2005年07月30日
公共工事が減らなければもっと良くなっていた沖縄経済
財務省が沖縄の景気判断を上方修正した。「企業収益が増益見込みとなったことや観光部門の好調な推移が上方修正の要因」という(沖縄タイムス7月29日夕刊)。
一方、琉球銀行経済調査室は7月25日、「県内建設業の構造改革について」というレポートを公表し(http://www.ryugin.co.jp/chosa/report/17/report17.htm)ている。趣旨は公共投資が減少するので、他業種への転換など構造改革が必要というもののようだ(決めつけないでおく)。
一方、琉球銀行経済調査室は7月25日、「県内建設業の構造改革について」というレポートを公表し(http://www.ryugin.co.jp/chosa/report/17/report17.htm)ている。趣旨は公共投資が減少するので、他業種への転換など構造改革が必要というもののようだ(決めつけないでおく)。
最初の景気判断の上方修正とこの琉銀レポートを組み合わせると、いまの縮小均衡財政、三位一体改革、構造改革がいかにピントはずれで、地域の景気活性化にとって、どれほど迂遠な政策で、害があるかが、よく見える。
琉銀レポートの中に次の一節がある。
「2005年度の沖縄における公共工事の減少(約270億円)が建設業や県経済全体に及ぼす影響について、県の産業連関表を用いて試算してみると、全産業で生産額が約475億円減少する試算結果となった。建設業部門では約272億円の減少となり、建設業以外の産業部門では約202億円の減少となる。名目経済成長率は約0.7%低下し、就業者については、建設業部門で約2,200人の減少、全産業では約4,100人の減少となり、本県の失業率は概ね0.6%上昇することになる。」
つまり、政府が公共投資を270億円減らしたおかげで、全産業にマイナスの効果が波及し、生産額は475億円減少、失業者も全産業で4,100人増えた。
さらに琉銀レポートによると、政府の公共投資の削減は、
「公共部門はバブル崩壊後の相次ぐ景気対策や2000年サミットの関連工事などが下支えしたことから、2001 年度頃までは概ね高水準を持続したが、2002 年度以降は財政構造改革の影響を受け、減少基調に転じている。」
と述べ、4年間継続しているわけだ。来年も政府は3%程度の予算を削減する計画だから、このままでは5年連続マイナスの予定である。
沖縄の場合、このマイナスをカバーしたのが観光産業であった。最近は県産品の売れ行きも良いから、観光が牽引するかたちで物産が売れ、政府の愚策を穴埋めしたのである。
もし、政府が公共投資の水準を02年から05年までの4年間、少なくとも前年並みに維持していれば、1,080億円(270億円×4年)の公共投資、波及効果の1,900億円が失われることも、4年間の失業者16,400人をも出す必要がなかった。
上方修正されている沖縄の景気に上の4年間の上乗せがさらに上乗せされていたら、沖縄経済は厳しいなりにも、いまより一層良くなっていたはずだ。
しかも、沖縄に必要な公共投資は、返還が決まっている普天間の再開発、モノレールの延伸や那覇空港滑走路の増設、大深度港湾整備など山ほどあり、全国と同様、一律に減らす必要は全くなかった。
観光と物産という有望な部門があり、労働力も豊富なので、公共工事部門を維持しながら(土建業を倒産に追い立てることもなく)、構造改革はスムースにいまよりずっと進展していたはずである。公共工事が減らなければ(逆に増やしても良かった)、失業者は猛烈な勢いで少なくなっていただろう。
これに応じて企業は利益を出し、職を得た人は所得が発生するので所得税を納め、消費が拡大して域内GDPは今ごろ4兆円を超えていただろう(現状3.5兆円)。県の税収は延べ1,000億円以上増え、国税や市町村の税収も増えるから、自立経済への道が早まったはずだ。
つまり、なかなか失業が減らず、景気の足を引っ張っているのは政府そのものであることが改めて浮き彫りになる。
なぜ、沖縄知事や沖縄選出の国会議員はこの点をつかないのか。沖縄知事は、沖縄が日米同盟の要、日中の間に立つもう一方の極として、独自に抵抗勢力の旗を揚げたらよかった。優秀な官僚たちをその旗の下に集めることも可能であった。現に何人かの官僚達はそう証言しているではないか。抵抗しなかったから、いま、どんどん予算を削られているのだ。
こういうバカな政策をとる内閣に対して、日本の世論は伝統的に早くやめろといって辞めさせてきた。最近では消費税を上げて景気を失速させた橋本内閣、株価を下げた森内閣と次々に辞めさせてきたのだが、不思議と小泉内閣になってから歴代内閣で最悪の株価下落、自殺者数の増加、企業倒産を増やしたのに、面と向かって辞めろという世論が少なく、当たり前のことをいっている抵抗勢力といわれる人たちが悪役のレッテルを貼られている。
日本の社会はどんどん窮屈になり、閉塞感が強まっている。
(琉球銀行に注文。公共投資を含む沖縄経済の規模をどんどん拡大し、失業がゼロになる状態のシミュレーションもやってみてね。わたしには見えている。結果は日本全体にも応用できると思う)
琉銀レポートの中に次の一節がある。
「2005年度の沖縄における公共工事の減少(約270億円)が建設業や県経済全体に及ぼす影響について、県の産業連関表を用いて試算してみると、全産業で生産額が約475億円減少する試算結果となった。建設業部門では約272億円の減少となり、建設業以外の産業部門では約202億円の減少となる。名目経済成長率は約0.7%低下し、就業者については、建設業部門で約2,200人の減少、全産業では約4,100人の減少となり、本県の失業率は概ね0.6%上昇することになる。」
つまり、政府が公共投資を270億円減らしたおかげで、全産業にマイナスの効果が波及し、生産額は475億円減少、失業者も全産業で4,100人増えた。
さらに琉銀レポートによると、政府の公共投資の削減は、
「公共部門はバブル崩壊後の相次ぐ景気対策や2000年サミットの関連工事などが下支えしたことから、2001 年度頃までは概ね高水準を持続したが、2002 年度以降は財政構造改革の影響を受け、減少基調に転じている。」
と述べ、4年間継続しているわけだ。来年も政府は3%程度の予算を削減する計画だから、このままでは5年連続マイナスの予定である。
沖縄の場合、このマイナスをカバーしたのが観光産業であった。最近は県産品の売れ行きも良いから、観光が牽引するかたちで物産が売れ、政府の愚策を穴埋めしたのである。
もし、政府が公共投資の水準を02年から05年までの4年間、少なくとも前年並みに維持していれば、1,080億円(270億円×4年)の公共投資、波及効果の1,900億円が失われることも、4年間の失業者16,400人をも出す必要がなかった。
上方修正されている沖縄の景気に上の4年間の上乗せがさらに上乗せされていたら、沖縄経済は厳しいなりにも、いまより一層良くなっていたはずだ。
しかも、沖縄に必要な公共投資は、返還が決まっている普天間の再開発、モノレールの延伸や那覇空港滑走路の増設、大深度港湾整備など山ほどあり、全国と同様、一律に減らす必要は全くなかった。
観光と物産という有望な部門があり、労働力も豊富なので、公共工事部門を維持しながら(土建業を倒産に追い立てることもなく)、構造改革はスムースにいまよりずっと進展していたはずである。公共工事が減らなければ(逆に増やしても良かった)、失業者は猛烈な勢いで少なくなっていただろう。
これに応じて企業は利益を出し、職を得た人は所得が発生するので所得税を納め、消費が拡大して域内GDPは今ごろ4兆円を超えていただろう(現状3.5兆円)。県の税収は延べ1,000億円以上増え、国税や市町村の税収も増えるから、自立経済への道が早まったはずだ。
つまり、なかなか失業が減らず、景気の足を引っ張っているのは政府そのものであることが改めて浮き彫りになる。
なぜ、沖縄知事や沖縄選出の国会議員はこの点をつかないのか。沖縄知事は、沖縄が日米同盟の要、日中の間に立つもう一方の極として、独自に抵抗勢力の旗を揚げたらよかった。優秀な官僚たちをその旗の下に集めることも可能であった。現に何人かの官僚達はそう証言しているではないか。抵抗しなかったから、いま、どんどん予算を削られているのだ。
こういうバカな政策をとる内閣に対して、日本の世論は伝統的に早くやめろといって辞めさせてきた。最近では消費税を上げて景気を失速させた橋本内閣、株価を下げた森内閣と次々に辞めさせてきたのだが、不思議と小泉内閣になってから歴代内閣で最悪の株価下落、自殺者数の増加、企業倒産を増やしたのに、面と向かって辞めろという世論が少なく、当たり前のことをいっている抵抗勢力といわれる人たちが悪役のレッテルを貼られている。
日本の社会はどんどん窮屈になり、閉塞感が強まっている。
(琉球銀行に注文。公共投資を含む沖縄経済の規模をどんどん拡大し、失業がゼロになる状態のシミュレーションもやってみてね。わたしには見えている。結果は日本全体にも応用できると思う)
Posted by 渡久地明 at 20:54│Comments(0)
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