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2009年03月02日

旅客減を売上でカバーする方法

 「1月の観光客数が3%減少したとの報道に対し、40万人も観光客が来ていて、たった1万人お客が減っただけで右往左往しているのは可笑しい」という読者からの反応があった。

 「それよりも不況なのに来てくれたお客に感謝して、徹底的にサービスしておカネを使ってもらうべき。そしたら3%くらいの落ち込みなんかすぐリカバリーできるでしょ」

 これはその通りだ。しかし、たとえば昨年のハワイは月間観光客数が3月にたった1%減り、4月にたった8%減ったが、次第に落ち込み幅が拡大。最も大きく落ち込んだ9月は20%も減少し、年間で11%減少した。少し落ち込んだところで、早めに手を打つべきだとの判断も成り立つ。沖縄県が2月補正予算で緊急に2億円強の対外宣伝予算(観光行政用語でいう誘客活動の強化)を組んだのは予想される落ち込みにたいして、早めに手を打ったという意味がある。

 しかし、読者の反応を聞いて、改めて「目の前のお客が一番大事」という観光業界の常識を思い出す。これは足元を固めるとか、ホスピタリティ産業の原点に戻るということに通じる。
 
 するといまやるべきことは、やはり、目の前のお客への徹底したサービスであり、読者の指摘をもっと掘りさげることではないか。観光行政用語でいえば、受入体制の強化である。

 実際、対外的な宣伝活動は県が億単位で拡充するが、大半の県内企業にできることは目の前のお客を最大限に満足させることである。観光客には明るく、お笑いやエンターテイメントを駆使してカネの使い道を教えてあげるべきだ。

 あるアンケート調査で面白い結果がでている。観光客がおカネを使わなくなったというが、おカネを持っていないからなのか、使い道がなかったのかを聞いた。
 
 「所持金のどのくらいを使いましたか」と聞いたところ、「半分残した」という人が全体の47%もあった。「100%使った」という人はたったの7%しかいなかった。大半は沖縄旅行で予算を余らせて帰っている。

 これを見ると観光客数が3%減った程度なら、消費金額を増やしてもらうための演出を工夫したり、オプショナルツアーを増やしたり、技術を磨いたりすることで、旅客数減少はカバーできる。

 景気が冷え込んでいるいま、対外的な宣伝予算拡大の効果は焼け石に水になる可能性もある。だから何もしないのではなく、前年並みを維持しながら、増えた予算は受入対策に回すという戦略が成り立つだろう。県内観光関連企業に直接カネがわたり、波及効果が高まるような条件をつけて県内で予算を使えば、一石二鳥となる。
 
 別のアンケート調査によると、沖縄に来た人の9割が「沖縄旅行を人にも勧めたい」と答えている。満足度が高くなるに連れて「ぜひ勧めたい」という人の割合が高くなることも分かっており、受入対策を十分に行うことで口コミの効果はグーンと高まる。これを活用しない手はないだろう。
 
 受入対策として定額戻し税(給付金)の実施にあわせて行われる県内企業の各種キャンペーンの内容を充実させたり、規模を拡大することで、満足度が高まれば、かえって誘客効果もでてくる可能性がある。



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Posted by 渡久地明 at 19:53│Comments(0)沖縄観光の近況
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