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2017年04月26日

世界200ヵ国の外国人観光客数(最新、世界銀行)

世界銀行がデータを更新していた(2017年4月17日付け)のでグラフにした。元データはUNWTO、データの使用はオープン。沖縄(赤、沖縄県観光政策課)とハワイ(茶、HTA)を追加し、日本(黒)とあわせて太い線で繋いだ(ハワイは分かりにくいが、沖縄のちょっと上にある)。世界200ヵ国あまりののインバウンド観光は9割が右肩上がりで、1割前後が戦争や経済運営の失敗などで右肩下がりとなっているようだ。日本の伸びはパシフィックアジア地域のインバウンド観光を牽引したとUNWTOが説明している。

このグラフを見た瞬間にやる気をなくしたという人がいたが、難しく考えないで、遠くから全体を見て折れ線のほとんどが右肩上がりになっていることだけ確認できればそれでいい。ところどころに右肩下がりの折れ線があるが、それらの国の共通点として、紛争などが挙げられると思う。

結局、国際観光は伸びるのが当たり前で、紛争などで減少もあり得る。

もう一つ、フランスなど横ばいとなっているところがあり、その理由はこれ以上観光客を受け入れられない上限に達している可能性があるからだろう。




  

2017年04月21日

GWのJAL・ANA両グループ、SKYの沖縄線予約数は12.5%増

 GW(4月28~5月7日)のJAL・ANA両グループ、SKYの沖縄線予約状況が4月21日、出そろった。それによると、沖縄線の旅客数は12.5%増と大きな伸びとなっている(沖縄観光速報社集計)。JALが13.6%増、ANAが8.3%増、JTAが16.7%増、RACは16.0%増、SKYは26.3%増と目覚ましい伸び。同じく増加傾向のLCCを入れると県外線旅客数は前年を大幅に上回る見込み。

 JAL・ANA両グループ、SKYのGWの国内線予約数は12.0%増と前年を大きく上回っている。LCC3社の国内線は3.6%増で、SFCとLCCをあわせた国内線の予約数は11.2%増と大きな伸び。

 JAL・ANA両グループの日本発着国際線のGWの予約数は4.1%増と堅調な伸び。LCC3社の国際線予約数は20.2%増と目覚ましい伸びで、SFCとLCCをあわせた国際線の予約数は12.8%増と大きな伸び。(「沖縄観光ニュース」4月21日、20:15)


リンク先に集計表あり。  

Posted by 渡久地明 at 20:20Comments(0)沖縄観光の近況

2017年04月15日

工学部で講義(2)

昨日は琉球大学工学部で講義した。2年前から(1)と(2)を使って講演、担当のT先生はパソコンの操作もかってでていただき、講義後には「学会で発表したらどうか」とのお世辞。昨年は(3)と(4)を追加。今年はさらに(5)を追加し、N.D.先生も途中から聞いていて「講義というより博士論文の発表会のよう。かっこよかったです」と最大級のお世辞でうれしかった。

学生は工学部の100人くらい(電気、電子、情報、機械などという)。教室が狭くて床に座るものもいたが、先生二人がにらみをきかしていたので熱心に、静かに聴講していた。

学生がレポートを出すので課題を出して欲しいとT先生。「論の展開がおかしいとか、数学が間違っているというところがあればぜひ指摘して欲しい」と呼びかけた。講義の元になったレポートはインターネットで公開している。(5)についての考察は今年7月か8月に公開予定。

また、講義の前に話すことをまとめていたのだが、そのまま「観光とけいざい」第941号(4月15日号、同日発行済み)コラム視点の原稿にした。そのコラムも別エントリに転載した。

(1)沖縄観光成長の法則
客室数の増加と観光客数の増加の相互作用で伸びた。
http://www.sokuhou.co.jp/pdf/housoku.pdf

(2)今後も伸びる、沖縄観光成長の法則
〜沖縄の観光産業はこれからどうなるのか〜
http://www.sokuhou.co.jp/pdf/Offprint-sima73.pdf
「しまたてぃ」73号レポート(2015年7月7日発行)、24-29ページ(6ページ)

(3)世界180ヵ国中、上位占める沖縄観光
〜沖縄観光成長の法則を補強する〜
http://www.sokuhou.co.jp/pdf/Offprint-sima75.pdf
「しまたてぃ」75号レポート(2016年1月14日発行)、36-39ページ(4ページ)

(4)沖縄観光の長期展望
「現状の3倍以上の拡大が可能だ」
〜世界と足並みそろえて伸びた沖縄の観光産業〜
http://www.sokuhou.co.jp/pdf/Offprint-ryugintyousa.pdf
「りゅうぎん調査」3月号(2016年3月7日発行)、12-17ページ(6ページ)

(5)UNWTOの「観光予測の方法の手引き」を購入し、吟味した。
http://www.e-unwto.org/doi/book/10.18111/9789284412389
この中で世界で通用している14の予測方法が紹介されており、講義では概要を1枚にまとめて、それを解説した。位置づけとしては(1)〜(4)の先行研究の紹介に代えたつもりだ。これらの順番を適当に組み替えることで論文としての「形式」も整うと思う。
  

Posted by 渡久地明 at 18:18Comments(0)観光情報学の話題

2017年04月15日

工学部で講義(1)

持続可能な観光とはどんな状態か

 沖縄観光客数は将来どうなるだろうか。最近、その様子がかなり見えてきた。手に取るように分かると言ってもよいかもしれない。
 筆者は鉄腕アトム世代で、二十代前半まで科学技術少年だった。大学も工学部、修士課程を出た工学修士である。エンジニアになるところだった。
 しかし、沖縄観光速報の記者となることで多くの現場を見ることができ、得られた情報を元に新たな観光学が作れる。観光の方程式を作ろうと思ったのだった。それには、過去のデータを検討するのが基礎である。
 ところが、復帰後の沖縄観光客数をグラフに描いても何の規則性も見つけられなかった。一九八二年のことである。
 さまざまな業界人に話を聞いても、沖縄観光の増減に何かの原因があるとは思えなかった。
 しかし、九〇年代半ばに本紙の創業者・渡久地政夫が最近のホテル建設ブームにかんして「第3次ホテルラッシュだ」といったことが大きなヒントとなった。
 十五年ぶりに忘れていた沖縄観光客数のグラフを改めて描くときれいな直線が現れ、よく伸びた時期と横ばいが続いた時期がほぼ十年ごとに繰り返し、三十年間の平均伸び率は四・五%だった。
 詳しく見ると、ホテル建設ブームの後に観光客が勢いよく伸び、伸びきったところで、今度はホテル建設が活発になり始めた。ホテル建設ラッシュとその後の観光客の増加は互いに原因と結果の関係にあり、相互作用を及ぼし合ったと考えると理屈が通る。観光客の増加と受け入れ施設の増加の相互作用で観光客は伸びた。逆にもしホテルなどが増えないという状態になったら、観光客も頭打ちになると予想され、ハワイなどの実例がある。
 いま説明したことは一本の数式で表すことができる「。ロジスティック方程式がそれである。この数式は生物学の分野で厳密に実証されている。
 …筆者が三十五年前に沖縄観光の方程式をつくろうと思い立ったことが、いま、ほぼ実現したと思えるのである。
 方程式が同じなら、そこで起こっている現象も同じと考えられる。シャーレの中の微生物が増殖する様子を示すのもロジスティック方程式であり、沖縄観光客数もこれと同じ理屈で伸び、容量いっぱいになったところで頭打ちになる。沖縄の頭打ちはハワイの例から二千四百〜三千万人程度となるはずである。
 この状態ではホテルの稼働率は年間を通じて九割前後、レストランや観光施設も連日満員で、県内のあらゆる産業が活性化し、仕事はいくらでもあって賃金も上がっている…。
 今年の国連のテーマである持続可能な観光とはどんな状態か。いまいち分かりにくかったが、いま述べた状態を続けることであろう。(明)(「観光とけいざい」2017年4月15日付け)
  

Posted by 渡久地明 at 18:01Comments(0)観光情報学の話題

2017年04月15日

3月のJAL・ANA両グループの県外=沖縄線旅客数は8.8%増


 3月のJAL・ANA両グループの沖縄線実績が4月13日、出そろった。それによると、県外=沖縄線の旅客数は8.8%増と伸びた(沖縄観光速報社集計)。JALが4.4%増、ANAが11.1%増、JTAが6.8%増、RACは11.8%増だった。SKYは2016年1月分から路線別の利用者数の公表を止めているが、3月の旅客数は国内全線で9.0%増と好調。同じく増加傾向のLCCを入れると県外線旅客数は前年を大幅に上回る見込み。

 外国人客も増加傾向で、4月20日頃に県が発表する3月の観光客数も過去最高を更新する見込み。

 また、JAL・ANA両グループの県内線旅客数は0.2%減と前年並みだった。(4月15日、01:50)
  

Posted by 渡久地明 at 01:53Comments(0)沖縄観光の近況