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2009年10月30日

たばこ税増税より、累進所得税を強化せよ

たばこの税金上げるって、トホホ。こんなのしか思いつかないのか民主党。

「たばこを吸い続けてガンになって早く死ぬんなら、長生きするより医療費がかからない。医療費を減らすことができる」

というようなことを森永卓郎さんがどこかで書いていたが、わたしもそう思う。

こんな小手先の税制をいじるのではなく、たとえば年収2000万円以上の高額所得者の所得税率を昔のように75%まで上げるというようなことをしたらどうか。

それと引き換えに、必要経費を大幅に引き上げる。たとえば、年収1億円の人が9000万円分のモノやサービスを消費をすれば、経費として認めるというふうにしておく。1億円に対する課税ではなく、1000万円に対して、というようにする。

これは消費拡大策である。JALなどはさっさと業績好転する。

同時に年収500万円以下の人は非課税にする。200万円以下なら足りない分を給付する。

法人税は上げてもかまわない。もともと消費者が企業から商品を買って、それで企業が儲けを出したら、そのうち数十%を税金にとられるというだけである。結局、法人税を支払うのは消費者である。法人税があがったからといって企業が損をするわけではない。商品を値上げすればよい。

むしろ、法人税が高ければ税金をとられるよりはカネを使おうということになり、企業インセンティブを増やしたり、設備をどんどん改修するというように世の中にカネが出回る。景気回復にプラスの効果となる。

積極財政策での景気回復、財政の立て直しについて、友人と話していた。

…麻生政権での定額給付金も一万二千円じゃ足りない、百万円くらいにすべきだ。と、わきから彼の奥さんが、「でも、みんなが百万円使っても、結局最後にはカネ持ちの懐にはいるのよね」と突っ込まれたわけだ。

せっかく積極財政を組んでも、国民が、最後にトクをするのは特定のだれかに違いないと思っていては、政策効果は薄れるかも知れない。定額給付金で、百万円を配っても貯金に回るだけかも知れない。すると消費は増えず、モノが売れなければ物価も上がらない。銀行にたまったカネで、またマネーゲームが始まり、確かに「結局、カネ持ちが儲かるだけよね」となるかも知れない。

積極財政と高額所得者への累進税制の強化はセットで行う必要があると思う。総額百兆円、国民一人当たり百万円規模の大型の定額減税(給付金)で、みんながカネを使って景気が良くなり、

「あたし達も良くなったけど、最後にトクしたのは政府よね」となるようにしておけば良い。

あー、公共工事の比率は減らす。ホントに役に立つ公共工事でもムダだというひとはいくらでもいる。いろいろ議論している内に無駄な時間がどんどん過ぎて、政策が打てない。それより、国民一律にバラ撒き、国民が勝手に消費することで、あらゆる産業分野にまんべんなく需要を発生させるのがいい。市場原理に任せるわけだ(市場「原理」主義ではない)。結局、無駄な政治家や政府の仕事、余計な政策論議を減らすことができて、一石二鳥だ。

緊縮財政で景気を悪いままに、たばこ税や消費税を上げるというのは間違いである。  


Posted by 渡久地明 at 23:43Comments(0)デフレ脱却

2009年10月25日

米軍基地問題、いまは沖縄の世論が重要

今日の沖縄タイムスの2面で、吉元政矩・比嘉幹男の両元副知事へのインタビュー記事が出ている。沖縄側からの発信をしっかりやれというものと読んだが、タイミング良く軍事ジャーナリストの神浦元彰さんがHPで次のようにコメントしている。

読者からの、「神浦さんの新報記事にあるように、普天間に居座ると米軍が密かに方針を転換したのなら、北朝鮮問題解決後は米軍は撤退するのでは」という質問に対して。

(前略)そうなんです。アメリカは北朝鮮が片付けば沖縄から海兵隊を撤退すると考えていました。アメリカもそのように考えて米軍再編を行ってきたと思います。ところがグアムの海兵隊基地の環境の悪さに気がついたのです。そこでこのまま沖縄に居座るか、ハワイやカリフォルニアに帰るか、そのどちらかで悩んでいるのではないでしょうか。

ゲーツ長官の今回の訪日で、今までの流れは変化したように思います。

中国の海軍力が増強されても、日本や韓国の軍事力を合わせると、沖縄(東シナ海)の安全性はまだまだ高いものがあります。そこで中国との軍事対決に備えるというよりも、使えるうちは沖縄をこれからも使いたいという願望です。

しかしそれでは、沖縄の基地負担を減らすために在沖海兵隊がグアムに撤退するという約束は反故になります。普天間飛行場は危険なので代替え基地に移すという代替えの問題とは別です。それをあえて絡めてきたゲーツ長官の発言も奇妙です。「辺野古沿岸に基地ができないならグアム移転や沖縄の米軍用地の返還もない」という言葉です。

まだ推測の段階ですが、6月4日に米海兵隊のコンウェー総司令官が米上院軍事委員会で行った証言は重要です。「グアム移転は難しいから見直したい」という証言です。数日後に発言を撤回しましたが、撤回で海兵隊の意思が変わったわけではありません。

いくら米軍の戦略がコロコロ変わっても、沖縄の人々が辺野古沿岸の基地建設をどう思うかが大事です。もし辺野古に新基地ができるなら、海兵隊は沖縄に居座り続けることになると思います。無理なら、グアムに小規模な出撃基地だけを作り、在沖の大部分の海兵隊は米本土に撤退するでしょう。

ゲーツ長官やコンウェー海兵隊司令官は、日本政府の対応と沖縄県民の反応を見ています。これからが一番大事な時期になります。どんどん沖縄の民意を発信してください。日本政府や米軍の顔色を見る必要はありません。私は嘉手納統合しか、普天間基地問題の解決はないと思います。もう沖縄で米軍基地問題が「打ち出の小槌」になることはありません。それでも名護市長選が大きな山になります。

悪いことは、最もわるい時と場所で起きるといいます。この緊張した時に普天間飛行場で米軍機の事故が起こらないことを祈るばかりです。

※そちらで場所が確保できれば、私が沖縄に行って話すことは可能です。沖縄の人の意見も聞きたいと思います。友人のかたと相談してください。講演料は泡盛1本で結構です。旅費も自分で出します。(オバマ大統領の訪日後がいいでしょう)。


Re:メールにお返事「在沖海兵隊は朝鮮半島有事が片付いても沖縄に居座る気なのか」
http://www.kamiura.com/remail/index.html  


Posted by 渡久地明 at 19:55Comments(0)返還基地の跡利用

2009年10月23日

2001年の鳩山氏ビデオ

鳩山総理が2001年春に「おきなわ新世紀」に出演した際のビデオが当時のままユーチューブに出ている。4回まで上がっている(9回に分けるようだ)。

沖縄羅針盤
http://rashinban.eigyo.co.jp/interview.html

わたしの書いた記事はこれをかなり短くしたもの。  


2009年10月15日

鳩山首相の無利子国債への関心

 ホントは政府紙幣発行についての関心だったりして。

首相、無利子国債に関心? 学者らとの懇談、話題に

 鳩山由紀夫首相が14日、首相官邸で開いた学者や民間エコノミストとの懇談会で「無利子国債をどう思うか」などとたずねていたことが分かった。複数の出席者が明らかにした。無利子国債は利子をつけない代わりに、購入者の相続税を免除するしくみ。個人の国債購入を促して財源を調達できるという見方もあるが、資産家優遇との批判も根強く残る。

 懇談会には東大の伊藤元重教授やみずほ総合研究所の中島厚志氏ら6人が招かれた。昼食を取りながら経済成長戦略の必要性などを議論したが、首相はそのなかで無利子国債の効果などをたずねたという。ただ参加者の多くは「財政再建にはつながらない」と消極的で、議論は深まらなかったようだ。(日経ネット2009.10.15、09:33


 政府紙幣の発行は結局は通貨発行益を得るということであり、その通貨発行益を政府に使わせるのでなく、国民にバラ撒けというのが、
 丹羽春喜教授や日本経済復活の会の10数年来の主張である。景気対策にカネを刷れということは2003年頃、スティグリッツ教授や現在のFRB議長のバーナンキ(英語、PDFでも良ければここ(日本金融学会60周年記念講演))が日本にすすめた政策でもある。また、南堂久志氏が 政府紙幣の意義についてすっきり説明していて、分かりやすい。  


Posted by 渡久地明 at 21:21Comments(2)デフレ脱却

2009年10月14日

民主党内のリフレ研究会

 先ほど、連立政権でまともなのは二人だけかといったが、間違い。民主党内にはリフレ研究会というのができていて、どんなメンバーがいるのかよくわからないが、少しは期待が持てるかも。

鳩山首相の側近であり、旧東京銀出身の小沢鋭仁環境相は昨年、「リフレ研究会」なるものを党内にひっそりと立ち上げた。「リフレ」とはマイルドなインフレで物価下落をとめる金融政策で、持ちかけたのは意外なことに道路問題の追及で忙しいはずの馬淵澄夫氏。元財務官僚の大串博志氏らも参加した。だが「日銀にインフレターゲット政策をのませ、2%程度の物価上昇を起こすのが民主政権の課題です」と刺激的に話す識者の勉強会に招かれた当時代表代行の菅直人氏は一言、
「非常に面白いが、民主党の言っていることとすべて逆じゃないか。急に逆はできないよね」
 野党時代の民主党にありがちだったデフレ観は「物価が下がることは暮らしやすくてよいこと」「金利生活者のお年寄りのために金利は上げるべきだ」といった感じで、国民にはわかりやすいが、人気取りを狙った素人感覚の域を出なかった。デフレで不良債権処理にのた打ち回った銀行ボーイズから見れば、「噛みつきたくなるような問答」だったという。


 それにしても菅さんの経済音痴ぶりはどうにかならんのか。菅さんの考えていることの逆をやれば景気は回復に向かうのだ。藤井大臣ともども菅さんも罷免したらいいのに。  


Posted by 渡久地明 at 22:37Comments(0)デフレ脱却

2009年10月14日

削った額以上の2次補正やるべき、亀井大臣の優れた感覚

 さすがというか。連立政権でまともなのは亀井さんくらいではないか。あ、いま、TVニュースで原口総務大臣も「財政至上主義ではダメだ」といっていた。まともなのは二人か。藤井財務大臣クビにして亀井さんが兼務すればいいのに。


2次補正予算、亀井氏「3兆円超えないと経済持たない」

 亀井静香金融相は14日、テレビ朝日の番組で、景気対策のために09年度第2次補正予算案が必要とし、「1月か2月初めぐらいに補正予算が出ると思う。いまのうちから閣僚がどういう事業をやるのか検討しておくべきだ」と主張した。規模についても第1次補正予算の見直し目標額3兆円を超えないと「(経済が)持たないと思う」と述べた。

 亀井氏は検討している「貸し渋り・貸しはがし対策法案」について、景気が回復し中小企業の経営環境が改善しないと、返済猶予をしても意味がないと指摘。番組終了後に記者団に対し、補正予算の見直しについて「いま経済が反転していないのに政府支出を抑えているので、経済に影響を与えるのは当たり前」として第2次補正予算案の検討を進めるべきだとした。

 財源としては特別会計の見直しに加え、「場合によっては赤字国債も出していくべきだ。目先のことを躊躇(ちゅうちょ)して経済が落ち込めば、税収も減る」とした。

 第2次補正予算案については鳩山由紀夫首相も、年明けの通常国会冒頭に、景気刺激や雇用対策を目的に提出する考えを示している。(朝日2009年10月14日11時27分)


 なお、先ほど9月の沖縄線実績が5%程度のマイナスだったと報告したが、おそらく国内全線では10%超のマイナスとなる可能性がある。今年に入って全部マイナス。沖縄は10月1〜10日までの航空実績が出ているが、前年同期比15%減。県内ホテルの予約状況から10月トータルの航空旅客数もフタけた前後の落ち込みとなりそうだ。景気は再び落ち込み始めていると強く感じられる。  


Posted by 渡久地明 at 22:19Comments(0)デフレ脱却

2009年10月14日

9月の県外=沖縄線旅客数は4.5%減

 航空各社の9月の沖縄線搭乗実績が先ほど出そろった。それによると、県外=沖縄線の旅客実績は前年の9月に比べ4.5%減となった(沖縄観光速報社集計)。9月は連休が好調だったが、それ以外が大幅なマイナスとなった模様。
 
 JALが13.8%減、ANAが0.6%増、JTAが2.6%減、RACが14.2%減、SKYは福岡線を新設しており、1.43倍と躍進した。

 また、石垣・宮古・久米島の県内線主要離島実績は3路線合計で1.0%減とほぼ前年並みまで回復した。(沖縄観光ニュース)  


Posted by 渡久地明 at 20:53Comments(0)沖縄観光の近況

2009年10月13日

稲村公望さんの総選挙奮闘記

 稲村公望さんから選挙の顛末が届いたので

 稲村公望さんを国政に送り込もう

 に掲載しました。  


2009年10月09日

右肩上がらない病の蔓延

立て続けにシンポジウムなどで

「国民は欲しいものはなくなり、人口も減っているので、もう右肩上がりの経済成長はムリ」

という話しを聞いてウンザリだ。右肩上がらない病が蔓延(参照:GDPについて)しているらしい。

「経済成長ができないのだから、別の政治も行政も規準を考えるべきでないか」

というので、

「失業率がゼロになるまで経済は成長できる。人口が減るならGDP成長率は低くても一人当たりの分け前は増えるはずだ。もっと分け前を増やしたいならどんどん人口を減らすしかない。経済成長がないから日本では毎年3万人も自殺している。失業や経済苦の自殺を減らすために経済成長が必要だ」

と反論したが、聞く耳は持たないようだ。こちらとしても説明が面倒になる。  


Posted by 渡久地明 at 23:23Comments(0)デフレ脱却

2009年10月09日

藤井財政大臣、与謝野より悪そう

 亀井郵政・金融大臣の「貸し渋り防止法案骨格」が金融機関も相当に助かる形でまとまって、ほっとしたのもつかの間、こんな記事が…。最悪期の与謝野元金融・財政大臣よりももっと悪い。基本的に貸し渋り防止法案というのは一時しのぎで、その間に政府が責任を持って景気を回復させるという意味が込められている。ところが、下の方針はその間に景気をもっと悪くするものだ。亀井大臣の努力が水の泡。やっと一息つけそうだった中小企業はますます不安になるだけだ。
「国債増発、今年度必要ない」 藤井財務相、税収減でも

 藤井裕久財務相は9日、「今年度も(国債を)増発する必要はない。(税収が)減っても、いろいろな手法はある」と述べ、景気悪化に伴う税収減の穴埋め策として国債発行に頼らない考えを示した。記者団の質問に答えた。09年度の新規国債の発行額を、麻生内閣が計画した約44兆円以下に抑える考えだ。

 09年度予算では46兆円の税収を見込んでいるが、法人税の落ち込みなどで数兆円の下ぶれが起きるとの見方が出ている。藤井氏は財政規律を重視する立場から、借金に頼らず、まずは既存予算の歳出カットや使い残しなどで生まれる財源でやり繰りする考えとみられる。

 また、藤井氏は同日の民放テレビ番組の収録で、「国債は麻生政権では44兆円出している。それよりは減らさなければ、国債市場の信認にこたえることにならない」と発言。すでに鳩山由紀夫首相が示した方針通り、10年度予算でも国債発行を09年度の予定額より減らす考えも示した。(朝日2009年10月9日22時17分)

 罷免したらどうか。  


Posted by 渡久地明 at 22:52Comments(0)デフレ脱却

2009年10月08日

不要不急の2.5兆円? カネは国民が使うべきだ

 民主党がどんどん予算を削っている。麻生政権の景気対策だった今年度第二次補正予算の14兆円は景気回復には全然足りなかったが、それなりの効果は出てくるはずだった。その14兆円の内、不要不急のもの、いわば政府機関の埋蔵金に回るカネ2.5兆円が見付かり、それが削減となる。鳩山首相はこれで8合目といい、さらに3兆円に向けて削る。
 
 削る中身が公表されていないので、詳しいことはいえないが、本当に政府機関の貯金が各省庁から取り上げられただけで、今年度中に必要な他の分野に支出されるなら、それほど問題はないかも知れない。しかし、来年度以降の予算に振り向けるというようなら景気の足を引っ張ることになる。

 疑問点は二つある。
 
 第一に緊急経済対策の14兆円の内のわずか3兆円を削るだけだから景気を悪化させる効果は少ないといえるかも知れない。しかし、もともと14兆円の補正では足りなかったのだから、景気の先行きはあやしい。税収見通しも大幅な赤字で、すでに息切れしてきた兆候がある。次の補正が必要な局面である。
 
 景気の一段の悪化が見込まれるのに、驚いたことに、鳩山首相は2次補正は次の臨時国会ではやらないといっている。このままでは景気回復は見込めない…。
 
 中小企業はわたしも含め苦しい年越しをせまられそうだ。亀井大臣の緊急金融政策が急がれる。
 
 第二はもし本当に不要不急のカネが3兆円近く出てくるなら、いまの政府の企画力では緊急経済対策で11兆円を使うのが精一杯、限界だったということになる。
 
 なんと能のない政府であろうかと思う。やはり、自民党でも民主党でも政府にカネを使わせるのは間違いである。国民が使うべきである。こう考えたら面白くならないか。
 
 補正の14兆円で景気回復には全然足りないことは当初からわかっていたのであり、どうせなら前年度末のデフレギャップ40兆円全額をカバーする補正を組んで、国民一人当たり一律30万円を渡す。政策金利は低いまま据え置き、財源は赤字国債ではなく景気回復国債としてカネを刷って当てる(個人にカネを渡したら半分は貯金に回るので効率が悪いという人もいるが、それなら倍の60万円を渡すべきである。景気が回復すれば(マイルドなインフレになれば)、貯金した30万円も消費に回るようになる)。
 
 30万円全部を国民に使ってもらうために、それに見合う個人消費は全部必要経費に認め、所得税の控除額を増やす(ちなみにこれと同じコンセプトで観光庁が来年度から旅行減税創設を要望している)。企業の接待費なども全部必要経費に認める(アメとムチのアメ)。
 
 最初の30万円で実現した景気拡大を自続させるために、高額所得者の所得税の最高税率は、高度成長期の75%まで増税し、法人税も上げる(アメとムチのムチ)。すると税金に取られるくらいなら企業も個人もカネを使おうということになり、一層消費を増やす。政府は消費拡大で自然増収を図る、…というようなことはできなかったのだろうかと思う。  


Posted by 渡久地明 at 00:13Comments(0)デフレ脱却