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2007年07月31日

取り残される日本

昨日、香港から帰った。香港EGL社の香港エキスプレス機のチャーターフライトを活用したジャンボツアーズの沖縄発団体旅行に参加しないかという香港政府観光局の誘いがあり、香港で日本担当局長にインタビューしてきた。

円安・燃油サーチャージで日本人の海外旅行需要が鈍く、旅行商品の安い沖縄に国内客がシフトしている、というのがジャンボツアーズ谷村社長の見立てだ。

それに比べて経済成長著しい香港の観光は入国者数(アジアナンバー1)、出国者数ともに好調で、関連業界のお姉さん達は笑顔が絶えず、ホスピタリティーも向上していると香港政府観光局の加納局長が述べる。

選挙結果は活気に満ちあふれる香港で、NHKワールドを見ていたが、スキャンダルが野党の追い風になっただけだ。

つい10数年前、94年の日本の一人当たりGDPは世界1だった。それがいまや14位まで後退している。成長路線に転換せず、このままバカな改革路線が続けば、東南アジアの国々にどんどん追い越され、日本の存在価値はどんどん薄まり、憲法に掲げた「世界の名誉ある地位」を占めることは不可能になるにだろう。

まともな経済政策を与野党が早く打ち出すべきだ。本当に情けない。  

Posted by 渡久地明 at 19:49Comments(0)デフレ脱却

2007年07月27日

天妃メルマガへの投稿原稿

先ほど発行された天妃メルマガのわたしの原稿の転載。執筆は7月24日。

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       天妃ドットコム・メールマガジン-0727(No.301)
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       ●●参院選での政界再編を望む-渡久地明●●

(1)景気回復の正体
 97年度の国内総生産GDP(=国民総所得)は513.3兆円だった。
 その10年前の88年度のGDPは386.7兆円だった。97年までの
10年でGDPは133%に拡大した。この間、バブル崩壊という特大イベ
ントで、91年以降の日本経済は超低成長が続くという異常な時期を経験し
ながら、それでも国民の所得は1.3倍に拡大したのだった。それでも不況、
不況と世の中は不満だらけ、景気は良くはなかった。

 いまはどうか。97年から10年たった06年度のGDPは510.4兆
円である。これまでの10年でGDPは伸びるどころか、99%に縮小した
のだ。今日までの10年がどれだけ不況であったか、この数値を見ただけで
明らかだろう。
 いや、数値を見るよりもわれわれの実感の方が正しい。賃金は下がり、失
業率は高止まりして、未来はどんよりと曇っている。

 最近、景気は回復しているといわれるが、その実態は02年度のGDP4
89.8兆円という大底に比べて、毎年4、5兆円程度の低い伸びが続き、
06年度は7兆円伸びたというだけのことだ。
 バブル崩壊後の低成長時代でさえ10兆円程度のGDP拡大は珍しくなか
ったのに、景気が回復したという06年はわずか7兆円の拡大で好況といっ
ているのである。それでも、GDPが拡大した結果、税収が増え、政府は約
4兆円を余計に借金(国債)の返済に回したと得意げである。

(2)間違った構造改革
 政府は国民生活を度外視して、自らの借金の返済を最優先し、財政再建に
邁進したのだが、不況の時に政府がカネを使わないなら、ますます国民の生
活は苦しくなるだけだった。そのことは多くの政治家や経済学者が警告して
いた。

 ところが、景気を回復させるためには、不良債権を処理したり、政府の支
出を減らしたり、企業が技術革新によって競争力を高めたりすることが良い
と主張した頭のおかしな勢力があった。それを採用したのが小泉純一郎であ
り、その政策は構造改革と呼ばれた。

 驚くことに小泉政権では政府の借金を返すために、国民から税金を巻き上
げ、多くの国民を痛めつけたのに、国民は苦しめてくれてありがとうと政府
に拍手を贈るバカげた社会現象が起こった。

 97年以降、消費税率が引き上げられ、国民から広く税を巻き上げると同
時に、企業を優遇し、法人税率を下げた。大企業はせっせと借金を返済し、
最近になって儲けを出したが、GDPがそれほど増えていない分、国民の所
得が減少しただけなのだ。最近の景気回復は国民から絞れるだけ絞った結果、
大企業が大幅な儲けをだした、それが数値に表れているというだけだ。
 いまとなっては、小泉構造改革に反対した政治家や経済学者(その人達は
当時、抵抗勢力と呼ばれた)の言い分が正しかったことが改めて理解される
はずだ。

(3)与野党ともに間違えている
 7月29日投票の参院選挙では自公が大敗するというマスコミ各社の予測
がでている。わたしも当然に野党が得票を伸ばすと思う。しかし、経済政策
は与野党ともおかしな主張だらけだ。
 与党が景気を拡大させるといいながら、やっていることは正反対の国民へ
の増税である。国民を欺くインチキ政治とさえいえる。
 野党は経済は低成長が続くから、政府支出の無駄を省いて、年金・福祉の
財源を捻出するといっている。これでは経済はどんどん縮小していくだけだ。
トホホ。

 世界を引っ張る経済大国にふさわしく、また、憲法に書いてある世界平和
を実現するために、日本はGDPを拡大させ、国民所得を拡大させるため
に、(1)積極財政、(2)消費税撤廃と企業減税の廃止、(3)金融政策
ではインフレターゲットの導入を実施すべきである。
 参院選挙後にはぜひとも「まともな経済成長勢力」対「とんでもない構造
改革派」と分かれて政界再編が行われ、ぜひともまともな成長勢力が主導権
をとって
欲しいと思う。

とぐちあきら。沖縄観光速報社編集長・工学修士。

★★★(@^0^@)まさたんが行く-「暑中お見舞い申し上げます」★★
(まさたんは、吉元政矩代表の愛称です)

暑中お見舞い申し上げます
 あ〜つ〜い〜! はるか頭上にはサンサンと照り輝く太陽が。すぐ側にも
サンサンと照り輝く後光が・・・。サンサン×2だとどうりで暑いはずだ。
とはいえ、どうせ他人の頭上。サンサンを頭に乗っけてる当の本人、まさた
んはさぞかし耐え難かろう。おや、砂漠のオアシスともいうべき、後光のな
かのわずかな髪様が、海から吹き渡る真南風を受けてそよそよと涼しそうだ。
まさたんの暑さ対策はこんなところにあったのか。
 どうか皆様も暑さ厳しき折り、くれぐれもお体をご自愛くださいね。

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編集:天妃ドットコム・メールマガジン編集局、発行:沖縄21戦略フォー
ラム(毎金曜日配信)〒902-0078沖縄県那覇市識名3-15-13
TEL 098-831-8999 E-mail oki21sf@m1.cosmos.ne.jp
ホームページ http://www.tenpi21.com/ 掲示板へご意見、ご感想など
お寄せください。吉元政矩代表の社会や時代を読み解く「今週のコラム」も
好評連載中です。
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Posted by 渡久地明 at 12:00Comments(0)デフレ脱却

2007年07月22日

新潟のリカバリー策

いま新潟中越沖地震の原発の様子を中心にしたTBSの報道特集が終わったところだが、最後に新潟県の泉田知事が観光地を訪れて、取れたての魚介類を観光客と一緒に食べ、風評に負けないよう頑張りましょうといった、と締めくくった。

ちゃんと聞いていなかったので、どこの観光地に知事が出向いて言ったか聞き取れなかったが、この「風評」については新潟はかなりしっかりした対応策を採っている。

観光情報学会が「風評」の伝わり方や「被害」への対策について、沖縄観光がテロの風評で落ち込んだ時から取り組んでいた。04年の新潟中越地震ではゆざわ観研が中心になって風評を抑え込むのに成功した。05年の沖縄大会では01年テロでの沖縄観光の風評被害について、パネルディスカッションで取り上げているし、06年には大内会長らの論文も出ている。

地震被害について、能登半島沖のケースを調べたところ、報道される件数も記事の長さも、最初にドーッと大量に出て、その後の記事の量は、一定の減少率で減少していったことが分かっている。

ゆざわ観研は04年の中越地震に際して、報道各社に対して、当初から被害だけの報道ではなく、元気に営業している観光地の様子も取り上げてくれと申し入れ、当初キャンセルが続出した観光客数は、3カ月後には完全に回復した。その間、報道機関や旅行社、口コミやインターネットなどあらゆる手段で、被災していない観光地に来てくれという声を組織的に出したという。

今回も新潟旅行のキャンセルが危惧されるが、冒頭で述べたように、地震後1週間という早い段階で、地元観光地が頑張っているというニュースが出てくるのは、これまでの取組の成果だと思う。

越後湯沢では6月に観光情報学会の全国大会が開かれ、新潟県副知事が来賓のあいさつを述べた。わたしも一泊してきた。

その後、7月13日にはゆざわ観研の岸野さんから、沖縄を直撃した台風の被害はどんなものか心配して問い合わせを受けたところだった。

「沖縄は無事でした」と返事をしたところに16日の中越沖地震だった。湯沢は深度3で温泉の営業には全く影響がないという返事をもらっていた。

被害は大きく、お見舞いを申し上げる。これを回復するには、多くの国民が予定通り、新潟を訪れることであると改めて提言したい。

ちなみに観光情報学会誌創刊号「観光と情報」(05年5月1日)には「強力にリカバリーを求めることが重要である‐中越地震風評被害に対する沖縄の経験と対策」(渡久地明)が出ている。沖縄のテロ時の落ち込みではわたし自身回復のための論陣を張ったし、台湾の地震で台湾観光協会とチャイナエアライン、SARSでは香港政府観光局、上海政府からの招待を受けてリカバリーのための記事を書いた。その間の実際とマスコミの対応についてレポートしたものだ。WEBでは未公開なので観光情報学会の許可を受けて、近く公開しようと思う。  


Posted by 渡久地明 at 19:25Comments(0)観光情報学の話題

2007年07月21日

緊急レポート「2010年観光危機」

続々構想されているホテルが計画通り開業し、かつ、滑走路不足で観光客数は650万人で頭打ちになるという県の想定が本当なら、2010年には大きな需要不足(=客室設備の供給過剰状態)が発生し、観光危機に陥ると予想した。

緊急レポート「2010年観光危機」旅客増えず、客室は激増

実際には那覇空港は700万人台半ば800万人くらいまで観光客を受け入れられると考えられるので(その際には自衛隊や海上保安庁の那覇空港利用を制限したり、嘉手納などに移転したりすることも前提で)、想定したような危機的状態にはならないと思うけど。

結局、2001年度に県がつくった2011年の観光客目標650万人は策定時点で間違っていたのが、時間が立つに連れて間違いが鮮明になってきたということだ。誰がどのように間違ったか(事務局に量より質を主張するバカ(=構造改革厨)がいたためだが)も過去の記事で細かく指摘しているので、ぜひお読み下さい。  


Posted by 渡久地明 at 03:29Comments(0)沖縄観光の近況

2007年07月21日

1000万人関連が続々

随分間が空いてしまった。少しさぼっていたら、逆にどんどん間が空いてきたので、再開しようと思う。

HPを更新した(HPの更新にも手が回らなかった)。1000万人関連の話題が続いている。仲井眞知事が10年後の観光客1000万人を公約に当選して以来、県観光商工部から出てくる文書にはほとんど前フリに1000万人が出てきている。企業も同じだ。目標を明確にすることで、人の意識は一挙に変わるという実例を見ているようだ。

同じことがホントは政府の経済政策でもいえる。インフレターゲットや成長率ターゲット、GDPターゲットなどが明確に打ち出されたら日本は変わると思うのだが、残念ながら参院選では与野党ともに明快な目標がない。これでは人の意識は変わらない。その結果、経済成長は低いままで、中小企業や低所得者層は救われないと言うことになる。

第718号(2007年3月1日号)の記事から
シアターとホテル建設へ かりゆしホテルズ(07年7月21日)
國場組、再建なる(07年7月21日)
シンガポール IR開発に2件、70億ドル(07年7月21日)
☆おきなわ観光情報研究会 Tourism Informatics(TI)の試み 44 キレイ・簡単なHPの作成と管理(下)(07年7月21日)
☆前川昌道 ・IT導入、成功と失敗の法則(33)画期的なセキュリティー通信サービス(07年7月21日)
☆渡久地明コラム718 観光産業の生産性を上げるには(07年7月21日)

第719号(2007年3月15日号)の記事から
JTB 1千万人の実現で沖縄事業開発委員会を設置(07年7月21日)
バリアフリー化進む県内ホテル(07年7月21日)
1,000万人は困難???(07年7月21日)
☆渡久地明コラム719 650万人は限界ではない(07年7月21日)  


Posted by 渡久地明 at 01:13Comments(0)沖縄観光の近況

2007年07月03日

おととい書いた「早く辞めろよ。久間君」

久間大臣の発言が問題になり、今日、辞任した。

「早く辞めろよ、久間君」

というコラムを「観光とけいざい」におととい書いたばかりだった。辞任は当然だ。

「観光とけいざい」記事は発行後、2、3ヶ月してWEBに公開する方針だが、あまり遅くなると間抜けになるので、今日、UPしておく。続きを読むに全文転載した。  続きを読む


Posted by 渡久地明 at 19:08Comments(3)返還基地の跡利用