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2007年05月26日

豚の悪臭で困っていた米軍

 カラスが米軍の弱みになるという話の続きで、実際に米軍に打撃を与えていた実例を紹介しよう。
 
 キャンプ・マクトリアスというのが具志川市(いまのうるま市)にある。39ヘクタール、もとは海兵隊基地司令部だったが、その後、住宅地になり、米兵の家族が住んでいる。
 
 もう7、8年前になると思うが、そのキャンプ・マクトリアスに隣接して豚肉のラード工場があった。
 
 このラード工場は大変儲かっていたが、周辺が発展するに連れ悪臭を放つことから、公害発生源といわれるようになっていた。
 
 この臭いを一番嫌ったのがキャンプ・マクトリアス住民であることはいうまでもない。
 
 移転して欲しいという問題になっていたが、工場も米軍の要望など聞いてやる義理はないので、長期にわたって米軍を悩ませ、大きな問題になっていた。
 
 これも現代の米軍に打撃を与えるひとつの有力な方法である。最新の装備を持つ米軍も超古典的なやり方で撃退できるカラスとは別の実例といえる。米軍住宅地のそばにラード工場や悪臭対策がずさんな生ゴミ処分場をつくるとよい。
 
 この状態を続けていればひょっとしたら、日米協議のゴタゴタの際、海兵隊の他の基地との統合のかたちで返還があったかも知れない。
 
 ちなみに、このラード工場は例の島田懇事業で移転が実現した。島田懇事業とは、米軍基地所在市町村に地域活性化策を導入するといもので、現実には地域の公民館のようなものを整備するいわゆる箱モノ事業となった。予算は10年で1000億円というものだ。このカネが使い切れなくて困っている。
 
 キャンプ・マクトリアスのラード工場移転は米軍の要望に基づいてラード工場を移転させるということになるので、当然、島田懇事業の対象にはそぐわない。
 
 ところが、政治を知りぬいていれば、ラード工場を移転させて、跡地に公民館のようなものをつくり、地域活性化がなるという絵図を描き、米軍、国内有力政治家を動員すると、非常に困難な仕事ではあるが、事業の対象とするのは不可能ではない。表には一切出てきていないが、これをやった人物がいたのだ。
 
 実際その絵を描き、島田懇事業として約27億円を引き出し、ラード工場に十分以上の立ち退き料を支払い、公民館のような建物を建てた、という実例が「いちゅいじんぶん館」という建物だ。
 
 近くの読者はこれが本当に27億円もする建物かどうか、ぜひ見に行って欲しい。「いちゅいじんぶん館」は以上のような経緯でできた政治的な箱モノである。
 
 島田懇事業への批判は、たとえば沖縄タイムス
 
 http://www.okinawatimes.co.jp/spe/sinario20060617.html
 
 など。ただし、稼働率が低いという批判であって、建物の成り立ちについて触てはいない。たぶん建設までの事情は分からないと思う。


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Posted by 渡久地明 at 17:15│Comments(3)返還基地の跡利用
この記事へのコメント
島懇から金を引っ張って来た人って?
Posted by しんや at 2007年05月28日 01:30
>しんやさん

それは愚問ですな。
Posted by 渡久地明 at 2007年05月28日 17:41
すいません…
Posted by しんや at 2007年05月28日 21:00
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