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2005年12月29日

590万人という線も

沖縄県の観光客数目標は565万人と出たが、伸びの根拠としたのは新規路線の開設の一点のみであった。

新規路線だけで21万人の需要が生まれるとしている。

一方、わたしの見通しは、沖縄観光性長の法則に基づいて単純に

今年実績548万人×4.5%=572万人

としただけだった。新路線による新規需要を全く考えていない数値である。

これに県が検討した新規需要21万人が加わると、来年の観光客数は593万人(8.2%増)という大きな数値が出てくる。

県の想定は、新規路線分が増えるが、既存路線は前年並みを前提にしている。既存路線が前年のみという前提は実現しないだろう。既存路線は4%程度の伸びがあり得る。

また、沖縄観光が前年比8%伸びたことは過去に何度もあり、あり得ない現実ではない。

しかし、あまり大きく伸びない場合はどんなときかというと、客室数が不足する場合である。少し精密に計算してみる。来年8月に増える大型ホテルはEMホテルの227室、JALシティーの307室、法華倶楽部の201室の計700室あまり。ビジネスホテルが550室前後である。

8月に1250室増えているが、一室あたりの平均宿泊客数は確か2.4人くらいだったと記憶しているので、

8月は1250室×2.4人×31日÷3泊=31000人

上乗せ可能である。

05年の8月実績が563600人だったから、06年8月は新規路線と無関係に594600人(5.5%増)前後を受け入れることができる。しかし、8%は伸ばせない。

結局、8月以外が8%伸び、8月は5%の伸びにとどまるという計算が成り立ち、この場合の観光客数は590万人に届いてもおかしくはないということになる。

なお、JTBが発表した06年の観光需要予測は沖縄を名指しで好調が継続するとしている。570万人を大きく上回る可能性がある。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(2)沖縄観光の近況

2005年12月28日

2018年1000万人

わたしのつくっている新聞の一面には1段9行の小さな窓があり、「創刊33年、観光客1000万人にチャレンジ」と大きな目標を掲げている。この創刊○○年は毎年変わる部分であるが、その前までは3次振計(92から01年の目標500万人)を100万人上回る600万人を掲げていた。いつ頃から1000万人と印刷し始めたのか調べてみたら1998年10月1日、いまから7年前になる。

「観光とけいざい」第533号一面トップは、2005年までに観光客数を1000万人に急拡大させて、沖縄の経済を立て直そう、という記事である。そのためには那覇空港の滑走路の増設、リゾートホテル30軒くらいの新設、その他必要な公共投資も必要で、達成したら失業がなくなり、県民所得は大幅に拡大、関連産業がまんべんなく発展していると主張したのだった。

何でこんな記事が出ているかというと、当時、おきなワ世紀末というケーブルテレビの月1回のトーク番組を5人のメンバーと一緒に放映しており、知事選を目前に番組中で「1000万人計画に理解を示す候補を支持する」とこちら側から逆提案したのだった。

<新知事に望む「2005年ビジター1000万人」ポリシー(PDF)>(1998年9月25日)
http://www.sokuhou.co.jp/pdf/pdf/2005OCN.pdf

候補者は現職の大田昌秀知事とチャレンジャーの稲嶺恵一氏の二人だった。

番組で1000万人を打ち出した理由などは細かく説明してあるが、その骨格について、面白い提案が出たと新聞でも取り扱ったのだった。

それについて、最近業界の有力社長から

「観光客が400万人程度の時に、1000万人を打ち出したのは渡久地明が最初だろう。あのときはみんな笑いものにしたけど、ここ2、3年で600万人が見えてきた。600万人が見えたら1000万人まで行くのは確実と思えるね」

とわれた。ちゃんと見ている人は見ているものだ(笑われていたとは知らなかった)。(苦笑)

その時以来、わたしの新聞の1面には小さなスペースながら「創刊○○年、観光客1000万人にチャレンジ」と掲げている。不思議なものでこれを言い続けると、まわりも慣れてきて1000万人という人たちがたくさん出てきた。政党の県連はほぼみんな1000万人といっているようだ。また、評論家、経済界の重鎮といわれる人たちも1000万人というようになってきた。
 
沖縄への観光客数をセミログにプロットすると、綺麗な直線ができることは何度も述べた。長い間、その意味が分からなかったが、いまは分かる。「沖縄観光性長の法則」で徹底的に謎解きをしてある。間違いなく2018年には観光客は1000万人となる。

しかし、その途中で空港の増設がどうしても必要になる。1000万人の実現は完全雇用を目指すという意味で県民にとって必要な政策であり、すべての国民にとってはリゾートやレジャー・健康・保養・癒しを提供することになる。それによって人生に彩りを添えることができ、豊かさを実感できるものとなる。必要なものは政府は整備するのが義務であるから、滑走路は近く着工されると予想している。いま着工すれば当面の失業・景気対策となり、完成後は持続的な経済発展の基盤となる。だから、着工は早ければ早い程良い。

おや、県が出した来年の観光客数の目標が小さすぎるという話しをするつもりだったのに、別の方向にそれてしまった。その話は明日にしよう。

えっ、知事選で1000万人ポリシーに賛同した候補がいたかって?

大田知事がわれわれの話を聞きたいというので、数人で出掛けて知事室で説明したけど、本人が公約で1000万人を打ち出すには至らなかった。選挙は大田知事は破れ、稲嶺氏が接戦の末、当選、現在に至るのである。  

2005年12月27日

570万人の根拠(3)

今日、観光商工部の記者懇談会で、来年の観光客目標を565万人にする、と部長が発表した。

根拠は精密なものが出ているが、大きく客室が順調に増えており、新規路線(JAL仙台、JTA新北九州、JAL&ANAの神戸)開設で大きく需要が創出されるというもの。

計算は上記新路線で年間55万席が供給され、これに各月の平均搭乗率を掛け、さらに搭乗客の6割が新規需要(東京、福岡などからシフトする旅客と県民分を除く)で、21万人とした。

これに今年の実績予想547万人を足して、570万人。

ところが、今年は台風の影響が沖縄本島にないラッキーな年だったとして来年は平年並みの台風でマイナス4万人。結局565万人とした。

「台風がなければ570万人ですか」というわたしの問いに対して、「そうです」と明快な応えである。

しかし、上のような計算なら路線開設の影響がない地域の伸びが相当悲観的に見積もられている可能性があり、私の予想は570万人のまま据え置く。どころか、もっと楽観的に570万人以上と予測する。

なお、12月は10日までの実績を見て12%増を予想したが、20日までの実績は9%増と勢いが落ちた。今年を550万人としていたがやはり547から548万人に落ち着きそうだ。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月23日

改革の構造計算

天姫ドットコム・メールマガジンに掲載された原稿(12月23日付け)。

ちなみに、建築物の構造計算がコンピュータで簡便に計算することができるように、日本経済の振る舞いもコンピュータで計算でき、先日の琉球大学マクロ経済モデルはそのような例である。増税すると沖縄経済は減速することが明快にでてくる。また、金融機関などが独自のモデルを作っているし、政府もモデルを持っている。日本経済新聞社のNEEDS日本経済モデルは国内企業でよく活用されている。東洋経済はエコノメイトという計算プログラムを市販している。

これらの計算プログラムを使って増税した場合のGDPの減り方、政府支出を増やしたり、減税した場合の景気拡大の程度は相当精密にシミュレーションできている。

日本経済復活の会は日経NEEDSを使って、公共投資を拡大すると景気が急速に回復し、税収が増え、失業が減ることを分かりやすく示している。

http://www.tek.co.jp/p/ajer03_00.html

これらの計算ツールとその結果は、GDPなど経済指標を数値で精密に示そうと工夫したものであり、理論通り(たとえば公共投資を増やせば景気が上向くというのが理論なら、いくら投入すればGDPが何%増えるかという数値を出してくる)の結論を出してくるし、過去の数値の検証にも耐えるものとなっている。

(日本経済復活の会の02年暮れから03年はじめのシミュレーションをわたしはリアルタイムで見ており、自分の新聞でも大きく取り上げた(http://www.sokuhou.co.jp/backno/628.html#t3)。日本経済復活の会はその記事を丸ごとHPで転載するというやり取りが生まれた)  続きを読む

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(5)デフレ脱却

2005年12月22日

年末年始の沖縄好調

航空各社は先ほど、年末年始の予約状況をまとめたが、JAL&ANAグループの沖縄=県外線の予約数は9.59.8%増と伸びている。

国内全線は0.3%減、日本発海外は1.7%減だから、沖縄の好調ぶりが分かる。

詳細は

http://www.sokuhou.co.jp/

参照。

ANA予約数に那覇=宮古・石垣線が混じっていましたので、除いた数値に訂正しました。上方修正になります。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月21日

550万人

数値ばっかりで恐縮だが、今日、県がインターネットで公表した12月1から10日の沖縄到着便旅客実績は、

前年同期比12.4%増とわたしの予想10%増を越えるものとなった。

11から20日
21から31日

も12から15%伸びておかしくない。

       04年12月前年比  05年12月前年比
  1_10日    1.7%増     12.4%増
 11_20日    3.0%減       まだ
 21_31日    3.7%減       まだ

 と昨年の12月中・下旬は気象条件や災害の影響で、前年割れしていた。この反動で伸び率は上旬より高まるだろう。

12月通して低めに12%増を想定し、現時点の年間の観光客数は550万人と予測。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月21日

570万人の根拠(2)

来年の観光客数が570万人になると琉大大城肇研究室でも予測を出したと述べたが、詳しくインタビューしたいと申し入れたら、たまたま、今日、ゼミがあるので参加したらよろしいと大城教授。

すると、「明日の沖縄経済‐沖縄経済来年こそはワンだフォー!!」というREF(Ryudai Economic Forecast)研究会の分析結果を大城先生立合のもと、ゼミ生に最初から説明してもらった。

マクロ経済モデルは内生変数(民間最終消費支出、就業者総数など)と外生変数(国内総生産、沖縄県総人口など)を使い、34本の方程式を建て、計算するもの。

06年度の各指標の予測の内いくつかを示すと

県内総支出(実質)   3,844,548(百万円)(2.1%増)
  同  (名目)   3,741,983(百万円)(2.6%増)
県民所得 (名目)   2,818,459(百万円)(0.9%増)
一人当たり県民所得(名目)   204.6(万円) (0.2%増)
就業者数            578.7(千人) (0.8%増)
観光入域客数      5,701,664(人)  (05年度を545万人
                           として4.58%増)
消費者物価指数          98.7%    (05年度は98.2%)
完全失業率            10.7%    (05年度と同じ)

などとなっている。

沖縄県が県民所得を下方修正したため、昨年12月時点で観光客数549万人と予測したもの(ほぼ的中)が下方修正となり、また、政府予算は前年並みの伸びを想定したところ3%減となったことが反映されていない。さらに増税の影響を組み込むと、県内総支出はもう少し低くなる。

その後、議論に入り、このマクロモデルが観光客数について過去13年間相当正確であったと評価した。大きく予測と現実が乖離しているときには、それなりの理由があるので、それをいくつか説明した。また、わたしの考えを十分述べてある。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月20日

570万人の根拠について(1)

来年は570万人と予測したが、大きな理由は客室が増えていることによる。客室が増えても沖縄に目が向かなかったら目標達成はできない。しかし、4〜5%成長が約束されているなら、自動的に航空・旅行社が市場を沖縄に誘導する。これが流通の力学である。

来年8月の観光客数は客室がフルに稼働すると58万8000人となる(台風がない場合の理論値。05年、03年の8月が台風がなかった理論的最大になる)。

すると年間の最大受け入れ可能人数は

約59万人×12か月=708万人

となる。02年以降、

年間観光客数=年間の受け入れ可能人数(理論値)×0.8

の計算とよく一致している。この係数0.8は実際には次の通り。

    8月実績 最大収容力 年間観光客数 係数%
01年 501,300 6,015,600 4,433,400  73.7
02年 505,800 6,069,600 4,834,500  79.7
03年 531,600 6,379,200 5,084,700  79.7
04年 523,400 6,280,800 5,153,200  82.0
05年 563,600 6,763,200 5,490,000  81.2
06年 588,000 7,056,000 5,700,000  80.8

これより、来年は

708万人×0.81=約570万人

とな(れ)る。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月19日

きっこの日記、すばらしい

構造改革じゃなくて、構造計算の問題であるが(似たようなもんだが)、

きっこの日記(http://www3.diary.ne.jp/user/338790/

がすばらしい仕事をしている。2時間以上かけて11月19日からはじまるエントリーを読んだが、新聞記事で全然分からないのがよく分かった。

プロフィールに将来愛する人と沖縄で暮らしたい、と書いてあるのも好感度高い。昨日のエントリで、イーホームズの社長が長い手紙を寄せている。当事者ビックリの取材力だ。裏もよくとってある。

相当ディープな情報を取り扱っており、書き方も後まで考えて慎重であるが、読ませる。信頼できる。再度、絶賛。おすすめ。  

2005年12月18日

沖縄観光ニュースを更新

HPを更新した。日米2+2合意に関する緊急提言は先に更新してあったので、記事は2本+わたしのコラム視点の3本を新しくした。

「観光とけいざい」第689号(05年11月1日付)記事より
沖縄ウェディング1万件が見えた‐沖縄ワタベW・翁長氏に聞く
ラグナ・南の島からクリスマスソング
渡久地明コラム689 普天間返還は成長を加速する  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月17日

琉球大学マクロ経済モデルで570万人

琉球大学大城肇ゼミの計量経済モデルで、沖縄県のGDPなどの来年度予測が出て、

==========

2006年度の実質経済成長率=2.1%
 -ただし、増税の要素は取り入れてないので、
  それを考慮すると1.7%程度になりそう。
2006年度の観光入込客数=5,701,664人
   観光収入(実質)=431,371百万円
 -一人当たり消費額は7万5,657円。

=========

となっていると昨日連絡を受けた。

観光客数に着目すると、わたしの12月14日の予想572万人は「成長の法則」に基づいて、今年の実績予想548万9000人に単純に4.5%増を適用したもの。

計量モデルは数十本の方程式を組み合わせたコンピュータシミュレーションである。

このモデルの切れ味はよく、昨年の今ごろ、沖縄県が来年(つまり今年)の目標を540万人と決めて、強気すぎると思われた丁度そのタイミングで、549万人を弾き出して、注目を集め、さすがに強気のわたしも驚いたものだ。

そして、12月の観光客が11%増を達成すれば、この549万人という予測は1万人以下の極めて高い精度で的中ということになる。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)観光情報学の話題

2005年12月17日

2000万人計画すべき

昨日、琉球大学で「台風と観光」というわたしの講義でハワイと沖縄を比べて、沖縄の限界がどこにあるかの計算を学生に示した。

現状で、沖縄とハワイの観光客数、滞在日数、一日当たり観光客数は、

     滞在日数  観光客数  一日当たり観光客数
沖縄   3.6日  500万人    5万人/日
ハワイ 10.0日  700万人   19万人/日

計算を簡単にするために沖縄を厳しく、少しハワイを水増ししてあるが、

ハワイは沖縄の約4倍の滞在者を受け入れている。

人口規模が似ている点などから沖縄は、観光客2000万人(1日の滞在者数20万人=ハワイ並)を計画すべきで、

その途中の1500万人くらいで限界が来たとしても、その時は誰も損をしないどころか完全雇用が達成され、所得も向上していて、みんな幸せな状態になっている。

と述べた。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)観光情報学の話題

2005年12月16日

548万9,000人

沖縄線旅客実績は15.8%増となった。12月も2桁増となりそうだ。

12月を10.0%増としてこの時点で年間観光客数

548万9,000人を予測。  

Posted by 渡久地明 at 14:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月16日

ハワイ、完全雇用に近い

「沖縄観光成長の法則」と同じ分析をハワイ観光に適用し、

ハワイは労働力不足で観光客数は飽和状態に達している可能性がある、と予測していた。

(おきなわ観光情報学研究会での討論参照)http://www.eva.ie.u-ryukyu.ac.jp:16080/~tnal/kanko/pukiwiki.php?ML%C6%A4%CF%C0%CD%D7%CC%F3

最近、それを明快に裏付ける発言をハワイ大学の教授がしていることを、知った。次のようなものだ。

《2005年の第1四半期における統計では、ハワイにおけるホテルの客室稼働率は84.2%となっており、一部屋あたりの収益でも全米25地域のホテル市場のうち最も高いものとなっているのです。ですからハワイはアメリカで最も高い客室稼働率と一部屋あたりの収益を上げているというわけです。
 観光産業は沖縄とハワイ双方で主要経済活動となっておりますが、また、同時に主たる雇用源ともなっています。ハワイでは、直接雇用、間接雇用をあわせると、観光関連が雇用全体の22%にも及んでいます。また、高い観光需要のお陰でハワイの失業率は非常に低く、2004年でみますと全米平均5.5%に対し、わずかに3.3%にとどまっており、全国一低いのです。
 今年2005年の最初の四半期についてみますと、ハワイの失業率は2.8%となっています。3%を下回る失業率を示している州は全米でハワイだけであり、他にはありません。》(05年6月2日に開催された「琉球大学法文学部観光科学科創設記念国際シンポジウム」で、ハワイ大学ジョージ・イケダ旅行産業経営学部研究部長の発言=同報告書、05年11月)

ただし、厳密には観光客が増えなくなった1991年から数年間はハワイも伸び悩みの理由が理解できず、迷っていた時期があったと私は見ている。

とはいえ、「成長の法則」からハワイの様子が手に取るように分かるのは面白い。沖縄もまた、ハワイのようになることが分かっている。   

Posted by 渡久地明 at 08:00Comments(0)観光情報学の話題

2005年12月15日

12月10日までのANA

沖縄線の旅客実績は10.8%増となった。JALがどの程度伸びたかまだ分からないが、わたしは12月の伸びを9%と見込んで、547万6000人とした。それを上回り、549万人の勢いになってきた。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月14日

来年は570万人

今年の観光客数は550万人に限りなく近い547万人を越える程度になるだろう。前年の515万人を6.4%程度上回ることになる。

年末には06年の目標が発表されると思うが、おそらく県は手堅く570万人(4.2%増)くらいを設定すると思われる。

私の予測は572万人である。万人単位でこれまで0か5の目標が立てられたので、570が県の目標となろう(575万人でもいいが)。

供給面では来年1月から7月まで、今年新設された大型ホテルの客室だけで、約800室の供給が増えている。8月にはJALシティーの開業でさらに増える。この客室がフル稼働すると8月の観光客数は60万人ちょっと手前になる。

つまり、年間の最大収容力は来年の8月の時点で720万人となっており、受け入れ能力に問題はない。

今年並みの気象条件、オイル高による航空運賃の値上げに水面下で便乗値上げがなければ、570万人はいける。

07年は県の目標が決まっており、580万人であるが、順調にホテルができることを前提に、600万人と予測する。

この600万人は今後10年の観光政策を決める2001年の県の観光審議会で政府委員と自称観光学者が、どんなに頑張ってもこれ以上は無理と主張した数値である。業界代表は1000万人(ANA)、777万人(JAL)の主張があったが、結局審議会の席では700万人を目標とすることに落ち着いた。ところがその後、場外でバカな観光学者が工作して審議会を600万人に誘導。県は間をとって650万人としたのだった。

え、わたし、わたしは当時自分の新聞で800万人予測し、600万人では少なすぎる、と論じていた。審議会の委員だったら800万人と決めさせたが、そうでなかったのでおとなしく取材していた。

くそー、だんだん腹が立ってきたなあ。今日はこのくらいにしておこう。  

Posted by 渡久地明 at 19:00Comments(0)沖縄観光の近況

2005年12月14日

カート・キャンベルさん

戦略国際問題研究所のカート・キャンベル氏のインタビューが今日の琉球新報に出ている。

同氏はかつてのSACO合意の米国防省の実務担当者の一人で、沖縄で何度も講演しており、沖縄の事情を良く知っている人の一人だ。

記事によると、普天間は嘉手納統合もあり得た。辺野古移転は費用の問題が大きく難しいだろう、と述べている。

費用については日本政府が出すことになっているから、本当はあまり問題ではないと思うが、米が自腹で移転するなら無理といっているのだと思われる。

つまり、日本がカネを出すといったので、海兵隊と空軍の面倒な調整が必要な嘉手納統合案がなくなり、辺野古新設となった可能性がある。

なお、SACO協定は読者は一度目を通してみられたい。

「なぜこんな小さな島に基地を詰め込まなければならないのか」という雰囲気がよく出た文章になっている(日本語でも十分伝わる)。キャンベル氏、辟易していたと思う。確か、沖縄基地について「バスケットに卵を入れすぎている」と表現していたと記憶している。

沖縄海兵隊の撤退については、前に紹介したオウハンロン氏がMEFが撤退し、旅団が残り、韓国米軍との間でヘリコプター訓練のローテーションが行われる、と予想していた。このヘリコプター訓練は十分嘉手納に統合できるはずだ。しかし、そうしないのは空軍と海兵隊の間に相当大きな対立があるものと思われてきた。

で、なぜ、ヘリコプター訓練なのか。朝鮮半島問題が平和的に解決しても、その後、長期にわたってクーデターなどを監視しなければならないからだと思っていた。しかし、昨日述べたように、沖縄基地は韓国要人を保護する機能があったという話もある。推測だが、復帰前に韓国と米国との間で何か約束があったのではないか。しかしそれだとオウハンロン氏もその約束を知っているか、米では当たり前だが、日本ではあまり知られていない話があるのかも知れない。  

Posted by 渡久地明 at 13:00Comments(0)返還基地の跡利用

2005年12月13日

観光産業の市場原理

市場原理は集中砲火を浴びており、わたしも市場原理に任せていては景気の建て直しはないと思っている。

しかし、沖縄観光に限ってみると、市場原理が非常にうまく作動した結果、いまの状態がある。このことは基本的には

   供給<<需要

が成り立っている観光地ならすべてで成り立つと思われる。つまり、市場を周辺の大都市だけでなく近隣海外大都市、世界へと広げることによって、観光地は市場原理の優れているといわれる点をそのままを享受することができるようになる。逆のその条件を満たしていないところで市場原理に走ると欠点が続出するのだと思う。

それについて、前から考えていることがあるので、近く公開しようと思う。沖縄観光は市場原理によって成長した。明快なメカニズムがあった。

これは先にPDFで公開した、需要と供給、その間を取り持つ情報(流通)産業(旅行社・航空会社)の3者からなる「構造」(いやな言葉であるが)のうち、需要と供給については詳述したが、一言でさらりと流した情報(流通)について改めて表からは見えない重大な役割を割り振るものである。これを明快にすることによって、沖縄の観光産業での政府の役割もはっきりしてきた。市場原理がこれほど攻撃を受けていなければ、当たり前すぎてほったらかしにするところだった。これを説明することで「沖縄観光成長の法則」が100点に近づく。再改訂しなければならないようだ。

「観光とけいざい」新年号でまず公開する予定だ。忘れないようにメモしておこう。  

Posted by 渡久地明 at 01:00Comments(4)観光情報学の話題

2005年12月13日

泡瀬の核シェルター

辺野古の核シェルターの話を前に書いたが、泡瀬の核シェルターを探検したという人がいた。

防空壕かも知れないが、本人は核シェルターだといっている。

泡瀬の自動車ホテル街は元は高級将校の住宅地だったそうで、丘の土手っ腹に穴を掘ってある。

広さは沖縄公庫調査課の部屋の半分くらい。

頑丈な出来だが、床はじめじめしていた。

将校達がポケットマネーで造ったものではなく、米軍の正式な仕事だろうという。核戦争を含む朝鮮有事の際には韓国要人を沖縄のこのような核シェルターに避難させる計画もあったという話で、大規模な核シェルターが他にもあるというわたしの話に対して、ありそうだ、という反応だ。

別の話のついでだったので詳細は聞かなかったが、今度、場所を聞いて見に行ってみようと思う。まだあるだろう、とのことである。  

Posted by 渡久地明 at 00:00Comments(0)返還基地の跡利用

2005年12月12日

カルロス・ゴーン以上

県内有力観光関連産業の社長がいう。

「わたしは面接、入社式で若い社員に会い、成人式にも出ている。もう一回式に出たい。それは結婚式だ」

「県外からも新人を採用しているが、男子には沖縄婿(ムーク)になれといい、女子にはお嫁においでといっている」

「工場の新入社員は、長く工業高校卒をとっていたが、普通高校もとることにした。優秀だが、経済的な理由で就職するという学生ならとろう、チャンスを広げてやろうと工場にいったら、賛成してもらえた」

「会社をやっていて、地域にこのように貢献できるのがとてもうれしい。わたしの仕事は本当はこれだ」

そんな話、普段は全然しないじゃないですか。

「それは、記者会見やインタビューでそんな話題にはならないし、経営状況を正直に話す場だと思ってますよ」

報道関係者と経営陣約50人との忘年会、酒も入っていて、わたしの記憶も精密ではないので実名は出さないが(電話での問い合わせがあれば応じますが(笑))、社長就任後3年でそれまでの大赤字を黒字に転換し、名物の労働争議を沈静化させ、誰もクビにしていないこの社長は、ニッサンのカルロス・ゴーンより偉いと思う。

わたしの記事を切り抜いて持っていると言い、この時は30分くらいわたしのいるテーブルで、日頃あまり聞くことのない話しになった。