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2007年03月03日

2011年観光危機説

今朝配信された「天妃ドットコム・メールマガジン」を転載する。


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       天妃ドットコム・メールマガジン-0302(No.280)
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●2011年、沖縄経済危機説‐観光産業が引き金を引く恐れ-渡久地明●

 今年度の観光客数の目標値は590万人である。昨年の564万人に比べ、
4.6%増を計画している。先日開かれた県と観光事業者らの意見交換会で
は目標に対して特に異論は出なかったので、業界もこの数値に違和感はない
であろう。今年は昨年休止していたクルーズ船が復活するので外国人客の6
万人増が予定されており、それを除いた国内客の伸びは3・5%増と前年並
みの平凡な成長を見込めばよいので、わたしも達成可能だと見ている。

 問題はその後、だ。590万人の次の08年は620万人程度が射程に入
り、その次の09年には650万人の線が見える。この650万人は那覇空
港が限界に達する数値であるとこれまで試算されてきたものだ。わたしは
700万人半ばくらいまではいけると見ているが、ここは県の試算を尊重し
よう。すると、2010年から観光客数は伸びなくなり、2011年には2
年連続の低成長で経営不振のホテルが出始める。

 一方、2010年頃に向けて県内各地で新規の大型リゾートが続々計画さ
れている。大型の埋立地の造成が一段落し、豊見城市の豊崎に3社で100
0室規模のリゾートが開業、糸満市西崎にも500室前後の大型リゾートが
開業を目指している。北谷町、宜野湾市にも大型の計画が進んでいる。

 つまり2010年には大型リゾートがドーンと増えるが、観光客数はこれ
以上伸びない状態が出現する。大量に増えた供給に対し、需要が増やせない
のだ。航空会社はフル稼働している状態だから割引期間を減らすなど価格を
あげるだろう。それに対し、県内ホテルは客室がだぶついているので値下げ
競争となる。立ち行かないところが出てくる恐れがある。2010年は踏ん
張って生き延びても2011年をのりきれないというところが出てくる。
2011年危機説とはこのことである。

 同じことを沖縄観光はこれまで少なくとも3度経験してきた。最初は19
76年の海洋博後の落ち込み。2度目は1993年頃から3年間にわたる期
間で、この時、バブル時に計画されたホテルが続々開業したものの世の中は
超円高で海外旅行ブームとなり、ハワイやグアムにお客が奪われ、沖縄観光
は危機的状況となった。3度目は9.11テロである。3度とも県内観光業
界、旅行航空会社など民間が大幅に料金を下げて需要喚起策をとり、政府、
県が財政出動も含めた支援を行って乗り切った。

 沖縄観光がそのまま沈んでしまえば、危機を乗り切るための支援策よりも
はるかに大きな社会的損失が発生し、その回復には莫大な費用がかかること
になる、それを回避したのだ。

 しかし、2011年観光危機は需要を拡大するこれまでの政策が働かない。
これ以上観光客は増やせないからだ。

 まっとうな解決策としては、那覇空港の滑走路を2011年までに完成さ
せることだ。そのためには、いま着工すべきだ。

 それ以外の解決策としては、観光消費を増やす、滞在日数を増やしてホテ
ル稼働率が落ち込まないようにするといったことが考えられる。

 わたしは夜間便などの拡大や飛行機の発着回数を世界の超過密空港並みに
縮めるなどして750万人程度は現滑走路でなんとかごまかせると思うのだ
が、それにしても2013年が限度だろう。

 2001年に滑走路建設に着手しなかった小泉構造改革、それに悪のりし
て沖縄観光の需要を見誤った学者や政府関係者の判断は犯罪的失態といえる。
そのツケがこれから沖縄観光を直撃することになる。

とぐちあきら。沖縄観光速報社編集長・工学修士。

★★★★★(@^0^@)まさたんが行く-「ホンネをいうと」★★★★★
(まさたんは、吉元政矩代表の愛称です)

 まさたんの友人が今夏、海外研修に行くことになった。友人といえど、年
の差は親子ほど離れている。それでも同じ時代を一緒に駆けてきた2人。
 県内外だけでなく海外も視野に入れ、いま、そして将来を見通しているま
さたん。そのうえ、若者たちの海外留学・研修に力をそそいできたまさたん
にとって、この友人の海外研修話は特にうれしいできごとに違いない。
 でもね、ホンネをいうと、寂しくってたまらないみたい。

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編集:天妃ドットコム・メールマガジン編集局、発行:沖縄21戦略フォー
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Posted by 渡久地明 at 11:57│Comments(0)沖縄観光の近況
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