立・自治のための)制度が欲しいという側面が強く、小泉構造改革に似ている。実効性があるのか不透明だ。当時はわたしは全県フリーゾーンに肩入れしたのだが(今でも賛成するが)、確実に景気回復するのは財政出動だ。金融政策は沖縄には中央銀行がないので使えない。

小泉構造改革で現状の株価上昇、大企業の業績改善があるではないかという意見もある。しかし、現状のほんの小さな改善は、結局のところ35兆円のドル買い介入(03〜04年の短期国債の発行=財政出動と同じ)や国債買い切りオペによる金融緩和の成果で、財政出動なき景気回復ではなく、結局リフレ政策によるものだ。

沖縄は景気を拡大し、失業を間違いなく減らせる再開発とインフラ整備が先だ。

自立・自治以前にスタートラインに着くための沖縄全体の再開発が必要であると考える。嘉手納以南の軍用地が返還されるなら、インフラが安く作れる好機である。財源は建設国債、同盟維持のための特別国債などによる財政出動。セイニアーリッジでもよい。日本全体のGDP拡大に寄与する額の設定も可能だ。  

Posted by 渡久地明 at 23:22Comments(0)返還基地の跡利用

2005年11月10日

海兵隊は撤退である

 辺野古の新施設建設は、海兵隊の撤退である。
 
 撤退と知れば名護市長が、条件によって受け入れるというのは、当然の選択肢としてありえる。ただ、日米ともに、表だって、海兵隊は撤退するんですよ、とはいえない。しかし、すでにこのような撤退が予想されていたのである。吉元政矩氏の米海兵隊は要らなくなったという予想、SACO最終報告の「撤去可能な海上施設」という文言、神浦元彰氏の沖縄米軍なくなるという予想、アーミテージの「沖縄基地に長居はしない、アジアが安定したら出ていく」というわたしの問いに対する発言やアーミテージレポートでの「分散による沖縄基地負担の軽減」…といくつものサインがあった。

「2+2」合意は中間報告とはどこにも書いてなく、文書のタイトルは

 日米同盟:未来のための変革と再編

 となっている。マスコミはその通りに扱うべきである。なぜ、日本では中間報告というのか不思議である。

 文書は
 I  概観
 II  役割・任務・能力
 III 兵力態勢の再編
 
 からなり、
 
 IIIの中の
 
 ●柔軟な機器対応のための地域における米海兵隊の再編
 ○兵力削減
 
 に、
 「(沖縄の)第3海兵機動展開部隊(III MEF)司令部はグアムおよび他の場所に移転され、また、残りの在沖海兵隊部隊は再編されて海兵機動展開旅団(MEB)に縮小される」
 
とある。これは、III MEFの沖縄からの撤退のことである。

MEFはI、II、IIIがあり、長島昭久「日米同盟の新しい設計図」(02年3月、日本評論社)では、

MEF(Marine Expeditionary Force):海兵遠征軍

 と訳されて、こちらの方が一般に通用している。部隊というと小さくきこえるが、3つしかない米海兵隊の大きな軍隊の一つである。それが、

MEB(海兵遠征旅団)

 に縮小される。

 移動して、縮小する・・・

 III MEF司令部がグアムに移動するという言い方もあるが、実際にはIII MEFが撤退するということだ。

 長島氏の著書には、在沖海兵隊の撤退がまさに上に掲げたようなものになると予想した米研究者の予想があることが紹介されている(110ページ)。

 「(朝鮮半島に平和がもたらされ)、在韓米軍の主力である陸軍第2歩兵師団や沖縄駐留の第3海兵遠征軍がが撤退した後も、水陸両用戦の最小単位である第31海兵遠征部隊およびその支援部隊約5000人は残り、沖縄と韓国の間でローテーション配備となり、沖縄には旅団規模の事前集積施設が新設され、岩国基地へは撤退する海兵隊の固定翼作戦機に代わって空軍の作戦機が移動、普天間基地にあったヘリコプター群に代わって在韓米軍のヘリコプターが増強される」(ブルッキングス研究所、オウハンロン上席研究員、1997年のレポート)

 長島氏自身は提言の中で「具体的には、那覇港湾施設と牧港補給基地を普天間飛行場の移設が決まっている辺野古地区へ移設し、新設飛行場を軍民共用とともに自衛隊との共同使用とすることが考えられる。さらにはキャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧なども中部地区の広大なキャンプ・シュワ部内に移転させれば、沖縄県の提示する懸案の大部分を解決することができる」と今回の合意とほぼ同じことを著書の中で提言している(186ページの【提言9】)。
 
 ただし、長島氏は沖縄基地がますます重要になるとしている。わたしは逆に不要になったと見る。

 結局、大きすぎた米海兵隊は沖縄からグアムまで撤退するのである。

 沖縄県知事はたとえ世論調査と大きく異なる結論であっても、大きな決断を下さなければならない局面にいる。

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 99年暮れのワシントンの取材で当時CFRの研究員となっていた長島氏とも意見交換の場があり、その時のご縁で著書を献本いただいていましたが、最近まで読んでいませんでした。すみません。ちゃーんと予言が当たってますね。すばらしいです。  

Posted by 渡久地明 at 23:15Comments(0)返還基地の跡利用