てぃーだブログ › 渡久地明の時事解説 › 沖縄観光の近況 › 県当局、対立候補の公約実現を予想

2007年03月15日

県当局、対立候補の公約実現を予想

今日(3月15日付)の沖縄タイムス経済面トップに

10年後観光客
県予測800万人

という大きな記事が観光客数の予想グラフ付で出ている。

この記事はいろいろな面で変である。

1、10年後に1000万人にするという知事公約を県の観光政策担当者が「困難視している」。ことが明らかになっている。

2、しかし、困難であるという根拠が不明である。県当局は那覇空港の平行滑走路の供用を2017年と「予想」し、それが知事公約通り「2015年」に前倒しで供用と想定し、その後、伸びが加速すると予想し、800万人までしか届かないとしている。仲井眞知事と選挙を争った糸数候補の公約が実現するといっていることになる。

3、年間観光客数の限界を660万人と設定しているが、その根拠はわたしの知る限りない。

4、予想グラフに説明書きがあり、660万人の限界については、「那覇空港の夏場の容量限界時の観光客の受け入れライン(現行の入域経路比率、季節変動の場合)」とある。

 (1)夏場の容量限界でなぜ年間の受け入れ限界が決まるのか不明である。
 (2)また、夏場の容量限界には自衛隊や海上保安庁等の一日平均発着回数84回が含まれているはずだが、これを他の時間や季節、別の空港に移動するだけで一日4000人、月間12万人の受け入れ増が可能となるが、それについて全然検討していない。
 (3)季節変動は不変とすべきではない。一例を示すと少なくとも日本全体の季節変動並みまで沖縄の季節変動を縮小させることは困難ではない。また、季節変動は10年単位の長期的にはかなり変動している。プロ野球キャンプなどイベントの開催や何でも見て回る観光からリゾート型に観光行動が変化することで季節変動は変化している。最近のリゾートウェディングが拡大すると、現状のオフがショルダー、オンに変化することは不思議ではない。つまり、業界の競争原理による旅客数の拡大という重要な視点が抜けている。
 
5、なぜ、観光客数を1000万人にしなければならないのかの問題意識や責任感がゼロである。知事には失業をなくし、県民所得を拡大するためという問題意識があったが、県当局に降りてくると問題意識はゼロになってしまった。できない理由をとにかくあげつらっているようだ。

6、このグラフそのものに問題がある。縦軸をゼロから描かないで400万人からスタートしている。右肩上がりを強調することになり、歪んだグラフとなる。
 また、横軸に時間をとっているが、時間はできる限り過去に遡るべきである。1972年からの時間軸を採用すべきである。なぜ、2001年からしか書き込まないのか。過去30年の傾向を見るべきである。
 このグラフでは何を言っているのか全然分からないと言うことだ。
 
 その他、記事内容についても色々あるが、省略。わたしの新聞の記事(「観光とけいざい」第718号(3月1日付)も参照されたい。


同じカテゴリー(沖縄観光の近況)の記事
GWの沖縄線は4.9%増
GWの沖縄線は4.9%増(2024-05-07 20:45)


Posted by 渡久地明 at 09:16│Comments(0)沖縄観光の近況
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。